2007年2月16日

黄熱 ペルー
Kunjin ウイルス オーストラリア

● 黄熱 ペルー
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Peru (Cuzco)
Archive Number: 20070216.0596
 情報源 Peru.com [Machine translation]、2007年2月16日。
地域保健部長は、最近クスコ地方 La Convencion で発生した3例の黄熱による死亡を報告した。クスコの地域保健部長は、これらの死亡のうち1例が Matoriato 区で報告されたと述べた。当局は、不測の事態に対する、La Conbencion の渓谷地帯に住む住民全てに対する黄熱ワクチンの一斉接種などの対策を推敲することとした。
(→2月17日)
[Mod.JW-La Convencion は、クスコ地方のクスコ市やマチュピチュを越えた、最北の州である。これらの観光地への渡航者は、黄熱ウイルスの保菌患者が入院し都市部の蚊族に感染させる可能性に備え、予防接種を受けるのが賢明であろう。マチュピチュ自体は、ネッタイシマカ Aedes aegypti が生息するには標高が高すぎるが、そこへ行く過程で、まずクスコを通らなければならない]

● Kunjin ウイルス オーストラリア
PRO/EDR> Kunjin virus - Australia (WA) 20070216.0586
 情報源 EMS Network News、2月15日。
Kimberley 東部および Pilbara 東部で、蚊媒介性ウイルスが確認されたことを受け、西オーストラリア Western Australia 州保健当局は、2007年 2月15日、同州北部の住民および同地への旅行者に対し、蚊族の刺咬に対して特別に注意するよう呼びかけた。医療昆虫学医師は、西オーストラリア大学が実施している監視により、今年度の雨季では初めての Kunjin ウイルスの活動が認められたと述べた。"Kunjin ウイルスは蚊族により感染伝播する、Murray Valley 脳炎 (MVE) ウイルスと同じグループに属するウイルスである" と説明した [日本脳炎ウイルスの仲間]。"Kunjin ウイルス感染は、Ross River ウイルス感染症と同じく、関節腫脹と痛み、発熱、発疹などの症状を示す。しかし、MVE のように、頭痛、項部硬直、発熱 [* ?] 、せん妄、昏睡など重症化することはまれである。小さい子供では、初期症状が発熱のみのこともあり、特に傾眠傾向や脱力、易刺激性、食欲低下、一般状態の悪化などを伴うときは早めに医師に相談するべきである。Kunjin あるいは MVE ウイルスに最も感染しやすいのは、赤ん坊、小さい子供、旅行者、新規採用労働者など、はじめて感染地域に入る人たちであるが、上記症状があれば誰でも直ちに医療相談を行う必要がある。北部の雨季の蚊族に媒介される疾患の活動性は高まっておあり、Ross River や Barmah Forest ウイルスなどによる疾患も数例報告されている" と述べた。Kunjin をはじめとするこれらのウイルス疾患に、特別な治療法やワクチンはないため、蚊族による刺咬を防ぐことがもっとも大切である。Kimberley 北東部と Pilbara 地方の蚊族の発生地域全体で、湿地や川沿いに居住、旅行、キャンプなどをする場合の夕方から夜間に、特に注意が必要となる。蚊族のコントロールは、対象地域が広すぎて困難であると述べられている。以下、蚊族の予防策の紹介。
[Mod.TY- 以前の投稿 20010208.0249 で "Kunjin ウイルスはオーストラリアに限定されているわけでなく、 1966年にボルネオ島 Sarawak 州で Kunjin ウイルスが 3件分離されている" と述べられている。パプアニューギニア PNG やインドネシア東部の島々の住民の、血清学的陽性を確認している。PNG の西部州海岸から 4km離れた、Saibai 島の蚊族でもウイルスが分離されている。さらに最近になって、ウイルス分類国際委員会 International Committee for the Taxonomy of Viruses (ICTV) において、Kunjin ウイルスは、ウエストナイルウイルスの亜型に再分類されている]

●  鳥インフルエンザ、ヒト エジプト
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (38): Egypt, WHO 20070216.0584
[1] エジプト、13例目の死亡
Egypt: Avian influenza situation - WHO Update 5
 情報源 World Health Organisation (WHO), Communicable Disease Surveillance & Response (CSR), Disease Outbreak News、2月16日。
2007年 2月16日、エジプト保健人口省は、13例目となる H5N1 型鳥インフルエンザによる死亡を確認した。2007年 2月15日に感染が公表されていた、この 37歳の女性は、本日、2007年 2月16日に死亡した。エジプトで確定された 21人の患者のうち、13人が死亡した。
[2] エジプト、22人目の患者
エジプト:鳥インフルエンザで女性死亡、小児感染
 情報源 Reuters Foundation AlertNet, 2月16日。
カイロの病院でエジプト人女性 1名が死亡し、5才の男児 1名の致死性疾患検査が陽性となり、エジプトの 22例目となったと、2007年 2月16日に保健当局者が述べた。WHO の専門家は、エジプトにおけるこれらの新しい死亡の背景に、報告システムの遅れが大きく関与していると述べた。2006年12月に 3人が死亡した変異ウイルス株の発生は疑われていないと語った。死亡した 37歳の女性の容態は、カイロの病院へ搬送された後、安定し回復に向かっていると報告されていたがその後悪化した。5才の男児は、タミフルによる治療を受け状態は安定している。2007年 2月14日に高熱で発症し、鳥インフルエンザの検査結果が陽性となった。自宅でトリを飼育していたこの女性は、病鳥との接触後2007年 2月17日に入院した。2007年 2月に鳥インフルエンザで死亡した 17歳の少女と同じFayoum州の出身である。患者の多くに病鳥との接触があった。この冬の死亡率は、温暖な 5ヶ月間の患者発生空白期間前の、2006年 3月から 5月までに比べて、有意に高率である。エジプトで初めてヒトでのウイルス感染が発生した2006年 3月から、その後しばらく患者が発生しなくなった 5月までのエジプトの鳥インフルエンザ患者 14人のうち、死亡したのはわずか 6人であった。2006年 10月にエジプトに再びヒトでの感染が発生したのち、8人が鳥インフルエンザに感染した。7人が死亡し、そのうち3人はタミフルに中等度の耐性を示すウイルスに感染していた。この女性は2007年 2月7日に症状に気づいたものの、5日後まで入院しなかった。「すぐに報告せず、暴露を否定した。」と、WHO エジプト事務所の当局者は述べ、治療開始に重大な遅れがあったことをほのめかした。これに先立つ、17歳の少女の死亡も早期の治療が行われなかったことに大きな原因があると述べた。当初、家族が、彼女の病鳥との接触を否定したため、季節性のインフルエンザとして治療を受けていた。

● サルモネラ感染症 米国、ピーナッツバター
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Tennessee, peanut butter - USA (03) 20070216.0578
 情報源 CDC、2月15日。
概略 
CDC、FDA、および各州の当局者らは、サルモネラ菌Tennessee による感染流行の調査から、Peter Pan ブランドのピーナッツバターの摂食が最も可能性の高い原因と考え、また、同じ工場で生産されている Great Value ピーナッツバターとともに、汚染されたリスクがあると考えている。ビンのふたにある製造番号が "2111"で始まる、Peter Pan および Great Value ブランドのピーナッツバターは、ジョージア州の同じ工場で製造され、全国的に出回っている。以下、発生した州ごとの患者数の内訳(省略)。2種類の近い関係にある DNA 指紋パターンと感染流行に関連性がある。

● ムンプス スペイン 2006-2007年
PRO/EDR> Mumps - Spain (Navarra) (02): 2006 - 2007 20070216.0577
 情報源 Eurosurveillance weekly releases 2007, Volume 12, Issue 2、2月15日。
2006 年8月から 2007年1月にかけて、スペイン北東部の自治区 Navarra で、1300人以上のムンプス患者が発生したことが報告された。第1の感染流行は、2006年8月10日に人口 3860人の Viana で行われた夏祭りに関連すると考えられる、19人の患者で発生した。以下、診断、検査成績、検討 ....

● E 型肝炎 ネパール
PRO> Hepatitis E - Nepal (02): background 20070216.0576
 情報源 The Gideon Database、2月15日。
Nepal: Hepatitis E - background information
この疾患は、7月から8月に多く、3主に5才以下のヒトに発生する。カトマンズで発生する肝炎の50-85%が E型肝炎であり、同市内でおこる黄疸の主因となっている。原因不明の急性肝炎の56%を、E型肝炎が占める。12-19才では、非流行期には、人口 10万対9900の割合で発生すると予測されている。1995年のカトマンズ渓谷での感染流行で 432人が入院した (死亡 19例を含み、うち1例は妊婦であった); 1996年には入院患者 1166人(死亡27人、出産前の女性13人)。抗体保有状況は、一般人口の 10から12% (1992-93年)、カトマンズの健康な成人および若年者で 16から31% (1996年)、成人の 30から 37% (1995年)、成人の肝炎患者の 95% (1987-88年)、ネパールの国連平和維持活動家の 37%。Kathmandu Valley (1995) において、放し飼いにされたブタ (_Sus scrofa domestica_)、ネズミ(_Rattus rattus brunneusculus_), バンディクート bandicoot (_Bandicota bengalensis_) およびトガリネズミ (_Suncus murinus_) の血清中の抗体が確認されている。主な感染流行は、1973-74年、81-82年、95年(いずれもカトマンズで発生)。ネパールの首相の感染により、著名人の E 型肝炎患者は 35人となった.。

● 麻疹 クウェート
PRO> Measles - Kuwait (Jahra) (02) 20070216.0575
 情報源 Gideon 、2月14日。
周辺諸国では the 1980s 以降、激減していた See graph が、the 1st Gulf War を境に急増 (1240 cases during 1991 through 1994) associated with a temporary lapse in vaccination coverage. 

● 鳥インフルエンザ 家禽か渡り鳥か
PRO/AH> Avian influenza, poultry vs migratory birds (13) 20070216.0587
[1] 日本(宮崎県、岡山県)
鳥インフルエンザ、ネズミによる感染拡大の疑い Rodents suspected in spread of avian flu
 情報源 The Asahi Shimbun、2月16日。
研究者らは、宮崎県と岡山県の 4つの農場で最近発生した鳥インフルエンザ感染流行は、中国から渡り鳥によって運ばれた H5N1型ウィルスが、ネズミによって感染拡大したと考えている。専門家らは、渡り鳥がこの1ヶ月間 [2007年1-2月]に発生した 4つの農場の感染流行の原因であることで意見が一致している。しかし、2月14日の会議で、感染拡大には他の要因も関係していると述べた。調査担当者らは、家禽が大型の渡り鳥と接触しないよう、ネットやカバーが設置されていることを確認している。さらに、3つの農場で死亡していたニワトリは、鶏舎の入り口から最も離れた場所で見つかった。このため、野鳥が感染の直接の原因である可能性は低い。「おそらく、ネズミのような小さな齧歯類が鶏舎にウイルスを持ち込んだものと思われる」と、専門家チームを率いる鳥取大学獣医学微生物学教授が説明した。ネズミの感染は中国からの野鳥による可能性が高いと述べた。農水省の作業部会では、4農場の H5N1ウイルスが、2005年以降、中国西部青海湖で多数の野鳥が死亡したウイルスと同じものであったと述べた。また、2007年1月に韓国のアヒルの排泄物中のウイルスとも一致している。「おそらく、中国と朝鮮半島を通って、ウイルスが西日本に持ち込まれたものと考えられる」と大槻公一・京都産業大学獣医微生物学教授が述べた。専門家らによれば、冬期の渡り鳥の経路は3通りで、北海道を通る経路、日本海を越えるものと、第3の朝鮮半島を通過するものである。カモは感染しても発病しないことが多いことから、カモによって鳥インフルエンザが運ばれた可能性が高いと考えられている。しかし、鳥インフルエンザウイルスはカモの腸管内で増殖し、便中に排出される。環境庁の調査により、野生のカモが日本の感染が発生した養鶏場の半径10km以内に飛来していることが分かった。日本の養鶏場でネットなどを用いた防護策は、カモなどの大型の野鳥を遠ざけるには十分機能してきたが、ネズミや小型のトリは、それでも鶏舎内に侵入できてしまう。ネズミが鳥インフルエンザのキャリアであることが証明されれば、同じような感染流行を防ぐことはきわめて困難となる。「侵入防止も必要だが、トリのストレスを軽減し家禽の抵抗力を強化することやウイルスの排出や不活化のため、鶏舎内の換気の改善も重要である」と北海道大学獣医学微生物教授が述べた。国立感染研感染症監視センター長の岡部信彦氏は、ヒトに感染するタイプのウイルスへの変異の可能性について、「過度に不安がる必要はないが、注意を怠ることも出来ない」とし、早期発見と感染した家禽の処分により、日本における変異の可能性は低いままであると述べた。
[Mod.MHJ-2点について: 野生齧歯類の推測は容易だが、関連性の証明には、他の可能性のある仮説をもたない想像以上のものが必要である。3つの養鶏場で感染したニワトリが入り口から最も遠い位置にいた事実は、齧歯類以外の共通因子が存在した可能性を考えさせる。1967-68年の口蹄疫感染流行について記した論文の中に、農場の齧歯類が関与した可能性に関するものがある。当時、農業漁業森林省のアウトブレイク質問用紙は、農場の齧歯類やハリネズミ-政府質問票は科学よりも歴史に重きを置いていた-に関する質問事項が含まれていたが、頻繁に移動する齧歯類からのリスクが認知されていたことから、積極的に齧歯類を根絶する計画が実施された。私は農場を訪れるたびに齧歯類の状態を詳しく調べた。口蹄疫感染が発生した農場のうち、齧歯類が棲みついている農場と、齧歯類がいない農場との間で、そのすぐあとの口蹄疫発生状況に違いは見られなかった]
[2] 英国(イングランド)
Veterinary risk assessment for the animal health risks of HPAI [highly pathogenic avian Influenza] potentially infected poultry meat
 情報源 UK Defra Document、2月15日。
高病原性鳥インフルエンザ汚染の恐れのある家禽の肉の、動物衛生上の獣医学的リスク評価
全文を読む必要があるが、要点としては:結局、得られた証拠からは汚染された家禽の肉は、ハンガリーから英国に持ち込まれたと結論することは出来ない。ハンガリー政府当局は、シチメンチョウが立ち入り禁止地域から出たものではなかったことを確認した。しかし、そうであったとしても、1つの群だけしか感染していなかった可能性が高い。輸入された特定の組織に、低レベルのウイルスが含まれていたと思われる。動物での疾患が発生しうる、食品中の感知されない低レベルのウイルスのリスクの背景強度に対し、上述の危機管理対策が実施されている。汚染された家禽の肉が英国内に存在する可能性は低い。すでに、動物衛生のリスク低減の対策が実行されており、ハンガリー産の肉を追跡して処分することは、不均衡かつ不要である。
[Mod.MHJ-他のDefraによる状況報告紹介
1. H5N1 Avian Influenza in poultry, Upper Holton, Suffolk
2. Summary of initial epidemiological and virological investigations to determine the source and means of introduction of highly pathogenic H5N1 avian influenza virus into a turkey finishing unit in Suffolk, as of Wed 14 Feb 2007
3. Joint Food Standards Agency, the Meat Hygiene Service, Health Protection Agency, and Defra report into the possible transmission of H5N1 avian influenza virus from imported Hungarian turkey meat to the UK]

● 口啼疫、ヒツジ パレスチナ自治区
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease, ovine - Palestinian Authority: OIE 20070216.0585
 情報源 OIE Disease Information, WAHID Vol 20 - No. 7、2月15日。
Foot & mouth disease, Palestinian Autonomous Territories、Reoccurrence of a listed disease
前回流行発生 2006年6月20日
原因ウイルス 口啼疫ウイルス 血清型O
Outbreak 1: Beit Foreek, Nablus, West Bank
流行開始: 2007年2月2日
感染種:ヒツジ
対象個体数: 500: 感染57死亡: 10
Outbreak 2: Rojeeb, Nablus, West Bank
流行開始:2007年2月2日
感染種:ヒツジ
対象個体数50;感染17;死亡1
Outbreak 3: Salem, Nablus, West Bank
流行開始:2007年2月2日
感染種:ヒツジ
対象個体数27;感染1;死亡1