2007年2月21日

◎ A 型肝炎 米国
原因不明の死亡、ヒト、ブタ パプアニューギニア

◎ A 型肝炎 米国
PRO> Hepatitis A, restaurant - USA (TX)(02) 20070221.0645
 投稿者 Baylor医科大学 / Hollinger Blaine 、2月21日
免疫グロブリンの注射について
免疫グロブリン注射が、”疾患への曝露後 2週間以内に使用されなければ有効ではない” という、実験的あるいは疫学的証拠はなく、ウイルス感染につながる様な曝露条件や量により、潜伏期間は延長する。
公衆衛生の観点から、CDCはデータの解析に基づいた”曝露後 2週間を超えて行われる接種の効果は確認されていない” との適切な記述により、この論争を避けている (MMWR)。
小児への定期接種は、米国内での A型肝炎事例の減少に効果的な方法である。最新の予防接種勧告は、小児期の A型肝炎予防接種政策の最終段階に相当する。しかし、医師ら医療関係者は、曝露後2週間を超えて投与された免疫グロブリンであっても、一部では感染を減弱させたり防止したりする可能性があることをよく理解しておくべきである。感染源となった患者が発病したり、黄疸を発症したりした場合に、有用である。診断されたらすぐに、施設で働く他の食品取扱者に免疫グロブリンが投与されるべきであるが、接触した患者に(下痢のような)疾患が伴う様な状況がないのであれば、客らに感染が伝播するリスクは低い。
私見だが、このレストランは客らに対し免疫グロブリン接種にかかる費用を出すべきである。
関連項目 20070220.0639

● 麻疹 北朝鮮
PRO> Measles - North Korea (02) 20070221.0644
 情報源 International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies, Reliefweb、2月19日
DPR Korea: Measles Epidemic Information Bulletin No. 1
要約 2006年 1月以降、北朝鮮全域の 30の郡の約 3000人が麻疹ウイルスに感染したと診断されている。2007年 1月4日の時点で、4人の死亡が報告されている。小児 2名と成人 2名が、麻疹および肺炎などの合併症で死亡した。国内の地域医療機関は 1013人の患者に治療を行っている。麻疹の確定診断は、2007年 2月15日に政府公衆衛生省から報告され、この情報は、2007年 2月16日の、国際協力機関 International Federation、北朝鮮赤十字、WHO および UNICEF の代表者らが出席する合同会議で公表された。ワクチンの一斉接種が行われている ... 以下、状況 (2006年 11月の Pujon ri の第 1例は当初風疹と診断されており、確定診断されたのは2007年 2月15日になってからであったこと。15年間発生がなく医師らが診断になれていなかったことや非定型かつ異なる遺伝子型 [H1、中国 ・ 日本 ・ 韓国 ・ モンゴル ・ ベトナムで確認されている] であったこと)、活動、目標など。
[Mod.MPP- 40歳以下の全人口にワクチン接種を行うとの決定は、これらの人口を含む患者の年齢構成であることが示唆され、国内で定期ワクチン接種に麻疹ワクチンが導入された年に、おそらく一致する。以前の投稿にあったように、WHO のワクチン活動のウェブサイトによれば、北朝鮮では麻疹ワクチンの 1回接種が行われていると報告されており、スケジュールに従った適切な接種歴のある人たちに、たくさんの患者が発生している可能性がある。全人口にワクチンを行う決定は、リスクがあるとされた年齢層の人口に、麻疹ワクチンの 2回目の接種を行う目標で行われるものと思われれ、賢明な策であるが、過去 10年以上にわたり報告されている高いワクチン接種率からすれば、人々は予防接種の必要性をよく理解しており、一斉接種にも積極的な反応を見せるに違いない]

● 原因不明の死亡、ヒト、ブタ パプアニューギニア
PRO/AH/EDR> Undiagnosed deaths, human, swine - Papua New Guinea: RFI 20070221.0641
[1] 女性3人が死亡、ブタ 1000匹も原因不明の病気で死亡
 情報源 The National、2月19日。
[パプアニューギニア PNG] Southern Highlands 州の辺地 Mt. Bosavi および Walagu で、女性 3人が汚染されたブタを食べた後死亡した。およそ 1000匹のブタが原因不明の疾患の流行により死亡している。これらのブタは頚部が腫脹し、インフルエンザ様症状と発熱があり、体の一部が壊死を起こして数日のうちに死亡する。同じような症状で、他の動物も死亡しており、当局者らは死骸で河川が汚染されることを恐れている。
Mt. Bosavi and Walagu は Western 州および Walagu 州との境に近接しており、飛行機でしか近づくことができない。この辺境地帯には約 16000人が住み、Kubutu 州 Moro から歩いて 3日間の距離にある。政府非常事態副管理官と Southern Highlands 州の家畜専門家は、2007年2月14日、調査のためヘリで Bosavi と Walagu に入った。
これまで正式な診断名はつけられていないが、火薬による汚染によるといわれている、恐ろしい兵器炭疽 'weapon anthrax' である可能性を恐れている。インドネシアのパプア州から移動してきた動物により疾患が持ち込まれた可能性があり、そこでは密猟者らが動物の狩猟のために銃を使用していることが知られている。同様の症例が Western および Gul f州でも報告されており、ハンターらが四肢が壊死を起こしている生きた動物に遭遇している。Walagu において、腸が壊死を起こした生きたブタ 1匹がみつかり、耐え難い悪臭を放っていたことは、兵器炭疽に詳しい情報源からの記載に近似している。
以下、環境調査の着手、 Walagu で 200人近い発熱患者が発生し、抗生剤治療が行われているが不足していること、主食の sago や魚や動物がとれないこと、住民らに動物の死骸は、他の動物が掘り起こして食べないように、地中深くに埋めるよう指導していること、など。
[Mod.MJ- sago は、Sago palm Metroxylon sagu の幹の中の、木髄を精製して作る粉末状のでんぷんで、ニューギニアやモルッカ諸島 Moluccas の低地民族の主食である]
地図 Southren Highlands 州
[Mod.MHJ- ついでに、PNG で発生した豚熱感染流行に関する "PNG pig death mystery" という本が 2004年に出版されている]
[2] 投稿者 Mike Nunn Principal Scientist (Animal Biosecurity) Biosecurity Australia、2012年2月20日

● 原因不明の死亡、ウマ 香港
PRO/AH/EDR> Undiagnosed disease, equine - China (Hong Kong) RFI
Archive Number: 20070221.0647
 情報源 The Sydney Morning Herald、2007年2月19日
謎のウイルス、香港の競馬に脅威
香港の競走馬を襲っているウイルス感染流行の記事....

● 鳥インフルエンザ ロシア・パキスタン・アフガニスタン、英国-ハンガリー(2件)
PRO/AH/EDR> Avian influenza (39): Russia, Pakistan, Afghanistan 20070221.0646
[1] ロシア (カルーガ Kaluga)、疑い 
鳥インフルエンザ、モスクワ地域を越えて拡がる
 情報源 Itar-TASS、2月19日。
連邦獣医学監視当局は、Kaluga 地方 Borvskoi 地区の鳥インフルエンザ事例の報告を受けた。モスクワの北にある Dmitrov 地区 Ugino 村で発生した別件の感染流行により、(鳥インフルエンザ感染に関して)名前を知られたモスクワのペット市場で農場主がニワトリを数羽購入した数日後に、すべての農場のニワトリが死亡した。以下、モスクワで発生した感染流行、当局の対応、同ペット市場による今後の発生の可能性など。
[Mod.AS -Kaluga 地方 (oblast) は、モスクワ地方の南西部と接する。24ある地域 ("rayon") のうち Borovskoi は Kaluga 地域の北東部にあり、モスクワ地方の南西部にあたる。 WHO の地図には、2007年 1月1日以降 2月19日までの、家禽および野鳥の H5N1型鳥インフルエンザ感染発生報告が示されている。.モスクワ地方の庭先飼育の家禽における、3件の感染流行は 2007年 2月19日に OIE に正式に報告され、発生地は、Podolsk (飼育されているニワトリとガチョウ), Domodedovo (飼育されているニワトリ、シチメンチョウ、ハト) および Zvenigorod (飼育されているニワトリとホロホロドリ) 亜地区の村々である。この 2日間に新たな感染流行がメディアにより伝えられているが、検査による確定はまだなされていない。明らかにこれらの流行は、オランダによって "hobby holdings." と定義された部分に含まれている]
OIE 地図や詳細情報
[2] パキスタン
 情報源 Business Standard、2月20日。
パキスタンにおいて、最近イスラマバード Rawalpindi および Mansehra の家庭で飼育されているニワトリ、小鳥 birds、クジャクにおける、H5N1型感染が確認された。渡り鳥が感染源であると考えられている。これらの地区の感染は多少なりとも制圧されつつあるが、他の地域への渡り鳥によるウイルスの拡大が否定されたわけではない。トリが国境を越えて飛ぶことを止めることはできないため、インドに対しても脅威である。渡り鳥たちが帰途につき始め、インドでの鳥インフルエンザ発生リスクが高い時期は終わったといわれている。しかし、今後 20-30日間は重要であると述べられている。以下、対応策など。
[Mod.AS -パキスタンからの最新の、2件の流行に関する OIE への公式報告は、2007年 2月7日に到着した。報告では、パンジャブ Punjab 州 Rawalpindi 地区の 1つの村の庭先飼育の家禽(雌鶏)と、北西辺境州 Abbottabad 地区 Manshera 亜地区の 1つの村の、クジャク、キジ、ハト、アヒル、インコ parakeets などの観賞用のトリを含めた庭先飼育の家禽について、述べられている。他の報道によると、イスラマバードの感染流行は動物園において発生し、のちに飼育されているクジャクとガチョウで H5N1型が確認されている。公式の届出を待ちたい。]
[3] EFSA : 動物園における H5 および H7 ワクチンについての科学的見解加盟国において、委員会承認の計画の下に、動物園で飼育されている鳥類に対して、予防策として実施されているH5およびH7亜型鳥インフルエンザワクチン接種についての科学的見解(2007年2月1日採択)
 情報源 EFSA website, AHAW opinions、2月20日。
要約 
(17カ国参加の)委員会によって承認された鳥インフルエンザに対する予防ワクチン接種実施に関し、2006年 8月29日に開催された SCOFCAH 鳥インフルエンザ作業部会の会期中に、EUの加盟国のうち 13カ国から、動物園の鳥類に対する鳥インフルエンザ対策としてのワクチン接種に関するデータが示された。EFSA は、(標題の)動物園の鳥類や世界の他の地域の H5および H7亜型ワクチン接種についての科学的評価を提出するよう求められている。とくに用量、抗体反応、それぞれの種における免疫付与期間についての評価が要求された。科学的見解の成果は、欧州委員会全体のワクチン計画に重要な影響を与え、加盟国のワクチン計画策定の際の情報源となる。Mandate(指令)の言葉のとおり、EU 加盟国は、評価と科学的見解の集積のため、EFSA に対して、これらのデータを提出することを承認した。科学的見解は2007年 2月1日の全体会議で採択された。最も関連性の高い結論と勧告としては;
 -ワクチンのスケジュール、用量、投与経路に違いがあった
 -方法論と血球凝集阻止反応(HI)に用いる抗原の検査室間の相違があった
 -異なる分類学上の種目ごとに違うワクチンを使用していることと、不完全な結果報告のため EU 加盟国全体の一部のデータの評価が限定されることが度々あり、到達した結論の信頼性を揺るがせかねないこと
家禽での使用を目的として開発され、承認を受けた、H5 および H7亜型鳥インフルエンザに対するワクチン接種は、安全であり、動物園のほとんどの分類の鳥類において、HI血清抗体価誘導において有効であった。 EU で家禽用に登録されている H5 および H7ワクチンは、動物園の鳥類への 2回接種後の HI 反応の面で違いが見られた。評価対象の 5つのワクチンのうち 3つのワクチンは、接種されたほとんどの鳥類で、誘導される血清HIl抗体価が比較的高かった。ワクチン接種、検体採取、検査、報告の標準的手順は、EU 全体で統一し、動物園の鳥類に対する鳥インフルエンザワクチン接種計画の評価と将来の実施を最適化しなければならない。動物園の鳥類の異なる種における、効率的な接種スケジュール・経路・用量についての方式を確立するための研究が行われる必要がある。中でも、こういった研究により、ある種においては、追加接種回数の減少につながる可能性がある。
[Mod.AS- EFSA の見解の全文は上記 URL で読むことができる。2007年 3月20-22日に、OIE/FAO/IZSVehe による "Vaccination: a tool for the control of Avian Influenza ” 国際科学会議が、イタリア・ベローナで開かれる]
[4] アフガニスタン
アフガニスタン東部で家禽のH5N1型鳥インフルエンザ確認、国連
 情報源 AP via IHT.com、2月21日。
アフガニスタン政府当局は、東部の都市のニワトリに H5N1型鳥インフルエンザの感染流行が発生したことを受け、家禽の処分を行ったことを、2007年 2月21日、国連担当者が明らかにした。鳥インフルエンザは、東部 Nangarhar 州と Kunar 州で報告されていると、FAO のアフガニスタン代表が述べた。Nangarhar 州の州都ジャララバード Jalalabad のニワトリの検体で、H5N1 ウイルスが確認されたが、Kunar 州の感染流行の原因ウイルスの正確な型は、まだ同定されていない。アフガニスタンでは、2006年の 3月と 4月に首都カブールと Kapisa,Ligar,Nangarhar 州で H5N1 の感染流行が初めて報告された。ヒトでの感染の報告はない。最新のアフガニスタンの感染流行は、隣国パキスタンで当局が、クジャクやガチョウのH5N1感染が検査により確定したことを受け、首都イスラマバードの動物園の閉鎖を行った、翌日に報告された。「パキスタンと同じウイルスであるかは分からない」 アフガニスタンは、渡り鳥の通り道で、地域内の国をまたいだ商取引が盛ん。

PRO/AH> Avian influenza (38): UK-Hungary virus sequence 20070221.0643
 投稿者 Director of International Reference Laboratory for Avian Influenza VLA Weybridge、Veterinary Laboratories Agency (VLA) Ian Brown、2月21日
Announcement: Submission of genetic sequences from Hungarian and UK H5N1 viruses
Weybridge 獣医学研究局 (VLA) は、以下の H5N1 型鳥インフルエンザウイルスの、全遺伝子配列解析が提出されたことを通知する。
A/Turkey/England/250/07,
A/Goose/Hungary/2823/07,
A/Goose/Hungary/3413/07.
GenBank に登録中であり、アクセス番号が割り当てられ次第、利用可能とする予定である。

● ボツリヌス中毒 オーストラリア、ウシ
PRO/AH/EDR> Botulism, bovine - Australia (QLD) 20070221.0642
 情報源 Australian Broadcast Corp., news online、2月20日。
一次産業局は、クイーンズランド州西部の複数の大農場から、ボツリヌス菌の感染流行により、100頭以上のウシの死亡が報告されていることを明らかにした。獣医師らは、広範囲の干ばつと、飼料中のたんぱくおよびリンの不足が、これほど多数の死亡となった原因のひとつであり、ボツリヌス菌が生きている骨や死骸をウシがあさることも要因であるとしている。ワクチン接種により予防可能であると説明されている。
[Mod.TG- 農場で発生したボツリヌス菌のタイプを知る必要がある。通常動物ではCまたはD型である]
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