◎ 赤痢 チュニジア 20221125.8706901 11月25日
チュニジア Tunisia で赤痢菌 shigella bacteria による合併症により 8歳女児が死亡した。69例の小児の赤痢感染が発生し,11人が小児病院 Bab Saadoun Children's Hospital in Tunis に入院した ...
[Mod.ML- the 4 _Shigella_ species (_Shigella sonnei_, _S. flexneri_, _S. boydii_, and _S. dysenteriae_) の中で,米国内で最も多いのは _S. sonnei_ である。ヒトが唯一の保有宿主 the only reservoir for shigella であり,胃酸に比較的強く,わずかな菌数 only a few (10-100) organisms の嚥下でも下部消化管内で感染が成立するため,ヒトからヒトへの感染が容易に起きる。_S. sonnei_ 感染による赤痢 Shigellosis は,ほとんどの患者は 1週間以内に合併症なく回復する。しかし,栄養不良,がん,免疫抑制などの持病がある場合,長期間症状が持続する可能性が高くなる。(CDC) 感染例の約 2%,多くは _S. flexneri_ の感染例において,感染後反応性関節炎 post-infectious reactive arthritis (formerly called Reiter syndrome,ライター症候群) と呼ばれる症候群を発症し,関節痛,眼の刺激症状 irritation of the eyes,排尿時痛を伴う。反応性関節炎は,サルモネラ salmonella, カンピロバクター campylobacter などの胃腸感染症にも合併する。_S. dysenteriae_ infection では,O157:H7 などの一部の大腸菌でもみられる,溶血性尿毒症症候群 hemolytic uremic syndrome (HUS) を伴うことがあり,溶血性貧血,血小板減少,急性腎不全を発症する。HUS は,_S. dysenteriae_ outbreaks における主な死亡原因である。(CDC) shigellosis においてまれに,赤痢菌および他の腸管グラム陰性桿菌による菌血症 bloodstream infections があり,もっとも多く見られるのは shigellosis caused by _S. flexneri_ and _S. dysenteriae_ である。けいれん Seizures は,どの菌種 any of the _Shigella_ species の赤痢でもみられる。また toxic megacolon の原因となり,腸管穿孔や腹膜炎をおこすことがある。(1)
病原体は,赤痢感染患者の便に触れた,手,口,食品,水を介して感染する。抗生物質による治療を行わなくても,通常は 5-7日以内に自然治癒 self-limited するが,使用しなければ数週間続く便中への菌排出の減少や,長期間の血性下痢や敗血症などの重症例に対し,抗生物質が使用されることが多い。しかし,抗生物質耐性のため選択肢は限られている。耐性赤痢菌で発見されている耐性マーカー Antimicrobial resistance markers としては,blaCTX-M-27, which encodes an extended-spectrum β-lactamase (ESBL), a gyrA mutation associated with reduced susceptibility to fluoroquinolones and the macrolide resistance markers erm(B) and mph(A) がある。MDR strain による感染症の治療において,フルオロキノロン fluoroquinolones, アジスロマイシン azithromycin, およびセフトリアキソン ceftriaxone は有効でない可能性が高い。TMP/SMX は赤痢治療薬の選択肢の 1つとされてきたが,耐性が確認され始めているため,経験的治療 its empiric use での使用は限られている。(2)]
◎ エボラ 20220920.8705697 9月20日
[1] ウガンダ Uganda: Ebola Sudan outbreak
ウガンダで,2019年以来となるエボラウイルス Ebola virus による死亡が確認
[Mod.LK- the Zaire strain をもとにデザインされたワクチン the ERVEBO vaccine の,the Sudan strain スーダン株への有効性が懸念される。ERVEBO® (Ebola Zaire Vaccine, Live also known as V920, rVSVÎ"G-ZEBOV-GP or rVSV-ZEBOV) は,ザイールエボラウイルス Zaire ebolavirus による感染症の予防に対し,米・食品医薬品局 (FDA) が認可している。ERVEBO ワクチンは,Merck 社製 a replication-competent, live, attenuated recombinant vesicular stomatitis virus (rVSV) vaccine である。
"the Ervebo vaccine によるハイリスクの人々へのリング接種 ring vaccination が,コンゴ(民)をはじめいずれの最近のアウトブレイク対応で高い有効性を示しているが,the Zaire strain に対する効果のみの認可である点に注意が必要である。
"1976 in the DRC (当時は Zaire) はじめて確認されたこのウイルスは,自然界の保有宿主がコウモリであり,それ以来アフリカにおいて一連の流行を生じ,およそ 1万5千人が死亡している。(1)
参考項目 Biologic differences between strains of Ebola virus from Zaire and Sudan. J Infect Dis. 1983 Feb;147(2):264-7. doi: 10.1093/infdis/147.2.264. PMID: 6827142 for a comparison of the Zaire and Sudan strains より,
"Studies of 3 outbreaks of Ebola hemorrhagic fever in Zaire and Sudan によると,ザイール株による致死率が 90% であるのに対し,スーダン株では 55%-65% である。細胞培養における分離は,スーダン株に比べ,ザイール株ははるかに容易である; わずかな量のザイール株ウイルス fewer than 10 infectious particles of a Zaire strain で幼若マウス suckling mice は死亡する lethal が,スーダン株ウイルス 10 000 infectious particles of a Sudan strain をもってしても,いずれの動物も死亡しなかった。これらの生物学的データから,抗原関連性のある 2つのウイルスは同じではなく,この結果は遺伝学的,生化学的,免疫学的データでも支持されている。"
スーダン株および他のフィロウイルスに対するワクチン開発に関する論文として,
Protection against Marburg Virus and Sudan Virus in NHP by an Adenovector-Based Trivalent Vaccine Regimen Is Correlated to Humoral Immune Response Levels. Vaccines (Basel). 2022 Aug 5;10(8):1263. doi: 10.3390/vaccines10081263. PMID: 36016151; PMCID: PMC9412258.
"要約.
これまでに,非ヒト霊長類での異なるワクチンによる 2回接種法 a 2-dose heterologous vaccine regimen (Ad26.Filo, MVA-BN-Filo) の試験を行い,既報の protective effect against EBOV に加え,2つのウイルス both SUDV and MARV に対する完全な感染防御反応についても確認した。ワクチンにより誘導された糖タンパク結合抗体レベルは,抗体レベルと生存アウトカムとの相関が示され 1年以上安定していた ... " ]
[2] WHO: Antivirals(抗ウイルス薬)
The World Health Organization (WHO) が,はじめてのエボラウイルスの治療ガイドラインでモノクローナル抗体 the monoclonal antibodies mAb114 (known as Ansuvimab or Ebanga) and REGN-EB3 (Inmazeb) 使用を強く推奨し,同時に ZMapp and remdesivir などを使用すべきでないとの推奨も行われている ...
◎ ダニ媒介性脳炎,ライム病 20220917.8705630 9月17日
the 1st year of the COVID-19 pandemic において,他の感染症が減少する中で,ダニ媒介性疾患は逆の傾向が見られ,専門家は人々が自然の中で過ごすことを選んだと述べている[Mod.TY- 20160210.4009410 においても述べられているが,中東欧諸国は endemic for the European subtype of TBE virus で毎年感染例が発生しているが,オーストリアは著しく症例数が減少し,ドイツ,ポーランド,スロヴァキアは少数を維持する一方,チェコ共和国は高いままである。The World Health Organization は,毎年約 1万- 1万2千例のダニ脳炎患者が報告されているが,実際の数字よりかなり少ないと考えられるとしている。"ダニ脳炎に対して最も有効な防御を与えるのは予防接種である。現在,品質が保証され広く使用されている 4種類のワクチンがある: FSME-Immun and Encepur, manufactured in Austria and Germany, respectively [and based on European strains of the virus], and TBE-Moscow and EnceVir, manufactured in the Russian Federation [and based on Far Eastern strains]。 (WHO)TBE は,3種類のウイルス TBE virus subtypes belonging to the Flaviviridae family: Central European, Siberian, and Far Eastern (formerly known as Russian spring-summer encephalitis) のいずれかによる感染症である]
[Mod.ML- ライムボレリア症 Lyme borreliosis (Lyme disease or LD) は,北半球で最も多く見られるヒトのダニ媒介性疾患で,主に北米,欧州およびアジアの温帯地域で確認されている。20種類以上ある _Borrelia burgdorferi_ sensu lato (Bbsl) complex genospecies の中で,ヒトに病原性があるのは少数 only a few (for example, _B. afzelii_, _B. garinii_, and _B. burgdorferi_ sensu stricto): _B. burgdorferi_ sensu stricto (Bbss) は北米の LD の主な原因であり; Bbss は欧州でも確認されているが,_B. garinii_ or _B. afzelii_, the 2 major European pathogenic genospecies より数は少ない。The vectors of Bbsl のベクターは,ヒトおよび保有宿主のいずれからも吸血する 4種類のダニ species of hard-bodied _Ixodes_ ticks である: _I. scapularis_ is the main vector of Bbsl for humans in the eastern half of the US(米国東部); _I. pacificus_, in the far-western US(米国西端); _I. ricinus_, in Europe(欧州); and _I. persulcatus_, in Asia(アジア)。中欧地域 (オーストリア,チェコ,ドイツ南部,スイス,スロヴァキア,スロベニア)において,ダニ_I. ricinus_ ticks のボレリア感染率が最も高い the highest _Borrelia_ infection ことが報告されている; スイスでは 13.6 to 49% of ticks の感染が確認されている。オーストリア/スイス地域において,感染陽性ダニのうち,25% が _B. afzelii_ の感染であったほか,44% with _B. garinii_, and 25% with Bbss だった。幼虫 nymphs (10.1%) に比べ,成虫 adult ticks (18.6%) の感染率が高かった。LD の臨床症状も地域により異なっている。たとえば,欧州では acrodermatitis chronica atrophicans and neuroborreliosis(慢性萎縮性肢端皮膚炎と神経ボレリア症)がより一般的である,一方,米国では関節炎 arthritis が多く見られる。Lyme neuroborreliosis では,中枢および/または末梢神経の病変による様々な症状が認められる multifaceted; LD では,髄膜炎 meningitis, 脳神経炎 cranial neuritis, 根神経炎 radiculoneuritis, 末梢性ニューロパチー peripheral neuropathy, and/or 脳症 encephalopathy が見られることもある。1匹のダニ Individual hard-bodied ixodes ticks が複数のボレリア more than one genospecies of the Bbsl complex に感染することがあり,さらに他の病原体,たとえばアナプラズマ _Anaplasma phagocytophilum_, バベシア _Babesia microti_, _Borrelia miyamotoi_, tick-borne encephalitis virus or TBEV, the cause of tickborne encephalitis (TBE) にも感染している場合がある。従って,2種類以上のダニ媒介性疾患に同時に感染することもある。]
◎ 毒ヘビ咬傷 20220720.8704530 7月20日
The Centers for Disease Control and Prevention によれば,毎年全米で 7000-8000人が毒ヘビの咬傷を受け,5人程度が死亡している。
[Mod.TG- Snake bites may consist of a dry bite, meaning no venom was injected. (ヘビが何かを)食べたりした直後は毒袋 venom sacs は満タンではなくなっている。常に 2本の fang marks(牙の跡)が残るわけではない。こどものヘビ younger snakes は,おとなのヘビや,より大きいヘビと同じくらいの危険性があり,毒のコントロールを学んでいないので全量が注入される可能性がある。咬み跡が小さい,または1つしかない場合でも,油断すべきではない。ガラガラヘビは危険を感じない限り,通常ヒトを襲うことはない。世界中に約 30種類のガラガラヘビがいる。(ヘビが)死亡していても反射は残っていて,死後数時間後まで咬傷を受ける可能性がある [?! they can still bite hours after death] ...
"ガラガラヘビ毒 Rattlesnake venom には血液毒性があり、組織や血球細胞を破壊し,内出血の原因となる。神経毒の特性もあわせもち,呼吸停止などの神経学的症状を起こすこともある。
"Treatment for rattlesnake bite(治療法)
ガラガラヘビ咬傷は a medical emergency であり,治療が行われなければ死亡する可能性がある。咬傷の現場にいた場合は,咬傷部位を石けんと水で洗い,包帯で覆い,心臓より低い位置に保つよう努める。毒を吸い出すことを試みてはならない。直ちに病院を受診すること。
"主治療は,医療環境下での抗毒素 the rattlesnake antivenom, also known as antivenin (crotalidae) polyvalent or Crofab の投与である。これはヘビ毒を投与されたウマまたはヒツジの血液から作製される。
"'The following initial doses are recommended [per Rx List]:
- no envenomation(ヘビ毒注入): none
- minimal envenomation: 20-40 mL (contents of 2-4 vials)
- moderate envenomation: 50-90 mL (contents of 5-9 vials)
- severe envenomation: 100-150 mL or more (contents of 10-15 or more vials).
These recommended initial-dosage volumes are in general accord with those of others.
1回の治療に使用された抗毒素の最高記録は約 900-1000 vials だが,それほど高価なものではない ... ]
◎ Sabia virus(サビアウイルス)ブラジル 20220718.8704475 7月18日
Background
Sabiá virus のヒトにおける自然感染例は 20年間でわずか 2例のみ。
Methods
重症の黄熱と考えられた患者の metagenomics 解析で,新たな 2例の感染を確認。
Results
患者らには,肝炎,出血,神経学的変化の症状が認められ,死亡となった。死後剖検検体の電子顕微鏡検査で,肝細胞病変 hepatocyte "pinewood knot(松の木の節)" lesions など特徴的な所見が認められた。
Conclusions
死亡した 2例において,これまで報告されたことのない組織病理学的所見が確認された。ウイルス学的診断は,metagenomic assays などの contemporary techniques によってのみ可能となる。濃厚接触者の二次感染例は確認されなかった。
[Mod.TY- 過去におきた 2例の自然感染は,1990年の the city of Cotia と 1999年の the city of Espirito Santo do Pinhal で発生している。いずれの都市もサンパウロ州の郊外で 155km 離れている。これらの 2例は現地の労働者の感染で,今回の 2例はウイルスの取扱中に感染したラボ従事者である。2018-2019年の黄熱アウトブレイク中に報告され,重症黄熱患者との診断でサンパウロ市の病院に入院したが,血液と尿の黄熱の分子学的検査は陰性だったところ,今回の検査で Brazilian mammarenavirus BM 陽性となった。アレナウイルスであることを考慮すれば,保有宿主 the reservoir host of Sabia virus は 1種類または複数の齧歯類であることが予想されるが,まだ特定はされていない]
◎ アルゼンチン出血熱 20220630.8704158 6月30日
回復期免疫血漿輸血による治療。Buenos Aires のエンデミック地域の住民全員に Candid #1 ワクチンの接種義務があり,無料で提供されている。一般には "mal de los ratrojos" [stubble(切り株,刈田)disease] と呼ばれており,Junín virus を原因とする。マウス the corn mouse [more correctly the drylands vesper mouse - Mod.TY], (_Calomys musculinus_) により伝播され,治療が行われない場合の致死率は 30% に及ぶが,発症後 1週間以内に免疫血漿が投与されれば 1% に減少する。
[Mod.TY- Argentine hemorrhagic fever は Junin virus, an arenavirus の感染症で,Buenos Aires and other provinces において散発的に感染例が発生する。上述のとおり,感染予防のワクチンがある。保有宿主は齧歯類,特に _Mus musculus_, _Calomys spp_., and _Akodon azarae_ である。これらの動物は,無症候性の慢性感染状態となり,唾液,尿,血液中にウイルスを排出する。ヒトへの感染は,皮膚,粘膜との接触やエアロゾル粒子の吸入により生ずる]
写真(マウス)the drylands vesper mouse, _Calomys musculinus_
◎ Lloviu ウイルス ハンガリー 20220518.8703330 5月18日
2002年にスペインのコウモリで発見された The filovirus Lloviu virus (LLOV) は,その後にハンガリーのコウモリでも確認されている。ハンガリー国内で捕獲した生きたコウモリ a live sampled Schreiber's bat の血液から,感染性ウイルス infectious LLOV を分離しサルおよびヒト細胞への感染にも成功した ...
[Mod.TY- このコウモリの分布地域は,"from south western Europe, in the Balkan and Carpathian Mountains and in the Caucasus. Patchily distributed over its range in some large and vulnerable colonies" と述べられている。この広い地域内で,Lloviu virus (LLOV) が報告されているのは,スペインとハンガリーだけである]
[Mod.TY- このコウモリの分布地域は,"from south western Europe, in the Balkan and Carpathian Mountains and in the Caucasus. Patchily distributed over its range in some large and vulnerable colonies" と述べられている。この広い地域内で,Lloviu virus (LLOV) が報告されているのは,スペインとハンガリーだけである]
◎ アコニチン [トリカブト] 中毒 ウコン 20220313.8701961 3月13日
有毒物質トリカブトの粉末の混入のおそれがあるとして,粉末バンウコンを消費しないよう呼びかけられている。2月はじめに同製品を摂取した 2人が不整脈のため病院を受診した。monkshood とは植物 _Aconitum_ の一般名で,根の部分がジンジャーに酷似している。有毒物質のアコニチン the toxin aconitine は,嘔気,嘔吐,めまい,脱力,心室性不整脈の原因となり,最悪の場合死に至る ...
[Mod.TG- Sand ginger, a part of the galangal family は一部の細菌感染症やがん治療薬として使用されてきた ... The genus Aconitium の根と茎には,有毒のアコニチンその他のアルカロイドが含まれる。Aconitine は強力な神経毒および心臓毒物質である。テトロドトキシン感受性組織内のニューロンナトリウムチャンネルの持続性脱分極を起こす。同チャンネルのナトリウム流入による再分極の遅れが興奮性につながり,下痢,けいれん,心室性不整脈,そして死亡につながるおそれがあり,摂取直後から通常 1時間以内に発症し,すぐに治療が行われない場合は 4-6 時間以内に死亡する。治療は血圧と心臓リズムに対する支持療法となり,頻脈も徐脈も起こりうるが徐脈となることが多い。活性炭の有効例もある ... (https://plants.ces.ncsu.edu/plants/aconitum/)
There are a number of different species and colors of Monkshood. All are toxic.]
◎ 腸管侵入性大腸菌 20220208.8701350 2月8日
[Mod.LL-毒性因子 their virulence factors と臨床症状に基づき以下のように呼ばれている。
- 毒素原性 enterotoxigenic _E. coli_ (ETEC)
- 腸管病原性 enteropathogenic _E. coli_ (EPEC)
- 腸管出血性 enterohemorrhagic _E. coli_ (EHEC)
- 腸管凝集性 enteroaggregative _E. coli_ (EAEC)
- 腸管侵入性 enteroinvasive _E. coli_ (EIEC)
- diffusely adherent _E. coli_ (DAEC) [* 参考 NIID]
multiplex PCR (polymerase chain reaction) を用いる新しい手法が一般の臨床検査施設にも拡がり,クラスター発生時に検査が行われている。EIEC はヒトの腸管病原体で血性下痢 dysentery の原因となり,汚染された食品や水,他者との接触,により感染が伝播される。発展途上国で発生することが多い。]
◎ Baylisascaris procyonis 20220204.8701240 2月4日
オクラホマ州の生後 17か月の幼児が,アライグマの寄生虫 the potentially very serious raccoon roundworm, _Baylisascaris procyonis_ に感染した。_B. procyonis_ は,アライグマの小腸内に寄生する回虫・線虫である。卵がアライグマの排泄物中に排泄され,環境条件を満たせば数年間生存可能である。寄生虫が,眼球,内臓,脳などに侵入すると,重症さらに死亡につながるおそれがある。ヒトからヒトに感染することはない。不顕性感染が示唆されている。
[参考 Baylisascaris procyonis_-associated meningoencephalitis in a previously healthy adult, California, USA. Emerg Infect Dis. 2016; 22(8): 1480-4;]
◎ Tonate ウイルス 仏領ギアナ: 20220116.8700896 1月16日
仏領ギアナの妊娠女性の Tonate virus 垂直感染例。胎児には,脳および脊髄の高度の壊死性・出血性病変 severe necrotic and hemorrhagic lesions が認められた。[Mod.ML-Tonate virus (TONV) は,ベネズエラウマ脳炎ウイルスコンプレックス the Venezuelan equine encephalitis virus complex に含まれる。" 1973年, subtype III-B, the Tonate virus が French Guiana の鳥類から分離され,その後周辺国および米国内でも確認。自然界での感染サイクルについて詳しく判っていない。雨期の蚊族による感染伝播が観察されている。脊椎動物の保有動物で確認されているのは鳥類とコウモリのみである。][References ]
[Mod.TY-TONV virus に the 1st trimester of pregnancy の感染による催奇形性があることは,近縁ウイルスの子宮内感染で同様の影響が報告されていることから,不思議はない。TONV virus 感染は,特にデング熱流行時期には臨床的にデング熱と診断されることから,おそらく過少報告されている可能性がある。Reference: Discriminating tonate virus from dengue virus infection: a matched case-control study in French Guiana, 2003-2016. Am J Trop Med Hyg. 2019; DOI]