2011年10月31日

◎ 住肉胞子虫症 Sarcocystosis-マレーシア
マラリア-ギリシャ
腸チフス-インド、耐性菌

● ムンプス-コロンビア
PRO/EDR> Mumps - Colombia (02): Bogota, prisoners
Archive Number: 20111031.3241
 情報源 Caracol.com [in Spanish]、2011年10月27日。
(政府系医療機関) CAPRECOM は、the Carcel Modelo (the Model Prison, 首都ボゴタ Bogota の主要な収容所) で行った調査の結果、323例のムンプス Mumps 患者が確認され、流行対策が有効でない恐れがあるとの報告を行った。2010年9月に the north area of Carcel Modeloで初発患者が発生した後、4つの対応策が実施されていたが、感染の拡大が続いている

◎ 住肉胞子虫症 Sarcocystosis、ヒト-マレーシア
PRO/AH/EDR> Sarcocystosis, human - Malaysia: Tioman Island 20111031.3240
 情報源 GeoSentinel、2011年10月31日。
the International Society of Travel Medicine (ISTM) による国際監視プログラムGeoSentinel より、帰国後に6カ国の9つの医療機関を受診した旅行者23例の、人獣共通感染の可能性のある住肉胞子虫症 sarcocystis infection について報告する。一部は団体旅行の参加者であったこれらの旅行者らは、2010年6月から8月にかけてマレーシア Tioman Island off the east coast of Peninsular Malaysia を訪問していた。全てではないが、ほとんどの旅行者らが Perhentiau Island に立ち寄っている。全ての患者において、発熱、筋肉痛、筋骨格症状と、著明な好酸球血症を認めた。最も多くの患者を報告したのは、独 Wurzburg の the Missionsurztliche Klinik の医師からであった。このクリニックの患者らは、ドイツ南部を出発し、マレーシアに長期滞在中の2011年7月に Tioman Pulau を訪れている。旅行の終盤に発熱と筋肉痛を発症し、8月第2週に重症化した。9月中旬の受診時、直接診察を受けた5人全てに CPK (筋酵素) の上昇と著明な好酸球血症が認められた。一部は心臓の症状 (右脚ブロックおよび頻拍)も認められた。5人の患者は旋毛虫症 trichinellosis、トキソプラズマ症の血清学的検査は完全に陰性であった。住肉胞子虫症が疑われたため、albendazole and corticosteroids による治療が行われ、筋生検を承諾した唯一の患者で組織学的に住肉胞子虫症が診断された。このほか15人が、ハンブルグHamburg [Bernhard-Nocht] (3), パリ Paris [Begin] (3), ミュンヘン Munich [Tropical Institute] (2), ジュネーブ Geneva [CHUG] (2), シンガポール Singapore [Tan Tock Seng] (2), アムステルダム Amsterdam [AMC](1), バンクーバー Vancouver [Victoria General] (1), マルセイユ Marseille [Laveran] (1) の各 GeoSentinel sites で確認されている ... 23人の患者のマレーシアにおける唯一の共通項が Tioman だった。患者の多くは旋毛虫症を疑われ albendazole and steroid therapy による経験的治療を受けていた。症状の改善は albendazole ではなく,ステロイドの効果によると考えられる。_Sarcocystis hominis_ は本来ヒトの腸管壁に感染し、放出される卵母細胞 oocysts が中間宿主のブタあるいはウシに嚥下される。のう胞は(ブタやウシの)筋組織内で発達し、未調理の豚肉牛肉を摂取したヒトの人体内で生活環が終了する。ヘビを含む多数の動物が人獣共通感染を起こす Over 100種類の人獣共通感染病原体である zoonotic _Sarcocystis_ species を保有する。今回の事例は、マレーシアを含めた極東に多くみられる,糞便により汚染された食品の摂取による感染と考えられる ... 地方感染地域では、無症候性感染の住民も存在する (Clin Microbiol Rev, Oct. 2004, p. 894-902) 。最大の outbreak of symptomatic cases では 15 US military cases from Malaysia が発生した (Am J. Trop Med Hyg 1999: 61;548-53) 。

● 鳥インフルエンザ、ヒト (65) -インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (65): Indonesia (BA) susp. 20111031.3239
 情報源 The Jakarta Glove 、2011年10月30日。
the Sanglah General Hospital in Denpasar, Bali の病院で、鳥インフルエンザ Avian influenza [A/(H5N1) virus infection] の疑いにより母娘が治療を受けている。病院側の広報によると、現在両名の検査結果が待たれているところであるという。10月に2名の鳥インフルエンザによる死亡が確認されている [20111027.3198]。担当者は the village of Pande in Abiansemal, Badung の42歳の女性と10歳の娘で、2人とも状態は安定していると述べた。

● マラリア-ギリシャ、コメント
PRO/EDR> Malaria, P. vivax - Greece (08): autochthonous, comments
20111031.3236
Comments on _P. vivax_ malaria in Greece
[1] 20111030.3226 に関し。
 投稿者、2011年10月31日。
(報告された20名の患者のうち16名が東南アジアの蔓延国で ... となっているが)
実際には36名の患者が報告されていて、16名が蔓延国からの移動労働者であり、その多くはパキスタンと見られ、ほかの20名は移動労働者以外の患者である。9月27日現在、マラリア常在国への渡航歴のないギリシャ国民20名のマラリア感染例が確認されている。ギリシャ国内感染例が4人としたのは誤りで、合計20人が正しい。
[2] 20111030.3226 に関し。
 投稿者 スウェーデン・European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC)、Denis Coulombier、2011年10月31日。
ECDC は28日、epidemiological assessment を更新した。今回のアセスメントに基づいて ECDC は現在同地域への渡航に際してのマラリアに対する予防内服は推奨していない。引き続き、通常どおり蚊族による刺咬予防対策の実施を強く勧めている。
Eurosurveillance reported 36 cases of which 20 had never travelled outside Greece

● チフス菌,抗生物質耐性-インド
PRO/EDR> Antibiotic resistance, Salmonella typhi - India: (Mumbai) fluoroquinolones 20111031.3235
 情報源 DNA (Daily News & Analysis) 、2011年10月27日。
ムンバイ Mumbai 市内のチフス菌 typhoid 感染患者のおよそ70%が,経口薬剤が効かない菌に感染し入院が必要となっている。the Jaslok Hospital の医師は、この数ヶ月間に治療を行った the typhoid cases のうち70-80%の患者が,キノロン系経口薬 the quinoline family に高度の耐性が認められ、静脈内治療のための入院を必要としたと説明している ... 
[Mod.ML-今も多くの途上国において、チフス菌 _Salmonella enterica_ serovar Typhi (_Salmonella typhi_) による腸チフス typhoid fever が多数発生しており、米国内で発生する年間約400例の患者の75%が、主に南アジアへの海外旅行による感染である。シプロキサシン ciprofloxacin などのフルオロキノロン Fluoroquinolones は経口と静脈内のいずれでも使用可能であり、腸チフスの治療薬として選択されている。代替薬としてアジスロマイシン Azithromycin がある。しかしシプロキサシン耐性 ciprofloxacin resistance の問題が深刻化しつつあり、特にインド亜大陸と東南アジアで顕著となっている ... 以下、耐性獲得の機序など]

● 食中毒-ミャンマー
PRO/EDR> Foodborne illness - Myanmar: (MD) staphylococcal, ceremony
20111031.3233
 情報源 The Myanmar Times 、2011年10月31日。
Mandalay's Amarapura township で10月7日に行われたセレモニー novitiation ceremony の出席者数百人が発病した食中毒の原因は、イベントで出された料理を準備した料理人の1人が衛生的な調理を行わなかったことが原因であったことが、保健当局により確認された。検査の結果、チキンカレーと干しえびのフライから細菌が検出された。食材の汚染ではなく、調理の過程で汚染されたもので、黄色ブドウ球菌 _Staphylococcus aureus_ のエンテロトキシンによる中毒が原因であることが明らかにされた

● 口蹄疫-韓国
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - S. Korea (18): (KB) bovine, susp. RFI
20111031.3238
[1] 情報源 Bloomberg News 、2011年10月31日。
韓国政府農業森林漁業省 the Ministry of Food, Agriculture, Forestry and Fisheries によると、当局は、ソウル Seoul から約370kmの Pohang city のウシ農場において、口蹄疫 foot-and-mouth disease [FMD] が疑われる症例を確認した ... 
[2] 情報源 The Korea Times - Editorial、2011年10月28日。
韓国内のこれまでの発生経過など

● 炭疽-イタリア
PRO/AH/EDR> Anthrax, livestock - Italy (05): (Southern Italy) genomics
20111031.3237
Report on anthrax outbreaks of 2011 developed in 2 regions of South Italy
 投稿者 伊・Istituto Zooprofilattico Sperimentale of Puglia & Basilicata、Dr Antonio Fasanella、2011年10月28日。
要約 28 Aug から 27 Sep 2011 にかけて the regions of Basilicata and Campania を含む約50平方kmの地域で28 件の炭疽感染流行 outbreaks of anthrax が発生した(Multiple tandem repeat analysis (MLVA) with 15 VNTRs [variable number of tandem repeats] on 28 isolates revealed the simultaneous circulation of 3 genotypes)。
Campania region では the GT/Sal [8 samples] が全ての感染流行の原因菌であったのに対し、Basilicata では2 genotypes of _Bacillus anthracis_ が確認されている: Gt/Pz1 [16 samples] and Gt/Pz2 [4 samples] ...

● 口蹄疫-パレスチナ自治区
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Palestinian Auth: (NA) ovine, susp, RFI 20111031.3234
Foot-and-mouth disease (FMD) suspected in the West Bank
 投稿者 Mod.AS・Arnon Shimshony 、2011年10月31日。
Bayta , near Nablus, West Bank, Palestinian Authority のヒツジで、口蹄疫が疑われる感染が発生したとの情報を得た

● 原因不明の疾患、タマネギ-メキシコ
PRO/PL> Undiagnosed disease, onion - Mexico: (BN) 20111031.3232
Rare disease affects onion crops
 情報源 EnsenadaHoy.com, El Vigia report [in Spanish]、2011年10月26日。
未だ特定されていない疾患により、 San Quintin [Baja California] のタマネギの収穫が50%減少している。