2007年2月12日

トリパノソーマ症 南アフリカ マラウイから
◎ 嚢虫症 Cysticercosis 米国
黄熱 トーゴ WHO

● デング熱 マレーシア、シンガポール、インドネシア
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2007 (07) 20070212.0535
[1] マレーシア Malaysia
 情報源 Malaysia Star - Petaling Jaya, Malaysia、2月5日。
死者16人となり、保健省は近隣の蚊族を発生させるものについて通報するよう国民に呼びかけてる。
[2] シンガポール Singapore
情報源 People's Daily Online - Beijing, China、2月8日。
2006年に約 3100人の患者の報告あり、2005年の 14200人から大幅に減少した。
[3] インドネシア (中央ジャワ州)
情報源 Jakarta Post - Jakarta, Indonesia、2月9日。
中央ジャワ州で流行中のデング熱により、2007年 1月に 43人死亡したことを、州保健当局者が明らかにした。同月の患者数は 1358人で、2006年 1月の 1465人とほぼ同レベル。以下、特に患者数が増加した地域など。
地図 Central Java and its regencies 

● リフトバレー熱 タンザニア
PRO/AH/EDR> Rift Valley fever, Eastern Africa (15): Tanzania 20070212.0533
 情報源 People's Daily online, Xinhua News agency、2月11日。
Tanzania: 4 hospitalized in North for suspected RVF infection 
タンザニア北部で、リフトバレー熱(Rift Valley fever、RVF) が疑われる 4人が入院していると、2007年2月10日に伝えられた。地元の英字紙は、Arusha の地域医療当局者の発言を引用して、2007年1月31日に同国で初めてのRVF患者2名が死亡した、Mount Meru 病院に 4人が入院していると伝えた。以下、首相がワクチンや家畜の移動禁止などを指示したこと、1998年 Arusha で RV F感染流行が発生し、10人以上が死亡したこと、など。
[ModCP-検査陽性が確定されれば、タンザニアの住民への RVF の深刻な侵攻が発生したことを表す。ケニア東部での感染流行発生地に隣接する、Arusha 地区の家畜での疾患浸透の拡がりについての情報がほとんどない]
関連項目 (14): Tanzania 20070206.0465

● トリパノソーマ症 南アフリカ、マラウイから

PRO/AH/EDR> Trypanosomiasis - South Africa ex Malawi 20070212.0532
 投稿者 Lucille Blumberg 、南アフリカ国立感染症研究所 Dr.、2月12日。
Four cases of trypanosmiasis imported from Malawi
2007年1月、マラウイへの旅行者 4名のトリパノソーマ症 Trypanosomiasis が確認された。この旅行者らは、カナダ、英国、オーストラリアからの旅行者で、全員が 1-3週間前に Kasunga 国立公園を訪れていて、2人はさらにマラウイ北部の Vwasa Marshes 国立公園にも行っていた。
いずれも、突然の発熱で発症; 1人はトリパノソーマ潰瘍が形成された。診断はすべて、末梢血の塗抹標本で確定された。2人に血小板減少、1人は幻覚を発症し、1人は suramin の副作用もしくは合併症としての肝炎を呈した。患者全員の脳脊髄液検査は異常なかった。今日まで、全患者とも、南アフリカでの sumarin 治療によく反応している。
東アフリカトリパノソーマ症はまれであるが、見逃されたり、マラリアと間違えられたりする、急性でしばしば劇症化または死亡する恐れのある渡航者の疾患である。2005年 11月にも 2人の旅行者が、マラウイの Kasunga 国立公園で感染し、南アフリカでトリパノソーマ症の治療を受けている。2001年以降、合計 18例の東アフリカトリパノソーマ症患者が南アフリカで治療を受けており、この患者らはマラウイ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ、ケニアへの旅行者であった。中央および東アフリカの国々の野生動物保護区を訪れる旅行者らは、この病気の危険性について注意を受けるべきである。予防方法はないが、感染した場合には専門家による診断と治療を必要とする。
[Mod.EP-トリパノソーマ症は、アフリカにおいてほぼ 10年前から発生している。2001年、タンザニアへの旅行者がトリパノソーマ症に感染し、アンゴラ、コンゴ、ジンバブエとおそらくスーダンもふくめて発生した最近の感染流行は、この感染症がコントロールされていないことを明確にした。この最近の報告は、マラウイも土着感染を起こしている国であることを示唆し、国内感染の報告は行われていないものの、旅行者での感染報告がこの国で風土病となっていることを示している。さらに詳しい情報は、アフリカトリパノソーマ対策計画 Programme Against African Trypanosomiasis (PAAT) のウェブサイトにある]

◎ 嚢虫症 Cysticercosis 米国

PRO/AH/EDR> Cysticercosis - USA 20070212.0530
 情報源 Washington Times、2月10日
Neurocysticercosis plagues states along Mexico border
有鉤条虫 tapeworm による脳の感染症、神経嚢虫症 [Neurocysticercosis NC] が、米国の特に風土病感染地域であるメキシコ国境沿いの州において、公衆衛生上の問題として浮上しつつあると、米国研究者らが指摘している。NC はもっともありふれた中枢神経系の寄生虫感染症であることが、米国 CDC とカリフォルニア州公衆衛生当局との共同研究で示されており、この研究では、海外旅行や移住により米国などの土着感染していない土地へこの病気が持ち込まれていることを報告している。
「NC は土着感染を起こしている地域で、けいれんの主要な原因となっている。脳内の寄生虫感染はきわめて危険である」と、CDC 寄生虫感染症部免疫化学研究室長が電話で答えた。「糞口感染が主な感染ルートである」と説明した。
神経囊虫症 Neurocysticercosis(NC)とは、特に中枢神経系の異常を来たした嚢虫症 cysticercosis を指し、同時に眼や筋肉に害を及ぼすこともある。
「近年のデータでは、嚢虫症がカリフォルニア州の重要な死亡原因となっっていることが示されている。Emerging Infectious Diseases(2007年2月)の報告では、米国で1990年から2002年までに嚢虫症で死亡した 221人のうち、約 60%がカリフォルニア州の住民であった。患者の多く[187人、85%]が海外で出生しており、137人[62%]がメキシコからの移住であった。米国生まれの 33人の嚢虫症で死亡した患者は、(この調査期間の)嚢虫症関連死亡全体の 15%に過ぎなかった」 と報告した。
NC は、特に南西部で問題となっているが、NY、フィラデルフィア、Charlotte, N.C など他の地域でも確認されていることが、別の報告で明らかになっている。「ヒスパニックおよびラテン系の人々の中で、NC は、けいれんで米国の救急室を受診する人の 13.5%を占めていると、昨年報告された(Acta Neurologica Scandinavica)。
NC は _Taenia solium_ [* 有鉤条虫] として知られているブタの条虫(サナダムシ、 tapeworm)の幼虫(囊尾虫)が、脳や脊髄に侵入しのう胞を形成することで発症する。腸管内の感染時期にある患者は、便中に卵を排泄する。誤ってこの卵を嚥下することで他人に感染する。食品、水、便に汚染された表面により卵が拡散される。もしサナダムシのキャリアである、あなたの調理人や食品取扱者が衛生手順を守らなければ、彼らが触れた食品を摂取することで、サナダムシの卵に暴露し、感染する可能性がある。キャリアは、衛生状態が悪く、ブタが自由に徘徊し、ヒトの糞を食べている途上国出身者であることが多い。このような状態は、メキシコや他のラテンアメリカ、中米諸国では当たり前で、「中国やアフリカの大部分においてもそうである」と説明されている。
NC の患者は、頭痛やけいれんを発症することが多いが、意識混濁、運動失調や死に至ることもある脳浮腫の原因ともなりうる。カリフォルニア州の保健当局広報担当者は、2004年同州で65人のNC患者の報告があったが、2005年には44人であり、2006年の10月までの患者数は45人であると説明した。
調理が不十分な豚肉の摂取に関連するもう1つの寄生虫疾患である旋毛虫感染症 trichinellosis は、肉の冷凍保存が一般的になる以前には、米国においても比較的ありふれた疾患であったが、その原因は違うタイプの寄生虫である回虫 roundworm _Trichinella spiralis_ による疾患である]
[Mod.EP- NC の潜伏期間は数年に及ぶこともあるため、最近米国に移住してきた患者においては、米国内で感染したのかそれとも他の国で感染した可能性があるのかを評価することは重要である。ここでも報告されているように、85%の患者は土着感染地域からの移住者で、患者数の増加は移住者の増加を反映したものである可能性がもっとも高く、米国内での_T. solium_ 感染のリスクが高くなっているわけではない [背景情報]。
原著 Emerging Infectious Diseases is probably Sorvillo et al. EID 2007,13 (February 2007)
参考文献 Sero-prevalence of Taenia solium Cysticercosis and Taenia solium Taeniasis in California, USA. Acta Neurol Scand 2005: 111: 84-88]

● 黄熱 トーゴ WHO
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Togo (03) 20070212.0528
 情報源 World Health Organization Epidemic and Pandemic Alert and Response
(EPR)、2月12日。
3名の検査による黄熱確定患者が発生した、Savanes および Kara 地域でのワクチン一斉接種は、本日(2007年2月12日)開始される予定である。この地域において、20年以上なかった黄熱の再興である。一斉接種は、これら 2つの地域内 11地区の、生後 9ヶ月以上の小児を対象としている。(150万人分の) ワクチンの調達についての説明 (中略) .... 2007年 1月末には、新たに 2例の黄熱患者の報告があり、1名は Kara 地域 (Kozah 地区) で、もう 1名は Mritime 地域( Lacs 地区)出身であった; 2名はともに、セネガル ・ ダカールのパスツール研究所の検査で確定された。WHO アフリカ地域事務局およびトーゴ事務所の支援を受けた保健省による調査が実施されている。Maritime 地域でのワクチン一斉接種を含めた対策が検討されている。
[Mod.TY-トーゴの黄熱患者数がきわめて少ないことは喜ばしく、現在のワクチンキャンペーンによる対策の見通しも良好である]
地図 
関連項目 (02) 20070118.0236

● リフトバレー熱 タンザニア ウシ、ヒツジ、ヤギ OIE
PRO/AH/EDR> Rift Valley fever, Eastern Africa (15): Tanzania
Archive Number: 20070212.0533
 情報源 OIE Disease Information, WAHID, Vol. 20 - No. 7、2月12日。
Rift Valley fever, Tanzania、Reoccurrence of a listed disease
原因ウイルス Rift Valley Fever Virus (Phlebovirus)
新たな感染流行 2007年1月18日、新たに 6件の感染流行が Sale, Ngorongoro, Arusha で発生した。それぞれの流行において、ウシ、ヒツジ、ヤギが感染し、第 1及び第 2の流行が最多でウシ 1800頭、ヒツジ 1290頭、ヤギ 1370頭となっている。対象個体数: ウシ4589頭のうち、感染 54頭、死亡 32頭; ヒツジ 5987頭中、感染 223頭、死亡 144頭; ヤギ 4447頭中、感染 170頭、死亡 90頭
[ModAS-ヒトへの感染リスクを鑑み、現地で行いうる迅速検査が重要]
[ModPC-感染率は 2-3%と低いものの致死率は種を問わず 50%以上である。感染した反芻動物から蚊族によってあるいは直接ヒトに感染する可能性がある。ケニア及びタンザニアの感染地域は、Serengetti, Masai Mara, Ngorongoro, Arusha and Mt.Kilimanjaro といった世界的に有名な観光地に近い場所で発生している。地球環境や動物衛生の早期警戒システムが働いている地域での流行であるが、ヒトへの感染防止のための疾患対策の実施が欠如している.]

● 鳥インフルエンザ 英国、香港、トルコ
PRO/AH/EDR> Avian influenza (32): UK (England), China (Hong Kong), Turkey: 20070212.0534
[1] 英国(イングランド)、シチメンチョウ
Avian influenza outbreak - update
 情報源 DEFRA NEWS RELEASE Ref: 42/07 [URL なし]、2007年2月12日。
サフォーク州の鳥インフルエンザ感染流行に関する会議で、州知事は 1感染の封じ込め(監視強化など)、2感染源・経路の追求(ハンガリーとの協力)、3公衆衛生(食肉)に関するリスクが低いことについて説明した。
[2] 英国 (イングランド)、シチメンチョウ
Bird flu farm resumes production 鳥インフルエンザ感染農場で生産再開
 情報源 BBC News、2月12日。
Bernard Matthews は、今月初めに鳥インフルエンザが確認されたサフォーク州の農場で、シチメンチョウの処分と精肉を再開する。域外から特別許可を得て、生きたトリが持ち込まれる予定である。環境当局の長官は ”科学的に” 生産再開を許可したと述べた。
これまでの経過
2月1日 シチメンチョウが死亡し、獣医師がサフォーク州の Bernard Matthews 農場から呼び出される
同3日  H5N1確認
同5日  環境大臣が野鳥による可能性が高いとのべる
同6日  農場の 15万9千羽の処分完了
同8日  政府当局、ハンガリーのシチメンチョウの肉からの感染の可能性を指摘 BM 社否定
同9日  食品流通への汚染された肉の混入について調査
同10日 スーパーマーケット、家禽の売り上げ不振を否定
同12日 シチメンチョウの精肉再開
[Mod.AS-英国内の報道ぶりについて。もし、ハンガリーと英国のウイルス株が一致すれば、2つの感染流行の直接的な関連や、初回感染流行発生地の詳細がはっきりする。]
[3] 英国(イングランド)、シチメンチョウ
 投稿者 Jim Kent、2007年2月11日。
DEFRA の報告で、TRACES [* 物流データ機関?]のデータベースでは、2007年 1月 24日の H5N1感染流行の前 3ヶ月間にわたって、ハンガリーから英国への家禽の移送が行われなかった事になっていることに疑問。The Sunday Tims 紙は、明らかに少なくとも 2007年 2月 6日まで、このような輸入が続いていたと報じている。このようなデータが TRACES に残っていないのはおかしい、など。
[4] 中国 (香港)、野鳥
Two birds tested for H5 virus in Hong Kong
 情報源 Spiritindia.com、2月10日。
Mong Kok で死亡して発見された silver-eared mesias の初期検査において、H5 亜型鳥インフルエンザの感染が疑われると、農業水産業保護局が述べた。局職員が 2007年 2月 7日に、市民の通報により Boundary Street101-109 において回収した。MongKok の Bird Garden の小売店が調査されたが、問題は見つからなかった。
写真 silver-eared mesia (_Leiothrix argentauris_)
[5] トルコ(Diyarbaikir)、家禽
Preliminary tests detect bird flu in one more Turkish village
 情報源 AFP via Yahoo News、2月12日。
トルコ南東部の新たな村の家禽において、初期検査により鳥インフルエンザが確認されたと、農業省当局が発表した。クルド人が多くすむ Diyarbakir 県の Akcayir村の死亡した 3羽のニワトリで検査が行われ、検査は陽性となり、詳細な検査が行われていると、述べた。トルコで1年前に 4人が死亡したH5N1型ウイルスは、隣接する Batman 県の Bogazkoy 村で先週再興している。 
地図
Extensive Chronology Of Main AI Events And List Of Decisions Adopted By The European Commission In 2007