2011-2

住肉胞子虫症 マレーシア
メタノール中毒 代謝,症状,治療
結核 潜在性感染の検査,スクリーニング,治療
野兎病 感染経路,症状
ロッキー山紅斑熱 ダニの除去,症状
バルトネラ症

住肉胞子虫症 Sarcocystosis、ヒト-マレーシア 20111031.3240 10月31日
情報源 GeoSentinel、2011年10月31日。
帰国後に医療機関を受診した,欧州 6カ国からの旅行者 23例の住肉胞子虫症 sarcocystis infection について報告する。2010年6月から 8月にかけて,Tioman Island off the east coast of Peninsular Malaysia を訪問していた。旋毛虫症、トキソプラズマ症の血清学的検査は陰性で,住肉胞子虫症が疑われたため albendazole and corticosteroids による治療が行われた。筋生検を承諾した唯一の患者で組織学的に住肉胞子虫症が診断された。23人の患者のマレーシアにおける唯一の共通項が Tioman だった。患者の多くは旋毛虫症を疑われ albendazole and steroid therapy による経験的治療を受けていた。症状の改善は,albendazole ではなくステロイドの効果によると考えられる。_Sarcocystis hominis_ は本来ヒトの腸管壁に感染し、放出される卵母細胞 oocysts が、中間宿主のブタあるいはウシに嚥下される。のう胞は筋組織内で発達し、未調理の豚肉や牛肉を摂取した人体内で生活環が終了する。ヘビを含む多数の動物 Over 100 zoonotic _Sarcocystis_ species が、人獣共通感染の原因となる。endemic 地域では,無症候性感染の住民も存在する (Clin Microbiol Rev, Oct. 2004, p. 894-902).。最大の outbreak of symptomatic cases では 15 US military cases from Malaysia が発生した (Am J. Trop Med Hyg 1999: 61;548-53).]

Iquitos (イキトス) virus-ペルー 20110923.2883 9月23日

Oropouche (ORO) virus は、the genus _Orthobunyavirus_ in the family _Bunyaviridae_ の中の、数少ないヒトの病原ウイルスの1つである。ペルーのイキトス Iquitos の発熱患者から分離された ORO-like strains は、系統発生解析により、新型ウイルス novel ORO reassortant virus であることが判明し、Iquitos (IQT) virus と命名した。この新型病原体が初めて分離・確認されたのは1999年のことで、発熱、頭痛、眼痛、体性痛、関節痛、下痢、悪寒の症状のある、13歳の少年からだった。その後、このウイルスによって、2005-2006年にかけて Iquitos で、"Oropouche fever"(とされた)流行が発生した。限られた範囲で行った血清学的調査では、以前の ORO virus 感染による IQT virus infection に対する防御効果はないことが示されている。
遺伝子解析により、the S and L genome segments of ORO virus と the M segment of a novel Simbu serogroup virus を含む、novel reassortant (再集合) ウイルスであることが判明した。IQT virus も ORO ウイルスと同じベクター(蚊族,ヌカカ the midge)により伝播される可能性が高い。
"ブンヤウイルス科 the family _Bunyaviridae_ のウイルスは 5 genera に分類されている: _Orthobunyavirus_, _Hantavirus_, _Nairovirus_, _Phlebovirus_ and _Tospoviruses_ 。The orthobunyaviruses はエンベロープを持つ negative sense RNA viruses で、その遺伝子は次の3つの segments: small (S), medium (M) and large (L). から構成されている。The S segment はヌクレオカプシド the nucleocapsid と非構造蛋白 nonstructural protein, NS. を、The M segment は糖タンパクthe glycoproteins Gn and Gc を、そして、 the L segment がウイルスポリメラーゼ the viral polymerase.の遺伝情報をコードしている。
"the _Orthobunyavirus_ genus のメンバーの一部は、ヒトへの病原性を示すことが知られており、その中には Oropouche (ORO) virus があり、頭痛、めまい、筋力低下、筋肉痛、関節痛などの症状のある疾患の原因となる。Bunyamwera virus は、同ウイルス科のメンバーの原型 the prototype と考えられているが、頭痛、関節痛、発疹と、時に中枢神経症状を起こす病気の原因となる。一部の orthobunyavirus の感染により、出血傾向が見られることが最近報告されている。
"1995年、ペルーのリマ Lima で行われた発熱疾患の原因調査 (the U.S. Naval Medical Research Unit Six (NAMRU-6) とペルー保健省) の中で、Iquitos, Peru の患者からの複数の ORO-like strains が、新型ウイルスであることが判明し、分離された地名に因み、Iquitos (IQT) と命名された。特徴として: 1) ヒトにおいて ORO fever に類似する臨床症状を示す、2) IQT virus と他の other members of the Simbu serogroup に遺伝学的関連性が認められる、3) the Amazon region 内の都市環境における、 IQT virus 感染のリスク因子が確認された、4) 臨床症状と感染に相関性が認められる。重要なこととして、 ORO virus に対する免疫が IQT virus 感染に対して機能しないと見られること、及び、過去10年間の Iquitos における抗体保有状況が、両ウイルスでほぼ同じであること、が確認された。"[Mod.CP- ... the same serogroup of the family _Bunyaviridae_の中での再集合はよく知られた現象であるが、ヒトの病原性に結びつくものは少ない。今後、Iquitos virus の地理的分布を確かめ、ブラジルの ORO virus のような公衆衛生上のリスクの有無を解明することが重要である ... ]

Usutu virus 20110913.2792 9月13日

[1] Dead blackbirds: Experts suspect virus(ドイツ・the Rhine-Neckar region) 
[2] Short Report: Isolation of Usutu Virus in Germany(Am. J. Trop. Med. Hyg.)
要約 Usutu virus (USUV) は、2001年にオーストリアで初めて確認された、蚊族媒介性フラビウイルスの1種で、野鳥の死亡原因となっている。
[Mod.AS 注-(上記論文から)
Usutu virus (USUV) は、節足動物媒介性の一本鎖 single-stranded RNA virus で、the Japanese encephalitis virus group に分類され、1959年に初めて南アフリカ ・ Ndumu, Natal の蚊族 _Culex neavei_ mosquitoes で発見された。ベクターは ornithophilic mosquitoes of the genera Culex, Coquillettidia, Mansonia and Culiseta である。主な保有宿主は野鳥で、新たな地域での発生に渡り鳥が重要な役目を果たしている。アフリカ以外では、2001年にオーストリアのウィーンで、blackbirds (_Turdus merula_) and great gray owls (_Strix nebulosa_) の死亡に関係した。さらに最近、ハンガリー、スイス、イタリア、スペインでも、鳥類もしくは蚊族で USUV-specific RNA or antigen が確認されている。2009年夏、イタリアで 2名の免疫不全患者の USUV-related illness が報告された。2002年、英国内で捕獲された healthy birds の血清検体の解析で,相当数の USUV 特異抗体が検出された。孵化から8-9ヵ月後までにわたって行われたニワトリの調査で、血清抗体陽転 seroconversion to USUV が確認された。ドイツで 2002年から 2005年までの間に捕獲された野鳥の血清検体でも、USUV に対する中和抗体が確認されているが、ドイツ国内の蚊族において USUV が感染循環しているか、また、natural vectors of USUV in Germany は何か、については答えが得られていない。われわれの研究により、ドイツ南西部における新興 the potentially emerging USUV が示唆された。このウイルスは、南アフリカからではなく、オーストリアからドイツに感染が拡大した可能性が高い。USUV strain 1477 が確認されたのは、the upper Rhine valley の小都市 Weinheim の、a pool of _Cx. pipiens pipiens_ mosquitoes で、この唯一の trapping site は典型的な都市環境 urban ecosystem にあった。このような都市環境下では、農村部 agro-ecosystems や森林と比較して、blackbirds と _Cx. pipiens pipiens_ mosquitoes がより近接して生息する。
結論として、2009年にドイツ国内で複数種のアルボウイルスが新たに確認され、その後、1種類については、2010年にも感染循環が継続していた。]

ヒストプラズマ症 20110908.2738 9月8日

ウガンダ での生物学野外調査 biology field trip 後に、急性肺ヒストプラズマ症 acute pulmonary histoplasmosis と診断された、英国在住の 22歳女性の患者について報告する。コンゴとの国境に近い、ウガンダ西部 [Kabarole district] Fort Portal 近郊の熱帯雨林で、昆虫、霊長類およびコウモリについての調査を行っていた ... 肺ヒストプラズマ症の疑いで、Tropical and Infectious Disease Unit at the Royal Liverpool University Hospital に紹介され、血清学的検査で確定診断された。治療を必要とせず自然に回復した。
(英 ・ Royal Liverpool University Hospital、Dr Lucy Cottle)
[ModLL-Medscape より。
"_Histoplasma capsulatum_ は、二形性真菌 dimorphic fungus の1種で、周囲の温度により,菌糸状 mycelial のままとどまったり、哺乳類の体温で酵母 yeast として成長したりする。感染によりヒストプラズマ症 histoplasmosis が発生する。この真菌は世界中の温帯地方で確認され,北中米 ・ 東欧南欧 ・ アフリカの一部地域 ・ 東アジアオーストラリアなどの河川渓谷 river valleys に多く見られる。endemic の地域の土壌は、菌糸の生育に好適な、高濃度の有機物質を含む、酸性湿性環境を与えている。コウモリや鳥類の生息する地域に近い場所で高感染性土壌が確認される。鳥類は真菌に感染することがあるが、感染伝播は起こらない: しかし、鳥類の排泄物が土壌に混じると、菌糸の発育培地が富栄養化される。一方、コウモリは感染することもあり、また排泄物を介して histoplasmosis を感染伝播させることもできる。土壌の汚染により、数年以上感染性が持続することもある。汚染土壌を掘り返す建設や再開発事業に伴ってアウトブレイク が発生している。加えて、常在地域への旅行でも、数百m も飛散する airborne spores による感染リスクがある。感染した人の大部分 (約 90%) は無症状である。発病は、免疫不全や大量に吸入した場合に多い。細胞性免疫に問題がある場合、治癒した肉芽腫 healed granulomas に潜在化し、再発することがある。曝露から 3-14日後に発症し、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、腹痛、悪寒などが多く見られる症状であり、大抵は自然治癒する。大量に曝露した場合、び慢性肺病変により重症呼吸困難をきたすことがある。患者の5-6%に関節痛と皮膚病変を認められ、女性に多い。5-10%に肺門および縦隔リンパ節腫大が認められる。咳、血痰、呼吸困難、胸痛などが見られることもあり、気道や循環への圧迫の程度による。傍気管への浸潤により、気管および気管支が圧迫され、咳や呼吸困難が生じる。"
アフリカヒストプラズマ症 African histoplasmosis は、真菌の _Histoplasma capsulatum_ var. _duboisii_ を原因とする全身感染症で、わずかな例外を除けば、アフリカ大陸中央部で発生し、西及び中央アフリカの特にナイジェリア、セネガル、コンゴ民主共和国、アンゴラに最も多い。The _duboisii_ variety は、 _H. capsulatum_ var. _capsulatum_ の平均2倍の大きさの酵母細胞を持つ。the _duboisii_ variant は概して、初期の肺病変よりも、皮膚・骨・リンパ節への播種病変で気づかれることが多い。 2つの variants の播種は、免疫が抑制された場合に起こりやすい]

脳嚢虫症 20110831.2669 8月31日

The intestinal form adult _Taenia solium_(有鉤条虫症)は、 the tapeworm に至る成熟段階途中の the cysticercus(囊虫=条虫の幼虫)に汚染された豚肉を、レアかミディアムで摂取した後に発生するもので、これ以外にはない。糞便などで汚染された食物 (野菜) を食べて体内に入った Eggs of _Taenia solium_(虫卵)は、 the cysticercus(囊虫)に成長するものの、成虫 the adult parasite にはならない。
The life cycle of Taenia solium(有鉤条虫の生活環)は以下のように記述される: 
保有宿主であるブタは、cysticercus (旧名称 _Cysticercus cellulosae_,囊虫) と呼ばれる the intermediate stage を排出し、この感染形態でヒトの体内に入ると、小腸内において 成虫に成長する。囊虫は、外膜 external membrane のある嚢 (? bladder) 、液体 liquid、および頭部 the scolex (head) から成る。腸管に付着すると、proglottid と呼ばれる多数の分節を持つ虫体に変化する。各成熟分節 proglottid には、孵化時間なしに直ちに保有宿主のブタ (及びその他の感染感受性のある動物種)やヒトへの感染性を有する数百個の卵が含有されている。ヒトの体内では、嚥下された卵から胚 the embryo が腸管内に放出され、粘膜を穿破し、血流中に入って全身を移動し、そのうちの多くが脳内にとどまり、neurocysticercosis 脳囊虫症と呼ばれる、手術や薬剤による治療を必要とする重症の症候群の原因となる。_Cysticercus racemosus_ と呼ばれる囊虫による,より劇症型の病態も報告されており、(虫体が) 頭蓋腔内にまで侵入する。ヒトにおいては、自家感染も多く見られる。ヒトは、 the cysticercus (immature stage) and the _T. solium_ eggs のいずれの病型にも感染する。囊虫は生や半生の豚肉から、虫卵は _T. solium_ eggs.を含む汚水で汚染された新鮮野菜から、摂取される。
(米 ・ National Center for Import and Export、Thomas Letonja, DVM, MS, PhD)

メタノール 20110830.2667 8月30日

500人以上が問題のアルコールに よる被害を受け、一部は永久に視力を失った。
[Mod.TG-Methanol (wood alcohol) は、木の乾溜 the destructive distillation によって得られる。メタノール中毒の集団発生は、ウィスキーへの混入などにより起きる。 2種類の有毒代謝物、ホルムアルデヒド formaldehyde とホルム酸 formic acid が生成され中毒が発生する。除去率 elimination rate は、葉酸プール the folate pool に依存する。他の動物に比べてヒトを含めた霊長類(の葉酸プール) は小さく、メタノール毒性への感受性が高い。メタノールは、不凍液、車のウォッシャー液、Sterno canned heat ?、 セラック shellacs、各種塗料、paint removers, ニス varnishes、duplicating fluids ?、 ガソリン添加物など、広い用途で使われている。40%溶液 15ml の摂取による死亡例が報告されているが、一般には最低致死量は 30ml とされている。積極的な治療を行うことで 500-600 ml を飲んでも救命可能だが、わずか 10 ml でも失明することがあり、個人の耐用量に左右される。消化管からの吸収がよく、30-90分後に血中レベルがピークとなり各組織に分布するが、硝子体液 the vitreous humor と視神経 optic nerve は高濃度となる。最も高濃度となるのは腎臓、肝臓、消化管で、脳と筋肉、脂肪は低い。メタノールの酸化は、エタノールの 10倍以上遅く、 longer elimination half-life となる。発症の時期は、摂取から40分後から72時間後までと幅広く、同時に摂取したものにより変わる。しかし、症状がないことで重症を除外することはできない。通常の潜伏期間は 12-24時間である。臨床症状としては、頭痛、めまい、気力低下、意識混濁など、軽度から中等度のエタ ノール中毒と同じ症状である。重症例では、脳浮腫によると考えられる昏睡やけいれんが見られる。エタノールと異なり、多幸感は得られない。かすみ目 Blurred vision、視運動低下 decreased visual acuity、光線過敏 photophobia などを訴えることが多い。視野狭窄、瞳孔固定と散瞳、網膜浮腫、視神経板の充血などの所見が認められる。直ちに治療を行うことが症状回復に必須であるが、 視力障害は、重症例の最大25%で永続する。メタノールは粘膜を刺激するため、嘔気、嘔吐、腹痛の原因となる。発症初期の段階では、催吐剤 ipecac による除去 gut decontamination や胃洗浄も適応がある。しかし、メタノールとエタノールが混ぜられている場合、これらの治療が有効な段階で、患者が異変に気づく可能性はほとんどない。 10%デキストロース dextrose 溶液にエタノールを加えた静脈注射が有効である可能性がある。エタノールは、メタノールの the elimination half-life を延長させるため、この治療は数日間かかり、その間患者は入院が必要となる。腎不全の回避のために、透析も必要となる。血液透析は an effective treatment である]

結核 20110825.2587 8月25日

[1] 新生児室看護師の結核感染判明
ローマ Rome・the Gemelli Polyclinic の新生児室の看護師1名が、結核に感染していたことが判明した。新生児およそ1000人については、Quantiferon を用いた検査が行われている。
[Mod.ML-QuantiFERON-TB Gold は、the US Food and Drug Administration (FDA) が認可する結核菌 _Mycobacterium tuberculosis_ 感染の有無を調べるための血液検査で、ツベルクリン反応の代わりに使われている。全血に、結核菌に特異的に結合する蛋白を加えて24時間培養し、感作されたリンパ球から放出されるインターフェロン γ を計測する。24時間以内に結果が得られ、以前に受けた BCG (bacillus Calmette-Guerin) ワクチンの影響を受けない]
[2] 少なくとも10人の新生児が結核菌に曝露した
Rome's Gemelli hospital で最近出産された、少なくとも 10人の新生児の結核感染が確認された。新生児らに対して、(予防治療が)実施されると病院側は説明している。
[Mod.ML-結核 Tuberculosis (TB) は通常、直径約 1-5 microns で、1ないし2個の結核菌を含む飛沫核 aerosolized droplet nuclei  により感染拡大する。飛沫核は、活動性の肺感染、特に空洞形成型の患者から,咳やくしゃみなどにより撒き散らされる; the airborne particles は数時間にわたって空気中に存在し、気流により運ばれる。複数の児に感染があることから、この看護師はおそらく active, most likely cavitary, TB だったと考えられる。児の発症については記載がないので latent TB infection (LTBI) と考えられる。しかし、5才未満の LTBI は primary TB とその後遺症、粟粒結核、結核性髄膜炎に進展するリスクが高いため、active TB に曝露したすべての小児に対して、直ちに LTBI の評価を行わなければならない。接触者の追跡等が困難であるため、2003年の New York City の結核感染の看護師に関する CDC の報告の中で、医療従事者 HCWs の LTBI のスクリーニングとして,毎年 tuberculin skin test (TST) または interferon gamma release assays (IGRAs) による検査を行うことの重要性が強調されている。HCWs が以前に BCG ワクチンを受けている場合でも必要である。(LTBI treatment programs for HCWs
BCG ワクチンは、TB が蔓延する多くの途上国において、小児の TB 髄膜炎及び感染症予防の目的で実施されている。途上国出身の HCWs ではしばしば幼児期の BCG ワクチン接種による、ツ反陽性を経験する。しかし、結核に感染しなければ、BCG によるツベルクリン反応は年々減弱するため、10年以上残存する可能性は低い。現在のガイドラインでは、TST result が 10mmを超える HCWs に対し、特に 5年以内に TB の高蔓延国から移動してきた場合には、LTB 治療を検討することになっている。BCG を受けたことがあるか否かは、LTBI の治療の決定の際には考慮されず、毎年行う TB スクリーニング検査で職員が positive TST results であった場合には、医療機関は LTBI treatment を進んで行うべきである。いずれの場合でも、TST の代わりに IGRAs を使用して差し支えない (1 , 2 ) 。IGRAS の結果は,以前の BCG 接種の影響を受けない。臨床症状が非特異的で、微生物学的確定診断を得ることが困難であり、ツベルクリン反応の信頼性が低いことなどから、周産期の結核診断は難しい。The CDC は、胸部 X 線検査に異常がない場合でも、5歳未満の TST-negative children に LTBI treatment を開始すべきとしている。3か月後に行う the 2nd TST の結果と他の医学的評価がそろうまで、治療は継続される。the 2nd TST result が negative であったなら、治療を終了することができる。5才未満の小児に対する検査としては TST が優先される。これは、この年齢層に関する the use of IGRAs のデータが十分ではないためである]

野兎病 20110812.2445 8月12日

[ModLL-バイオテロとの関連性はないようだが、tularemia は生物兵器 category A bioterrorism agent であり、the pneumonic form は意図的な散布による最も多い病型である。野兎病は、小型非動性グラム陰性細胞内球菌 small, non-motile, Gram negative intracellular coccobacillus の、_F. tularensis_ を起因菌とする。多くの種類の保有動物がいるが、ウサギ目 lagomorphs (rabbits and hares)、水生げっ歯類 aquatic rodents (muskrats, ビーバー beavers, and water voles ミズハタネズミ)、その他のげっ歯類 (water and wood rats and mice)、リス、ネコなどが有名である。2002年の米国でペットとして売られていた prairie dogs による感染流行が発生している。_F. tularensis_ は、汚染された水中、土壌、植生などからも検出され、環境条件が整えば数週間生存可能である。_F. tularensis_ はまた、アメーバ類 (_Acanthamoeba_など) でも検出され、ある条件下では空気感染 airborne の原因となる。ヒトは様々な環境からの曝露を通じて感染する: ダニなど infected ticks and deerflies の刺咬; 動物の組織や体液との接触; 汚染された食品、水、土との接触や吸入。イヌの身震いにより aerosol 化された,体毛からの細菌による屋内での感染例も報告されている。飼い猫に咬まれた感染報告も多い。わずか10個でも病原体があれば感染が成立するほど感染力が強い。ヒトでは重症化し時に死亡することもあるが、ヒトからヒトに感染することはない。典型的な潜伏期間は 3から5日間であるが、1日ないし14日に及ぶこともある。野兎病の臨床症状は、その感染経路によって決まる。空気感染 Airborne _F. tularensis_ は肺臓炎の形をとることが多く、キズへの曝露では腺潰瘍型または腺病変となる。突然発病することが多く、発熱、頭痛、悪寒、戦慄、全身痛 (背中に強いことが多い)、鼻かぜ、咽頭痛などの症状が認められる。嘔気、嘔吐、下痢が見られることもなる。発汗、発熱、悪寒、進行性衰弱、倦怠、食欲不振、体重減少などは、持続感染を意味する]

ロッキー山紅斑熱 20110811.2436 8月11日

仕事中に同僚が女性の耳たぶに深く埋まった1匹のダニを見つけ、同僚が取り除くのに10分かかったと言う。"激しい頭痛とリンパ腺の腫れが始まり、嘔気やふくらはぎの強い痛みを感じ",3日後にベッドから起き上がれなくなった。オンラインの The Lucas resident を使って、Rocky Mountain spotted fever の症状であることを突き止め、doxycycline を服用することに決めた。すぐに症状は軽快し始めた。
[ModLL-早期診断が致死率低下に重要である。インターネット上には間違った情報も流されているが、この女性は the web によって命が助かったと言える。病原体を有するメスのダニが,草の茂みあるいはイヌから通り過ぎるヒトに付着するときは、はじめは下半身に着くことが多い。衣服の上を這って適当な皮膚を見つけ、そこで吸血を開始する。(白い衣服は、動き回るダニを見つけやすくする)。定着後、リケッチア病原体が活性化して感染伝播されるまで 24時間ほど時間がかかる。したがって、毎日1ないし2回、ダニをチェックして取り除けば、感染の可能性は最小限になる。頭の中などの有毛部にくっ付いたダニは、特に探すのが難しい。
CDC(the difficulty in removing this woman's tick):
"皮膚についたダニを発見してもあわてないこと 先のとがったピンセット fine-tipped tweezers でちゃんと取り除くことができる。
"fine-tipped tweezers を使って、ダニのできるだけ皮膚表面に近い部分をつかみ、しっかりとはさんで持ち上げる。ひねったり、勢いよく引っ張ったりしない: 口の部分がちぎれ、皮膚の中に残ってしまう可能性がある。もしもそうなった場合は、口の部分だけを tweezers で取り除くか、取り除けない場合は、皮膚のキズが治るまでそのままにしておけばよい。
"ダニを除去したあと、刺し口の部分と手をアルコール、イソジン、石鹸と流水などできれいにする"
潜伏期間は、ダニへの暴露からおよそ1週間で、ダニ除去後かなり経ってからとなる。臨床症状は非特異的で、発熱、筋肉痛、頭痛(かなり激しい)。発疹は第3病日に出始め、初期の手首や足首の丘疹 maculopapular から、手掌や足底の出血斑と紫斑 petechial and purpuric に変わり、近位体幹に及ぶ。紫斑は通常、第6病日以前には出現しない。発疹の発現前か発現後 1-2日目に治療(通常ドキシサイクリン)が開始されれば、実際の致死率はかなり低い。春から夏の季節に、常在地域で、一致する症状が見られた場合は、たとえダニ刺咬が明らかでない場合でも、Empiric treatment for this infection が望ましい]

バルトネラ症 20110715.2139 7月15日

19才男性が bartonellosis (別名 Carrion's disease and Peruvian wart) により死亡した。
[ModLL-Bartonellosis は,複数の新興病原体による疾患で構成される。1909年に赤血球に付着する organisms として報告された。_Bartonia_, later _Bartonella bacilliformis の用語は、1993年以前に確認されたグループだけに使用されている。類似グループの _Rochalimaea_ (named for Rocha-Lima) は,最近 _Bartonella_ に統合された。_Bartonella_ bacteria は当初 rickettsiae と見做されていたが,リケッチアと異なり培養液中で生育する。1ダース以上の species が the genus _Bartonella_ に属し、ヒトに病原性を示すのは 3 species と考えられているが、今後新たなヒトの病原体が確認されるに違いない。
[後半部分に,“The _Bartonella_ genus には少なくとも 11 bacteria speciesがあり、このうち 4 種類がヒトに病原性を示す。”とある]
_B. bacilliformis_ は Oroya fever and verruga peruana (Peruvian wart, also known as Carrion's disease) の原因となる。_B. henselae_ は cat scratch disease (CSD,ネコ引っ掻き病) 、_B. quintana_ は trench fever(塹壕熱)の原因となる。_B. henselae_ or _B. quintana_ は、ホームレスや HIV 感染・AIDS 患者の、肝の紫斑病? peliosis of the liver (bacillary peliosis と呼ばれることが多い; 肝内の血液貯留嚢胞を特徴とする) の原因となる。[ほか,bacillary angiomatosis] ヒトに病原性を示す可能性のある New species としては、_B. vinsonii_, _B. clarridgeiae_, and _B. elizabethae_ がある。動物では Several of these other species が発見されている。
_Bartonella bacilliformis_ は,ペルー、エクアドル、コロンビアの a small area of the Andes Mountains に限局した endemic の状態にあり,ほぼすべての患者がこの地域で発生し,実質的には above sea level に存在するが、高地とジャングルとの間のより高度の低い地域にまん延する傾向にある。bartonellosis は一般的に、_B. bacilliformis_ による疾患に限定して用いられる。1940-41年に大流行が発生したが、その後は散発するにとどまっている。
知られている唯一のベクターは the sandfly、_Lutzomyia verrucarum_ である。_B. bacilliformis_ による急性感染症は、1871年に La Oroya, Peru で発生し7000人以上が死亡したアウトブレイクから名付けられた。生存者の一部は後に、verruga peruana (Peruvian wart) と呼ばれる皮膚病変を生じた。この皮膚病変は the 1871 outbreak 以前 -- おそらくthe pre-Columbian era にまで遡って -- から知られていたが、Oroya fever との関連性は知られていなかった。1885年に若い研究者の Daniel Carrion が,病変の血液を自分に注射し Oroya fever を発病したことで解明された。Oroya fever がしばしば Carrion's disease と呼ばれるのは、彼の死を賭した実験への敬意の表れである。1909年に細菌 _B. bacilliformis_ そのものは分離されていたが、病原菌であることが判明したのは 1940年の事である。
この菌は、血流に入ると赤血球に付着し(a picture of a blood smear with the organism associated with red blood cells ),赤血球内に侵入することもある。進行すると、最大で宿主の赤血球の 90%が破壊され、重症の溶血性貧血となり、高熱、筋肉痛、関節痛、せん妄、昏睡などを伴う。感染した患者は、急性期から 2-8週間後に verruga peruana を発症することがあるが、先行する急性期症状や菌血症の時期を示すことなく、典型的な症状が見られることもある。未治療で放置されると、これらの病変が数か月から数年間続く。病変は,直径が最大 4cmまでの血液が充満したように見える疱疹で,基本的に頭部と四肢に現れる。圧痛があり、出血や潰瘍を生じることもある。(see
症状および最近の発生地域への渡航歴から疑われ、血液中や病変からの菌の分離により確定診断される。治療の根幹は抗菌薬で、chloramphenicol, penicillins, and aminoglycosides などの複数の抗生物質に感受性を示す。貧血症に対し輸血が必要となることもある。抗生物質治療により bartonellosis による死者は激減した。抗生物質の登場以前の死亡率は40%に上っていたが,抗生剤により 8%に低下した。死亡は,重症貧血症と二次感染などの合併症による。治療が行われれば後遺症なく治癒する]