2010年10月23日-24日

コレラ-ハイチ(03)
原因不明の致死性疾患-インド
新種の肺炎関連アデノウイルス

● コレラ-ハイチ O1
PRO/EDR> Cholera - Haiti (03): (AR) Port-au-Prince, O1 
Archive Number: 20101024.3856
[1] 死者200人超
 情報源: MSNBC 、2010年10月24日。
ハイチ中部の農村地帯にある渓谷で発生したコレラ感染流行が、首都に広がり、多数の地震の被災者の住む不潔で過密なキャンプ地への波及に対する懸念が強まった。23日、コレラ感染流行による死者が200人を超え、人口が密集し地震の被害を受けた 首都ポルトープランス Port-au-Prince 市内でも5人の患者が確認されていることから、感染拡大の不安が高まっている。国連関係者は、感染流行発生後、初めて首都で確認されたこれら5人の患者らは、感染流行の中心地である Artibonite(Port-au-Prince の北)で感染した後に、市内に移動し発病した患者である点を強調している ... 保健省は23日に会見を開き、the main outbreak zone である the Artibonite region で194人がコレラ感染により死亡し、 隣り合う Central Plateau でも刑務所などで14人が死亡したことを明らかにした;合計患者数は 2674人となっている。
[2] コレラ菌が cholera type O1 であることが明らかにされた
 情報源: Notisistema [in Spanish]、2010年10月23日。
22日保健大臣は、コレラ菌が WHOによると最も危険で世界中の感染流行の原因となっているとされる cholera type O1 であることを明らかにした。
[Mod.LL- Port-au-Prince での感染伝播は起きていないようである。首都への波及は不可避で、壊滅的被害を与えるかもしれない。コレラ菌 O1 と報告されており、(コレラ菌のうち) O1 and O139 のみが epidemic spread of cholera の原因となりうる。 the strains' biotype and phenotype については pending となっている]
 
● 原因不明の致死性疾患-インド
PRO/EDR> Undiagnosed fatal illness - India (04): (UP Uttar Pradesh), RFI 20101024.3854
 情報源: Yahoo India [machine trans.]、2010年10月23日。
23日、9人が息を引き取った。この病気で死亡した人の数は347人に達した。(今回)この発熱性疾患で死亡した人の年齢は、生後8ヶ月、2歳、12歳、35歳、45歳、50歳(2人)、60歳だった。村に医師は来ていない。この地域で、16日に病院を受診した発熱患者は167人だった。マラリアに感染していたことが判明した。12人の重症患者が運び込まれ [?recruited ]、治療が開始された
[Mod.TY- 10月4日の180人から、3週間で347人に増えている。村内に医療従事者がいないとされている。初めてマラリアの関与が示唆される内容が含まれているが、流行初期にマラリアの診断がつかなかったのは奇妙である。以前の報告ではウイルス性とされていた。今回のoutbreakも、前に報告されたのと同じ場所である(The cases in the above report are in the same area as the previous outbreak reports)]
地図1 Ramabal Nagar (also known as Kanpur Dehat) district in Uttar Pradesh 
地図2 Kanpur Dehat and Lucknow districts 

● 新種の肺炎関連アデノウイルス、Titi monkey、ヒト
PRO/AH/EDR> Novel pneumonia-associated adenovirus, Titi monkey, human 20101023.3850
[1] Press report:New Virus 'Jumps' From Monkey to Scientist, Causing Serious Illness
 情報源: Bloomberg Businessweek, HealthDay News 、2010年10月22日。
これまで知られていなかったウイルスが、米国の研究機関で飼育されていたサルの群れの1/3を死滅させ、研究者の1人にも種を超えて感染した可能性があると、研究者が報告した。このタイプのウイルスの動きは異例であり、今後も注意深く監視する必要があるとしながらも、現在は警戒する必要はない点を強調した。すでに回復しているこの1人の科学者から、さらにウイルス感染が広がっている兆候はなく、ヒトの間で感染が伝播した確かな証拠も見当たらない。しかしながら、the University of California San Francisco の准教授は、種を超えた感染伝播があったことを示唆する、かなり確実な証拠があり、市民が不安に思う必要はないが、公衆衛生当局は、outbreak の可能性のあるこのウイルスについての監視が必要と説明した。22日の the Infectious Diseases Society of America annual meeting in Vancouver, Canada で発表される...
[2] Meeting Abstract
Identification of a Novel Adenovirus Associated with a Deadly Outbreak in a Titi Monkey Colony
 情報源: IDSA Meeting, Abstract 196: Oral Abstract Session: Virology 、2010年10月22日。
背景:アデノウイルス Adenovirus はヒトにおいて、気道感染・胃腸炎・肝炎・結膜炎などの、さまざまな疾患の原因となる DNA ウイルスであるが、非常に種特異性が高い感染症と考えられている。
方法: conserved sequence homology(進化の過程で保存された遺伝子塩基配列の相同性) をもとに、すべての既知および新型ウイルスを検出することができるよう設計されたDNA microarray である The Virochip を用い、the California National Primate Research Center(国立カリフォルニア霊長類研究センター Davis, California)の Titi monkey の群れで発生した outbreak の原因を調査した。感染したサルは、上気道炎を発症後、急速に重症肺炎や肝炎に陥った。センターにいた60頭中23頭のサルが重症化し、積極的に治療を行ったが、19頭が死亡した (致死率83%) ...
結果: Virochip により、組織やスワブ標本からアデノウイルスの痕跡が見つかった。Sequencing of the nearly complete 35k [base pair] genome により、最も近いものと比べても80-85%の核酸しか共有しない、新たなグループに属するアデノウイルスであることが判明した ... Outbreak 発生初期に Titi monkey と濃厚接触のあったセンターの研究員の1人が重症肺炎となり、6ヵ月後の回復期の血清でアデノウイルス抗体陽性であったことから、cross-species transmission event の発生が強く疑われた。
結語:...
[Mod.CP- 上記2つの記事はいずれもどの方向(ヒト>サル or サル>ヒト)に感染が伝播されたのかについては、明記されていない。the genus _Mastradenovirus_  あるいはこれまでに解析されている human and simian adenovirus species に分類されるのか、それとも、まったく新たな属を形成する a new adenovirus species に入るのかも示されていない]

● E型肝炎、食品関連-英国
PRO/AH/EDR> Hepatitis E, foodborne - UK: (England) 20101023.3849
Britons warned not to eat undercooked pork
 情報源: Daily Telegraph online 、2010年10月22日。
Cornwall で、まれな肝疾患であるE型肝炎 Hepatitis E により3人死亡し、英国内で少なくとも55人が感染している。一般にE型肝炎は衛生状態の悪い状況で感染するもので、英国人は海外で感染するものと考えられていた。しかし消化器科の医師は、渡航歴がないばかりでなく、従来からのウイルス感染の年齢層以外の患者もいると話している。世界の他の地域では若年層に感染することが多いが、英国の患者は、中年や高齢者で特に男性に多いと説明した。この医師は、生の豚肉の摂取(暴露)が主な感染要因と見て、現在関連性の調査を行っている
地図 Cornwall and Devon can be located at the extreme south-west in the map of the counties of England  

● 狂犬病-米国: 2010年10月
PRO/AH/EDR> Rabies, update - USA (20): October 2010 20101024.3862
[1] ネコ スカンク, human exposure、Connecticut
2 More Cases Of Rabies Confirmed In Cheshire
 情報源:Courant.com 、2010年10月20日。
[2] ネコ, human exposure - North Carolina
Another confirmed case of rabies in Lenoir County
 情報源: Enc Today.com 、2010年10月20日。
[3] イヌ、アライグマ、human exposure - Florida
Rabies Cases in Wildlife Increasing
 情報源: WCTV TV 、2010年10月18日。
[4] イヌ、 West Virginia
Uncommon Rabies Case Reported in Greenbrier County
 情報源: WWNS TV 、2010年10月20日。
狂暴にならず、ある朝ショック状態となった狂犬病のイヌの例
[5] イヌ- West Virginia
Rabies resurfaces in Greenbrier
 情報源: Register-Herald 、2010年10月20日。
[6] ネコ, possible human exposure、 Massachusetts
Mascot Street cat tests positive for rabies.
 情報源: The Dorchester Reporter、2010年10月22日。

● サンゴの病気、ヒトのセラチア菌関連
PRO/AH> Coral reef disease, link to human Serratia strains 20101024.3861
Transmission of Human Pathogen to Coral Reefs to be Studied by UGA Researchers
 情報源: Medical News Today 、2010年10月23日。
以前より公衆衛生当局は、動物からヒトに移る病気に対しては、重大な関心を持っていたが、逆にヒトから野生動物へという流れにはどうだっただろうか。the University of Georgia (UGA) の研究チームは、ヒトの病原体が海洋の無脊椎動物 elkhorn coral に感染するという、"reverse zoonosis(逆人獣共通感染症)" の初めてのケースについて調査を開始した。White pox disease は、1966年以降に the Caribbean and Florida Keys で発生した the coral reef loss の主因と考えられている。 White pox disease の原因は、ヒトの腸管内常在菌である _Serratia marcescens_ で、院内感染のセラチア症の起因菌である ... 研究者らは、a new phenomenon of diseases jumping from humans to wildlife として懸念を示している

● BSE -オランダ OIE
PRO/AH/EDR> BSE - Netherlands (02): (NB), OIE 20101023.3843
 情報源:OIE WAHID (World Animal Health Information Database) Disease Information 2010; 23(36) 、2010年10月22日。
感染開始時期 2010年10月6日
前回流行時期 2010年9月3日
病原体  Bovine spongiform encephalopathy (BSE) agent
新たな感染流行
発生地 Odiliapeel, Noord-Brabant 農場、Resolved
感染した種 ウシ 163頭中1頭 3頭処分
疫学的コメント 陽性となったウシは、2001年に the total feed ban が制定される前の、1997年に生まれた。rendering plant(動物飼料精製工場)でのサンプル調査で判明。この陽性ウシ以外の2頭も処分された。1頭は同じ群れで生まれたウシで、もう1頭はこのウシの子ども。