2022年1月12日

COVID-19(13)ワクチンとMIS-C 感冒コロナウイルスとSARS-CoV-2
COVID-19(12)南米 中国

● COVID-19(13)ワクチンとMIS-C 感冒コロナウイルス

PRO/AH/EDR> COVID-19 update (13): US hospital staff, vaccine & MIS-C, common cold, WHO
Archive Number: 20220112.8700810
[1] 米国: 病院職員 hospital staff
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research and Policy) 2022年1月10日
きわめて感染力が強いオミクロン変異株 the highly transmissible omicron (B.1.1.529) variant により,休暇を契機に米国内の感染が急増し,1/4 近い医療施設が感染または隔離による職員の不足を報告している ... およそ 24% の病院が深刻な職員の不足,これまでにない感染の拡がりと,待機手術の制限やケア上の危機対応 crisis standards of care の検討を報告している ... 原文参照願います。

[2] ワクチンと小児の多系統炎症性症候群 
  Vaccine and MIS-C [multisystem inflammatory syndrome in children]

 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research and Policy) 2022年1月10日
12歳から18歳までの COVID-19 入院患者において,2回のファイザー製ワクチン接種 2 doses of the Pfizer/BioNTech vaccine により,まれであるが深刻な症状の,コロナウイルス関連の小児多系統炎症性症候群 coronavirus-related multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C) に対して 91% の発症予防効果があったと,先週の Morbidity and Mortality Report に掲載された米国の研究で報告された。MIS-C に対するファイザー製ワクチンの有効性に関する世界で初めての今回の評価報告において,Centers for Disease Control and Prevention (CDC) researchers らのチームは 24カ所の施設において,102人の青少年 MIS-C 患者と,181人のコントロール群との,ワクチン接種の相違 odds を比較した。コントロール群は,デルタ株 the more virulent delta (B1617.2) variant 出現後かつオミクロン株 the even more highly transmissible omicron (B.1.1.529) strain 登場前の,2021年7月1日から 12月9日までの間の,COVID-19 陰性患者 90人と MIS-C のない(COVID-19)患者 91人で構成されている。参加者の年齢の中間値は 14.5歳で,58% に 1つまたは複数の持病があった。コントロール群のおよそ 36%,COVID-19 患者の 5% が,入院の少なくとも 28日以上前にワクチン接種を完了していた。MIS-C は,通常,軽症または無症候性の COVID-19 infection の 2-6週間後に発生し,2つ以上の臓器に及ぶ入院を要する程度の症状を特徴とする過剰な炎症反応 a hyperinflammatory disorder とされる。
推定された MIS-C に対するワクチンの有効性は 91% で,COVID-19 感染もしくは血清学検査陽性の患者を除外する感受性解析による有効性は 90% であった。コントロール群(のそれぞれのグループ)に対する MIS-C 予防の有効性に差はなく,COVID-19 陰性コントロール群に対しては 92%,MIS-C のないコントロール群に対しても 89% であった。
(MIS-C)患者 case-patients の 61% が集中治療室に入院となり,37% が呼吸または心血管系の生命維持装置 life support を必要とした。生命維持装置が必要であった 38人(うちECMO 1人)はすべてワクチンを接種していなかった。入院期間は平均 5日間で,ワクチン接種群と非接種群で差はなかった。患者の 89% が心血管系に病変が及び,82% が消化器系,67% が血液系臓器に波及した。
研究者らは,2回のワクチン接種後から MIS-C に対する予防(発現)までの期間は不明であり,研究参加施設は広い地域をカバーしているものの,今回の研究結果は米国内の他の地域の小児人口にまで一般化することはできない,としている。しかしながら,この年齢層への COVID-19 ワクチン接種を支持する結果とも述べている。
[出典 Effectiveness of BNT162b2 (Pfizer-BioNTech) mRNA Vaccination Against Multisystem Inflammatory Syndrome in Children Among Persons Aged 12-18 Years - United States, July-December 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022; doi: ]
[参考 日本小児科学会ステートメント]

[3] 感冒と COVID-19 Common cold and COVID-19

 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research and Policy) 2022年1月10日普通のかぜ(感冒)などの原因となるコロナウイルス感染によって誘導される T 細胞が,COVID-19 に対して感染防御に働く可能性がある might help protect against COVID-19 ことが,10日の Nature Communications に掲載された英国内での小規模の研究で報告された。Imperial College London researchers らによるこの調査は,家庭内で SARS-CoV-2 に暴露した 52人を対象として行われた。参加者らは,英国内でワクチンがまだ普及していない 2020年9月に,初回診断後 4日目と 7日目に PCR 検査を受けた。88%が白人だった。
COVID-19 と診断された 26人と比較して,感染しなかった 28人の参加者らには交差反応性 T 細胞が有意に多く認められた significantly more abundant  ... 最も有効な対策は,ブースター接種も含めたワクチンである。今回の研究結果は,現行のオミクロン株や将来出現する変異株にも有効なユニバーサルワクチンのブループリントとなり得る可能性がある,と述べられている。T 細胞は,現行ワクチンの作用部位である表面上のスパイクタンパクではなく,ウイルス内部のタンパク質を中和する作用があり,ウイルスほど変異しない。
[出典 Cross-reactive memory T cells associate with protection against SARS-CoV-2 infection in COVID-19 contacts. Nat Commun. 2022; 13(80);]
 要約 
peripheral blood mononuclear cells(末梢血単核細胞)の dual cytokine FLISpot assay を用い,一般的なヒトコロナウイルス human endemic coronaviruses と交差反応性を有する,スパイク,ヌクレオカプシド,膜,エンベロープ,および ORF (Open Reading Frame) 1 SARS-CoV-2 epitopes に特異的な T 細胞発現 the frequency of T cells を数値化した。PCR-positive (n = 26) 接触者に比べ,PCR-negative despite exposure (n = 26) 接触があったにもかかわらず PCR 陰性のグループにおいては,交差反応性のあるヌクレオカプシド特異性 IL-2 分泌メモリ T 細胞が多く観察された。スパイクタンパクに対する反応については違いが認められなかったことから,スパイクタンパクに対する交差反応性 T 細胞の感染防御作用は限定的であることが示唆された。これらの結果は,(新型コロナウイルスウイルスへの暴露前からの)既存の非スパイクタンパク交差反応性メモリ T 細胞の,SARS-CoV-2-naive contacts における感染防御作用に矛盾せず,第 2世代ワクチンにスパイク抗原を用いないことを支持する。
Imperial College London news release ... 原文参照願います。
[4] WHO: daily new cases reported (as of 10 Jan 2022)
 情報源 WHO 2022年1月10日
[Data by country, area, or territory for 10 Jan 2022 ] 
[5] Global update: Worldometer accessed 10 Jan 2022 19:00 EST (GMT-5)
 情報源 Worldometer 2022年1月10日
[A 7-day series of cumulative data reported by countries, territories, and reporting entities ]
Total number of reported deaths: 5 511 955
Total number of worldwide cases: 311 019 858
Number of newly confirmed cases in the past 24 hours: 3 136 009
関連項目 
COVID-19 update (12): S America, China, children & diabetes, global 20220112.8700789

● アフリカ豚熱 ラトビア イノシシ
African swine fever virus (inf. with), Latvia
PRO/AH/EDR> African swine fever - Europe (04): Latvia (Latgale,Zemgale) wild boar, OIE
Archive Number: 20220112.8700820
 情報源 OIE-WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2022 2022年1月11日
感染開始時期 4 Jan 2022
前回流行時期 30 Dec 2021
病原体 African swine fever virus
新たな感染流行(15)
種/個体数/感染/死亡/廃棄/と畜
Wild boar (_Sus scrofa_): Suidae-Artiodactyla / - / 19 / 6 / 13 / 0

● ボツリヌス症 アルゼンチン 自家製ソーセージ
Misiones: an outbreak of botulism left 2 dead and 6 admitted to intensive care for the consumption of homemade sausages
PRO/EDR> Botulism - Argentina: (MN [Misiones]) homemade sausage, fatal
Archive Number: 20220112.8700784
 情報源 oicanadian 2022年1月9日

● サル痘 ナイジェリア
PRO/AH/EDR> Monkeypox - Africa (01): Nigeria
Archive Number: 20220112.8700812
 情報源 Outbreak News Today 2022年1月10日
保健当局 The Nigeria Centre for Disease Control (NCDC) は 2021年12月,Cross River, Lagos, and Delta states の 3 例のサル痘感染 confirmed monkeypox cases を報告し,年間の感染者数は合計 34例となった。1月1日以降 98例の感染疑い例が報告されていた。死亡は報告されていない。2017年9月以来,ナイジェリア国内で再びサル痘が発生し,これまでに国内 32州から死亡例 8例を含む 512例の感染が報告されている。サル痘の感染は,ウイルス感染のある動物やヒトの体液やウイルス汚染のあるものを介して感染が成立する。発熱,頭痛,体部痛,リンパ節腫脹に続いて,発疹の症状が現れる。病悩期間は通常 2-4週間におよび,致死率は 1-10% に達する。痘瘡ワクチンによる感染予防が期待できる。

● アフリカ豚熱 タイ
PRO/AH/EDR> African swine fever - Asia (02): Thailand (NP) pig, spread susp.
Archive Number: 20220112.8700803
 情報源 Reuters 2022年1月11日
政府当局は 11日,同国内では初めてとなる,Nakhon Pathom province の食肉処理場の環境検体 a surface swab sample におけるアフリカ豚熱 African swine fever [ASF] の確認があったと明らかにした ... 

● マラリア ペンギン 英国,動物園
PRO/AH/EDR> Malaria, penguin - UK: (England) zoo colony, RFI
Archive Number: 20220112.8700793
 情報源 Shropshire star 2022年1月7日
Dudley Zoo [England] では,鳥マラリアのアウトブレイク an outbreak of bird malaria により,the zoo's 69 Humboldt penguins ペンギンのうちの約 50羽が死亡した。感染性の蚊族の刺咬により感染が伝播される。ヒトや他の動物が感染することはないが,免疫がないペンギンにとっては致死的となりうる ... 
関連項目 2018
Malaria, avian - UK: (England) penguin, zoo colony 20181213.6207806

● COVID-19(12)南米 中国

PRO/AH/EDR> COVID-19 update (12): S America, China, children & diabetes, global
Archive Number: 20220112.8700789
[1] South America
COVID-19 (04) - Argentina: record increase in cases, low mortality rate
 情報源 ProMED-ESP Digest; 56(4) 2022年1月7日(Spanish) (English)
アルゼンチンは,他国に比べて最も新規感染率が高い(人口100万対1311)。ウルグアイ,ボリビア,ブラジルなどの状況 ... 原文参照願います。
[Mod.LKThe sharp peak in numbers of cases  アルゼンチンのワクチン接種率がかなり高いことを考えると,おそらく omicron による感染だろう]
[2] 中国: 市中感染
 情報源 Bloomberg News 2022年1月8日
中国国内初のオミクロン株による市中感染例が確認された ... 
[3] 小児
 [A] 入院
 情報源 LA Times, Associated Press (AP) report 2022年1月7日
米国内で,唯一ワクチン接種対象となっていない 5歳未満の COVID-19 入院患者数がこの数週間に急増し,パンデミック開始以降最多となっていると,7日当局が明らかにした。2021年12月中旬には,最年少児人口 10万人に対して 2.5人であったところ,4人以上に増加した。5-17歳ではおよそ 1人との CDC のデータが示されている。ワクチン接種を完了していたのは,just over 50% of children ages 12-18, and only 16% of those 5-11 だった。(全年齢層の)新規入院患者全体に占める割合は 5% 未満にとどまっている ... the omicron wave 下の小児患者の重症度は,the delta variant に比べて低いようだ,と Seattle Children's Hospital critical care chief は述べている ... 
[See CDC]

 [B] 小児の糖尿病 COVID-19 and diabetes in children

 情報源 The New York Times 2022年1月7日
COVID-19 感染回復後の小児は,1および 2型糖尿病発症リスクが著しく高いとみられると,7日,the Centers for Disease Control and Prevention の研究者らが報告した。成人においてはすでに COVID 回復後の糖尿病リスク上昇が認められていた。欧州ではパンデミック開始後の 1型糖尿病と診断される小児の増加が報告されている ... 
[Mod.LK- 小児の post-COVID type 2 diabetes慢性化するのか一過性のものなのか,について明らかにされていないようである(1型糖尿病は不可逆性)。ほとんどの小児が約 4.5 か月しか追跡されていない。一過性でなければ重大な健康上の問題となる。参考 Risk for newly diagnosed diabetes >30 days after SARS-CoV-2 infection among persons aged <18 years -- United States, March 1, 2020-June 28, 2021. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 7 January 2022;] 
[4] WHO: daily new cases reported (as of 9 Jan 2022)
Comparative country graphs from the EIOS [Epidemic Intelligence from Open Sources]  
[5] Global update
 情報源 : Worldometer  2022年1月9日
Total number of reported deaths: 5 505 854
Total number of worldwide cases: 307 883 849
Number of newly confirmed cases in the past 24 hours: 1 845 927
[A 7-day series of cumulative data reported by countries, territories, and reporting entities]
関連項目 
COVID-19 update (11): southern Africa spread, France new variant, global 20220110.8700767