2011年8月5日

炭疽-南スーダン WHO 
大腸菌 O104 -EU(35)最終報告

● レジオネラ症-ニュージーランド
PRO/EDR> Legionellosis - New Zealand (04): increased incidence
Archive Number: 20110805.2369
 情報源 The New Zealand Herald, New Zealand Press Association (NZPA) report、2011年8月4日。
ニュージーランド国内でのレジオネラ症 legionellosis -- commonly known as legionnaires' disease の発生増加に、専門家らは頭を悩ませている。保健省の最近の報告によると、2009年から2010年にかけて、患者数が141%増加した。従来よりこの肺炎様の感染症は、培養土を吸い込んだり、配管、冷却塔やエアコン内の汚染水への暴露により発生している。2010年に報告のあった178人の患者のうち、死者は5人、入院が136人だった。2011年の上半期も89人と、依然として増加が続いている。2010年同期の報告数は63人だった ... 2010年に最も多くの患者が発生したのは、Canterbury の58 reported cases であったが、 an outbreak よりも少なく "cluster" classification, レベルだった。患者数は増加しているものの死者はそれほど増えておらず、感染が疑われた場合にすぐに受診することを勧めている。毎年、7-8人の死者を記録しているが、医療を受けない場合はさらに上昇すると説明した ...
関連項目 20110530.1658 20110525.1586

● クリミアコンゴ出血熱-ロシア
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Russia (02): (ST) 20110805.2368
 情報源 Stavropolskaya Pravda [in Russian]、2011年7月26日。
[Stavropol territory] 地域当局 The regional service of Rospotrebnadzor [Federal Service for Consumer Protection and Human Welfare] は、19名のクリミアコンゴ出血熱 Crimean-Congo hemorrhagic fever (CCHF) について報告した。このうち 8名は、畜産業に従事していている間に感染した。他の11人は郊外での余暇の間の感染だった ...
[Mod.CP- the 2010 season 中の Mod.NP comment より: 
当局 The Federal Health Agency "Stavropol Research Institute Against Plague" は、過去2年間の the epizootic situation in Stavropol の解析結果について報告を行った。その中で、異常気候がダニの個体数増加を招き、生活環の変化を生じていると述べられている。特に CCHF のベクターである _Hyalomma marginatum_ の成長サイクルが 30-45日遅くなり、幼虫の大量発生が7月末になったため、the range of _Hyalomma marginatum_ が、the Stavropol territory 西部・北西部・中央部の新たな地域でも発生が確認されることとなった、とされている。2011年も同じ傾向が見られる可能性があり、CCHF 対策は、家畜や牧草地に対するより強力な disinfestation treatment にかかっていると言える]
参考項目 20100519.1664

● 炭疽-南スーダン WHO

PRO/AH/EDR> Anthrax, human - South Sudan (02): (WB) 20110805.2367
 情報源 WHO South Sudan Weekly Report、2011年7月18日。
今回の報告期間 [week 28, 12-18 Jul 2011] に ur River county [Western Bahr el Ghazal state] から新たに12人の皮膚炭疽 Anthrax 患者が報告された。[情報源にある] 図1に示したとおり、累積患者数は83人となったが、死者は報告されていない。発生のピークは5月で、一旦減少に向かっていたが今週再び増加に転じた。多くの患者が報告されているのは、Mabior Abiem, Maynang, Thaqueng, and Gieric villages(すべて Jur River county)である。


● エルシニア菌症-米国,殺菌済ミルク
PRO/AH/EDR> Yersiniosis, pasteurized milk - USA (02): (PA) 20110805.2366
 情報源 Beaver County (PA) Times、2011年8月4日。
州保健当局は、Beaver and Allegheny counties の10人が、現地乳業者のミルクを摂取後、体調を崩しているとの情報を得た。Pennsylvania Department of Health の広報担当者は4日の電子メールで、Beaver County と Allegheny County [in western Pennsylvania] のそれぞれ5人が、Brunton Dairy (Independence Township) 製のガラス瓶入りの殺菌処理済のミルクを摂取した後、細菌により発病したと述べた。6月15日以降、1歳から75歳までの男性と女性各5人が、エルシニア _Yersinia enterocolitica_ 菌による下痢などの症状を発症した 
Yersiniosis, pasteurized milk - USA: (PA) 20110803.2345
[Mod.LL- 殺菌処理に問題がなく、製乳所から細菌が検出されないとすると、汚染の原因は分からない。以前のこのような集団発生の際に行われた議論では post-pasteurization contamination による汚染の可能性が最も高いとされた。flavors of the milk であるのかについては記載がない。瓶入りミルクだったことは rat bite feverの病原体である _Streptobacillus moniliformis_ による有名な感染流行を思い出させる。マサチューセッツの地名に因み Haverhill fever と呼ばれたこの集団感染では、自宅に配達されたボトル入りミルクによって感染が拡大したが、配達先の戸外に置かれている間に、ビンの上の部分にネズミが触れたことでミルクが菌で汚染されたと見られている]
関連項目
Yersiniosis, pasteurized milk - USA: (PA) 20110803.2345

● サルモネラ感染症-米国 ,シチメンチョウのひき肉
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Heidelberg - USA (02): ground turkey, recall 20110805.2365
[1] CDC report
 情報源 CDC, _Salmonella_ homepage 、2011年8月4日。
CDC は農務省食品安全監視局 the Department of Agriculture's Food Safety and Inspection Service(USDA-FSIS) と協力し、ground turkey が原因と見られる a multistate outbreak of _Salmonella_ Heidelberg infections の調査を行っている ... 
3月1日から8月3日までの合計76人の患者の内訳: AL (1), AZ (2), CA (6), GA (2), IA (1), IL (7), IN (1), KY (2), LA (1), MA (1), MI (10), MN (1), MO (2), MS (1), NC (1), NE (2), NV (1), NY (2), OH (10), OK (1), OR (1), PA (5), SD (3), TN (2), TX (9), and WI (3). ... 
54人中28人(54%) がシチメンチョウの挽肉 ground turkey を食べたと答えている。健康人に対する質問では、聞き取り前の1週間に食べた人の割合は11%だった。3月7日から6月27日までに、4か所の小売店で購入された 4 ground turkey samples の培養で the outbreak strain が検出された
[2] Recall
 情報源 Los Angeles (CA) Times 、2011年8月4日。
食品大手の Cargill は、サルモネラ菌汚染の疑いのある 3600万ポンド以上の fresh and frozen ground turkey の自主回収を開始した。保健当局より _Salmonella [enterica_ serotype] Heidelberg による汚染の可能性があるとされたためで、このタイプのサルモネラ菌によりカリフォルニア California の男性1名が死亡し、ほか79人が発病している
関連項目
Salmonellosis, serotype Heidelberg - USA: ground turkey 20110730.2296

● 食中毒-トルコ,ロシア人観光客
PRO/EDR> Foodborne illness, Russian tourists - Turkey: (AL) alert 20110805.2364
 情報源 Channel 6 News, BNO News report、2011年7月27日。
トルコのリゾート地 Alanya [Antalya province] において食中毒と見られる症状により,100人近いロシア人観光客が医療機関を受診したと7月27日に当局が発表した。98人の旅行客らが発病し、8人は今も入院中である。当局はこの旅行客らの滞在先である the Club Gunes Garden hotel の飲食品のサンプルを採取した。2011年5月には港湾都市の Bodrum で、現地旅行会社が企画した船旅で bootleg whiskey を飲んだロシア人5人が死亡している。
[Mod.LL- 海外からの旅行客は食中毒に罹患しやすい。症状や潜伏期間など、もっと詳しい情報がないと、生物学的トキシン、毒物、ウイルス、細菌、寄生虫など、いずれの可能性もある病因についての推測が不可能である]

● 大腸菌 O104 -EU

PRO/AH/EDR> E. coli O104 - EU (35): final update, commentaries 20110805.2363
[1] ECDC: final update FORTH
 情報源 European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC)、2011年7月27日。
[2] Commentary
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) News、2011年7月27日。
ドイツ政府感染症当局は、the _E. coli_ O104:H4 outbreak の終息を宣言した ... これまでに the ECDC が受けた報告は 3910 infections, including 782 with hemolytic uremic syndrome (HUS) で46 deaths と報告されている。ドイツへの旅行に関係して、米国とカナダからも数例の感染例が報告された。The ECDC は the contaminated seeds の一部が市場や家庭に残っている可能性があるため、今後の感染や流行発生への注意を呼びかけている。問題とされている食品に曝露した人の全体数が見えない段階で、当局が性急に,非常に強毒性の大腸菌 unusually virulent enterohemorrhagic _E. coli_ (EHEC) strain による感染流行との暫定報告を行ったが、"分母がわからないのであれば、分子はただの数字にしか過ぎない." と言われている。ドイツ保健当局が the original case-control study の対象に sprouts を入れていなかったミスが、誤ってキュウリ、レタス、トマトなどと関連づけてしまう結果につながった。このようなミスはどこの国のどんな集団発生でも起きるもので、この教訓を今後のアウトブレイク調査に生かすべきとコメントされている。the 1st case-control study でスプラウトがはずされた理由として(スプラウトを)摂取したと申告したのが患者の半数以下だったことが挙げられている。 "これはいただけない。なぜなら、過去に sprouts が known previous vehicle だったのであるから、どのような場合にも case-control study に入れなくてはならない" と述べている。 "たとえ、患者の半数以下しか食べていないとしても、実際にはそれ以上に食べられている" と述べた。
[3] Commentary
Enterohaemorrhagic _Escherichia coli_ O104:H4: are we prepared now?
 情報源 Eurosurveillance edition 2011; 16(31)、2011年8月4日。
著者 AW Friedrich, Department of Medical Microbiology and Infection Control, University Medical Centre Groningen, University of Groningen, the Netherlands
ドイツが中心となった大腸菌感染流行 The outbreak of the _E. coli_ O104:H4 infection は終息し、メディアで取り上げられることも少なくなったが、科学者らの間では流行発生の原因を明らかにする努力が続いている。病原体は全く新しい株だったわけではなく、これまで知られていた菌のわずかな variant によることが分かっているが、 HUSEC-41 と呼ばれるこの菌には extended-spectrum beta-lactamase (ESBL) resistance が備わっている上、 腸管侵襲性と腸管出血性の2つの pathotypes の病原性大腸菌に見られる遺伝子を持っていた。具体的には the classical haemolytic uremic syndrome (HUS)-associated Shiga toxin 2 の遺伝子である。多くの調査が行われているにもかかわらず、男性よりも女性の感染が多かった理由、高い発症率の原因、一次感染源、the reservoir,キャリアの期間、the ESBL resistance の関与の程度、the infectious dose,有症もしくは無症候性の患者からの二次感染の果たす役割などの解明は進んでいない。家人への聞き取り調査などから、最大 15 percent of EHEC cases が二次感染によるとされている。Eurosurveillance に掲載された2件の論文のうち、1人の無症候性男性患者から配偶者と幼い娘への感染についてのフランスからの報告は、母親から検出された the EHEC では its ESBL resistance が消失し、耐性遺伝子を運ぶプラスミドの移動が証明されたとの興味深い内容であった。もう1件は the history of 6 possible household transmissions についての報告で、2例は院内感染、1人は、satellite clusters が発生したドイツ・Hesse 州での検査室内感染によるものだった。この論文では3つの重要な点が示されている。1つめは EHEC O104:H4 の二次感染が考えられているほど、頻度が高くないこと。2つめは(O157, O91, and O103 などの)他の HUS に関連する EHEC の serogroups も確認されており、microbiological serotyping が重要であるが、時間がかかる検査であるため Serotyping data が確認されることはまれであった点。3つめは EHEC infection 患者の院内感染防止対策および検査室内での取り扱いには、特別な配慮が必要なこと、であった
関連項目
E. coli O104 - EU (34): update, non-identity of Korean strain 20110717.2168

● ウエストナイルウイルス-ギリシャ
PRO/AH/EDR> West Nile virus - Eurasia (04): Greece 20110805.2359
[1] Evidence of enzootic circulation of West Nile virus (Nea Santa-Greece-2010, lineage 2), Greece, May to July 2011
 情報源 Eurosurveillance Edition 2011; 16 (31)、2011年8月4日。
要約
歩哨ニワトリ sentinel chickens の利用も含めたウエストナイルウイルス West Nile virus (WNV) のサーベイランスネットワークが、2011年5月から7月の期間中、Thessaloniki county, Greece, で実施された。2011年夏としては初めて7月6日に確認された a chicken WNV isolate が、分子学的に確定診断された。The partial NS3 sequence の部分が、2010年に central Macedonia [region] で確認された the Nea Santa-Greece-2010 WNV lineage 2,と同じだった。このことから、WNV は central Macedonia では、活動性の感染循環が継続しており、ギリシャ北部で越冬したことが示唆された。
[2] 成人1名の感染確認
 情報源 Greece Greek Reporter 、2011年7月29日。
the area of Karditsa, Greece で成人1名のウエストナイル脳炎 West Nile encephalitis 感染例が確認された。現地当局は直ちに感染対策に動いた。2010年に Central Macedonia [region] and Thessalia を中心に 257例の感染が確認され、そのうち 191人が重症脳炎を発症した ... the Hellenic Centers for Disease Control は報道関係者に対し、 the weekend 23/24 Jul [2011]、 only 6 infections in pigeons のみで、ヒトでの感染はないと報告していたが、7月24日、 the Hellenic CDCから、軽症の脳炎症状のある。the 1st human case of the summer period 2011 が発表された

● 肝炎-タジキスタン
PRO> Hepatitis - Tajikistan (02): background 20110805.2370
20110804.2355 に関し。
 情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network)、2011年8月5日。
a recent outbreak in Dushanbe の発生があったものの、タジキスタン及び周辺各国の B 型肝炎発生率は、1990年代以降相当減少しており、米国内とほぼ同じである。
興味深いことにこの(減少)傾向は、universal hepatitis B vaccination が導入される10年前から始まっている

● コーヒーの病気,炭疽病-ベトナム
PRO/PL> Anthracnose, coffee - Viet Nam: (DO) 20110805.2358
 情報源 Viet Nam News、2011年7月30日。
約 6万haあまりの中央高地の the Central Highland province of Dak Nong のコーヒー畑のうち、30-40%のコーヒーの実が落果し、収穫量が数千トン減少するものと見られている。コナカイガラムシ mealy bug の1種の pseudococcus に感染し、ここ数年の多雨による湿度上昇と相まって、茎の腐食が起きたと考えられている
[Mod.DHA- ベトナムのコーヒーの anthracnose symptoms については多数の真菌の関与が確認されており、この中には _Glomerella cingulata_ (previously _Colletotrichum gloeosporioides_), _C. acutatum_, _C. capsici_, _C. boninense_ and a number of unknown species などが知られている]

● コショウの病気,Quick wilt 萎凋病-インド
PRO/PL> Quick wilt, black pepper - India: (GA) 20110805.2357
 情報源 The Times of India (TOI), Times News Network (TNN)、2011年8月2日。
ゴアの栽培コショウ Goa's pepper crop に Foot rot disease の被害が発生し、専門家は30-40%の減産を見込んでいる。quick wilt とも呼ばれ、豪雨、適切な対策の遅れ、急速な感染拡大などにより、一部地域では全滅に近い状態になった。古くからの品種にはそれほど大きな被害が出ていない反面、収量増加のために改良された新しい品種が全滅した 
[Mod.DHA- Quick wilt (also called foot rot) of black pepper (_Piper nigrum_) は、真菌類似の病原体 _Phytophthora capsici_ を原因とし、インドのコショウに対し、最も深刻な影響を与える病気と考えられている]