インフルエンザ 米国のワクチン
ヒストプラズマ症-トンネル清掃員
Konzo disease-キャサバ中毒
リーシュマニア症-仏領ギアナ
◎ 髄膜炎菌性髄膜炎-英国 W型 ワクチン接種法の変更 20150926.3673122 9月26日
W 型髄膜炎菌 Meningococcal W -- known as 'Men W' -- が初めて報告されたのは 2005年のブラジルであるが、現在英国内で増加傾向にある。between July 2013 and June 2014 にはわずか 98例であったが,[July 2014-June 2015には] 88 % 増加し 184 例だった。Men W は現在、英国内の全髄膜炎菌性疾患の 15% を占めており、 新たなワクチンの採用が行われなければ、さらに増加が続くと警告されている。ST-11 Men W disease は特にティーンエージャーでの増加が著しく、重症化しやすく集中治療を必要とし、他型の菌による致死率が 5-10%であるのに対し、13% とより高率に死亡に関係している。2013/14 年,Men W は全髄膜炎菌性疾患患者のおよそ 15 % を占めていた。大学の新入生と 17-18-year-olds には Men ACWY vaccine が優先的に接種されており、ワクチンに余裕ができた時点で、14-years-old にも接種が行われる。9月から乳児への定期接種が可能となる the Men B vaccine Bexsero は、Men W ST-11 への防御作用を有している。[Mod.M- 髄膜炎菌 _Neisseria meningitidis_ が感染するのは、ヒトだけである; 人体内以外では直ちに死滅する。髄膜炎菌は鼻および咽頭の粘膜に常在する; 人口の最大 5-10%が 無症候性鼻咽頭キャリアで、流行時はさらに高率となる可能性がある。潜伏期間は 2~10日間の平均 4日間。多髄膜炎菌には莢膜多糖体の抗原特異性に基づく 13種類の血清型グループがあるが、serogroups A, B, C, Y, and W135 による疾患が最も多い。ワクチンの種類として、莢膜多糖体 capsular polysaccharide (A, C, Y, W135) の単体ワクチンと,蛋白に結合させた結合ワクチン Conjugate vaccines がある。糖体ワクチン接種による免疫は、ワクチンに含有される莢膜多糖体の型に特異的で、他の多糖体グループへの交差防御は示さない。結合型ワクチンがより好まれるのは、多糖体ワクチンと異なり、乳児に使用でき、咽頭の保菌率とそれに伴う感染伝播を低下させ、さらにより持続的な免疫反応が付与されるためである。Serogroup B vaccines は、多糖体の免疫原性が弱く、自己抗原である可能性があるため、髄膜炎菌 B 蛋白抗原を元に作られている。
英国内では the National Health Service (NHS) 予防接種プログラムに従って、1999年から生後 3ヶ月の乳児に対する the meningococcal C conjugate vaccine (Men C) が提供されている。新たに,初めて髄膜炎菌ワクチン new meningococcal B vaccine (Men B or Bexsero) が September 2015 に追加された。
現行の英国の (髄膜炎菌ワクチン) 予防接種スケジュール は以下のとおり:
生後 2ヶ月 Men B vaccine;
生後 3ヶ月 Men C;
生後 4ヶ月 a 2nd dose of Men B;
生後 12-13ヶ月 a 3rd dose of Men B and a 2nd dose of Men C in a combined vaccine with _Haemophilus influenzae_ type b (Hib);
13-18 years of age and 1st-time university students, Men ACWY。
1999年に the Men C vaccine が導入され、英国内で the Men C disease はほぼ根絶されている。現在は、高齢者および接種されたことのない成人を中心に、毎年、ごくわずか just a handful of Men C cases の発生に限られている。しかし、結合型ワクチンの導入による Men C の根絶後、meningococcus serogroup W が新たに発生した。同様に、アフリカの髄膜炎ベルト地帯の広い範囲で conjugate meningococcal A vaccine の接種が行われ、この従来からの主要な流行菌型が根絶された後に、代わって meningococcal serogroup C がその位置を占めることとなった (20150802.3552463)。 同じことは、肺炎球菌の予防接種 (20070425.1348) でも観察されている。C 型に代わる W 型の増加を受け、英国では、the routine teenage Men C booster から an expanded conjugated serogroup vaccine Men ACWY に変更した。ただし、上記記事にある、9月から乳児の定期接種に使用される the Men B vaccine Bexsero が "will protect against Men W ST-11" との記載については説明が必要である]
◎ インフルエンザ 米国のワクチン 20150920.3657173 9月20日
米国内で製造されるほとんどのインフルエンザワクチンに使用されるインフルンザウイルスは、現行規則の下では、鶏卵内で生育させなければならない。しかし、インフルエンザウイルス、とりわけ influenza A (H3N2) viruses は、鶏卵で増殖させることで遺伝学的変化が起き、このことが抗原性に影響を及ぼす可能性がある。The Northern Hemisphere 2015-16 vaccine 用に選択されたワクチン株ウイルスは、その時点で感染循環するウイルスの、全てではないものの、大部分を代表するもので、卵適応性変化 egg-adapted changes は最小限に留まっている。during the 2015-16 season、米国で認可されたワクチンには、4価弱毒生ワクチン (LAIV4)、3価および4価不活化ワクチン (IIV3 and IIV4, respectively)、3価細胞培養不活化ワクチン (ccIIV3)、高力価3価不活化ワクチン (hd IIV3)、 およびリコンビナント3価ワクチン (RIV3) がある。One IIV4 formulation については、皮下注射による投与も認められている。生ワクチンと不活化ワクチンいずれにも、成人および小児への有効性が確認されているが、生ワクチンについては 2歳から 49歳までの禁忌や留意事項のない対象者にのみ接種が認められている。For the 2015-16 season、ACIP は、注意事項や禁忌のない 2-8歳に either LAIV or IIV を勧めている。いずれのワクチンでもよいとしている。昨年の 2-8歳の健常児に対して生ワクチンがより望ましいとする勧奨は削除されている。ACIP は、2015年7月1日以前の過去のいずれかの時期に 3価もしくは 4価ワクチンを合計 2回以上接種されたことがある、生後 6ヶ月から 8歳までの小児は、2015-16年については 1回の接種のみとすることを勧めている。2回の接種は、同一シーズン内あるいは連続したシーズンでなくてもよい。初めてワクチンを受ける、あるいはこれまでの接種回数の合計が 2回に満たない、この年齢層の小児については、4週間以上の間隔をおいて 2回接種が必要とされている(MMWR)
An overview of influenza surveillance in the United States
◎ ヒストプラズマ症-トンネル清掃員 20150918.3654521 9月18日
他の 26人 (の患者) とともに、ドミニカ共和国の水力発電所の 2つのトンネル The Bao-Tavera Dam Complex での作業中に罹患した清掃員 1名が死亡し、死者は 3例となった。最新の患者は 36歳男性で、他の昏睡状態の 2例も最悪の結果となる可能性がある。27人の作業員はコウモリが感染伝播する病気に感染し、確定診断名は真菌感染症のヒストプラズマ症 histoplasmosis であることが明らかにされた。作業員らは当初、嘔吐、吐き気、めまい、頭痛、四肢痛などを発症し、入院した。[Mod.ML-ヒストプラズマ症は、真菌 _Histoplasma capsulatum_ を原因とする、世界中に分布する疾患である。鳥類やコウモリの糞から栄養を得て、土壌中で生息する。土壌が汚染されると、数年間、感染の危険性がある。汚染された土壌が掘り返されると、芽胞が大気中に浮遊し,汚染源から気流に乗って長距離を移動することもある。ヒトの感染は,この浮遊した芽胞の吸入により起こるが,多くの場合無症状である。基本的には高度の曝露が発症の原因であり、重症度は吸入した芽胞の数による。インフルエンザ様の非特異的症状 (発熱、悪寒、筋肉痛、乾性咳嗽、胸部不快感) であるが, 大量の吸入により、adult respiratory distress syndrome (ARDS) を発症することがある (1 and 2 )。免疫状態が悪い場合には、肺での感染が全身に播種し、進行性播種性疾患と呼ばれる重症型ヒストプラズマ症に進展することがある。ヒトからヒト、もしくは動物からヒトに感染することはない。診断は、喀痰または組織の培養検査、血清学的検査、尿や血清検体中の抗原検査による。治療ガイドラインについては、Clinical Practice Guidelines for the Management of Patients with Histoplasmosis: 2007 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis 2007; 45(7): 807-25 を参照するとよい。]
◎ Konzo disease-ザンビア、キャサバ中毒 20150811.3570038 8月11日
異常歩行、足のこわばりとまひを特徴とする,まれな足の病気 Konzo が、Kaote village in Mongu, Western Province で発生した。Konzo or spastic paraparesis と呼ばれるこの疾患は、以前はアフリカ各地から報告されており、一部は原因不明とされているが、キャッサバの大量摂取と血中の高濃度のチオシアン塩 thiocyanate との関係が報告されている。Thiocyanate は、キャッサバに含まれる有毒物質 toxin であるシアン化物 cyanide からの生成される物質の 1つで、 キャッサバを適切に処理することで中和される。[Mod.TG -キャッサバの全ての部分に種々の程度で含まれる毒性成分は主に linamarin(リナマリン)と呼ばれる化学物質である (Nartey, 1981)。しばしば、methyl-linamarin or lotaustralin と呼ばれる、メチル同族体 its methyl homologue と共存する。Linamarin は、青酸グルコシドの 1種 a cyanogenic glycoside で、キャッサバの根部の細胞が破壊されたときに放出される酵素 linamarase に触れると、毒性のある青酸 toxic hydrocyanic acid or prussic acid に変換される。それ以外の場合、リナマリンはかなり安定した化合物で、煮沸しても変化しない。グルコシドのまま the intact glycoside で腸管で吸収されて血中に入ったとしても、おそらく何ら有害な症状を示さず、変化を受けることなく尿中に排出されると考えられている (Philbrick, 1977)。しかし、リナマリンを摂取すると消化の過程で、腸管内でシアン化物が放出 liberate されることがある。シアン化水素酸は揮発性化合物であり、28℃以上で容易に大気中に蒸発し、直ちに水に溶解する。検体の移送、保管、解析の間に失われやすい。塊茎 cassava tubers 中のシアン cyanogen 含有量は、between 15 and 400 mg HCN/kg fresh weight と幅広い (Coursey, 1973)。品種により濃度が大きく異なり、また環境や栽培状況によっても変化する。青酸グルコシドの濃度は、塊茎の中心から外側に行くほど高くなる (Bruijn, 1973)。一般的に、皮 the cassava peel はより高濃度のシアン化物を含んでいる。苦味が cyanide の量の目安になるとは限らない。キャッサバの伝統的な処理および調理法を適切に行えば、毒性のないレベルまで cyanide の含有量を減らすことができる。きちんと処理すれば、根の部分の微細構造が破壊され、リナマーゼが放出される。この酵素とリナマリンを接触させてしまうと、グルコシドがシアン化水素に変換されてしまう。長時間水に浸けて発酵させると、放出された cyanide は水分に溶解し、キャッサバを乾燥させたときに蒸発する。天日で短時間乾燥した、新鮮なキャッサバ片 fresh cassava pieces は、解毒 detoxification 過程が不十分である。cyanide は完全には放出されないが、酵素は乾燥中に破壊されると思われる。天日乾燥による総 cyanide 量の減少は、最初の2ヵ月の保存期間で、60-70%に留まる。the dry tubers 内にはかなり高濃度 (from 30 to 100 mg/kg) の遺残 Cyanide residues が認められる (Casadei, 1988)。新鮮な根部片を単に煮沸しても、the cyanide の放出は部分的であるため、(解毒の) 信頼性に乏しく、煮汁中にリマリンが抽出されるだけである。cyanides の減り具合は、冷水 (27℃) に入れるか、沸騰水に直接投入するかによって違ってくる。30分間の調理後に残るシアン化合物は、冷水からの場合は初期量の 8%であるが、直接熱湯で調理した場合は約30%に達する (Easers, 1986)。生あるいは調理が不十分なキャッサバを食べると、4から数時間後に症状が現れ、めまい、嘔吐、虚脱や、1-2 時間以内に死に至る例もある。非常に有効かつ安価な治療法として、チオ硫酸 thiosulphate の静脈内注射による患者体内の解毒能増強がある。これにより、より多くの硫黄 sulphur が cyanide の thiocyanate への変換に利用可能となる。キャッサバ中毒では、摂取後すぐに下痢は起きない点に注意してほしい。もしすぐに下痢があった)場合は、食事に関係する他のトキシンか、細菌の混入によるものかも知れない。キャッサバ中毒患者の多くは、四肢の疼痛 tingling in the extremities を訴えるが、今回の記事には、このような臨床症状の記述はない ... 出典 FAO]
◎ リーシュマニア症-仏領ギアナ 20150530.3396947 5月30日
情報源 HCPLive、2015年5月28日。仏領ギアナを訪れていた 24人の研究者らの間で発生した、ブラジル株の皮膚リーシュマニア症 a Brazilian strain of cutaneous leishmaniasis (CL) を受け、米 CDCは、この地域からの帰国者については同疾患の可能性があり、他型 other strains と治療への反応性が異なることを周知する、注意喚起を行った。ギアナの自然保護区内で _L. braziliensis_ cases の発生地域の拡大と症例数の増加が懸念されている。_L. braziliensis_ による皮膚リーシュマニア症は新しい病気で、アマゾンの熱帯雨林地域 Saul (French Guiana in the Amazonian rainforest) で野外活動を行っていた科学者らのうち 7人が、母国に帰国してから平均 19日後に発病した。下肢を中心に、上肢や耳にも潰瘍が認められた。結節性リンパ管炎やリンパ節炎、表層性静脈炎のほか、口唇、鼻、軟口蓋、喉頭の粘膜に潰瘍が形成されることもある。皮膚擦過検体の検鏡で典型的な amastiotes を確認するか、PCR により診断が確定される。治療は meglumin antimoniate の筋肉注射、または liposomal amphotericin B の静注で、The Brazilian strain は、他のリーシュマニア_L. guyanensis_ CL で第一選択薬とされている pentamidine isethionate による治療には反応しない。 ...
今回のアウトブレイク発生以前は,_L. braziliensis_ infection の確認は、アルゼンチン、ブラジル、パナマ、ベネズエラに限られていたが,アマゾンの熱帯雨林の開発に伴い、感染地域が拡大した可能性がある、と研究者は述べている。
◎ エボラ ワクチン 20150510.3353859 5月10日
リベリアでエボラワクチンの第 2相臨床試験が終了した。当初 600名の予定であったところ、女性の参加者が少ないとの理由で 1500名に増やされた。新たなエボラ患者の発生がないリベリアにおいて、第 3相試験が行われる可能性は低く、ギニアもしくはシエラレオネで実施される方向で議論されていると述べられた。2015年2月2日にモンロビア Monrovia(リベリア)で開始した The PREVAIL trial においては、the cAd3-EBOZ candidate vaccine および the VSV-ZEBOV candidate vaccine の有効性と安全性が調べられた。ボランティアに対し、the NIAID/GSK (cAd3-EBOZ) vaccine, the VSV-ZEBOV vaccine, or a placebo (saline) injection いずれかの単回接種が割り付けられた(A randomized, double-blind, placebo-controlled trial)。試験は初期の目標に届き安全性が確認されたが、女性の比率を高める目的で 2015年4月下旬まで続行された(現在、女性は約 16%)。少なくとも1年間のフォローアップ期間を設け、6ヶ月および12ヶ月後の血液検体を採取することになっている。第 3相試験では、エボラ感染リスクのあるリベリアで27000人に接種する計画であった。
[Mod.LK-候補ワクチンの cAd3-EBOZ は、チンパンジー由来ウイルス a chimpanzee-derived cold virus を用いて、リベリアのアウトブレイクの原因となったザイール株エボラウイルスの遺伝物質を導入し、 NIAID scientists and GlaxoSmithKline が共同開発した。The VSV-ZEBOV は,ウシの水疱性口内炎ウイルス vesicular stomatitis virus に an Ebola virus gene segment が組み込まれ,カナダ公衆衛生省が開発し New Link Genetics Corporation through its wholly owned subsidiary Bio Protection Systems Corporation がライセンスを獲得した。]