◎ 住肉胞子虫症 Sarcocystosis

筋生検により、組織学的に住肉胞子虫症と診断された

PRO/AH/EDR> Sarcocystosis, human - Malaysia: Tioman Island 20111031.3240
 情報源 GeoSentinel、2011年10月31日。
国際監視プログラム GeoSentinel から、帰国後に、6カ国の9つの医療機関を受診した旅行者23例の人獣共通感染の可能性のある住肉胞子虫症  sarcocystis infection について報告する。一部団体旅行の旅行者らが2010年6月から 8月にかけて Tioman Island (Peninsular Malaysia の東部沿岸沖)を訪れていた。ほとんどの旅行者らが Perhentiau Island にも立ち寄っている。
独 Wurzburg の医療機関 the Missionsurztliche Klinik の医師からもっとも多く報告され,同クリニックの患者らは、ドイツ南部を出発し、マレーシアに長期滞在中の2011年7月に Tioman Pulau を訪れている。全ての患者に発熱、筋肉痛、筋骨格症状と著明な好酸球血症を認めた。旅行の終盤に発熱と筋肉痛を発症し、8月第2週に重症化した。9月中旬の受診時,5人全てに CPK (筋酵素) の上昇と著明な好酸球血症が認められた。一部は心臓の症状 (右脚ブロックおよび頻拍)も認められた。旋毛虫症 trichinellosis、トキソプラズマ症の血清学的検査は完全に陰性であった。住肉胞子虫症が疑われたため albendazole and corticosteroids による治療が行われ、筋生検を承諾した唯一の患者で組織学的に住肉胞子虫症が診断された。
このほか15人がハンブルグ Hamburg [Bernhard-Nocht] (3), パリ Paris [Begin] (3), ミュンヘン Munich [Tropical Institute] (2), ジュネーブ Geneva [CHUG] (2), シンガポール Singapore [Tan Tock Seng] (2), アムステルダム Amsterdam [AMC](1), バンクーバー Vancouver [Victoria General] (1), マルセイユ Marseille [Laveran] (1) の各 GeoSentinel sites で確認されている ... 
23人の患者のマレーシアにおける唯一の共通項が Tioman だった。患者の多くは旋毛虫症を疑われ  albendazole  and steroid therapy による経験的治療を受けていた。症状の改善が見られたのは albendazole ではなくステロイドの効果によると考えられる。
_Sarcocystis hominis_ は本来ヒトの腸管壁に感染し、放出されるoocyst(接合子嚢)が中間宿主のブタあるいはウシに嚥下される。のう胞は(ブタやウシの)筋組織内で発達し、未調理の豚肉や牛肉を摂取したヒトの人体内で生活環が終了する。ヘビを含む多数の動物が、人獣共通感染を起こす Over 100 zoonotic _Sarcocystis_ species を保有する。
今回の事例は、マレーシアを含めた極東に多くみられる、糞便により汚染された食品の摂取による感染と考えられる ... 地方感染地域では無症候性感染の住民も存在する 
(Clin Microbiol Rev, Oct. 2004, p. 894-902).。最大の outbreak of symptomatic cases として、15 US military cases from Malaysia の発生が報告されている (Am J. Trop Med Hyg 1999: 61;548-53).