2011年12月23日-24日

◎ クロノバクタ-症 米国,粉ミルク 死亡
インフルエンザ 米国 H3N2、オーストラリア H275Y mutant cluster NEJM

◎ クロノバクタ-症 Cronobacter sakazakii 米国
PRO/EDR> Cronobacter sakazakii, infant formula, fatal - USA: (MO, IL) recall 
Archive Number: 20111224.3670
[1] 情報源 New York Times、2011年12月22日
ミズーリ Missouri 州 [of Lebanon] の乳児1名が、乳児用粉ミルク formula の人気商品 Enfamil を摂取後の18日にまれな細菌による感染症で死亡したことから、ウォルマート Walmart を含む2大小売りチェーンは、数千店からの同製品の回収を行っている。当局が乳児の死亡原因と断定していない上、製造者および政府当局が回収を求めていない段階での,Acme や Jewel といったスーパーマーケットチェーンを保有する Walmart and Supervalu のこのような対応は、極めて異例のことである。政府当局 The Food and Drug Administration は、死亡した児の家族から提出された Enfamil Premium Newborn powder のサンプルの検査を行っていることを明らかにした。現時点で直ちに、この粉ミルクが汚染されていたとは言えないとしている ... 児が摂取した Enfamil Premium Newborn は、缶の底に the lot number ZP1K7G が印刷されている。死亡した日、男児は生後10日目で、自然環境中に確認され、しばしば重篤な疾患に関係することが知られているクロノバクタ- _Cronobacter sakazakii_ に感染していた。製造会社 [Mead Johnson] によると、全ての粉ミルクに対して_Cronobacter_の検査を行っていると言う。ミズーリ州の両親が購入した製品も、出荷前の検査で _Cronobacter_ は確認されていない。The Centers for Disease Control and Prevention が1年間に報告を受ける乳児の _Cronobacter_ infections は約4-6件で、致死率は40%に上る。科学的研究及び疾病調査では、様々タイプの formula で_Cronobacter_ が確認されている。一部の発見されたケースの一部はふたの空いた容器であったため、開封後に汚染されたかどうか明らかではなかったが、残りのケースは工場から出荷されたままの sealed packages で見つかっている。2001年のあるケースでは、Tennessee 州で乳児1名が _Cronobacter_ [infection] で死亡し、研究者らにより遺伝学的に同じ菌が sealed containers of the formula からも検出されたことが、 the Centers for Disease Control and Prevention and the F.D.A から報告されている。Mead Johnson 社製品の Portagen が回収された
[2] 情報源 KMA 960、2011年12月23日
ミズーリ州の生後10日目の乳児の死亡を受け、Walmart 社に続き、新たに4つの大手小売り業者 Supervalu Inc., Walgreen Co., Kroger Co. and Safeway も缶入り粉ミルクの回収を始めた ... The FDA はこれまでのところ Enfamil が関係を示すものを得ていないと述べた。" しかし、乳児に与えられた the open packet of formula と unopened packet of the formula 及び調整に使用された水の検査を行っており、1週間後に結果が判明すると説明している。この生後10日目の患児は Missouri hospital で過去1か月間に _Cronobacter sakazakii_-related infection を発症した2例目の患者であると、ウェブサイト上で報告されている。もう1人は回復した。Enfamil formulas を製造する Mead Johnson Nutrition 社広報担当者は、同社は普段より粉ミルク formula について _Cronobacter_ 検査を行っているとしている。CDC によるとかつて _Enterobacter sakazakii_ と呼ばれていた _Cronobacter sakazakii_ は 、乳児用粉ミルク powdered infant formula だけでなく、植物 plant material および環境中 the environment から検出される細菌で、新生児はこの細菌による髄膜炎や血液感染などの重症感染症を発症しやすいハイリスクグループである。致死率は非常に高い。
[3] 情報源 CBS Chicago.com、211年12月22日
イリノイ州公衆衛生当局 Illinois public health officials は、ミズーリ州の乳児1名が死亡しイリノイ州でも乳児1名が感染により今も入院中となっている事を受け、保護者らに対し safety guidelines に従って乳児の粉ミルク調整時には十分注意するよう呼びかけている。粉ミルクによる哺乳に関係して2人の乳児が _Cronobacter sakazakii_ に感染したことが明らかにされている ... 安全な調乳法.
[4] 情報源 10news.com、2011年12月23日
保健当局は、この1か月間に1人が死亡、もう1人発病した、まれな細菌感染症の原因菌について、2人が同じ細菌 the same strain によるものかどうか検体を比較する事とした。_Cronobacter sakazakii_ と呼ばれる細菌の感染により、ミズーリ州の新生児1名が死亡した。もう1人のイリノイ州の新生児も発病したが回復している ... the Food and Drug Administration が samples of unopened powdered formula の検査を行ってきたが、これまでのところ、いずれの粉ミルクからも _Cronobacter_は検出されていない、としている
[Mod.ML- この1か月間に Missouri 州からの 2 cases of _Cronobacter sakazakii_ infection と 1 from Illinois が報告されている。これらの3症例間、また粉ミルクとの関連性については正確に分かっていない。
 _Cronobacter sakazakii_ は腸内細菌科 the Enterobacteriaceae family に属する通性嫌気性グラム陰性桿菌 facultative anaerobic gram-negative bacillus で、これまで新生児集中治療室の髄膜炎、敗血症、壊死性腸炎感染流行に関与してきた。だが _C. sakazakii_ 感染症は、乳児 older infants、小児、成人にも発生する可能性がある。粉ミルクの使用に関連する新生児の _C. sakazakii_ 感染は新しいものではない。以前 ProMED-mail で _C. sakazakii_ (旧名_Enterobacter sakazakii_) に汚染された粉ミルクについて 報告されている [20050127.0299]。米国を含む多くの国の様々な粉ミルクが関係している (_Enterobacter sakazakii_ infections associated with the use of powdered infant formula - Tennessee, 2001. MMWR 2002;51:297-300)。Genotyping によって患者と粉ミルクの菌が同じであることが示されている (Epidemiologic typing of _Enterobacter sakazakii_ in two neonatal nosocomial outbreaks. Diagn Microbiol Infect Dis 1990;13:467-72)。 _Cronobacter_ は高頻度に環境中、植物素材 plant material (小麦、イネ、ハーブ、スパイス) や多様な食品から検出されている。小麦やコメからできるでんぷんなどの成分が、粉ミルクの_Cronobacter_ 汚染の原因となることもある。乳児用粉ミルクは必ずしも滅菌されるわけではなく、病原性細菌が混入する可能性があるため、これらの製品についての調乳や取り扱いに関する勧告がある (Preparation and Handling of Powdered Infant Formula: A Commentary by the ESPGHAN Committee on Nutrition. J Pediatr Gastroenterol Nutr 2004;39:320-22)]

● インフルエンザ 米国、オーストラリア(2件)
米国
PRO/AH/EDR> Influenza (78): USA, swine-origin H3N2 reassortants update 20111224.3669
[1] U.S. finds new human infection with swine H3N2 flu; virus now called ‘variant’
 情報源 Brandon Sun, The Canadian Press、2011年12月23日
米公衆衛生当局は、新たに West Virginia 州の小児の swine-origin H3N2 virus 感染患者1名を確認した。ヒトではこれまでに確認されたことのない新種の swine influenza virus のヒトの感染例を確認した。この Wisconsin 州の患者にはブタとの接触が確認されている。Wisconsin 州の患者の感染伝播は1代限り one-off infection と見られ、他者への確認の証拠はない。しかし the West Virginia case の調査で、患児がブタではなく、他のヒトから感染し,患児の住むコミュニティ内である程度のヒト-ヒト感染が起きていることが示唆された。7月の初めての発見以来、この新しい H3N2 ウイルスの感染は、5つの州の12例が報告されている。West Virginia 州で2例目の患者と、秋に発生したインディアナ Indiana 州の症例が、23日から公表された ... WHO、FAO により H3N2v と省略されることになった "H3N2 variants" ウイルスは、10年以上ブタの間で感染循環が続く豚インフルエンザウイルスの hybrids で、2009 パンデミックの原因である H1N1 ウイルスから内部遺伝子 - the M gene - を獲得している ...これまでに、Indiana, Pennsylvania, Iowa, Maine and West Virginia の各州で the variant H3N2 virus 感染患者が確認されており、その大部分は10歳以下の小児であり、死亡した患者はいない。12人のうち6人はブタとの接触があったが、残りの6人にはブタとの接触が認められなかった ... 最新の H3N2v 感染例は、以前の症例と同じ保育園に通う5歳未満の子どもだったが、最初の症例と第2例の発症の間は10日以上あり、第1例は第2例の感染源ではなかったことが示唆される。さらにこの2名の園児らと接触のあった多数の保育園児に、2名の患者が発生していた期間中の呼吸器感染症状があったことが分かっているが、インフルエンザ検査は行われていなかった ...
[2] Update: Influenza A (H3N2)v Transmission and Guidelines -- Five States, 2011
 情報源 MMWR Weekly 2011 / 60 (Early Release);1-4、2011年12月23日

オーストラリア
PRO/EDR> Influenza (79): Australia (NS) H275Y mutant cluster
Archive Number: 20111230.3706
 情報源 N. Engl. J. Med. (NEJM), 2011; 365:2541-2542、2011年12月29日
Community Transmission of Oseltamivir-Resistant A(H1N1)pdm09 Influenza
H275Y neuraminidase substitution を伴うオセルタミビル耐性の季節性インフルエンザウイルス Oseltamivir-resistant pre-pandemic seasonal influenza A (H1N1) viruses が2008年に世界中に蔓延し,oseltamivir の効果が減弱した。オセルタミビルに耐性の A(H1N1)pdm09 と呼ばれている pandemic 2009 A (H1N1) viruses は、oseltamivir による治療を受けた患者から検出され、the community 内の未治療の患者からの検出は1%未満であり、閉鎖環境や患者との濃厚接触を通じてのみ感染伝播が起きたと報告されている。
われわれはオーストラリア国内の持続性感染伝播 sustained community transmission of oseltamivir-resistant A(H1N1)pdm09 viruses を確認した。
2011年5月から8月にかけて、 the Hunter New England region(of New South Wales, Australia)の地域の、救急外来、集中治療室、医院の患者182人から Reverse-transcriptase-polymerase-chain-reaction-positive A(H1N1)pdm09 viruses が得られた。ウイルスのオセルタミビル耐性を分析したところ、合計29件の A(H1N1)pdm09 viruses (16 %) に、耐性の原因となる the H275Y neuraminidase substitution が認められ、全ての症例が抗ウイルス薬 the adamantine class に耐性だった。培養を試み 90 isolates を得、うち15検体に the H275Y substitution を認めた。the H275Y isolates に対する蛍光ベースのノイラミニダーゼ阻止アッセイ fluorescence-based neuraminidase inhibition assay では、oseltamivir に対する the IC50 value (the concentration of drug required to inhibit neuraminidase activity by 50 percent) は、wild-type strains に比べ513 倍、peramivir に対しては80倍高い値であった。
しかしいずれも zanamivir 感受性は保たれていた。
H275Y variants の発生頻度は、6月に 4 in 50 viruses (8 %)、7月に 20 in 85 viruses (24%)、そして8月には 4 in 45 viruses (9 %) だった。ヘマグルチニンとノイラミニダーゼの塩基配列解析 Hemagglutinin and neuraminidase sequence analysis (Global Initiative on Sharing All Influenza Data accession numbers, EPI334765-33 4790 and 335634-335637) で、耐性ウイルス株 the resistant strains 同士の近似性 (99.9 to 100 percent hemagglutinin nucleotide similarity and 99.6 to 100 percent neuraminidase nucleotide similarity) が認められ、単一の変異株の感染拡大 the spread of a single variant が示唆された。
患者の大部分は、豪第7の都市 Newcastle の半径50km圏内に住んでおり、3人については90, 150, and 490 km 離れた地域に住んでいた。州内では、シドニー Sydney などの他の地域で Two genetically related strains が確認されている ... 
the 29 patients with resistant influenza のうち、検体が採取される以前に oseltamivir の治療を受けていたのはわずか1名で、年齢は4歳から62歳までの平均31歳であり、153人の感受性ウイルスの感染患者とほぼ同じだった。oseltamivir-resistant influenza の患者の5人が、5歳未満だった。the 2011 influenza vaccine の接種を受けた3人を含め、耐性ウイルスには the vaccine strain との相同性が保たれていた。4つの家庭内で2人の患者発生があり、いっしょに短期間のドライブ旅行をした2人の患者も含まれている。残りの患者らには、耐性ウイルスに感染した他の患者との疫学的関連性は認められなかった。
関連項目 20110825.2594

● E型肝炎 インド
PRO/EDR> Hepatits E - India (2): (Gujarat), water-borne 20111224.3668
 情報源 Times of India, Rajkot、2011年12月22日 URL 情報なし。
Hepatitis E cases on rise in Mehsana town
9月以降、Mehsana town で発生中の E 型肝炎 Hepatits E の患者数増加が続いている。Kasba, Hydri Chowk, Babi Vado, Faiza No Vado and Siddhapuri Bazaar localities in old Mehsana town で400例以上の患者が記録されている ... 30歳代の患者は "水道管が9月の電話線交換時に破損し、飲料水の汚染につながった" と述べている

● 口蹄疫 台湾
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease, swine - Taiwan (05): serotype O, porcine 20111224.3667
 情報源 AFP via Today Online (Singapore)、2011年12月22日
Taiwan culls 1000 pigs in FMD outbreak
台湾政府当局 the Bureau of Animal and Plant Health Inspection and Quarantine は22日、14年以上で最悪の口蹄疫 outbreak of foot-and-mouth disease [FMD] 発生を受け、1000頭近いブタが処分されたことを明らかにした。南部の台南市 Tainan の農場1か所で今週はじめに処分された。2667頭のうち983頭が一斉に処分され、残りのブタにワクチンが接種された

● 鳥インフルエンザ 中国 H5N1
PRO/AH/EDR> Avian influenza (75): China (HK) H5N1, poultry, wild bird 20111224.3666
 情報源 Today Online (Singapore)、2011年12月24日
HK finds second case of bird flu
香港政府当局は、1週間で2例目となる死鳥で、危険な鳥インフルエンザウイルスの検査陽性が確認されたことを明らかにし、市内の健康への不安が広がっている。農業当局は the New Territories で17日に死亡した発見された Oriental magpie robin について、検査で H5N1 avian influenza 感染が確定されたと述べた