2011年9月21日

狂犬病ワクチン インド、副反応

● 狂犬病ワクチン インド
PRO/AH/EDR> Rabies vaccine, serious adverse events - India: RFI
Archive Number: 20110921.2869
 情報源 Times of India、2011年9月21日
Moti Bagh にあるニューデリー市立病院 the New Delhi Municipal (NDMC) Charak Palika hospital で19日、狂犬病に対するワクチン Rabies vaccine を接種された患者2人が、重篤な呼吸障害心停止を起こした。45歳の男性と52歳の女性で、危険な状態にあるため Safdarjung hospital's ICU に転送された。全てのワクチンのバイアルは封印され、聞き取り調査が行われている。一見するとアレルギー反応のようだと匿名の病院医師は語った。45歳男性は市職員で、52歳女性は Moti Bagh 在住の主婦であった。接種後すぐに激しい胸痛を訴え、救急室で心臓内科医や麻酔科医らが治療に当たったが状態が悪化したため転送された。女性の家族は、3回目のワクチン接種だったが突然心停止となり、昏睡状態で生命維持装置につながれていると述べた。男性患者も危険な状態にあり、人工呼吸器を装着されている。市保健当局者によると、19日にこの2人を含む12人の患者に抗狂犬病ワクチンが接種され、他の患者らに異常は認められていない。胸痛と心停止を訴えた2人には、新しいバイアルのワクチンが接種された ... 狂犬病ワクチンによる重篤な副反応は、まれであると述べた。使用期限は2013年で、同市では毎月500人以上に狂犬病のワクチンが接種されている。デリー The Municipal Corporation of Delhi (MCD) では毎月1万人に接種される。この当局者は "狂犬病ワクチンの副反応による死亡は経験したことがない。調査により the particular batch of vaccine に問題があるとすれば、接種の見直しを行う" と述べている ...
[Mod.MPP- the WHO 2010 position paper on rabies vaccines によると、インドで1年間に発生する狂犬病による死亡がおよそ2万件に上るとされている。ヒトに対して使用可能なワクチンには2種類あり、神経組織ワクチンと細胞培養ワクチンである。WHO は全ての国に対しできるだけ早く、神経組織ワクチン nerve tissue vaccines の使用を止めて、細胞培養による、より有効性と安全性が高いワクチンの開発に切り替えるよう求めている。過去、インドでは神経組織ワクチンが使用されていたが、細胞培養ワクチンに切り替えられている。狂犬病予防の上で、濃縮・精製 concentrated and purified された細胞培養 cell-culture (CCV) および発育鶏卵培養 embryonated egg-based (EEV) rabies vaccines (まとめて CCEEVs と呼ばれる) が安全かつ有効とされている。神経組織ワクチンはこれまでより重篤な副反応に関係し,the CCEEVs と比較して免疫原性が強く more immunogenic、WHO はもはやこれを推奨していない。CCEEVs はヒト二倍体細胞 human diploid cells(胎児線維芽細胞 embryonic fibroblast cells)、アカゲザル胎児二倍体細胞 fetal rhesus diploid cells、ベロ細胞 Vero cells(サル腎細胞 African green monkey kidney cells)、初代ハムスター腎細胞 primary Syrian hamster kidney cells、初代ニワトリ胚細胞 primary chick embryo cells または発育カモ卵 embryonated duck eggs などで培養された propagated  狂犬病ウイルスが含まれている。より新しく開発された chick embryo cells and Vero cells を用いて製造されたワクチンは,the human diploid cell vaccines と比較して、安全かつ有効で費用もかからない。細胞培養(または発育鶏卵)の個体別培養で増殖 growth させた後、ウイルス浮遊液 the viral harvest には、濃縮、精製、不活化、凍結乾燥 lyophilized が行われる。 the CCEEVs の一部にはヒトアルブミンや処理ゼラチンが安定剤として用いられている。WHO prequalified rabies vaccines にはチメロサール thimerosal などの保存剤使われていない
暴露後に関する勧告は、狂犬病が疑われる動物との接触の程度により異なる。 
category I exposure (触ったり、エサをやったり、傷のない皮膚をなめられた licks ) の場合は、予防措置 prophylaxis は不要である: 
category II (露出した皮膚をかじられた nibbling 、出血の無い小さな引っかき傷や擦り傷) では、直ちにワクチンを接種する: 
 category III (皮膚を穿通する咬傷や引っかき傷、唾液による粘膜汚染、キズをなめられた、コウモリと接触があった) 場合はワクチン vaccination とともに抗狂犬病免疫グロブリン注射 administration of rabies immunoglobulin が勧められている。
狂犬病ワクチン接種後の副反応に関する WHO data によると、およそ接種された人の 35-45 percent が、軽度で一過性の紅斑、接種部位の痛みと腫脹を、特に皮内への追加接種に伴なって訴えている。 軽症の全身症状として、15%の接種者に一過性の発熱、頭痛、めまい、 消化器症状が認められている。より重篤な --主にアレルギーや神経学的な-- 副反応が起こることはまれとされている。新しく開けられた同じバイアルからのワクチンを接種された2人に起きた重篤な副反応に関する記述から、接種前にワクチンのバイアルに添加されていた何かによって急性発症の胸痛と呼吸困難が生じたことが示唆される。狂犬病ワクチンは凍結乾燥されていることから、ワクチン調整時の汚染や溶液の間違いにも注意しなければならない。同日、同じクリニックでほかにもワクチンを接種された患者がいて、おそらくワクチンの調整には同じものが使われたと考えられる点にも注目すべきである。まれな重症アレルギー反応が2人続けて発生する可能性が無いわけではないが、その頻度は非常に低い (the incidence of post-vaccine allergic reactions についてのデータを持ち合わせていないが; 大抵の文書に "very rare"とだけ書かれている)]

● コレラ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2011 (30): Africa 20110921.2867
[1] コレラ-西アフリカと中央アフリカ
 情報源 UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA)、2011年9月7日
2011年初以来、7 West and Central African countries で、コレラ感染流行により、1400人以上の死者が発生したことが、6日のthe UN office for the Coordination of Humanitarian Affairs  の報告で明らかにされた。
カメルーン: 9 of the country's 10 provinces have reported outbreaks of cholera, with a total of 10 582 cases and 379 deaths as of mid-August 2011.
チャド: There is a rapid spread of the disease from the west to the east of the country with a total of 11 345 cases and 340 deaths as of the end of August 2011.
コンゴ DR: A cholera epidemic that started in the east of the country has spread along the Congo River to the west, with 5171 cases and 301 deaths as of 22 Aug 2011.
マリ: Health authorities said there have been cholera outbreaks in 3 regions of the country, leaving 880 people infected and 36 dead as of 23 Aug 2011.
ニジェール: There have been outbreaks in about 10 districts in the south and southeast districts of the country, leading to 1008 people being infected and 26 deaths as of mid-August 2011.
ナイジェリア: Reports say there have been cholera epidemics in 23 of the country's 36 states, with 13 551 cases and 353 deaths as of mid-August 2011.
コンゴ共和国: There have been cholera outbreaks in 4 provinces in the country, Brazzaville, Cuvette, Likouala and Plateaux, with 341 people said to have been infected and 20 deaths.
[2] ブルンジ
 情報源 UN Integrated Regional Information Networks (IRIN) 、2011年9月14日
8月以降、コレラ感染流行により12人が死亡し600人が感染した。各地で収まりつつあるものの、首都 Bujumbura の当局者は Nyanza Lac, Makamba province で新たな流行が発生し80人が感染したと述べた。住民がたびたび Lake Tanganyika の安全でない水を使用し、コレラ感染の発生が多い Bururi province 南部の Rumonge で8月5日に感染流行が報告された。その後首都 Bujumbura と Bujumbura Rural, Bubanza, Cibitoke and Makamba の各地に急速に拡大した
[3] チャド
 情報源 The Spec、2011年9月7日
赤十字社によると、チャド国内でコレラ感染が流行し2011年に12713人の患者と364人の死者が発生している。33 of Chad's 62 districts に拡大し、秋の雨期には数週間で感染者数が倍増する可能性もある
[4] ソマリア(Mogadishu)
 情報源 Press TV、2011年9月15日
ソマリアの首都 Mogadishu で新たに58人がコレラ感染により死亡した ... WHO によると感染力の強い下痢症患者全体のおよそ75%が5才未満の小児である。コレラの発生が確認されているのは Banadir, Bay, Mudug and Lower Shabelle regions of Somalia である
[5] ガーナ
 情報源 Ghana News Agency、2011年9月6日
Kenyanko (the Tarkwa Nsueam Assembly) で最近発生したコレラ感染流行により、29歳から50歳までの4人が死亡した。8月29日に初めての患者が発生した ... Nkwanta, Agona, Pataho and Keyankor.などの地域にも感染が広がっている。
[6] ナイジェリア Nigeria
 - (Osun):Nigerian Tribune、2011年9月14日
Ede Community in Osun State の発生状況
 - (Oyo):Nigerian Tribune、2011年9月15日
Oyo State で、6-9月に 947 suspected cases of cholera
 - (Nasarawa):The Nation 、2011年8月29日
Nasarawa State の Lafia Local Government と Karu Local Government, near the Federal Capital Territory (FCT)で計11人の死者発生。
 - (Bauchi, Yobe, Sokoto):Agence France-Presse (AFP) 、2011年9月6日
北部 Bauchi state で新たにコレラ感染流行が発生し、18人が死亡した。

● リステリア症 米国、メロン
PRO/AH/EDR> Listeriosis, fatal - USA (04): cantaloupe, alert 20110921.2866
[1] CDC update、2011年9月19日
CDC は関係各局と協力し、複数の州でのリステリア症 Listeriosis 流行の対応に当たっている。細菌 _Listeria monocytogenes_ 汚染のある食品摂取を原因とする重症感染症である。outbreak 関連の _Listeria monocytogenes_ に感染しているのは、10州の合計35人: California (1), Colorado (12), Illinois (1), Indiana (1), Montana (1), Nebraska (4), New Mexico (5), Oklahoma (6), Texas (3), and West Virginia (1) で、いずれも 8月4日以降に発症している ... 米国内では、毎年約800人がリステリア感染症と診断され、3ないし4件の食中毒によるリステリア症 outbreaks が報告されている。食中毒の原因となることの多い食品は deli meats, hot dogs, and Mexican-style soft cheeses made with unpasteurized milk である。農産物 Produce が感染源となることは少ないが、2009年の流行の原因はスプラウトであり、2010年はセロリが原因だった
調査結果
cantaloupe が原因と見られている。食事内容が判明した患者27人中、26人 (96%) がcantaloupesを摂取したと述べている
回収
Jensen Farms は Rocky Ford Cantaloupes の自主回収を発表したことを FDA が明らかにした。
[2] "Smoking melon"
 情報源 Colorado Dept of Public Health and Environment 、2011年9月16日
the Listeria outbreak の患者と cantaloupe labeled as "Rocky Fords" from Jensen Farms in Holly. の、直接の関連性が検査で確認された

● 流行性出血病、シカ科 米国
PRO/AH/EDR> Epizootic hemorrhagic disease, cervids - USA (07): (MI) 20110921.2870
 情報源 Michigan Department of Natural Resources、2011年9月20日
環境当局 The Department of Natural Resources は20日、Cass County の2頭の white-tailed deer が、伝染性出血性疾患 epizootic hemorrhagic disease (EHD) と診断されたことを明らかにした。捕獲された、1.5歳と3.5歳の2頭のメスが、検査の結果陽性となった

● 鳥インフルエンザ インド
PRO/AH/EDR> Avian influenza (59): India (WB), susp. RFI 20110921.2868
 情報源 NDTV、2011年9月20日
インド東部の西ベンガル West Bengal 州当局は、H5 亜型鳥インフルエンザ Avian influenza 感染流行発生への対応として、ニワトリの処分と卵の廃棄を開始すると20日発表した。アジア各地で変異ウイルスの感染が拡大している ... 2011年8月、 the UN Food and Agriculture Organisation (FAO) は、鳥インフルエンザの感染が増え変異H5N1ウイルスがアジアで勢力を拡大していることを発表した。今回のインドの感染流行がこのアジアの新たなウイルスによるものであるかはまだ明らかになっていない。ウイルス学者らは中国とベトナムで最近確認されたH5N1 ウイルスに対するワクチンはなく、ヒトへの潜在的なリスクを持つとして家禽と野鳥からの感染拡大防止のための監視強化を呼びかけていた。インドで鳥インフルエンザが初めて確認されたのは2006年で、その後多数のニワトリとダックが処分されたが、何度となく発生が繰り返されてきた。
[Mod.AS- H5N1 mutant clade 2.3.2.1. (20110829.2654) 等の新たなウイルス株によるのかに興味がもたれる。 OIE's information (20110901.2678) では、中国・ハルビン Harbin の the OIE Reference Laboratory が、実験上新たなクレードのウイルスに対する防御効果を持つ a new vaccine seed strain を開発したとされている。H5N1 virus clade 2.3.2.1 が確認されている国々での使用が開始されるだろう。the new seed strain は登録と製造段階にある]

● トウモロコシの病気,Goss's wilt 米国
PRO/PL> Goss's wilt, maize - USA: new strain susp. 20110921.2865
 情報源 Minnesota Public Radio News、2011年9月19日
University of Minnesota (MSU) の研究者らは、細菌感染症である Goss's leaf blight and wilt.の発生は確認できたものの、感染した葉の検体が必要なため、農家からの協力を呼びかけている
[Mod.DHA- Goss's wilt and blight of maize は細菌の _Clavibacter michiganensis_ subsp. _nebraskensis_. を原因として発生する]

● 口蹄疫 パラグアイ、ウシ
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease, bovine - Paraguay 20110921.2864
 情報源 Washington Post、2011年9月19日
口蹄疫 Foot & mouth disease 感染流行発生に対し、パラグアイは全ての牛肉の輸出を禁止した。Fernando Lugo の自治当局は、パラグアイ第2の輸出農産物である牛肉はきわめて重要な農産物である

● インフルエンザ、イヌ 米国
PRO/AH/EDR> Influenza, canine - USA: (TX) 20110921.2863
 情報源 My San Antonio.com 、2011年9月17日
地元のある獣医師によると、過去30日間に20頭の San Antonio dogs がイヌインフルエンザ canine influenza と確定され70頭も感染が疑われている。dog flu と呼ばれるこの病気は Austin and Dallas からも報告されている。the H3N8 virus に曝露しているのはテキサス Texas 州など38の州に及んでいる ...
[Mod.TG- Canine influenza は a type A orthomyxovirus で "kennel cough" or _Bordetella brochiseptica_/parainfluenza virus complex, などと似た症状を呈し、止めることができないように見える空咳 hacking cough のようである]

● パラミクソウイルス、ハト オーストラリア
PRO/AH/EDR> Paramyxovirus, pigeons - Australia (02): (VI) 20110921.2862
 情報源 Whittlesea Leader、2011年9月20日
メルボルン Melbourne 北部一帯でまれな鳥のウイルスの avian paramyxovirus の感染が拡大し、ハト domestic and racing pigeon flocks の死亡が発生していることから、Four Whittlesea properties が検疫体制に置かれている。当局 The Department of Primary Industries が Lalor と Thomastown で同ウイルスを確認した
参考項目 20110908.2735

● 馬ヘルペスウイルス、ウマ 北米
PRO/AH/EDR> Equine herpesvirus, equine - North America (14): (TN) 20110921.2861
 情報源 The Horse.com Article 18847、2011年9月19日
The University of Tennessee (UT) Veterinary Medical Center は、発病後に受診した1頭のウマが安楽死させられたことを受け、州獣医官より検疫 a 7-day quarantine を指示された。検査の結果、神経型 equine herpesvirus-1 (EHV-1) 感染であることが判明した