(亜)硝酸ナトリウム
西部ウマ脳炎アフラトキシン 穀物での発生
[ModTG-Sodium nitrate 硝酸ナトリウムはしばしば食塩と間違えられる。摂取すると,胃腸炎、腹痛、めまい、血性下痢、けいれん、衰弱などの症状が認められ,緩下剤と利尿薬による治療が必要となる。反復して少量を摂取した場合、頭痛や精神障害がおきる。硝酸ナトリウムを食塩と間違えて使用される場合,一般的に祝い事の食事など大量の食事に大量に使用される事が多い。まれなケースとして、硝酸 nitrates がより毒性の強い 亜硝酸 nitrites に変化する例が報告されている。硝酸ナトリウムはずっと以前から、肉の保存 curing に使用されてきた。細菌の作用により硝酸が亜硝酸に変化し、ボツリヌス中毒の原因となる微生物を殺菌する。長期保存ハム slow-cured hams を除いて,(利用されるのは)亜硝酸ナトリウムから硝酸ナトリウムに置き換えられている。亜硝酸は、ボツリヌス症のトキシンを産生する芽胞形成性のクロストリジウム菌 _Clostridium botulinum_ を殺菌する目的で、一部の食品に添加されている。ボツリヌス症 botulinum の語は、ラテン語でソーセージを意味する botulus から来ており、亜硝酸処理がなされるまで、長い間多くの死亡の原因となってきた。亜硝酸は抗殺菌作用のほか、肉の風味、感触や発色を整える目的で使用されることもある。血中濃度が高くなると、亜硝酸による鉄の酸化作用により、ヘモグロビンの1価鉄が2価鉄になり、メトヘモグロビンが産生される。メトヘモグロビンは酸素を運搬せず、血液は褐色となる。メトヘモグロビン血症 methemoglobinemia の症状として、頭痛、倦怠感、頻脈、体力低下、めまいなどが起きる。組織での酸素化が低下し、真の酸素欠乏に達すると、呼吸困難、アシドーシス、不整脈、昏睡、けいれん、そして死亡することもある]
投稿者:米・ミネソタ大学、Dave Halvorson、2010年8月27日。
the "link to feed" or "smoking feed"(飼料の汚染が原因と見られている)について、飼料が農場内の環境中に汚染されたのか、飼料生産時に直に汚染されていたのか、不明である。また、タマゴ料理についての Mod.LL のコメントに関して。洗浄殺菌済みタマゴの箱に、以下の記載が求められている ”安全な取り扱い方法 : 細菌による病気の発生を防ぐために、タマゴは冷蔵庫で保管し、黄身が固まるまで加熱し、タマゴの入った料理は十分に加熱すること”
オーストリアとハンガリーでは、鷹狩りに使用されるタカに限り、数件が散見されるが、他の地域ではおそらくまれである。ルーマニアのブカレスト地域や the Danube Delta において、常に高い血清抗体陽性率が確認されているが、大量の死亡発生はないとされている。スペイン、フランス、イタリア、チェコでも、鳥類の死亡は報告されていない。ルーマニア東部の広い範囲で最近行われた約75万頭のウマでの血清学的調査では,およそ30%の陽性率であったが感染症例は確認されなかった。セネガルのウマの調査でも、年齢とともに陽性率は上昇し 7才馬では 90%に達し、感染伝播が高率に起きているものの、臨床症状を示す症例は確認されていない。一方、欧州の一部の地域では、新世界同様、ウマの発症例が地域内感染の鋭敏な指標となっている。これらはおそらく WNV 感染伝播が著しく低く、発生率が不安定 erratic な地域にあてはまると思われる。従って、感染伝播が常に起きている旧世界のウマには、何らかの形で先天性の免疫 innate immunity が成立しているものと考えられ,欧州の渡り鳥にも留鳥にも広く成立しており,新世界においても,欧州から導入された種(イエスズメ House Sparrow, Starling and Rock Dove) などの鳥類は(この免疫を)保有していると思われる。(仏・ Institut Pasteur、Paul Reiter, PhD, FRES)
[Mod.CP-Crimean-Congo haemorrhagic fever (CCHF) は 、ブニヤウイルス科ナイロウイルス属 the genus _Nairovirus_ of the family Bunyaviridae_ のウイルスによる出血熱で、基本的には人獣共通感染症であるが、ヒトの間でもアウトブレイクが発生する。アフリカ、欧州、アジアのさまざまな国に常在する。ウイルスの地理的分布は、ベクターとなるダニの分布に一致して広がっている。アフリカ、アジア、中東、東欧で、CCHF ウイルスの兆候が確認されており,多くの家畜や野生動物も感染する。鳥類の多くは感染に抵抗性を持つが、ダチョウは感染する。動物の感染は感染性ダニの刺咬によって成立する。ヒトは、家畜の血液などの組織に直接触れたり、ダニ刺咬を受けることにより感染する。大部分は、農業従事者、食肉処理場作業員、獣医師などの、家畜に関係する職業で発生する。潜伏期間は、暴露した経路によって異なり、ダニ刺咬後は1-3日 (最大9日)、血液などとの接触後では 5-6日 (記録上13日後まで)となる。発症は突然で、発熱、筋肉痛、めまい、頚部痛、背部痛、頭痛、目の痛みと光線過敏症で、嘔気や咽頭痛を訴える場合もある。腹痛や下痢を伴うこともある。その後数日たって、激しい気分の変調 sharp mood swings を経験し、混迷や攻撃性を呈するようになり、2-4日後には agitation (興奮) から、不眠、うつ、lassitude (無気力) に変わる。 腹痛は右上1/4に限局したり、肝腫大を伴ったりする。CCHF の致死率はおよそ30%で、死亡例は発病後第 2週目におきる。回復する患者は、発症から 9-10日目に改善傾向が見られ始める]
[Mod.CP-コウモリによる狂犬病感染の大部分が,the Amazon region of Brazil and Peru と some remote communities of Colombia で発生している。Vampire bats が確認されているのは Latin America だけである。これまでに知られている3種類 --Diphylla ecaudata_, _Diaemus youngi_, and _Desmodus rotundus_ (the common vampire) -- のうち、哺乳類から吸血するのは後者のみで、ヒトの狂犬病ウイルスを伝播するのも後者のみである。吸血コウモリの保有する狂犬病ウイルスは、哺乳類や吸血しないコウモリの狂犬病ウイルスと抗原性や遺伝的に違いがあるが、吸血コウモリによる狂犬病感染に対して、通常のヒト狂犬病ワクチンによる,暴露前および暴露後予防接種による感染防御作用が認められている。] 地図 the Amazonas region of Peru
The H1N1 virus は、過去90年間に発生した 4種類の鳥インフルエンザウイルスと豚インフルエンザウイルスが組み合わさったもので、2000万人が死亡した the 1918 pandemic virus の遺伝子を受け継いでいる。インフルエンザウイルスが、ある動物から種を飛び越えてヒトの細胞で効率的な複製が行えるようになるためには,key avian protein [PB2] 上の特定部位に 2種類のアミノ酸 -- lysine and asparagine がなければならない。しかし、Kawaoka らは、the [pandemic] H1N1 virus においては,the avian [PB2] protein の全く違う部位に the lysine amino acid が存在することを突き止めた。このことにより、同ウイルスはヒトの細胞に対する適応性(adapt to and co-opt human cells)を獲得した。8月5日の PLoS Pathogens [see (3) below]で報告される...
[3] Ref: Biological and Structural Characterization of a Host-Adapting
Amino Acid in Influenza Virus.
情報源: PLoS Pathog 6(8): e1001034. doi:10.1371/journal.ppat.1001034 ,2010年8月5日。
要約
[Mod.TY-ドイツ国内では初めての、Toscana virus による無菌性髄膜炎症例の報告である。Toscana virus が初めて確認されたのは、1971年のイタリア中部のサシチョウバエ sandfly (_Phlebotomus perniciosus_) の感染だった。
◎ 亜硝酸ナトリウム 20100910.3261 9月10日
工場の食堂での昼食後に食中毒が発生し,一部が重症のため集中治療室で治療されている。食堂の皿や食塩から sodium nitrite 亜硝酸ナトリウムが検出された。[ModTG-Sodium nitrate 硝酸ナトリウムはしばしば食塩と間違えられる。摂取すると,胃腸炎、腹痛、めまい、血性下痢、けいれん、衰弱などの症状が認められ,緩下剤と利尿薬による治療が必要となる。反復して少量を摂取した場合、頭痛や精神障害がおきる。硝酸ナトリウムを食塩と間違えて使用される場合,一般的に祝い事の食事など大量の食事に大量に使用される事が多い。まれなケースとして、硝酸 nitrates がより毒性の強い 亜硝酸 nitrites に変化する例が報告されている。硝酸ナトリウムはずっと以前から、肉の保存 curing に使用されてきた。細菌の作用により硝酸が亜硝酸に変化し、ボツリヌス中毒の原因となる微生物を殺菌する。長期保存ハム slow-cured hams を除いて,(利用されるのは)亜硝酸ナトリウムから硝酸ナトリウムに置き換えられている。亜硝酸は、ボツリヌス症のトキシンを産生する芽胞形成性のクロストリジウム菌 _Clostridium botulinum_ を殺菌する目的で、一部の食品に添加されている。ボツリヌス症 botulinum の語は、ラテン語でソーセージを意味する botulus から来ており、亜硝酸処理がなされるまで、長い間多くの死亡の原因となってきた。亜硝酸は抗殺菌作用のほか、肉の風味、感触や発色を整える目的で使用されることもある。血中濃度が高くなると、亜硝酸による鉄の酸化作用により、ヘモグロビンの1価鉄が2価鉄になり、メトヘモグロビンが産生される。メトヘモグロビンは酸素を運搬せず、血液は褐色となる。メトヘモグロビン血症 methemoglobinemia の症状として、頭痛、倦怠感、頻脈、体力低下、めまいなどが起きる。組織での酸素化が低下し、真の酸素欠乏に達すると、呼吸困難、アシドーシス、不整脈、昏睡、けいれん、そして死亡することもある]
◎ アシネトバクター、薬剤耐性 20100907.3203 9月7日
2009年後半以降、46人が抗生物質耐性菌のアシネトバクター acinetobacter に感染し、うち27人が死亡したと,3日帝京大学病院が発表した。このうち9人は、the "super bug" の感染が原因と見られている。Acinetobacter は環境中に遍在する微生物である。
[Mod.ML-集団発生か、院内感染か、DNA fingerprinting が調べられたのか、genotypes が一致しているのか、などの情報が抜けている。
[Mod.ML-集団発生か、院内感染か、DNA fingerprinting が調べられたのか、genotypes が一致しているのか、などの情報が抜けている。
重症入院患者における、多剤耐性アシネトバクター,特に _Acinetobacter baumannii_ (MDR-Ab,multidrug-resistant acinetobacter ) による感染や、同菌による clonal nosocomial outbreaks の発生頻度が、ここ数十年に世界中で増加しつつある( Considerations in control and treatment of nosocomial infections due to multidrug-resistant _Acinetobacter baumannii_. Clin Infect Dis. 2003; 36(10): 1268-74; )。また最近、自然災害の発生後やイラク戦争時の重症を負った兵士の感染原因としても、MDR-Ab の関与が報告されている。院内感染アウトブレイクでは、病室のカーテン、家具、備品などの環境中から MDR-Ab 菌が検出され,医療従事者の手を介して感染伝播される。
penicillins, carbapenems, cephalosporins, monobactams, aminoglycosides, and fluoroquinolones など多くの一般的な抗生物質に耐性を示すため,治療の選択肢が限られる。
MDR-Ab の抗生物質耐性獲得の機序には、1)種々の aminoglycoside inactivating enzymes, 2)plasmid-mediated, and/or 3) chromosomal-linked beta-lactamases, 4) alteration of targets for antimicrobial drugs such as the penicillin-binding proteins, and 5) antibiotic efflux pumps が関係している; これらのメカニズムに、しばしば porin channels の発現の減少や欠失が加わり、抗生物質の効果発現部位への侵入が妨げられる ( An increasing threat in hospitals: multidrug-resistant _Acinetobacter baumannii_. Nat Rev Microbiol. 2007; 5: 939-51; abstract )。一部の isolates の中に、 the polymyxins and sulbactam だけに感受性を示すものがある (Clinical and molecular epidemiology of _Acinetobacter_ infections sensitive only to polymyxin B and sulbactam. Lancet North Am Ed. 1994; 344(8933):1329-32; abstract )が、 これらの抗生物質に対する耐性菌も報告されている ...]
◎ インフルエンザパンデミック(H1N1)20100904.3178 9月4日
インフルエンザワクチン接種とナルコレプシーとの関連性
GSK [GlaxoSmithKline] 社は、パンデミックワクチン the adjuvanted H1N1 pandemic vaccine Pandemrix の接種に伴って起きた可能性のある、ナルコレプシー narcolepsy の症例について、the Swedish Medical Products Agency による副反応報告や、その後のフィンランド国内での報道を通じて初めて知った。同社は報告された症例に関し可能な限りのデータを収集し,独自の調査を開始し、the European Medicines Agency (EMA)などと緊密に連携し合っている。2010年9月2日時点で,初めての限定的な発生が確認されたスウェーデンとフィンランドの2カ国と、その後のフランスでの少数例にとどまっている。ノルウェーとドイツでも少数の患者が報告されたと報じられているが、現在までこれらの国から GSK 社への報告は 行われていない。Pandemrix はこれまでに欧州全体で 3千万本以上が使用されている。ケベック Quebec で製造される GSK 社製 adjuvanted H1N1 pandemic vaccine,Arepanrix は、約1600万本がカナダ国内だけで使用されているが、この製品による narcolepsy の報告はない。
GSK [GlaxoSmithKline] 社は、パンデミックワクチン the adjuvanted H1N1 pandemic vaccine Pandemrix の接種に伴って起きた可能性のある、ナルコレプシー narcolepsy の症例について、the Swedish Medical Products Agency による副反応報告や、その後のフィンランド国内での報道を通じて初めて知った。同社は報告された症例に関し可能な限りのデータを収集し,独自の調査を開始し、the European Medicines Agency (EMA)などと緊密に連携し合っている。2010年9月2日時点で,初めての限定的な発生が確認されたスウェーデンとフィンランドの2カ国と、その後のフランスでの少数例にとどまっている。ノルウェーとドイツでも少数の患者が報告されたと報じられているが、現在までこれらの国から GSK 社への報告は 行われていない。Pandemrix はこれまでに欧州全体で 3千万本以上が使用されている。ケベック Quebec で製造される GSK 社製 adjuvanted H1N1 pandemic vaccine,Arepanrix は、約1600万本がカナダ国内だけで使用されているが、この製品による narcolepsy の報告はない。
[Mod.TY-統計学的情報が全く与えられていない。欧州全体で 3千万本以上使用され、欧州のほかの地域から同様の副反応が報告されていないであれば、解釈は難しい。2009年10月の the Digital Journal では不特定の情報源からの情報として,スウェーデンの報道機関が同ワクチンに関連して350人以上に副反応が認められ 2人が死亡したと報じたが、 同国感染対策研究所は因果関係を否定していると伝えられている。このときの副反応として,ナルコレプシーは含まれていない。さらに最近、2010年8月27日の Reuters は、欧州委員会から the European Medicines Agency に対し、多数のナルコレプシー患者が報告されている件について、ワクチンとの因果関係を調査するよう指示が出されていると伝えている。このワクチンは adjuvant squalene (スクワレン:炭化水素1個と triterpene 1個からなる、コレステロール・ステロイドホルモン・ビタミンD の体内での合成過程の物質)を含有する。スクワレンは化粧品にも使われていたが、免疫(反応を増強する)アジュバントとしてワクチン製造にも利用されるようになった。スクワレンの the narcolepsy cases への関与は言及されていない。]
◎ サルモネラ症、serotype Enteritidis - タマゴ、飼料の関与 20100828.3060 8月28日
[1] タマゴ2万個につき1個は、サルモネラ菌で汚染されている
1980年代以降のタマゴに関係する感染流行を調査しているものとして、一般報道にも専門家の間にも知られていない情報がある。卵のおよそ 2万個に1個が、_Salmonella_ Enteritidis (SE) に汚染されている危険性がある。これまでにも outbreaks に関係したレストランというのは、たくさんのタマゴを買い込んで、細菌が繁殖する摂氏5度以上でぞんざいに扱い、どのような料理であるかにかかわらず、68度以上の加熱を怠ったか、もしくは生卵から調理済みの食品に菌を移したのが原因となっている。SE 感染は明らかに、小売りの段階で食品基準 the food code を守ってさえいれば防げる病気である。かつては、SE outbreaks と言えば、ゆで卵(十分茹でられていなかったに違いないが)や、Caesar salads の生卵製品、ムース、エッグノック、キッシュ quiches、ラザニア lasagna、Monte Cristo sandwiches などの食品が原因だった。タマゴ産業はリスク軽減に努め、生にしろ加熱するにしろ、卵料理を出す小売店は、生タマゴや殻つきタマゴの使用を止め、殺菌済タマゴを使用する店が増えている。
[2] 飼料が汚染された場所はどこか?1980年代以降のタマゴに関係する感染流行を調査しているものとして、一般報道にも専門家の間にも知られていない情報がある。卵のおよそ 2万個に1個が、_Salmonella_ Enteritidis (SE) に汚染されている危険性がある。これまでにも outbreaks に関係したレストランというのは、たくさんのタマゴを買い込んで、細菌が繁殖する摂氏5度以上でぞんざいに扱い、どのような料理であるかにかかわらず、68度以上の加熱を怠ったか、もしくは生卵から調理済みの食品に菌を移したのが原因となっている。SE 感染は明らかに、小売りの段階で食品基準 the food code を守ってさえいれば防げる病気である。かつては、SE outbreaks と言えば、ゆで卵(十分茹でられていなかったに違いないが)や、Caesar salads の生卵製品、ムース、エッグノック、キッシュ quiches、ラザニア lasagna、Monte Cristo sandwiches などの食品が原因だった。タマゴ産業はリスク軽減に努め、生にしろ加熱するにしろ、卵料理を出す小売店は、生タマゴや殻つきタマゴの使用を止め、殺菌済タマゴを使用する店が増えている。
投稿者:米・ミネソタ大学、Dave Halvorson、2010年8月27日。
the "link to feed" or "smoking feed"(飼料の汚染が原因と見られている)について、飼料が農場内の環境中に汚染されたのか、飼料生産時に直に汚染されていたのか、不明である。また、タマゴ料理についての Mod.LL のコメントに関して。洗浄殺菌済みタマゴの箱に、以下の記載が求められている ”安全な取り扱い方法 : 細菌による病気の発生を防ぐために、タマゴは冷蔵庫で保管し、黄身が固まるまで加熱し、タマゴの入った料理は十分に加熱すること”
◎ コレラ 分類 20100825.2993 8月25日
[Mod.LL-簡単なおさらいとして、鞭毛の抗原 the flagellar (H) antigens of _V. cholerae_は、多くの水生ビブリオ菌 water vibrios に共通であるため、コレラ流行の原因菌の特定には使えない。_V. cholerae_ はこれまでに、体性抗原 the O (somatic) antigens により、 139 serotypes に分けられている。ほとんど全ての strains of _V. cholerae_ は非毒性 nonvirulent である。 the Bengal (O139) strain ("non-O1") 発見までは、serotype, designated O1 だけが、唯一のコレラ流行の原因菌であった。 O1 biotypes には 3つの種類があり、Ogawa, Inaba, and Hikojima と名付けられている。いずれも the "classical" または El Tor と呼ばれる phenotype(表現型)を示す。biotypes は、表面抗原 surface antigens A, B, and C の発現によって識別されている。 Ogawa contains antigens A and B; Inaba antigens A and C; and Hikojima(比較的まれ)antigens A, B, and C]
◎ ウエストナイルウイルス,鳥類 欧州 20100824.2972 8月24日
WNV [West Nile virus] outbreak に関し,欧州では鳥類の大量死が報告されていないと指摘された点について。オーストリアとハンガリーでは、鷹狩りに使用されるタカに限り、数件が散見されるが、他の地域ではおそらくまれである。ルーマニアのブカレスト地域や the Danube Delta において、常に高い血清抗体陽性率が確認されているが、大量の死亡発生はないとされている。スペイン、フランス、イタリア、チェコでも、鳥類の死亡は報告されていない。ルーマニア東部の広い範囲で最近行われた約75万頭のウマでの血清学的調査では,およそ30%の陽性率であったが感染症例は確認されなかった。セネガルのウマの調査でも、年齢とともに陽性率は上昇し 7才馬では 90%に達し、感染伝播が高率に起きているものの、臨床症状を示す症例は確認されていない。一方、欧州の一部の地域では、新世界同様、ウマの発症例が地域内感染の鋭敏な指標となっている。これらはおそらく WNV 感染伝播が著しく低く、発生率が不安定 erratic な地域にあてはまると思われる。従って、感染伝播が常に起きている旧世界のウマには、何らかの形で先天性の免疫 innate immunity が成立しているものと考えられ,欧州の渡り鳥にも留鳥にも広く成立しており,新世界においても,欧州から導入された種(イエスズメ House Sparrow, Starling and Rock Dove) などの鳥類は(この免疫を)保有していると思われる。(仏・ Institut Pasteur、Paul Reiter, PhD, FRES)
[Mod.TY-D. Reiter が示唆した,WNV 感染伝播が頻繁に起きている地域の鳥類やウマの host resistance の話は,野鳥やウマの死亡が見られないことの納得いく説明を与えてくれている。欧州と南北アメリカで、感染循環する WNV 株に毒性の違いはないのだろうか。南北アメリカのウイルスは、東欧原産の鳥類、なかでもカケスあるいはカラス corvids を死亡させるだろうか (決して行い得ない実験だが)。また,ウイルスに感染した欧州の鳥類は、蚊族ベクター(イエカ属 _Culex_ mosquito vectors)を感染させるほどの期間と量のウイルス血症を起こすのだろうか]
◎ 西部ウマ脳炎-米国 20100820.2900 8月20日
Lemmon Valley のニワトリが、西部馬脳炎検査で陽性となった。およそ2週間ごとにニワトリから採血することで、ニワトリを刺咬した蚊族の感染が判る。
[ModTG-Western equine encephalitis (WEE) virus は、トガウイルス科_Togaviridae_(アルファウイルス属 genus _Alphavirus_)の1種で、eastern and Venezuelan equine encephalitis viruses に近い。(ヒトの感染において)無症候性から致死性疾患まで、様々な範囲の症状が見られる。乳児はしばしばけいれんを起こす。鳥類と蚊族_Culex tarsalis_の間で感染サイクルを形成しており、ウマ、ヒト、その他の哺乳動物は、生活環に重要な役割を果たしていない。ほとんどの症例は米国西部及び中部である。米国内で初めてウイルスが分離されたのは 1930年で,1941年にはウマ 30万頭とヒト 3340人が感染する大流行が発生した。過去数十年間の the North Platte River Valley (Colorado, Wyoming, and Nebraska) の灌漑農業の発展が、穀物を餌にする鳥類と蚊族の個体数増加に好適な環境をもたらせた。西部ウマ脳脊髄炎ウイルスグループには、西部ウマ脳炎,Sindbis, Ft Morgan, Aura, and Y 61-33 の各 viruses が含まれる。西部ウマ脳炎ウイルスは、ヒト、ウマおよびある種の鳥類に病原性を示す。シチメンチョウに病原性のある類縁ウイルスの the Highlands J virus も米国東部で確認されており、ウマが発症することもある。ウマの東部ウマ脳炎と西部ウマ脳炎の症状と酷似しており、発熱、食欲低下、抑うつの初期症状の後、重症例では神経学的症状として 筋の不随意運動、視力障害、無目的歩行、頭突き ? head pressing、回旋運動、嚥下困難、運動失調、麻痺、けいれんなどが起き、興奮期を経て、横臥した状態での特徴的な "paddling" motion (水かき運動)が見られるようになる。両ウイルスともに無症候性感染や軽症感染例があり、ときにブタの脳炎も発生する] 参考文献1 2 3 4
◎ 東部ウマ脳炎 歩哨用鳥類 20100810.2728 8月10日
Re: 20100807.2691
”歩哨用のニワトリはどうなったのか? エミューやダチョウを含め鳥類はEEE に感受性が強いため、おそらく感染により死亡したに違いない(Mod.TG コメント)” に対し
”歩哨用のニワトリはどうなったのか? エミューやダチョウを含め鳥類はEEE に感受性が強いため、おそらく感染により死亡したに違いない(Mod.TG コメント)” に対し
ニワトリは EEE 感染では死なない。フロリダ州では数年以上前から、アルボウイルス感染の早期警報として sentinel chicken (歩哨のニワトリ)を使用している。ニワトリは感染しても発病したり死亡せず、蚊族を感染させるようなウイルス血症も起こしたりしないためである。しかし抗体は産生するので、その抗体を指標とすることができるのである。毎週血清を採取し HAI [hemagglutination-inhibition] 検査により、抗 flaviviruses および alphaviruses 抗体が調べられている。陽性検体については、IgM Elisa and/or SN-PRNT [serum neutralization test-plaque reduction neutralization test] を用いて、特異的病原体を決定する。まったく症状のない鳥の同一の血清検体中で、同時に WNV と EEE の抗体陽性を認めた例もある。1988年から2009年までの22年間に、49 231 birds (547 313 sera) の検査が行われている。
◎ クリミアコンゴ出血熱 20100810.2732 8月10日
ナミビアで8年ぶりにCCHF患者が発生した[Mod.CP-Crimean-Congo haemorrhagic fever (CCHF) は 、ブニヤウイルス科ナイロウイルス属 the genus _Nairovirus_ of the family Bunyaviridae_ のウイルスによる出血熱で、基本的には人獣共通感染症であるが、ヒトの間でもアウトブレイクが発生する。アフリカ、欧州、アジアのさまざまな国に常在する。ウイルスの地理的分布は、ベクターとなるダニの分布に一致して広がっている。アフリカ、アジア、中東、東欧で、CCHF ウイルスの兆候が確認されており,多くの家畜や野生動物も感染する。鳥類の多くは感染に抵抗性を持つが、ダチョウは感染する。動物の感染は感染性ダニの刺咬によって成立する。ヒトは、家畜の血液などの組織に直接触れたり、ダニ刺咬を受けることにより感染する。大部分は、農業従事者、食肉処理場作業員、獣医師などの、家畜に関係する職業で発生する。潜伏期間は、暴露した経路によって異なり、ダニ刺咬後は1-3日 (最大9日)、血液などとの接触後では 5-6日 (記録上13日後まで)となる。発症は突然で、発熱、筋肉痛、めまい、頚部痛、背部痛、頭痛、目の痛みと光線過敏症で、嘔気や咽頭痛を訴える場合もある。腹痛や下痢を伴うこともある。その後数日たって、激しい気分の変調 sharp mood swings を経験し、混迷や攻撃性を呈するようになり、2-4日後には agitation (興奮) から、不眠、うつ、lassitude (無気力) に変わる。 腹痛は右上1/4に限局したり、肝腫大を伴ったりする。CCHF の致死率はおよそ30%で、死亡例は発病後第 2週目におきる。回復する患者は、発症から 9-10日目に改善傾向が見られ始める]
More detailed information concerning the care and treatment of patients who have contracted CCHF
◎ 狂犬病、吸血コウモリ 20100810.2743 8月10日
吸血コウモリ vampire bats によると見られる狂犬病感染流行により、the Amazonas region of Peru で4人の子どもが死亡した。[Mod.CP-コウモリによる狂犬病感染の大部分が,the Amazon region of Brazil and Peru と some remote communities of Colombia で発生している。Vampire bats が確認されているのは Latin America だけである。これまでに知られている3種類 --Diphylla ecaudata_, _Diaemus youngi_, and _Desmodus rotundus_ (the common vampire) -- のうち、哺乳類から吸血するのは後者のみで、ヒトの狂犬病ウイルスを伝播するのも後者のみである。吸血コウモリの保有する狂犬病ウイルスは、哺乳類や吸血しないコウモリの狂犬病ウイルスと抗原性や遺伝的に違いがあるが、吸血コウモリによる狂犬病感染に対して、通常のヒト狂犬病ワクチンによる,暴露前および暴露後予防接種による感染防御作用が認められている。] 地図 the Amazonas region of Peru
◎ インフルエンザ パンデミック(H1N1) :ヒトへの適応 20100806.2671 8月6日
[1] 豚インフルエンザの背景の生化学的解析The H1N1 virus は、過去90年間に発生した 4種類の鳥インフルエンザウイルスと豚インフルエンザウイルスが組み合わさったもので、2000万人が死亡した the 1918 pandemic virus の遺伝子を受け継いでいる。インフルエンザウイルスが、ある動物から種を飛び越えてヒトの細胞で効率的な複製が行えるようになるためには,key avian protein [PB2] 上の特定部位に 2種類のアミノ酸 -- lysine and asparagine がなければならない。しかし、Kawaoka らは、the [pandemic] H1N1 virus においては,the avian [PB2] protein の全く違う部位に the lysine amino acid が存在することを突き止めた。このことにより、同ウイルスはヒトの細胞に対する適応性(adapt to and co-opt human cells)を獲得した。8月5日の PLoS Pathogens [see (3) below]で報告される...
[3] Ref: Biological and Structural Characterization of a Host-Adapting
Amino Acid in Influenza Virus.
情報源: PLoS Pathog 6(8): e1001034. doi:10.1371/journal.ppat.1001034 ,2010年8月5日。
要約
the polymerase subunit PB2 protein の2つのアミノ酸 (リジン lysine at position 627 or アスパラギン asparagine at position 701) は、鳥インフルエンザ A ウイルスがほ乳類に適応するために重要 critical と考えられている。しかし、最近発生したパンデミック H1N1 ウイルスは、このアミノ酸を欠いていた。今回われわれは、position 591 of PB2 の塩基性アミノ酸が、position 627 部位の lysine の欠如を補い、ほ乳類での効率的な pandemic H1N1 viruses 複製を可能にしたことを報告する。さらに position 591 of PB2 の塩基性アミノ酸は、マウスに対する avian H5N1 virus の致死性を高めた。また、pandemic H1N1 virus PB2 protein の C末端の、the X-ray crystallographic structure についても供覧する。 position 591のアルギニン Arginine は、この部位の H5N1 PB2 proteins の間隙を埋め、H1N1 PB2 proteins の形状および荷電状態の変化をもたらせた。これにより、ウイルスと細胞部位のタンパク間の相互作用に変化が生じ、ほ乳類でのウイルス複製を可能にした。
著者による要約
著者による要約
鳥類を起源とするインフルエンザウィルスがほ乳類での複製を効率的に行うためには、適応のためのアミノ酸変化を獲得しなければならないと考えられる。the polymerase PB2 protein における2種類のアミノ酸置換 -- glutamic acid to lysine change at position 627 or an aspartic acid to asparagine change at position 701 -- は、鳥類起源のインフルエンザウイルスの,ほ乳類での効率的な複製を可能にすることが知られている。興味深いことに、(鳥インフルエンザ類似の avian-like PB2 gene を持つ) the pandemic H1N1 viruses は、 the 'human-type(ヒト型)' amino acids PB2-627K and PB2-701N をエンコードしていなかった.
◎ Toscana virus 20100802.2587 8月2日
Baden-Wurttemberg では初めての the Toscana virus の発生を確認した。過去数年間,原因がわからなかった髄膜炎症例について調査を行い、発症前に南欧に行ったことがないにもかかわらず、同ウイルスに対する抗体を有する 10人の患者を確認した。[Mod.TY-ドイツ国内では初めての、Toscana virus による無菌性髄膜炎症例の報告である。Toscana virus が初めて確認されたのは、1971年のイタリア中部のサシチョウバエ sandfly (_Phlebotomus perniciosus_) の感染だった。
Summary of Toscana virus: "Toscana virus (TOSV) は節足動物媒介性ウイルスの1種で、_Phlebotomus_ spp sandflies によりヒトに感染し,無菌性髄膜炎、髄膜脳炎などの脳障害を引き起こし、イタリアでは主に夏に発生する。最近では、 TOSV 感染に、虚血性の合併症や水頭症などの重篤な後遺症を伴う非典型例が報告されている。TOSV は新興感染症であり、イタリア、フランス、スペイン、ポ ルトガル、キプロスなどの Mediterranean basin の国々での発生について調査が行われている。系統発生学的には、2つの genotypes of TOSV A and Bがある; A は主にイタリア、B はスペインに多く、これはベクターの分布の違いに関係すると見られている...]
参考資料 Toscana virus epidemiology: from Italy to beyond. Open Virol J, 4: 22-8.
◎ パラチフス 20100731.2578 7月31日
[Mod.LL-Paratyphoid fever は typhoid fever と類似する症状を示し、いずれも enteric fever types of disease の形をとり、必ずではないが、Para - がやや軽症である。The paratyphoid salmonellas は、A, B のほか、まれな C も、現在の分類に加わっている。_Salmonella paratyphi_ は、 _S. enterica_ serotype Paratyphi とも呼ばれる。 Types B and C には serotypes schottmuelleri_ and _hirschfeldii_ がある。typhoid と同じく、paratyphoid も人獣共通感染症ではなく、ヒトが[唯一の] the reservoir と考えられている。しかし、the paratyphoid bacillus は家畜や魚類からも分離されている。インドでは paratyphoid A が問題化しつつあり、1998年には cases of enteric fever の 45%を占めた。当初は抗生物質への感受性がきわめて良好であったが、徐々に quinolones が増えつつある; 一方 _S. typhi_ は、以前から耐性を示している。インドネシアからの最近の報告によると、Typhoid の危険因子は、屋内 (最近の家族内発症、石けんによる手洗い不履行、食器の共有、トイレを持たないなど)にあるのに対し、paratyphoid のリスク因子は、屋外(屋台の食品や洪水など) に関連し、異なる感染経路が示唆されている]◎ アフラトキシン 20100711.2316 7月11日
Arusha (Tanzania)では、6月末からこれまでの間に合計45匹のイヌがアフラトキシンに汚染されたトウモロコシおよびその粉で死亡した。ヒトでの被害は報告されていない。なぜヒトの被害が発生しないのかは判っていない。
個人的な疑問として、
1) 数時間日に当たれば、トキシンは不活化するのではないか
2) 炒ったりすることでも、破壊されるのではないか
(タンザニア・ Vetagro Tanzania, Ltd / Merlino Veterinary Clinic、Dr. Giuseppe Di Giulio)
[ModTG-イヌの pet food として穀物 grain が使用されることが多く,穀物中のアフラトキシンの被害も多い。長期間(120日以上)、低濃度の aflatoxin に暴露すると、 肝不全や黄疸を生じ肝機能異常やときに死に至ることもある。摂取を止めれば回復する。高濃度では急性症状が引き起こされる。穀物の微細環境 the microclimate が、アスペルギルス_Aspergillus flavus_ もしくは _Aspergillus parasiticus_ の生育に好適となったときにアフラトキシンが産生される; 同菌が存在していても産生されないこともある。また逆に、菌が検出されなくても、菌の死滅後もアフラトキシンが残留していることもある。穀物を日光に晒しても、穀物をローストしても、アフラトキシンの量は変わらない。アンモニア処理でアフラトキシンを分解することは可能だが、反芻動物しか食べることができなくなってしまう。アフラトキシンを特異的に結合する clay product (粘土物質)があるが、アフラトキシンを分解することはできない。単胃動物への使用については、検討の余地があるが、非常に用途が限られた製品であり、粘土なら何でも良いというわけでもない]
個人的な疑問として、
1) 数時間日に当たれば、トキシンは不活化するのではないか
2) 炒ったりすることでも、破壊されるのではないか
(タンザニア・ Vetagro Tanzania, Ltd / Merlino Veterinary Clinic、Dr. Giuseppe Di Giulio)
[ModTG-イヌの pet food として穀物 grain が使用されることが多く,穀物中のアフラトキシンの被害も多い。長期間(120日以上)、低濃度の aflatoxin に暴露すると、 肝不全や黄疸を生じ肝機能異常やときに死に至ることもある。摂取を止めれば回復する。高濃度では急性症状が引き起こされる。穀物の微細環境 the microclimate が、アスペルギルス_Aspergillus flavus_ もしくは _Aspergillus parasiticus_ の生育に好適となったときにアフラトキシンが産生される; 同菌が存在していても産生されないこともある。また逆に、菌が検出されなくても、菌の死滅後もアフラトキシンが残留していることもある。穀物を日光に晒しても、穀物をローストしても、アフラトキシンの量は変わらない。アンモニア処理でアフラトキシンを分解することは可能だが、反芻動物しか食べることができなくなってしまう。アフラトキシンを特異的に結合する clay product (粘土物質)があるが、アフラトキシンを分解することはできない。単胃動物への使用については、検討の余地があるが、非常に用途が限られた製品であり、粘土なら何でも良いというわけでもない]