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2009年7月2日

●C#インフルエンザA(H1N1)-世界各国(81):流行の解析 20090703.2391
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (81): epidemic analysis
[1]  流行性肺炎 Epidemic pneumonia  
タイトル H1N1インフルエンザと重症呼吸器疾患
Severe respiratory disease concurrent with the circulation of H1N1 influenza. N Engl J Med 2009 (10.1056/NEJMoa0904023)

情報源: The New England Journal of Medicine(要約)、2009年6月29日。

背景
2009年春のメキシコで、豚インフルエンザとして広く知られている、新型ブタ由来インフルエンザA(H1N1)ウイルス(S-OIV)が分離される重症肺炎の流行が報告された。1957年のパンデミック以降、インフルエンザA(H1N1)の亜型ウイルスが優位となることはまれであった。通常の診断的検査が行えない中で流行性肺炎の解析を行い、このウイルスの重症化のリスクファクターとコントロールの見通しについての情報が得た。

方法
2009年3月24日から4月29日にかけて、合計2155例の重症肺炎がメキシコ保健省に報告された。このうち821人は入院し、100人が死亡した。この期間中に、国立疫学研究所に提出された8817件の鼻咽頭スワブ検体のうち、2582件がS-OIV陽性となった。重症肺炎患者の年齢分布と、最近のインフルエンザ流行の年齢分布とを比較し、死亡率や発病率の年齢的変化を検討した。

結果
今回の研究期間中の死亡患者の87%、重症肺炎患者の71%が、5-59歳の年齢層であった。一方、 the referent periods(相当する期間)の、5-59歳の年齢層の死亡患者と重症肺炎に占める平均的な割合は、それぞれ17%と32%であった。若年層の間に季節外れの新型インフルエンザウイルスの活動性が見られる点で、今回の流行の特徴は、過去のパンデミックインフルエンザに類似していた。

結語
今回のインフルエンザパンデミック初期に、重症肺炎の発生率の突然の増加と、重症肺炎発生患者の年齢分布の変動が認められ、このことは過去のパンデミックを想起させるものであり、1957年のパンデミック以前に、小児期にH1N1ウイルス株に曝露していた人々にある程度の免疫が備わっていることが示唆された。資源やワクチン供給が限られた場合、今回の結果は、若年層に予防対策を集中させる根拠となるかもしれない。

[Mod.CP注-著者らは議論として以下の内容を付け加えている;"注目すべき点は、今回の研究期間中、1957年のパンデミック以前に出生している60歳以上の年齢層の有病率が低かったことである。1年間に発生するインフルエンザの15-20%を占めていたことから、これらの年齢層の大部分が最初に曝露したウイルスは、1957年のH2N2パンデミック発生後に姿を消していたインフルエンザA(H1N1)ウイルスであったと思われる。Francis の提唱する、"original antigenicsin(抗原原罪)"と呼ばれる概念では、小児期に初めて曝露した抗原に対する免疫反応が最も大きいとされる。この概念に従えば、1957年以前に生まれた、小児期にインフルエンザA(H1N1)ウイルスに曝露していた年齢層の人々は、初めて曝露したインフルエンザAウイルスの型が、1957年以降のH2N2やH3N2など他の亜型ウイルスであった年齢層に比べ、H1N1ウイルスに対してより防御力が強力である可能性がある。パンデミックにおいて、死亡の発生が若年層中心に変動することは、亜型ウイルスの再興によると説明されてきた。1977年以降に出生した年齢層においても、初めて曝露するウイルスがインフルエンザA(H1N1)の亜型ウイルスという場合もあったかもしれないが、(インフルエンザ流行の中で、H1N1ウイルスが)優位となることはまれであった。今回の一連のデータの中で、60歳以上の年齢層の患者が重症肺炎をおこすことは比較的少なく、今後のワクチン接種割り当てを検討する際に考慮すべきである。今回のリスクの年齢層別特徴の概要は、以前の曝露による部分的な生物学的防御作用の可能性を根拠とする、疾患対策戦略の基礎を提供した。対象を絞った疾患対策に資する、S-OIVの他の重症リスクを明らかにするため、メキシコではさらに研究が続けられている"]

[2] 由来 Origins 
情報源: ScienceDaily, News 、2009年6月29日。

現行のH1N1豚インフルエンザウイルスの遺伝学的ルーツは、1918年にアイオワIowa州・シーダーラピッドCedar Rapids Swine Show(ブタ品評会?)のブタの感染であったと、the University of Pittsburgh Graduate School of Public Healthの感染症専門家のグループが、the New England Journal of Medicine誌で報告した。この論文は6月29日に電子版で公開され、7月16日に発行される予定で、H1N1の1世紀近くにおよびしばしば迷走した道のりが、消えたウイルスが偶発的に復活した可能性も含めて述べられている。"1918インフルエンザパンデミックがヒトで猛威を振るっていた時期に、ヒトと非常に似た症状の呼吸器疾患にブタも罹患していた"と、senior authorのDonald S Burke, MD部長が説明した。"これまでに行われた実験から、1918豚インフルエンザと人インフルエンザウイルスは同時に発生したことが分かっており、その後、この祖先ウイルスは、少なくとも4回にわたって他のインフルエンザウイルスと遺伝的再集合を生じ、現在の2009年ウイルス株が新興した。このウイルスにも、元のウイルスとの類似点が残されている”と述べた。lead author Shanta M Zimmer, MDは、1957年にヒトの間からこのH1N1ウイルスがtemporary "extinction"(一時的に姿を消した)あと、20年後に再興した事に触れ、1976年、ニュージャージーNew Jersey州Fort Dixの兵士ら230人にH1N1の小集積が発生し、基地の外には漏れ出さなかったが、1977年には旧ソ連、香港と中国北東部の人々の間で、H1N1インフルエンザが再興したと述べた。詳細な遺伝学的考察によれば、(ソ連などで発生した)1977ウイルスは、the Fort Dix strainウイルスとは異なり、驚いたことに1950年の人インフルエンザウイルスに非常に近いウイルスであった。これらのウイルス株の遺伝学類似性を考慮すると、再興したウイルスは、研究用に"freezer(冷凍保存されていた)" 1950 virusが、誤って漏れ出した可能性が高いと主張されている。筆者は、the Fort Dix outbreakに対する懸念から、1976年にH1N1ウイルス研究がにわかに行われることとなり、結果として、一時消滅していたウイルスが、1年後に事故で漏出し再興したとの仮説を立てている。この再興した1977H1N1ウイルスは、その後32年間にわたり、季節性インフルエンザとして今もヒトの間で循環している。メキシコに端を発しているものの、2009 H1N1パンデミックウイルスの本当のphysical origins(自然界の由来)は分かっていない。現在のウイルスは、旧来のインフルエンザウイルスと共通の祖先を持っているため、人口の一部は、新たなパンデミックウイルスに対し、ある程度の免疫を持っている可能性がある。著者らはまた、ウイルスの脅威は、致死性だけでなく、動物から種を超えてヒトに感染し、変異して新たにヒトを宿主として適応する能力を示す感染伝播性にも依存する点を説明しようとしている。H1N1ウイルスは、そのような能力が備わっていることを常に実証してきた。"インフルエンザウイルスの新興と進化の歴史は、将来の見通しを指し示すものではないが、インフルエンザにはgeneral patternsがあることが明らかにされており、できる限りの準備を行うためには、この種の情報はとても重要だ"と述べた。
[4]  タミフル耐性-日本 
Tamiflu resistance - Japan
情報源: ReutersNews、2009年7月2日。
厚労省プレスリリース 
日本で初めての、タミフル[oseltamivir]に耐性を示す、新型インフルエンザA(H1N1)の遺伝学的変異が確認されたケースについて、2日厚労省当局者が明らかにした。WHOは、スイスのロッシュRoche社が製造するタミフルTamifluによってこれまで治療可能であった、豚インフルエンザと呼ばれるこのウイルスによる世界的大流行が進行しつつあると宣言している。日本の厚労省当局者であるTakeshi Enami氏は、この患者のタミフル感受性については、まだ検査されていないとしている。2009年5月に、西日本の大阪府において、このH1N1ウイルスに感染したことが確認された患者は、その後回復し、周囲の人々に感染は確認されていない。初めてのタミフル耐性H1N1感染症例は、デンマークの患者であった。WHOは今週、6月29日にロッシュ社とデンマーク政府当局者によって明らかになったこのケースは弧発例であり、ウイルスも強毒化していないと説明している。タミフルに対する耐性は、これまでにも、致死性のH5N1鳥インフルエンザウイルスや、季節性H1N1インフルエンザで確認されている。
[Mod.CP注-初めてのTamiflu-resistance 症例(in Denmark)に関する、Denmark's State Serum Instituteの会見内容 によると、患者から分離されたウイルスは、もう1種類の抗インフルエンザ薬zanamivirに対する感受性は残されていた。今回の症例では、感染者との接触後にTamiflu[oseltamivir]を予防投薬された患者において、耐性が生じている]