2010年10月22日

ウエストナイルウイルス イタリア
マラリア ベネズエラ,インド
トリパノソーマ症、アフリカ 英国:ザンビアとジンバブエから
Kashin-Beck disease 中国(チベット)

● ウエストナイルウイルス イタリア
PRO/AH/EDR> West Nile Virus - Eurasia (11): Italy (Veneto) 
Archive Number: 20101022.3840
 投稿者:伊・S.M. Misericordia University Hospital、Anna Beltrame, MD、2010年10月22日。
2010年の第1例目となる、イタリア国内でのウエストナイルウイルス West Nile [virus WNV] による髄膜脳炎患者について報告する。8月30日、ベネト Veneto (Santo Stino di Livenza) 在住の41才アルジェリア人男性が、3日間続く40℃の発熱と嘔吐のため、兄の住む町の病院 the Hospital of S. Vito al Tagliamento in Friuli Venezia Giulia (FVG) に入院となった。confused, disoriented, agitated without a neck stiffness の症状が認められた。腰椎穿刺と採血が行われたが WNV については調べられなかった。ウイルス性髄膜炎と診断されたが症状が軽快しないため、ウディネ Udine の感染症病院に搬送され WNV の診断が疑われ,血清学的検査の結果 WNV [serological testing] was positive for IgG (1:1000) in immunofluorescence (IF) assay だった...
地図 Udine in northeastern Italy

● マラリア ベネズエラ,インド
ベネズエラ
PRO/EDR> Malaria - Venezuela (02): (BO) 20101022.3839
 情報源: Correo del Caroni [in Spanish]、2010年10月18日。
ボリバルBolivar 州の鉱山労働組合代表は来る20日、Km 88, Las Claritas, and some native communities in La Paragua, such as Alcarabi and Guaniamo, as well as the Ikabaru community(Gran Sabana市)などで、マラリア Malaria 患者が増加していることを強調する内容を中心とした the Guayana region の鉱山における衛生状況報告を提出することにしている。the El Dorado hospital 病院に大勢のマラリア患者に対応する設備がないため、対策立案と一層の支援を求めている
地図 the Bolivar State  

インド
PRO/EDR> Malaria - India (10) 20101022.3838
[1] Karnataka カルナータカ州
 情報源: Express News Service 、2010年10月19日。
17日、Bhuvanahalli in Hospet taluk で合計4人がマラリア感染により死亡したことが報じられた。Kotaginahal および Bhuvanahalli で、数人が発熱に苦しんでいることを当局者が確認している。農村部の不衛生な環境や飲料水の汚染が死亡原因であると説明した。調査のため職員が派遣された。
[Mod.EP-  Karnataka 州北東部では、マラリアが多く発生しており、the recent WHO World Malaria Report 2009 (最新版) によると、この地域の住民1000人あたりの患者発生数は、100人以上であることが報告されている。おそらくマラリア感染が原因と考えられる今回の死亡により、この地域が high risk area for malaria であることが再認識された。]
地図 Hospet (Kannada also called Hosapete)is a city in Bellary District in northern Karnataka, on the Tungabhadra River, 12 km from Hampi, the World Heritage site consisting of the ruins of the medieval city of Vijayanagara, former capital of the Vijayanagar Empire  
[2] Andhra Pradesh アーンドラプラデーシュ州
 情報源: Deccan Chronicle 、201年10月20日。
アーディラバード Adilabad district では、部族地域やスラムを中心として、熱帯熱マラリア _Plasmodium falciparum_ malaria の感染が増加しつつある。2010年1月以降確認されている合計 525 malaria positive cases のうち、310例がこの地域の患者であった...
[Mod.EP- Andhra Pradesh は the WHO World Malaria Report 2009 の中で low risk area と見なされ、年間 0-1 case per 1000 population の患者発生が報告されていた。Maharashtra and Chhattisgarh (more than 100 cases per 1000 population per year) の各州からの感染が Andhra Pradesh に拡大している可能性がある]
[3] 全国
 情報源: BBC News、 2010年10月20日。
新たな調査研究の結果、インド国内のマラリア感染による死者の数は、実際よりかなり低く見積もられていることが分かった。ランセット誌 the Lancet に掲載されたこの報告によると、インド国内のマラリア感染による死者は、 the World Health Organization (WHO) estimates の13倍以上である可能性がある。著者らは、年間20万人以上がマラリア感染により死亡していると結論づけている。The WHO は、この報告の the estimate は too high だと反論している。この調査は the US National Institutes of Health, the Canadian Institute of Health Research, and the Li Ka Shing Knowledge Institute からの資金提供をうけ行われた。新たな数字の発表により、世界中のマラリア感染による死者の合計数にも疑念が生じる結果となっている。
診断の困難さ
マラリアの死者数を計算することは、非常に難しい。マラリアと診断され治療を受ける患者の多くは、死に至ることはない。病院に行かず,the community で非常に高い熱により死亡した場合、死亡原因がマラリア以外の病気とされる場合もあり、また逆(マラリアでない患者がマラリアと診断される)の場合もある。インドでは、医師の診察を受けることなく自宅で死亡することが多く、医学的に死因が特定されることはほとんどない。インドの農村部で急性の発熱を主症状に死亡した場合、およそ130万人は感染症による死亡と考えられている。今回の調査では、 trained field workers が死亡した患者の家族に死亡状況についての聞き取りを行い、 2 doctors がマラリアが原因であるかどうかレビューを行う、verbal autopsyの手法が用いられている。2001年から2003年の間に発生した、Some 122 000 premature deaths(原因が特定できない死亡)について調べたところ,農村部を中心として毎年70才以下の 205 000 deaths がマラリアが原因で起きていることが示唆された。
'Serious doubts(重大な疑問)'
2006年、WHO はインド国内で malaria 感染による死者をおよそ 10 000-21 000 deaths と見積もっている。同機関は estimate the number of malaria deaths に対する新たな試みを歓迎している。global malaria programme 担当者は、... WHO current evaluation methods に限界があることを認めた上で、今回の調査で示された高い数字には serious doubts を持っている。彼によると、Verbal autopsy はマラリアの患者算定法としては信頼性に欠けると言う。マラリアの症状が、他の多くの急性発熱疾患と共通であるというのがその理由である。このことと、the WHO called "implausibly high case incidence rates(あり得ないほど高い発生率)"とから、今回の調査結果は、さらなる検証なしには受け入れがたいとしている。WHOはインド政府との密接な連携により、マラリア対策に当たっているとも述べた。....
[Mod.EP- The BBC article の情報源=原著 Adult and child malaria -mortality in India: a nationally representative mortality survey. Lancet. 2010 Oct 21 Online First; doi:10.1016/S0140-6736(10)60831-8.]

● トリパノソーマ症、アフリカ 英国:ザンビアとジンバブエから

PRO/AH/EDR> Trypanosomiasis, African - UK: ex Zambia, Zimbabwe 20101022.3833
[1] UK ex Zambia
African trypanosomiasis due to _Trypanosoma brucei rhodesiense_ in a traveller returning from Zambia
 投稿者:英・the Liverpool School of Tropical Medicine、 Mike Beadsworth 、2010年10月20日。
ザンビアで15日間のキャンプ旅行を行った、49才の女性の行程:9月29日マラウイ入国、以下、Lilongwe (Malawi); South Luangwa National Park; Bridge Camp (en route to Lower Zambezi); Lower Zambezi National Park; Lusaka; Kafue National Park (北部); Kafue National Park (南部); Livingstone の順で、10月16日に英国に帰国した。旅行中、数え切れないツェツェバエの刺咬あり。10日目(10月13日)に発熱と頭痛があり、マラリア治療を受けた。5日後、英国への帰国途上に状態が悪化し、the Royal Liverpool University Hospital に搬送された。the Liverpool School of Tropical Medicine で行われた末梢血の塗沫検査により Trypanosomiasis トリパノソーマ症と診断された。高度の寄生虫血症 parasitaemia の状態であった。患者は現在、腰椎穿刺検査の結果を見ながら suramin による治療が継続されている。1か月前にも ProMED-mail で、the South Luangwa river valley in Zambia にハンティングに行った米国人旅行者の感染の報告があり、それに続く報告である(20100915.3338)]
[2] UK ex Zimbabwe
Trypanosomiasis (sleeping sickness) in a traveler visiting Zimbabwe/Zambia

 投稿者: Jane A Jones 、2010年10月20日。
8月29日から9月12日までの期間、ジンバブエとザンビアを旅行した1名のアフリカトリパノソーマ症患者について報告する。この患者は発熱と意識障害 confusion を呈していた。末梢血塗沫標本で、重度の寄生虫血症が認められた。臨床症状と渡航歴、寄生虫血症の程度は、_Trypanosoma brucei rhodesiense_ 感染と一致した。現在、詳細な検査結果を待ちながら、 suramin により治療が行われている。この患者は 9月1-8日の期間、the Mana Pools National Park in Zimbabwe (the Lake Kariba region in Zimbabwe in Mashonaland West に近接し the Southern province of Zambia との国境に位置する) に滞在し、tsetse flies の刺咬があったことが確認されている。 Lusaka in Zambia および周辺に地域にも滞在していたが、そこでは tsetse flies は報告されていなかった。この渡航関連患者については、 WHO と WHO を通じて the Zimbabwean Public Health Authorities に報告された。
[Mod.EP- 最近、the South Luangwa valley area, which is in the Eastern province of Zambia への旅行者のトリパノソーマ症患者が数多く報告されている。2007 WHO report on human African trypanosomiasis には、"South Africa and Great Britain では、the Kariba lake region, along the border between Zambia and Zimbabwe への旅行者を中心に、散発的な患者発生報告が続いている。 1997年に合計9人の患者が報告された後は、2004年に Kariba lake regionから搬送され、南アフリカで治療された4例が報告されたのみであった"]

◎ Kashin-Beck disease-中国

PRO> Kashin-Beck disease - China: (Tibet) 20101022.3829
 情報源: Top News Singapore 、2010年10月17日。
辺境地であるチベット地方で、まれではあるが、治療法のない骨の病気が発生し、17万人以上の住民らに罹患の恐れがあるとしてパニックを引き起こしている。最も深刻な Qamdo prefecture では、11の郡の14662人以上が Kaschin-Beck disease と診断された。地域保健当局の調査で分かった。報告書では17万人以上に罹患の危険があると述べられている。この病気と診断された患者らは、関節の肥厚と変形を生じ、様々な運動が制限されると、17日に報道されている。医師らによると,病気の原因はまだ明らかにされていないが、高地にあるこの地域の主食の1つである大麦に発生した真菌が、同様の疾患の原因であると一部で推定されている。過去5年間、住民の移住計画が実施され、これまでに約2万人が移住した。
[ModTG- this malady(疾患)の原因は未確定である。このため relocating individuals が打開策となっている。... 大麦に発生する真菌の_Fusarium_ が原因として疑われてきたが、この真菌はチベット内でこの地域だけに発生する真菌なのか、それとも他の地域でも発生しているのだろうか?米国でもトウモロコシの _Fusarium_ がウマの死亡原因となることがある。 _Fusarium_ は生育に適した grate [*grain?] の particular microclimate を好み、大麦やトウモロコシ以外の穀物にも発生する。セレン Selenium も原因として取りざたされているものの、セレニウムの過剰摂取や不足は確認されていない。しかし、セレニウムが原因であれば、栄養調査や採血による調査によって確認できるかも知れない]
[Mod.LM- 別名 'big bone disease' とも呼ばれ、小人症をきたすこともあるこの osteoarticular disease(骨関節疾患)について記述した2人のロシア人医師から命名されている。アジアの中のごく限られた地域、とりわけ Tibet 並びに the Korean peninsula and Siberia だけに分布し、1992年に国境なき医師団 Medecins sans Frontieres による調査が開始されるまで謎に包まれていた。Kashin-Beck disease はおそらく,ミネラル不足と貯蔵穀物中の真菌毒 mycotoxins の併存など、多因子による疾患と考えられる]

● コレラ ハイチ 確定
PRO/EDR> Cholera - Haiti (02): (AR ARTIBONITE) confirmed 20101022.3821
 情報源: The Wall Street Journal 、2010年10月22日。
農村地帯である国内中部で、数十人の死者と数百人以上の患者を発生させている、重症下痢症の原因がコレラであることが、ハイチ国内の検査機関において確認された ... 2010年1月の地震後に初めて発生した大流行となった ... ハイチ国内では、1960年代以降コレラの発生がみられていなかったことから、コレラに対する関心があまり高くなかったという ... 21日現在、the St Nicholas Hospital in St Marc から、患者数は500人、死者は12人と報告されている。その他の地域の病院からも、患者および死者が報告されている ...

● ポリオ パキスタン
PRO/EDR> Poliomyelitis - worldwide (22): Pakistan 20101022.3820
[1] Pakistan: newswire
 情報源: SOS Children's Villages Canada 、2010年9月19日。
パキスタン国内で確認された小児のポリオ患者数が、2009年に比べ2%増加した。洪水と紛争の影響で、一部の辺境地域での拡大予防接種に支障が出ている。The United Nations Children's Fund (UNICEF) は、ここ数ヵ月間に、パキスタンの小児の間でポリオ感染が増加していることを確認している。900万人に達したとみられる2010年のワクチン一斉接種が行われる中でのこの発表は、人々を落胆させた。The Global Polio Eradication Initiative によると、ポリオ polio, or poliomyelitisは、経口的に感染するウイルスによる病気で、 1/200 cases.に麻痺が生じる。主に5歳以下の小児が感染し、患者のおよそ50%は3歳以下の子どもである。5-10%の患者は、呼吸筋に麻痺がおよぶことにより死亡する。ワクチン接種により、ウイルスの増殖が阻止され、発病を免れることができる。14日現在確認されているポリオ患者は78人で、2009年と比べ2%の増加となっている。このうち57人は、Pakistan's Federally Administered Tribal Areas (FATA)の地域で発生している。この地域の子どもたちの多くが、ワクチン接種キャンペーンから漏れている。その理由の1つが、絶え間ない紛争により国際援助団体が入ることができないことである。アフガニスタン、インド、ナイジェリアとともに、パキスタンは、数少ないポリオ常在国の1つである。パキスタン以外の国々では、ポリオ患者が激減している...
[2] Worldwide weekly case count: Polio eradication website
 情報源:: Global Polio Eradication Initiative
患者数合計: Year-to-date 2010 / Year-to-date 2009
世界全体: 732 / 1198
- in endemic countries: 153 / 930
- in non-endemic countries: 579 / 268
Case breakdown by country [*多い国のみ抜粋]
国名: Year-to-date 2010 / Year-to-date 2009 / Total in 2009 / 最新患者発生日
パキスタン: 88 / 62 / 89 / 1 Oct 2010
インド: 39 / 464 / 741 / 16 Sep 2010
アフガニスタン: 18 / 23 / 38 / 4 Sep 2010
ナイジェリア: 8 / 381 / 388 / 27 Aug 2010
[* 以下、2009-2010年に患者発生のあった国々 : ロシア連邦、コンゴ民主共和国DRC、ネパール、アンゴラ、カザフスタン、トルクメニスタン、チャド、マリ、セネガル、モーリタニア、ニジェール、リベリア、シエラレオネ、ギニア、ブルキナファソ、カメルーン、ブルンジ、中央アフリカ共和国CAR、コートジボワール、ケニア、スーダン、ウガンダ、 ベニン、トーゴ]

● 肺炎、ヒツジ 米国 bighorn sheep
PRO/AH/EDR> Pneumonia, ovine - USA (12): (MT) bighorn sheep 20101022.3842
Bighorn sheep reappearing in Rock Creek after deadly pneumonia outbreak
 情報源: The Missoulian 、2010年10月20日。
2010年の冬に発生した、群れの存続を脅かすほどの壊滅的な肺炎流行の後、the Rock Creek 沿い(Montana)や roadside に、再び Bighorn sheep が姿を現すようになった
地図 excellent map of ranges of big horn sheep in Montana 

● 炭疽、野生生物 南アフリカ
PRO/AH/EDR> Anthrax, wildlife - South Africa: (LM) 20101022.3841
Anthrax outbreak in wild life in Maruleng
 情報源: Limpopo Agriculture、2010年10月21日。
the Limpopo Department of Agriculture (LDA リンポポ農業局) 当局は、the Maruleng Municipality under Mopani District Municipality の野生生物が、炭疽 Anthrax 感染と診断されたことを明らかにした。細菌である炭疽菌 _Bacillus anthracis_ を原因とする急性疾患で、全ての陸生生物に感染する可能性があり、多くの場合死に至る。この菌は芽胞 spores を形成し、吸い込んだり飲み込んだり、皮膚を通して感染したりする。嚥下されること Ingestion による感染が最も多い

● 東部ウマ脳炎 米国 ウマ、訂正
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis - USA (38): (FL) equine, correction 20101022.3825
 投稿者:ProMED-mail editor, Larry Madoff, MD、2010年10月22日。
20101021.3816 が発生したのは、正しくは Marion County, Florida (not Indiana) である。

● 伝染性出血性疾患、シカ 米国
PRO/AH/EDR> Epizootic hemorrhagic disease, cervid - USA (04): (NJ
NJ New Jersey) 20101022.3823
 情報源: NJ.com, Today's Sunbeam report 、2010年10月19日。
9月18日以降、Salem County で少なくとも80頭のシカが、南部では一般的である病気のために死亡した。州当局者によると、 Pennsville Township だけで78頭が死亡している。漁業野生動物病理学者によると、 the type 2 strain of epizootic hemorrhagic disease (EHD)[virus] が原因だという

● 慢性消耗性疾患、シカ 米国
PRO/AH/EDR> Chronic wasting disease, cervid - USA (10): (WY) 20101022.3822
 情報源:Wyoming Game & Fish Department press release 、2010年10月18日。
Glendo in hunt area 3 の東で、9月12日に捕獲された cow elk 1頭が、検査の結果、chronic wasting disease (CWD 慢性消耗性疾患) 陽性であることが判明した。この病気は、シカ、エルク、ムースなどの脳の病気である。21 km east of Glendo and 6.5 km northeast of Camp Guernsey のエルクだった