2011年9月26日

黄熱-ウガンダ 南スーダン・スーダンから
鳥インフルエンザ: H5N1,哺乳類における感染伝播

● 黄熱-ウガンダ 南スーダン・スーダンから
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Africa (19): Uganda ex southern Sudan, Sudan
Archive Number: 20110926.2922
[1] ウガンダ 南スーダンから
 情報源 Afriquinfos [in French]、2011年9月26日。
WHO およびウガンダ保健省により、ウガンダ北部における黄熱感染流行 yellow fever [YF] epidemic が確認された。保健相は取材に対し、感染拡大への予防措置が行われることになっていると述べた。WHO 担当者は、南スーダン共和国からの輸入例で Palabek, Kitgum district [Uganda] において確認されたと述べた。黄熱に感染していたのは the state of Eastern Equatoria [Republic of Southern Sudan] の首都 Torit から来たウガンダ人である。"男性は予防接種歴がなく、南スーダンで感染したもので、全ての黄熱患者はきちんと診断されている" と説明されている。WHO によると世界中で年間約20万人が黄熱に感染し3万人が死亡している。
[Mod.TY- 今回の患者および次項の患者らの検査による確定は重要で、肝炎の原因はほかにも多数あるからである。また患者がいた南スーダンの地域に黄熱ウイルスのベクター蚊が存在するのかを知ることも重要である。サーベイランスは不可欠である]
[2] スーダン
 情報源 All Africa、2011年9月15日。
North Darfur の難民キャンプ Zamzam and Abushok refugee camps の住民らが、幼児を中心として蔓延している黄熱への不安を口にしている。病院の医師らにより the North Darfur camps における黄熱と下痢症患者の増加が確認されているが、the Zamzam camp で黄熱患者と登録されている患者 registered cases は4人にとどまっていると強調した。"診断確定のために患者らの血液検体を送付しており、医師らが派遣される計画である" と疫学担当のこの医師が述べた
[Mod.TY- 2週間近く前の情報である。15日以降新たな感染は報告されていない。YF cases がいないのか、極端に少ないか、YF の診断が間違っていたかのいずれかである。 20051223.3665 にスーダンの YF virus vectors についての記述がある: 
 "the 1940 outbreak においては、ネッタイシマカ _Aedes (Stegomyia) aegypti_ が果たした役割は小さく、一方 _Aedes (Fredwardsius) vittatus_ and _Aedes (Diceromyia) furcifer/taylori_ (多分、ずっと後ででてくる _Ae. (Dic.) cordellieri_ も含まれているのだと思われる) が多くの感染伝播を担っていたと考えられている。多くの水溜りが存在し蚊族の発生があったことと、キャンプの住民の多くがワクチンを接種されていなかった可能性が高い]

● 鳥インフルエンザ、ヒト (59) : 哺乳類における感染伝播
PRO/AH> Avian influenza, human (59): transmission in mammals 20110926.2921
 情報源 New Scientist, issue 2831、2011年9月26日。
H5N1 鳥インフルエンザ [avian A/H5N1 influenza virus] によりヒトが死亡することもあるが、ヒトの間での感染伝播が容易ではないため大流行にいたることはなかった。しかしその状況が変化するかもしれない: たった2本の遺伝子の変異 5 mutations により,哺乳類 [フェレット ferrets] 間での感染が可能となることが実験で確かめられた。しかも、変異があるにもかかわらずこのウイルスの [フェレットにおける] 致死性は同じだった。"このウイルスは、季節性インフルエンザと同じくらい効率的に感染伝播した" と the Erasmus Medical Centre (ロッテルダム Rotterdam、オランダ) の研究者 Ron Fouchier は報告した。"このことは、H5N1 ウイルスがヒトにおける重症化の原因となる能力を有しながら、感染伝播を可能にする変化が起こりうることを明らかにした"と1996年にウイルス免疫学の研究でノーベル賞を受賞した Peter Doherty は述べた。H5N1ウイルスは東アジアの家きんで発生し、2004年以降ユーラシア全体に感染が拡大している ... 今のところ、哺乳類の間で感染が広がりやすいウイルス株はないが、数百万羽の鳥類と共に、ヒトやネコ、ブタでも感染が確認されている。そのようなウイルスの実験的な作成の試みは成功しておらず、一部のウイルス学者は、H5N1ウイルスが(哺乳類に)感染しやすくなることはないと述べていた。しかし Fouchier's team の実験はこれとは反対の結果となった。最初に鳥インフルエンザを哺乳類に馴化させるとされている変異 H5N1 3 mutations を生じさせたところ,インフルエンザウイルスに対してヒトと同じ反応を示すフェレットはこのタイプのウイルスにより死亡した。しかしフェレット間で感染伝播は起きなかった。次にある動物に対し,より病原体の馴化を進める標準的な方法として,発病したフェレットから分離したウイルスの別のフェレットへの感染実験を行った。10回の厳格な封じ込め stringent containment による操作(他のウイルス感染を起こさせないの意 ?) を繰り返したところ、離れた他のケージのフェレットに感染し死亡させる H5N1 strain がこのフェレットから排泄された。この操作過程で多数の新たな変異が生まれたが、2つの変異については,すべてのフェレットで認められたこの2つの変化と前述の3つの変異をあわせ少なくとも5つの変異が、ウイルスの airborne に必要であることが示唆されたとし、今後この5つだけの変異を持つH5N1ウイルスについて調べることにしている。これらの変異は全て鳥類のH5N1において別個に確認されていた。もし別々に発生しているのであれば、同時に発生することもありえると述べている。香港大学のウイルス学研究者は、このことはヒトの間で感染伝播する transmissible H5N1 ウイルスが、ブタなどの哺乳類を経ることなく、すでに(これらの変異を持つウイルスが循環する)鳥類において発生する可能性があることを意味すると解説する。H5N1 の哺乳類への馴化に懐疑的な Mount Sinai Medical Center の専門家は、"フェレットはヒトではなく、H5N1 は長い間感染循環している" にもかかわらず、ヒトへの感染が可能なウイルスには変異することはなかったとして、これらの説明を受け入れていない。鳥インフルエンザがどのようにして 1918年のパンデミックウイルスに変化したかについて研究を行っている the US National Institutes of Health の研究者は、"馴化したことがないことをもって、馴化出来ないとは言えない" との意見を述べた ...
[Mod.CP- ... ヒトにおける感染伝播を容易にするのに必要なのは、わずかな変異であることは確かなようだが、自然界でそのような結果に至るためには、適切な淘汰のプレッシャーが必要となる]

● 狂犬病-フィリピン 
PRO/AH/EDR> Rabies - Philippines (04): (WV) canine, human 20110926.2920
 情報源 Philippine Information Agency (PIA) press release、2011年9月25日。
Western Visayas の保健当局 The Department of Health (DOH) 管内で、1月から8月までに、5件: 2 were in Iloilo, 2 in Capiz, and 1 in Aklan の狂犬病 Rabies 感染による死亡が発生した。過去2年間、この地域 Region 6 は狂犬病発生トップ10から外れていた

● 豚繁殖呼吸器障害症候群-アジア
PRO/AH/EDR> Porcine reprod. & resp. syndrome - Asia: update 20110926.2919
 情報源 Emerging Infectious Diseases、2011年9月26日。
原著  Highly pathogenic porcine reproductive and respiratory syndrome virus, Asia [letter]. Emerg Infect Dis [serial on the Internet]. 2011 Sep; 17(9): 1782-4. DOI: 10.3201/eid1709.110411
近年、新型で感染力の強い豚繁殖呼吸器障害症候群ウイルス porcine reproductive and respiratory syndrome virus (PRRSV) が、東南アジアのブタの間に急速に感染拡大している。このウイルスは、2006年に中国とベトナムで初めて確認された。感染が発生しているのは、ブータン、カンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、シンガポールで、東及び北アジアでは、韓国とロシアでも報告されている。 [上記URL サイトに地図あり] 大規模商業的飼育施設のみならず、庭先飼育の場でも発生し、世界的な養豚産業にとって、また食の安全上、深刻な問題となっている。2011年2月、モンゴル ・ ウランバートル Ulaanbaatar の獣医学当局 the Veterinary and Animal Breeding Agency が、PRRS 感染流行の発生を確認した。日本、北朝鮮、インドネシア、ほかアジア太平洋地域の国々とっても、感染発生の危険性がある

● ダイズ脈管壊死ウイルス-米国
PRO/PL> Soybean vein necrosis virus - USA: update 20110926.2918
[1] A new disease of soybeans
 情報源 Farms.com, Penn State University report、2011年9月21日。
[ペンシルベニア Pennsylvania 州において] 2011年、既知のダイズウイルスの感染では説明不可能な症状が確認された。 Soybean Vein Necrosis Virus (SVNV) と呼ばれる、比較的新しいウイルス感染の症状ではないか、と見られている。2008年にテネシー Tennessee とアーカンソー Arkansas 州で発見され、その後、ニューヨーク New York やデラウェア Delaware、メリーランド Maryland などでも確認されている ...
[2] Soybean vein necrosis virus in Delaware, Maryland, and Virginia
 情報源 University of Delaware, Weekly Crop Update、2011年9月16日。
12日の週、Soybean vein necrosis virus 感染が確認された ...
[3] May be new virus on soybeans
 情報源 Carroll County Times, Ag Today report、2011年9月10日。
[メリーランド Maryland 州にとって] 新種のダイズのウイルスが発生した可能性があり、確認はされていないが、 soybean vein necrosis virus.による症状と見られている ...