2007年2月10日-11日

鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア、年齢による重症度
マラリア ジャマイカ

● 炭疽 ペルー
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, caprine - Peru (Ancash)
Archive Number: 20070211.0527
[1] ペルーで2名の炭疽患者確認
 情報源 Chinaview.cn、2007年2月10日。
9日、ペルーの農業衛生部は、首都から 300km北東に離れた アンカシュ県 Huarmey で 2名の皮膚炭疽患者を確認した。大人 1名、小児 1名で、ヤギの肉を食べたためとする報告を否定し、炭疽に感染した生きているヤギから感染したと述べた。
[Mod.MHJ- 生きたヤギから感染した? 実際、ヒトの皮膚炭疽は全て、感染した動物が処分され精肉された後の暴露による。細菌血症の状態にある動物の血液が、たとえば取り扱ったヒトの皮膚の傷に侵入して感染することもあり、汚染された肉の処理などの際の手や前腕に発生することが多い。気が向けば牧草を食べる graze こともあるが、ヤギは若葉を食べる動物 browsers である (?)。(炭疽菌感染により死亡した) 死骸に集った後、付近のブッ シュに降り立ったクロバエは、一旦食物を吐き戻したのち反芻するため、若葉 Browse が (炭疽菌で) 汚染される; ハエの嘔吐は消化を助ける意味がある。このようにして、葉は炭疽芽胞により汚染される。考えられるシナリオとして、4-7日前に感染し死亡した動物、おそらくはウシがいて、大人と子供が協力してこれを捌いた。数日後に皮膚病変を発症し治療を受けたのとちょうど同じ頃に、ヤギの感染例が見つかった。炭疽に感染した動物を処分してその肉を売ったことを恥じて隠すため、尋ねられた時に(ヤギの感染について)言い及んだのである]
[2] 投稿者 Joseph P. Dudley Ph. D、2月11日
ペルーの皮膚炭疽の疫学レビューの紹介

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア 年齢による重症度(2件)
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (36): Indonesia 20070211.0524
 情報源 Reuters Foundation AlertNet、2月11日
Indonesia: 20-year-old woman patient is 64th fatal bird flu case
西ジャワ州で鳥インフルエンザ検査が陽性となっていた 20才の女性が、2007年 2月 11 日死亡した。保健当局者が明らかにした。彼女の死亡により、インドネシアの合計死 者数は 64人となり、世界最多である。以下、2カ所の検査室で H5N1 陽性となったとの 保健省感染症対策部長のコメント、これまでのインドネシアの状況説明など。

PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (35): age-related severity 20070211.0522
 情報源 CBC News, Canadian Press、2月10日。
90 percent of human bird flu cases under 40 years of age
H5N1 型鳥インフルエンザウィルス感染と診断された患者の約 90% が、40歳以下であったことが、WHO の新たな分析で明らかになった。また 2人の英国の研究者らが、今のところ説明できないこの現象が、35 歳以上の人口に、鳥インフルエンザウイルス感染に対する免疫が広く保有されている可能性を解く手がかりになることを示唆した。 
2007年3月発行の Emerging Infectious Diseases 誌への投稿の中で、ノッチンガム大学 Matthew Smallman-Raynor とケンブリッジ大学 Andrew Cliff は、H5N1の患者の年齢分布が、1969年以前に生まれた人での鳥インフルエンザA(H5N1)に免疫を持つヒトの地理的分布の生物学モデルと一致していることを指摘した。「このようなモデルは、 若年人口では鳥インフルエンザの活動が同様の比率であるのに、30-35歳以上の年齢層で突然・鮮明に患者数が減少し、この年齢による歪みが、国や大陸の社会文化的・人口統計的背景を越えて認められることを説明できる」 と、分析的および理論的地理学の教鞭を執る2人が記している。
なぜ H5N1が若年者に好発し、季節性インフルエンザの症状が重い中年以降の年齢に感染が少ないのかについては明らかになっていないが、仮説として小児や若年者は流行発生地域においては、家禽とより濃密に接触するためという説もある。
もう一つの仮説として、高齢者は実際に感染しても軽症で、当局には関知されない程度である可能性が示されている。軽症または無症候性症例に関するいくつかの研究は、この仮説を支持していないが、専門家らは、この説を否定するにはさらに多くの研究が必要であると考えている。
2人の英国の研究者らは、報告された患者の年齢を調査し、患者報告のあった国々の人口構成と比較し、何かの手がかりがあるかを検討した。その結果、患者の年齢分布の偏りは、(2003年後半からの)H5N1 の感染流行期間中を通じて、統計上意義のある患者数が発生した全ての国で、男女ともに認められた。さらなる研究が必要としながらも、このような傾向は地域的な文化や地理的要因によるものではないことを示唆すると2名が主張した。
「もし年齢の高い人口に、鳥インフルエンザA (H5N1) に対する免疫があるとすれば、1960 年代後半以前の大陸を越えて広がったインフルエンザA 感染流行との関連の可能性を調査する価値がある」と述べた。
オンラインの WER に掲載された WHO の解析においても、若年層に高比率である患者発生は、感染発生国の年齢構成で若年者が大部分を占めている事実によることだけではないと論じている。この報告においては、2003年 11月 25日から2006年 11月 24日までの、256人の検査により確定された患者を調査し、 年齢の中央値18歳であったことが示されている。患者の 52% が 20歳以下で、89%が 40歳以下であった。男性と女性はほぼ同数であった。致死率10-19歳の年齢で最も高く76%が死亡している。50歳以上の患者は最も致死率が低く(40%)、次に 5歳以下(44%)、5-9歳(49%)とつづく。全体の致死率は 60%である。
名前を公表されていない著者の報告では、時間経過とともに患者数が増加し、この 3年間のうちの 2年目の患者数は、1年目に報告された患者数の 2倍であった。2年目から 3年目では、患者数は約 25% 増加した。ヒトでの感染患者数のグラフによれば、明らかな季節性のピーク (山と谷) が見られるものの、2004年 11月以降毎月患者が発生している。
原著 Avian influenza A (H5N1) age distribution in humans [letter]. Emerg Infect Dis [serial on the Internet]. March 2007
[Mod.CP-上記の中で以下のように結論されている: コホート効果や他の効果を暗示するような、インフルエンザ A(H5N1) ウイルスに対する抗体についての広範囲な血清学調査の結果はまだ公表されていない。しかし、すでに完了した調査の結果についての伝聞では、同ウイルスによる広範囲なヒト感染は生じていないとしているようである。現在あるエビデンスから は、1918年以来のヒトでの汎流行インフルエンザは3種類のインフルエンザA (H5N1) ウイルス亜型に限定されている、すなわちH1 (1918~57年および1977から現在); H2 (1957年~68年); および H3 (1968年~現在)である。鳥インフルエンザA (H5N1) ウイ ルスに対する免疫要素が年長者に存在しているならば、1960年代後半以前の地理的に広範な (大陸間の) インフルエンザAウイルス感染事例との関連可能性は、更に調査を進める価値がある]

● マラリア ジャマイカ
PRO/EDR> Malaria - Jamaica (Kingston) (05) 20070210.0515
 情報源 WHO 2007年2月10日。
Malaria situation as of Fri 9 Feb 2007
ジャマイカ保健省は、2006年 11月 6日から2007年 2月 7日までの間に、この島で熱帯熱 マラリア Malaria に感染した患者 280人を確認した。報告された症例のうち、キングストンで 264人、St. Catherine と St. Thomas で各 3人、Clarendon で 1人の患者が発生してい る。マラリアによる死亡の報告はない。保健省は,監視強化と蚊族による刺咬の予防 に関する適切な対策を市民に伝える目的で、ジャマイカ事務所の調整による WHO アメ リカ事務局、およびカリブ海疫学センターからの技術支援を受けている。ベクターコ ントロール対策も実施されている。ジャマイカの感染流行は制圧されつつあり、まも なく感染伝播は停止するものと見込まれている。しかし、保健省は監視活動強化を継 続する予定である。ジャマイカは、マラリアの土着感染国ではない。今回の感染流行 発生は、マラリアが土着感染していない国においても、監視活動を行うことの重要性 を明確にした。WHO は、ジャマイカへ向かいまた出発する、旅行および流通につい て、特別な注意を払うことを勧めていない。
関連項目 (04) 20070208.0500

● 鳥インフルエンザ パキスタン、韓国、トルコ、 ロシア、日本
PRO/AH/EDR> Avian influenza (31): Pakistan, S. Korea, Turkey, Russia, Japan 20070211.0523
[1] パキスタン 3rd bird flu case detected
 情報源 DAWN-internet edition, Pakistan、2月10日。
3件目の鳥インフルエンザ感染確認 国立委託検査所は、イスラマバードの家庭のシチメンチョウとクジャクの群で、鳥イ ンフルエンザ感染を確認したことをうけ、当局は商業用の家禽を鳥インフルエンザか ら保護すべく、全国の地域単位の監視と調査を強化した。
[2] 韓国 Bird flu spreads to 6th South Korean farm
 情報源 AFP via Channelnewsasia、2月10日。
2007年2月10日、韓国政府当局は国内で 6番目となる農場に鳥インフルエンザが発生したことを確認した。新たな感染は、首都ソウルに近い、ニワトリ約 13万3千羽を飼育す農場 1カ所で発生したと農業省当局が述べた。ソウルの南東約 90km の Ansung 市近郊の Iljuk 村の養鶏場で、2007年2月6日から、ニワトリが死亡し始めたが、H5N1 型鳥イン フルエンザウィルスによるものであるかは判明していない。
[3] トルコ(Bataman)、OIE
 情報源 OIE Disease Information, WAHID [World Animal Health Information Database], Vol. 20 - No. 7、2月9日。
高病原性鳥インフルエンザ、型別特定なし
新たな流行 Bogazkoy, Bogazkoy, Gercus, Batman
開始時期 2007年2月5日
対象個体数993 感染数200;死亡80;破棄処分793
感染種 庭先飼育のニワトリ742、同シチメンチョウ37、ガチョウ5、アヒル7、ハト2
[4] ロシア(Krasnodarskiy Kray)、OIE
 情報源 OIE Disease Information, WAHID [World Animal Health Information Database], Vol. 20 - No. 7 [edited]、2月9日。
H5N1型鳥インフルエンザウィルス
新たな流行1 Upornaya, Labinsk, Krasnodarskiy Kray
開始時期 2007年1月16日
対象個体数 46;感染数8;死亡数8;破棄処分41
感染種 国内産のニワトリと伝統的に飼育されているアヒル、ガチョウ、シチメン チョウ(オス)
新たな流行2 Labinsk, Labinsk, Krasnodarskiy Kray
開始時期 2007年1月12日
対象個体数 57;感染数18;死亡数18;破棄処分39
感染種 流行1に同じ
新たな流行3 Borodinskaya, Primorsko-Akhtarsky, Krasnodarskiy Kray
開始時期 2007年1月17日
対象個体数 41;感染数3;死亡数3;破棄処分38 感染種:流行1に同じ
[5] 日本(宮崎県)、OIE
 情報源 OIE Disease Information, WAHID [World Animal Health Information Database], Vol. 20 - No. 7、2月8日。
H5N1型鳥インフルエンザウィルス
新たな流行 宮崎県、新富町
開始時期 2007年1月30日
対象個体数 93000;感染数300;死亡数300;破棄処分92700

● 狂犬病 南アフリカ、 ウマ
PRO/AH/EDR> Rabies, equine - South Africa (Western Cape)
Archive Number: 20070210.0516
 情報源 SABC News, Sapa report, 2007年2月10日。
Western Cape において、1頭の 2歳馬 yearling が狂犬病により死亡したと、2007年2月 9日、州農業当局が明らかにした。同地域で 17年ぶりの狂犬病感染例であった。この 症例は弧発例で、「狂犬病のキャリア、おそらく bat-eared fox の咬傷によるものと 考えられ、キャリアは数週間前に死亡しているに違いない」と述べた。
以下、このウ マの飼育状況、周辺でのワクチン接種などの対策