2007年2月17日

ロタウイルスワクチン 腸重積
◎ 黄熱 ペルー 訂正(マチュピチュはクスコより標高が低い)

● ロタウイルスワクチン、腸重積 サーベイランス
PRO/EDR> Rotavirus vaccine, intussusception: active surveillance
Archive Number: 20070217.0609
 情報源 FDA Public Health Notification、2月13日。
Merck 社製ロタウイルス、生、経口、5価ワクチン(商品名 Rota Taq) 接種後に発生した 28例の腸重積症例の販売開始後の報告について、FDA が医療従事者および消費者に通知した。腸重積についての説明(腸管の一部が近い部分の管腔に重なるように入り込み、閉塞やねじれを生じ、重症化して生命に関わることもある。小腸と大腸の結合部に多い)。
ワクチンの関与があるのか、あるいは自然発生したのかは、はっきりしていない
FDA は、現在および将来の Rota Taq ワクチン接種後の腸重積発生に際しての報告を促すとともに、ワクチン接種後に腸重積が発生する可能性に関する市民あての通知を行っている。以下、現況 (2007年 2月1日までに、全米で Rota Taq ワクチンの 350万接種分が流通し、全てが接種されたわけではなく、認可後 (2006年 2月3日から2007年 1月31日まで)、全米の Rota Taq 接種を受けた乳児から 28件の腸重積の報告があったことのほか、1.2.3 回目のいずれでも発生し、接種後 1-21日後までに半数が発生、死亡はないことなど)、開発の歴史、勧告(報告を勧奨すること、添付文書の変更など)。
[Mod.MPP-今のところ、腸重積の発生率は一般の小児の集団で発生する程度であるが、不幸なことに、この状況は、以前に発売され既にほとんど市場から姿を消した、腸重積の発生を増加させたロタウイルスワクチンを彷彿とさせる。さらなる調査で "無罪" を勝ち取ることを期待する。ロタウイルスは世界中に蔓延し、毎年2歳以下の60万人が死亡すると見込まれている ..]

● チクングニア フランス マダガスカルから
PRO/EDR> Chikungunya - Indian Ocean update (03): France ex Madagascar 20070217.0606
 投稿者 仏・ボルドー大学病院熱帯医学科医師 Thierry Pistone、2007年2月17日。
23才男性のチクングニア患者 1名は、マダガスカルからボルドーへの輸入感染例であった。RT-PCR および血清学的検査 (デング熱血清学検査陰性)で診断が確定された。男性は 2006年 12月から 2007年 1月14日までの1ヶ月間、マダガスカルの Sanbava 地区だけに滞在した。ほかにも同地区で臨床的にチクングニアが疑われる患者1名を聞いている。男性の臨床症状は典型的で、前駆症状なく、高熱を伴う、強く耐え難い多発関節痛と、末梢のしびれを伴うびまん性浸出性紅斑、および落屑(手掌優位)であった。この時期、地元紙で、Sava 地区における (ウイルス検査が行われていない)デング熱様疾患流行が報道されていた。
地図

◎ 黄熱 ペルー(クスコ)訂正
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Peru (Cuzco): correction 20070217.0601
 投稿者 米 ・ アラバマ大学 David Freedman 、2月17日
20070216.0592に関し。
クスコ (3400m) は、マチュピチュ(2300m) よりかなり高地にあり、いずれも標高が高すぎて、ヤブカ属 _Aedes_ が黄熱を感染伝播させることはできない。多くの旅行では、ある場所まで飛行機で行ってそこから目的地まで上ることになるため、誤解されていることが多いが、マチュピチュへ行く場合、旅行者は実際にはクスコまで飛んで、そこから下ることになる。
米国 CDC のガイドラインには、はっきりと以下のように述べられている;
クスコとマチュピチュに限定して旅行する場合(黄熱)ワクチンは不要である。
以前より長期にわたって感染が発生しているクスコ地方(クスコ市ではない)の北部農村地帯で低木のジャングル low-jungle にある La Convencion 州から報告された今回の黄熱感染の3症例は、CDC 勧告の背景にある考え方には影響しない。
クスコとマチュピチュは、南米において最も人気のある観光に特化した目的地で、黄熱ワクチンの重い副作用を起こす確率が高い高齢者で魅了される人は多い。従って、不要なワクチンを過剰に接種することは賢明とは言えない。もちろん、真の危険地域を旅行したり、旅程を決めていない旅行者で、黄熱ワクチンを接種しない者も多いため、かならず旅行前に、資格ある旅行医学の医師に相談することを推奨する。
[Mod.JW- CDC のガイドラインの詳細を知らなかったが、クスコ市がペルーの黄熱リスク地域外にあることは承知していた。Mod. は、大都市も含まれると想定されているペルー全体のネッタイシマカ分布地図と、渓谷地帯で発生した患者はクスコ市に搬送される可能性があることに基づくコメントであった。クスコ市にヤブカ属が存在しないとの情報が得られたので、リスクが存在しないことは明らかである]

● 原因不明の疾患 バングラディシュ
PRO/AH/EDR> Undiagnosed illness - Bangladesh: RFI 20070217.0597
 情報源 The News - International、2月16日
Bangladesh: Death from undiagnosed illness in Northwest 
北西部で原因不明の疾患による死亡
鳥インフルエンザ専門家らが、バングラディシュ北部の原因不明の3人の死亡の調査に加わっていると、政府 BSS通信が2007年 2月14日に報告した。バングラディシュでは、これまで鳥インフルエンザの発生は報告されていない。「ダッカの衛生局は、鳥インフルエンザの専門家を入れた5人のメンバーからなる医療チームを結成して現地に派遣し、調査を開始した。調査は、32才の男性1名が、2007年 1月26日に死亡したことを受けてのものである。24才の男性の妻は、2007年 2月9日に同様の症状を呈した後、死亡した。もう一人の男性は、2月12日にダッカの病院で死亡した。患者の 1人の姉妹を含む他の2名も発病し、入院して危険な状態である。患者は全て、バングラディシュ北西部 Thakurgaon 地区 Beloya 村の出身である。
地図 Thakurgaon 地区

 コレラ赤痢
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2007 (08) 20070217.0607
[1] コレラ - アフリカ南部 (ナミビア、ザンビア、コンゴ、モザンビーク)
 情報源 AllAfrica.com and SciDev.Net (London)、2月15日。
ナミビア保健福祉省事務次官は、患者6人中5人はアンゴラで感染したものと思われると述べた。感染の流行の中心は、アンゴラにあり、コンゴ、モザンビーク、ザンビア、ジンバブエそして今ナミビアにまで拡大した。ザンビアでは、5500名のコレラ患者が報告され、コンゴでは約90人がコレラのため死亡し、2700人の患者が感染した。モザンビークの首都マプトMaputoではこれまで約700人の患者が発生している
[2] コレラ - シエラレオネ
 情報源 Int. Federation of Red Cross & Red Crescent Societies (IFRC)、2月15日。
2007年1月20日から2月5日にかけて、首都フリ-タウンを含めたシエラレオネ各地で、重症の下痢および嘔吐の患者が多数発生している。初期の検査結果で、コレラ菌が検出されている。この最新の感染流行前に、2006年 8月の感染流行のあと、ついで2006年 10月11日に確認された、主に Kambia 地区とフリータウンを襲ったコレラ感染流行から回復したばかりである。以下、Tonkolili 地区の Magbass および Magburaka など、発生地の詳細(省略)。
[Mod.LL-地図 シエラレオネ Tonkolili および Kambia 地区は北部州 Northern Provinceにあるが、お互いは接していない フリータウンは西部にある  
[3] コレラ - ナミビア (Omusati, Opuwo)
 情報源 Namibian、2月13日。
[Omusati地方] Outap i地区でのコレラ感染流行で、50人の患者が報告されている。2006年 11月以来、国内で 250人の患者報告があり、Kunenet 地方 Opuwo 地区で発生した第 1の流行では 5人が死亡した。アンゴラからの感染拡大であったと報告されている。
* Outapi と Opuwa はアンゴラに非常に近い
[4] コレラ - アンゴラ
 情報源 News24.com、2月12日。
2007年初めからのアンゴラのコレラによる死者は 200人を越えたと、2月12日の保健省の報告が明らかにした。合計 208人の死者のうち、42人は首都 Luanda で発生した。コレラ患者の総数は 6051人で、約1/3はLuandaであったと伝えている。2006年のアンゴラのコレラによる死者は約 3000人であった。しかし、当局はアフリカ最悪の感染流行は減少傾向にあると自信を見せていた。しかし、2007年 1月に豪雨が発生し、状況は悪化。特に南部 Benguela 州では、2007年 1月1以降、1245人の患者が発生し、27人が死亡した。2006年 2月、Luanda北部のスラム Boa Vista で発生した致死性だが治療が容易な水系感染症は、27年間の内線でインフラが崩壊し上下水道の完備が贅沢となっている国全体に拡大している。
[5] コレラ - ソマリア (south-central)
 情報源 Independent Online、2月12日。
当局者らは、2007年 1月に中南部で発生したコレラが疑われる感染流行で 121人が死亡し、200人以上が急性下痢症のため入院していると述べた。「水様性下痢症は拡大傾向にあるが、コレラであるとの確認はとれていない」と、モガディシュ Mogadishu の WHO 所長が述べた。2006年後半のアフリカの角を襲った洪水など。
[Mod.LL-前回の急性水様性下痢症の感染流行はコレラによるものと診断されている。(今回)モガディシュで感染が発生しているのか、明らかにされていない]
[6] コレラ - ソマリア (Middle Shabelle, Middle Jubba)
 情報源 Shabelle.net、2月13日。
豪雨と洪水で生活に困窮している、ソマリア南部 Lower Shabelle 県の集落で、10人以上の小児が水様性下痢症で死亡した。以下簡単に、Awdhegle 地方で小児 8人が死亡、Middle Jubba 県 Jilib 地方で主に 5歳以下の小児 16人以上が水様性下痢症で死亡、首都モガディシュから 90km のMiddle Shabelle 県の主要な町Jawhar 近郊で 30 人の小児が死亡、など。
[7] コレラ - コンゴ (Kouilou, Pool)
 情報源 International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies (IFRC)、2月12日。
2006年12月、コンゴ共和国の港湾都市 Pointe Noire で数人の下痢症が報告された。食中毒が疑われたが、のちにコレラと診断された。2006年12月までに60人(うち死者7人)の報告があり、2007年 1月27日、保健省はコレラ感染流行を公式に発表した。1月30日現在、患者数は 3030人(死者20人)にふくれあがった。首都ブラザビル Brazzaville から 500km 南に離れた、地理的に水系感染症のリスクが高い港湾都市の Pointe Noire には、1990 年代に拡大する戦争をさけようと、コンゴの人口の大半が移住したため、30 万人の人口は、現在約100万人になっている。今後雨期によって状況の悪化が懸念され、また、医療資源の不足も危惧されている。刑務所内でも感染流行が発生しているが、治療を受けていない。感染は首都ブラザビルにも波及し、死者 4人を含む 38人の患者が報告されている。
* コンゴ南西部 Kouilou 県の Pointe-Noire、ブラザビルはコンゴ南東部 Pool 県
[8] コレラ - ガーナ (Eastern Region)
 情報源 MyJoyOnline、2月12日。
Akyem Oda 地方衛生部長が、2005年に 12人であったコレラ患者数が、2006年には 86人であったことを明らかにした。
地図 アクラ Accra 地方の北にある Eastern District の Akyem Oda 
[9] 赤痢 -  フィリピン (Camarines Sur)
 情報源 Sun Star、2月11日。
最近 100人を超える下痢症患者が発生していることを受け、Bicol 地方カマリネススル Camarines Sur  州のある Ocampo で監視態勢が布かれている。町の 102人の下痢症患者の原因が赤痢であったと述べた。
[Mod.LL-フィリピンの行政単位 barangay あるいは barrio の説明 フィリピン語で村、地区、区などを表し、municipality あるいは city は barangay の集まったものである]
地図 
[10] コレラ - 世界各国 - WHO WER notifications (コンゴ、ジンバブエ)
 情報源 WHO Weekly Epidemiological Record (WER)、2月16日。
コレラ届出患者数  from 9 to 15 Feb 2007
国名 / 期間 / 患者数 / 死者数
コンゴ / 1 Jan-4 Feb 2007 / 3097 / 50
ジンバブエ / 1-28 Jan 2007 / 28 / 0

● 口蹄疫 ブラジル
PRO/AH/EDR> Foot & Mouth Disease, bovine -Brazil (MS Mato Grosso Do Sul) 20070217.0600
 情報源 Cattlenetwork.com、2月15日。
政府動物衛生当局者は、2005年 10月にも感染流行が発生しているマトグロッソドスル州の 3つの町で、仔ウシ数頭において口蹄疫の原因となるウイルスを確認したことを明らかにしたことが、2007年 2月15日に報道された。いずれもパラグアイとの国境にある、マトグロッソドスル州内の Eldorado, Mundo Novo, および Japora の町で感染が発生した。同州はブラジル第一の仔ウシ生産地であるが、2005年後半以降、牛肉の国際市場から閉め出されている。汚染地域以外からの口蹄疫の報告はない。ブラジルは世界一の牛肉輸出国である。
地図 Eldorado Mundo Novo, and Japora  

●  原因不明の大量死、水きん 米国
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, waterfowl - USA (CO) (03) 20070217.0599
 情報源 The Daily Times-Call、2月15日
下水処理場付近のトリが、耐水能力を失った。2007年1-2月に、コロラド州最大の下水処理場で、多数のカモが謎の死を遂げている。以下長文、省略。

● 旋回病、魚類 米国 MD
PRO/AH/EDR> Whirling Disease, fish - USA (MD) (02) 20070217.0598
[1] 投稿者 Karl M Johnson 、2月16日
以前から東部においても、遊興用の池への人為的な移送などに伴って感染が拡大している。芽胞は魚を食べるトリの消化液にも耐えるが、メリーランド州の今回の事例は西部からの輸入によるものではないと思われる。
[2] 投稿者 Brent Barrett 、2月15日
モンタナ州立大学 Montana Water Center のウェブサイトの旋回病の画像の紹介