2012年4月21日-22日

原因不明の脳疾患 ウガンダ、Nodding desease JAMA,Science
ボリビア出血熱 ボリビア 

● 原因不明の脳疾患 ウガンダ、Nodding desease
PRO/EDR> Undiagnosed cerebral disease - Uganda (06): nodding disease 20120422.1109909
[1] Task force to address nodding disease in Uganda
 情報源 JAMA、2012年4月22日
原著 Targeting Nodding Disease. Journal of the American Medical Association, JAMA 2012;307(15):1573.doi: 10.1001/jama.2012.477 (Full text only available to registered users or after purchase)
ウガンダ保健省は、nodding disease or nodding syndrome と呼ばれる repetitive head nodding and seizures を特徴とし、東アフリカ East Africa で数千人の小児が罹患している原因不明の疾患への注意を喚起するための、作業部会を立ち上げることを決めた。スクリーニングと治療施設の設置、サーベイランス強化、原因究明を目的とする。数年前より、ウガンダ北部および南スーダンとタンザニア南部の5歳から15歳の小児の間で、発生の増加が報告されている。2012年のこれまでに、南スーダンの38ペアの case-control pairs での case-control study of 2 clusters of nodding syndrome の結果、オンコセルカ症の原因となる線虫の感染との間に正の相関が示唆されている。
[2] Mystery Disease Haunts Region
 情報源 Science、2012年4月13日
原著 Science 2012;336(6078) :144-146. DOI: 10.1126/science.336.6078.144 (Full text only available to registered users or after purchase)
タンザニア南部の山岳部にある遠隔地の町 Mahenge において、多数の患者がてんかんを発症している。一部の患者は、4歳から5歳までは異常が認められなかったが、その後に、くり返し頭を下げるような特徴的な動きのてんかんが認められている。1964年の報告後も、西側の研究者らは the nodding seizures の報告に対して懐疑的もしくは否定的な態度を取ってきた。数年前から、ウガンダや南スーダンの南部でも同様の疾患が発生し、多くの研究者らの注目を浴びるようになった。寄生虫等の関与について調査されているが、原因は分かっていない ...
[3] Nodding Disease: A Ugandan Mystery
 情報源 United Against Infectious Diseases 、2012年4月12日
関連項目 (05) 20120328.1083745

● ボリビア出血熱 ボリビア 
PRO/AH/EDR> Bolivian Hemorrhagic fever - Bolivia (02), (BE) 
Archive Number: 20120421.1109750
 情報源 Eldeber [in Spanish]、2012年4月20日
地域保健当局 the Beni Department [state equivalent] Health Services (SEDES) の疫学担当者は21日、アマゾン地方のこの地域で新たに1名の出血熱による死者が発生したことを明らかにした。19日死亡した the Campo Verde ranch in the San Ramon municipality の患者で、検査による確定診断が行われていると述べられた。さらに、病原体を伝播するネズミが多く棲息する the Negro and Machupo Rivers に近い同市の Trinidad [Beni province] from the San Silvestre ranch でも、もう1名の感染患者がいることも明らかにされている。2012年のこれまでに、Beni において3人が出血熱により死亡し、50人の感染疑い患者が発生している。
[Mod.TY- 2011年11月末からの the outbreak in Beni department (20111202.3514 and 20120129.1025260) の続きと見られる。Beni department は Bolivian hemorrhagic fever の病原体である Machupo virus が常在する endemic。Bolivian hemorrhagic fever については  20000416.0545 で詳しく説明されている。アレナウイルスとげっ歯類の宿主の間でよく見られるように、The large vesper mouse _Calomys callosus_ は Machupo virus に持続感染する]
[Mod.MA- Bolivian hemorrhagic fever はアレナウイルスの1種の Machupo virus を病原体とし、1963年 (in Beni, Bolivia) に初めて報告され、保有宿主は _Calomys callosus_ である。エアロゾルを通じた経気道感染が最も多く、(peri)domestic situations から小集積に至ることが多い。臨床像としては、特異的ではない症状(筋肉痛、全身衰弱、腹痛、眼窩後部痛、顔面と結膜の充血、リンパ節腫大 adenomegaly) を伴った発熱lが認められ、口蓋の水疱や点状出血がこれに続く。進行すると、血管外血漿漏出 plasma extravasation (血液濃縮、高血圧、肺水腫) や神経学的変容 (運動大脳変化? motor and cerebral changes、けいれん、昏睡)を発症する; 致死率は15-30%である]
関連項目 20120129.1025260

● 麻疹
PRO/EDR> Measles update 2012 (17)
Archive Number: 20120422.1110279
[1] フランス France:Towards the end of the measles epidemic in France
 情報源 Passeportsante.net [In French]、2012年4月17日
3月のピークを過ぎ、徐々に麻疹の勢いが弱まっている ...
[2] ウクライナ UkraineMeasles outbreak in Ukraine – vaccination advice
 情報源 HealthCanal.com2,012年4月16日
1月以降、5100人を超える患者が報告され、さらに増加することが見込まれている
[3] 英国 UK (Sussex):Fears city could experience 2nd measles outbreak
 情報源 The Argus、2012年4月12日
Brighton and Hove [in the county of Sussex] は、深刻な感染流行の第2波の発生が懸念されている
[4] 英国 UK (Wales):Measles outbreak warning
 情報源 Tivyside Advertiser 、2012年4月16日
Ceredigion, Pembrokeshire and Carmarthenshire 在住の保護者らに注意が呼びかけられている
[5] ウガンダ Uganda (multidistricts):Parents to blame for measles outbreak, say health workers
 情報源 Daily Monitor、2012年4月19日
18 districts の麻疹感染流行は、保護者らが(子どもへの) 予防接種を怠ったことが原因とされている
[6] 米国 USA (update):Measles -- United States, 2011
 情報源 Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR) Weekly, 2012 / 61(15);253-257.、2012年4月20日
2000年に麻疹根絶を達成した米国だが、輸入感染は続いている ...
[7] オーストラリア Australia (NSW):Measles cases at Blacktown Hospital prompt health
 情報源 Blacktown Sun、2012年4月19日
シドニー Sydney 西部の住民らに、2例の麻疹患者が発生したことへの注意が呼びかけられている

● インフルエンザ 米国
PRO/EDR> Influenza (33): USA (WA), real-time surveillance 20120422.1110181
 投稿者 米・IT Director, Seattle Fire Department、Lenny Roberts、2012年4月21日
Comment on: "Influenza (31): USA (WA, NV, CO) surveillance"
シアトル消防局 The Seattle Fire Department は、患者と接触のあった消防署員からの real-time の患者調査を行い、the UW Virology Lab weekly reports [University of Washington Laboratory reports] 等の 他のサーベイランスとの比較を試みている ...

● クリプトスポリジウム症 米国(2件)
PRO/AH/EDR> Cryptosporidiosis, petting zoo - USA: (MN) 20120422.1109883
 情報源 Republican Eagle、2012年4月21日
Cryptosporidiosis after attending petting zoo
3月31日の地元の動物園への入園後、2人がクリプトスポリジウム症 Cryptosporidiosis に感染し、12人以上も体調を崩していることが、州保健当局から明らかにされた。2人の患者で、重症の水様性下痢症の原因となるこの寄生虫感染が検査で確認されたことから、当局は保護者らに対して注意を呼びかけている。Bench Street で1日動物園が開かれ、15人の入園者と職員全てに "crypto" infection に一致する症状が認められている

PRO/AH/EDR> Cryptosporidiosis, water park - USA (MN) 20120421.1109537
 情報源 Minnesota public radio、2012年4月20日
Water Park in Duluth, Minnesota, 97 cases
リゾートパーク Edgewater Resort and Water Park in Duluth で先月 [3月] に発生した、クリプトスポリジウム症 cryptosporidiosis 感染流行により、97例の患者が報告されている。22人の感染が、検査機関で確定診断されている。ミネソタ州保健当局 Minnesota Department of Health (MDH) は、確認されているのは一部の患者のみとの見方を示している。クリプトスポリジム症では、曝露から発症まで最長で2週間である、と説明されている。プールが閉鎖された2週間後まで、患者発生の可能性がある ....これと関連しない、3月に発生したもう1つの cryptosporidiosis 感染流行では、36例の患者報告があり、1例が検査で確定されている

● ムンプス カナダ
PRO/EDR> Mumps - Canada: (MB), school outbreak 20120421.1109536
 情報源 Winnipeg Free Press、2012年4月21日
Mumps outbreak infected 11 at city school
ウィニペグ Winnipeg の1校の生徒8人と成人3人が、ムンプス Mumps に感染した。この冬の異常な感染流行により、200人以上が予防接種を受けた

● 内臓リーシュマニア症 南スーダン
PRO/AH/EDR> Visceral leishmaniasis - South Sudan 20120421.1109078
 情報源 Voa News、2012年4月20日
Viseral Leishmaniasis is raging again in the Republic of South Sudan
Old Fangak のクリニック で、2012年に1800人が治療を受けた。新たに独立した南スーダンでは、一部の医療が行き届かない最も遠隔な地域で、致死性の Kala Azar disease が今も猛威を奮っている。 1989 年にこの地域を訪れたアラスカ生まれの Alaskan-born Dr. Jill Seaman は、カラアザールが流行し、1000人中わずか5人しか生き延びることが出来なかった地域を見捨てることが出来なかったわけを説明した

● ロスリバーウイルス オーストラリア
PRO/AH/EDR> Ross River virus - Australia (04) (VI) 20120421.1109313
 投稿者 Steve Berger、2012年4月20日
過去20年間以上にわたり、 Queensland and New South Wales からロスリバーウイルス症 Ross River disease の高い発生率が報告されてきた。人口10万人当たりの最も発生率が高いのは Northern Territory。 2011年、ビクトリア州は、他のどの州よりも多数の患者を報告した
関連項目 20120419.1107581

● 口蹄疫 パレスチナ自治政府
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Palestinian Auth (03): (GZ): st SAT-2 conf. 20120422.1110154
 投稿者 Arnon Shimshony ModAS、2012年4月22日
Foot & Mouth Disease (FMD) virus serotype SAT-2 confirmed in the Gaza Strip
Rafah, Gaza Strip, Palestinian Autonomous Territories (PAT) で口蹄疫が疑われていたウシの検体について、the World Reference Laboratory for FMD (WRLFMD) at Pirbright (UK) が行った検査 (ELISA test) により、FMDV serotype SAT-2 が確定診断された

● White nose syndrome 米国、コウモリ
PRO/AH/EDR> White nose syndrome, bats - North America (14): (NY) recovery 20120422.1110126
 情報源 boston.com、2012年4月19日
Bats rebound in NY caves first hit by white-nose
一時は white-nose syndrome による大きな打撃を受けた複数の洞窟で、コウモリの頭数が相当数増加していることが、研究者らにより確認されている ...

● 大量死、イルカ ペルー
PRO/AH/EDR> Dolphin die-off – Peru: morbillivirus susp. 20120422.1110060
 情報源 Herald Sun、2012年4月21日
Mystery of mass dolphin deaths
ペルー北部の沿岸に、877頭もの死亡したイルカが打ち上げられている。モルビリウイルス the marine morbillivirus の感染の可能性について、調査が行われている 

● 狂犬病 米国、クマ
PRO/AH/EDR> Rabies - USA (07): (VA) bear 20120422.1110016
 情報源 GoDanRiver.com、2012年4月19日
Rabid bear attacks in Albemarle; shot dead by victim
17日に暴れたために射殺されたクマは、バージニア Virginia 州では初めて、東海岸でも2例目の、クマの狂犬病感染例だった ...
[Mod. PMB- Virginia's black bear population は増加傾向にあり、よく見かけられるようになっている。ヒトの側も、州内の至る所に進出している。米国東部で最も多い、陸生の狂犬病保有種はアライグマ Raccoons だが、その他にも肉食動物はあふれており、感染循環との関係が増える可能性もある]

● アナプラズマ症 米国、ウシ
PRO/AH/EDR> Anaplasmosis, bovine - USA (02)(OH) 20120421.110960
 投稿者 米・University of Minnesota、Ulrike Munderloh 、2012年4月21日
[Mod.TG- 20120420.1107673 の中でウシのアナプラズマ症のヒトへの感染伝播についての報告があった。ウシの病原体とヒトアナプラズマ症の病原体は、同じではない]
Bovine anaplasmosis, caused by A. marginale は、ヒトへの感染死はない (NOT infectious for people)。Human anaplasmosis の病原体は、白血球 white blood cells (neutrophil granulocytes) に感染する _A. phagocytophilum_ と密接な関係がある。