2007年2月18日

ボツリヌス中毒 オーストラリア、北米
E 型肝炎 英国、ブタの保菌

● ボツリヌス中毒 オーストラリア、北米(2件)
オーストラリア
PRO/EDR> Botulism, nachos - Australia (VIC)
Archive Number: 20070218.0619
 情報源 The Age、2月17日。
衛生当局は、メルボルン Melbourne の男性1名が、死亡する可能性のあるボツリヌス中毒に罹患したことを受け、包装済みナチョスを食べないよう注意を促している。メルボルン西部の郊外に住む 26才男性は、集中治療室にあって 2週間以上にわたり、まれだが危険な状態となっていて、通常生存しても後遺症を残す。以下、当局から賞味期限4月19日の南オーストラリア州 Mexican Express 社製の Nachos To Go brand を食べないよう注意が出されていること、中のチーズが疑われていること、男性の診断が困難であったこと、など。

北米
PRO/EDR> Botulism, baby food - North America: alert, recall 20070218.0618
 情報源 CCN Matthews、2月17日。
カナダ食品監視局は、FDA の発表を受け、一部のベビーフード Earth's Best Organic 2 ApplePeach Barley Wholesome Breakfast baby food について、ボツリヌス菌による汚染の恐れがあるとして、監視を続けている。FDA は回収製品がカナダの消費者に直接小売り販売されていないことを確認している。しかし、インターネットを通じて購入することは可能であった。市民に対し、この製品を食べさせないよう注意している。今のところ、カナダおよび米国において、この製品に関連した疾患は報告はない。

● E 型肝炎 英国
、ブタの保菌
PRO/AH> Hepatitis E, porcine carriers - UK (England) 20070218.0615
 情報源 The Veterinary Record, Vol. 160, No. 6 [URL なし]、2月10日
Hepatitis E virus in pigs in the UK and other industrialized countries
スペインおよびドイツはヨーロッパ最大の豚肉生産国である。
Veterinary Record of 10 Feb 2007; Vol. 160 - No. 6:202 の報告(Title: Transmission of hepatitis Evirus)では、EU 諸国その他の E 型肝炎ウイルスの蔓延について議論されている。先進国においても土着感染が証拠として積み上がりつつある E 型肝炎ウイルスが人獣共通感染症でもある可能性が示されている。ブタニホンジカ sika deer をのぞき、他のほ乳類からの感染はほとんど見られない。
英国や他の先進工業地帯において一般に、土着感染によりヒトに感染した HEV ウイルス株の遺伝子配列の高い相同性は、他の国のヒトの感染株には認められないが、その国の国内のブタの群れで確認されるウイルス株には非常に近い。一部の例では、アミノ酸レベルで 100% 一致することもある。いろいろな可能性が考えられるが、最も直接的な人獣共通感染の証拠は、生または調理不十分なHEVに汚染された肉の摂取である。
日本とオランダの研究で、PCR により、市販されている豚の肝臓の 3/197 (1.5%) および4/62 (6.5%) に HEV が確認された。Cornwall (England) での調査では、ブタの肝臓で HEV が確認されなかった。HEV が国内の豚肉にないと言うことにはならないが、感染のリスクは低く、2007年の 21人のCornwall 郡の HEV 患者の感染源は特定できないことになった。以下、豚肉での HEV 調査の有用性など。
[Mod.CP-HEV は腸管経由(経口)で急性肝炎の感染流行を発生させる。HEV はカリシウイルス科(ノロウイルス など)に属するが、生物学的に区別される。亜熱帯および熱帯地方の病原体と認識されているが、おそらく病原性の低いかたちで、世界中にウイルスが拡散していることが、抗体の調査によって示唆されている。HEV は一つの血清型で、ヒトとブタでの感染循環株の間で広範囲の交叉反応を示す。ヒトのウイルス株のエピトープをもつ交叉反応性抗体は、多数の齧歯類やほ乳類でも確認されているが、純粋なウイルスは分離されていない。4種類の識別可能な HEV 遺伝子型が定義ト HEV の遺伝子型 3型および 4型のウイルス株に近い。ブタと霊長類の間で、種を越えた 3型の感染伝播が実験的に示されているが、自然感染の証拠は得られていない]
地図 英国の南西のはずれに Cornwall 郡が示されている

● 鳥インフルエンザ ロシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza (36): Russia (Krasnodar), wild ducks, susp. 20070218.0617
 情報源 EuroNews、2月18日。
Bird flu spreads in Russia ロシアで鳥インフルエンザ感染拡大
モスクワ周辺の感染対策が行われている中、鳥インフルエンザが、ロシアの新たな場所に拡大している。黒海沿岸の Anapa 付近で多数の死亡が発見されたことを受け、野生のカモ約 3000羽が処分されている。これとは別に、専門家らは首都に近い第 4の場所で、検査を行っている。獣医学当局者は、先の 3件と同じく、H5N1 ウイルスにほぼ間違いないと述べた。4件の感染流行のニワトリは全て、モスクワを周回する主要道路に近い市場で購入されたことが分かっている。ロシアでは、ヒトでの感染は発生していない。死鳥と接触した人たちが病院を受診しているが、何も症状は見られていない。ロシアでは 2007年の 2件目で、首都付近では初めての感染流行である。
[Mod.AS-Anapa は、ロシア南西部 Krasnodar 地方の港湾都市である。アゾ海に近い黒海の北岸に位置する。2007年 1月29日に、ロシア政府は Krasnodar の H5N1 感染流行について、地元のニワトリ、伝統飼育のアヒル、ガチョウ、シチメンチョウが感染したとの OIE への報告を行っている。野生のカモを処分することは例外的で、議論を呼ぶ対策である。感染したとされる "wild ducks" の正確な内容を含めた公式情報が望まれる]

● Devil facial tumor disease オーストラリア、タスマニアデビル
PRO/AH/EDR> Devil facial tumor disease - Australia (TAS) 20070218.0616
 情報源 International Herald Tribune、2月16日。
Tasmanian devil may become endangered species because of cancer. The population falls sharply as scientists search for a cure. 
個体数激減し、種の危機に直面
世界最大の有袋肉食動物で、アニメキャラクター Taz の元となったタスマニアデビルの 3/4 が、ガンの一種により死亡した。以下、頭部と口に腫瘍が発生し摂食困難となり数ヶ月で死亡する病状、1996年初めて写真家によって発見されたあとの経過、主に咬傷によりガン細胞の伝播が起こること、対策などの長文 ...