コレラ シリア,ハイチ NEJM
類鼻疽 中国(香港)
食中毒 オーストラリア ホウレンソウ,抗コリン作用植物
● コレラ シリア,ハイチ
シリア
Syrian Arab Republic: WHO Syria situation report #16 cholera outbreak [8 Dec 2022]
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update (36): Asia (Syria)
Archive Number: 20221226.8707418
情報源 Reliefweb, a WHO report 2022年12月15日
- 8月22日に Aleppo で第 1例目が確認され,25日に確定。
- 9月10日,シリア保健省 the Syrian Ministry of Health (MoH) が 15 cholera laboratory-confirmed cases in Aleppo governorate and one death を発表。
- 8月末までに,急性水様性下痢症 acute watery diarrhea (AWD) が他の地域 other governorates にも波及した; Ar-Raqqa, and Deir-ez-Zor. Later in September [2022], AWD cases were reported from new governorates in Al-Hasakeh, Latakia, Damascus, Hama, Homs, and Rural Damascus.
- 10月22日の時点で,13 governorates でコレラ感染例 cholera confirmed cases が報告されていると,保健省が発表。
- 12月3日の時点で,合計 9610 AWD cases associated with 49 deaths (CFR 0.51) were reported by MoH ...
- In week 48, AWD cases decreased by 56.4% compared to the previous week, and cases were reported from one new sub-district, Talbbesh - Rastan in Homs.
関連項目
Cholera, diarrhea & dysentery update (28): Asia (Syria) 20220913.8705568
南北アメリカ(ハイチ)
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update (35): Americas (Haiti, Dominican Republic)
Archive Number: 20221226.8707419
[1] Cholera outbreak in Hispaniola #10 - 22 Dec 2022
情報源 Reliefweb, a Pan American Health Organization (PAHO)report 2022年12月25日
10月2日の初発感染例の報告以降 12月20日現在までに,ハイチ Haiti 保健当局 the Department of Epidemiology, Laboratories, and Research (DELR) は,18 469例のコレラ感染 suspected cholera cases in all 10 departments of the country を報告し,このうち 1380 cases in 9 departments が確定診断されており,1024 (74.2%) 例が the Ouest Department からの報告で占められ, followed by 157 in Centre, 60 in Sud Est, and 54 in Artibonite の順となっている ...
[2] Reemergence of cholera in Haiti
情報源 New England Journal of Medicine 2022年12月22日
原著タイトル Reemergence of Cholera in Haiti. N Engl J Med. 2022; 387: 2387-2389
2010年10月の国連平和維持軍による意図せぬ導入があるまで,ハイチにおいてコレラの発生はなかった。このあとの流行により,82万人が感染し 9792人死亡した。ハイチで最後のコレラ感染例が確認されたのは 2019年1月であり,2022年2月にコレラ排除が宣言されていた。
2022年9月後半,Port-au-Prince で新たなアウトブレイクが開始して急速に拡大し,11月下旬までに 11 953 suspected cases の患者と,1000人以上の培養検査による確定例が発生している。今回,水様性下痢と重症脱水症があり初発感染例 the index patient とされた患児の,9月30日に採取した便検体から分離されたコレラ菌の解析 a genomic and phenotypic analysis of the _Vibrio cholerae_ isolated を行って,流行の起源について検討した。
今回の分離菌 The 2022 _V. cholerae_ isolate は,the [2010] outbreak strain と表現型が一致 shares phenotypes していた。いずれも _V. cholerae_ serogroup O1 (El Tor biotype) of the Ogawa serotype に属し,同じ抗生物質耐性の特徴 similar antimicrobial resistance profiles,trimethoprim-sulfamethoxazole 耐性,低いレベルの ciprofloxacin 耐性など,を有していた。この特徴 resistance profile は,今回のアウトブレイクにおける 130株の分離菌でも認められている consistent ことから, the index patient の患児の分離菌が現行の流行を代表していると考えられた。
この菌株 the current outbreak strain と,(世界中で起きている)現在の第 7波のコレラ感染汎流行 the ongoing 7th pandemic of cholera で確認されている他の菌株 other toxigenic O1 El Tor strains との関係を明らかにするため,9月30日に得られた分離菌を,2021年と2022年のバングラデシュで得られた 4株の分離菌とともに,遺伝子塩基配列分析を行った。
1200株以上の分離菌の系統発生学的解析では,ハイチの分離菌 the [2022] Haiti isolate が,ネパール the 2010 Nepal isolate のものと近い関係にあることが示された。The 2022 isolate は,ハイチにおける前回の流行中である 2013年の a subclade of Haiti _V. cholerae_ isolates に属しており,ハイチから感染が拡がったと考えられている 2013年のメキシコ Mexico の株や,現在バングラデシュで循環する株とは遠い関係にあった divergent。
Haiti isolates from [2022] and [2010] have identical ctxB (ctxB7) and other virulence factors (Table S3) and produce similar quantities of cholera toxin (Figure 1).
これらの解析結果より,2022年のハイチにおけるコレラ再興は,少なくとも一部分において,2010年のアウトブレイクの原因となったコレラ菌 a descendant of the _V. cholerae_ strain が原因である。しかしながら,サーベイランスが続けられていたにもかかわらず,2019年から2022年の間にコレラ感染例は確認されていない。この再燃については,いくつかの説明が可能である。まず,ハイチの人々の間で toxigenic _V. cholerae_ O1 no不顕性感染 subclinical infections が続いていて,集団免疫が低下する中で衛生状態の悪化が加わり再興したことが考えられる。排除できない別の理由としては,環境中の保有宿主により保菌が続いていたという可能性。最後に,2010年のハイチのアウトブレイクがラテンアメリカ中に広く伝播したため,近隣国からハイチに再導入された可能性であるが,この説明は系統発生学的証拠やこの地域で最近流行が報告されていないことから,可能性は低い ...
関連項目
Cholera, diarrhea & dysentery update (34): Americas (Haiti, Dominican Republic) 20221203.8707061
● 類鼻疽 中国(香港)
PRO/EDR> Melioidosis - China (02): (HK)
Archive Number: 20221226.8707476
情報源 Centre for Health Protection, Hong Kong 2022年12月23日
先週 [17 to 23 Dec 2022] 新たに 3例の類鼻疽感染例 new confirmed melioidosis infection cases が確認されたと,23日保健当局 The Centre for Health Protection (CHP) of the Department of Health (DH) が明らかにした。Sham Shui Po 在住で,いずれも 9月上旬から 11月上旬に発症していた。
1例目は,糖尿病と冠動脈疾患などの複数の基礎疾患のある 62歳男性で,腎不全末期のため透析治療を受けていた。9月2日に発熱と咳嗽の症状があり,前日の救急外来受診後,the Caritas Medical Centre (CMC) 病院に入院となった。その後状態が安定し退院となったが,発熱が持続したため 12月5日にふたたび入院し,同10日に退院した。(さらに)同15日に発熱と腹痛の症状で再び救急外来を受診し入院となった。現在も入院中であるが状態は安定している。腹膜透析液の検査で類鼻疽菌 _Burkholderia pseudomallei_ が陽性であることが確認された。
2例目は,糖代謝異常と高血圧などの複数の基礎疾患のある 80代男性で,10月15日に胸痛の症状が始まり,「11月」15日に救急外来を受診した際に肺炎と診断された。その後も胸痛の症状が悪化したため,12月9日に再度受診し入院となった。男性の症状は一貫して安定しており,同16日に退院となった。喀痰検体で類鼻疽菌陽性が確認された。
3例目は,糖尿病と発作性心房細動などの複数の基礎疾患のある 82歳男性で,11月10日に息切れの症状が始まり,咳が続くため 12月5日に一般外来を受診した。12月8日,息切れの症状が悪化したため救急外来を受診し入院となった。男性の症状は常に安定しており,同16日に退院した。喀痰検体で類鼻疽菌陽性が確認された。
香港 Hong Kong では 2022年のこれまでに,合計 46例の類鼻疽感染例が報告されている;30 cases living in Sham Shui Po were recorded since August [2022]. ...
関連項目
Melioidosis - India: (Odisha) 20221202.8707030
● サルモネラ菌感染症 米国 スプラウト
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, st. Typhimurium - USA (02): (NE) alfalfa sprouts susp
Archive Number: 20221226.8707473
情報源 KETV 2022年12月23日
ネズミチフス菌 _Salmonella [enterica_ serotype] Typhimurium による胃腸炎の集団発生 a cluster of gastrointestinal illnesses について,ネブラスカ州保健当局 The Nebraska Department of Health and Human Services が調査を行っている。23日までに 12人が,between [4 and 15 Dec 2022] の期間に,レストランまたは食料品で購入後に自宅で,アルファルファスプラウト alfalfa sprouts を食べて発症した。調査期間中はアルファルファスプラウトを食べないよう呼びかけられている。スプラウトを食べて下痢の症状がある場合は医師に相談するよう求めている。
サルモネラ菌感染症の患者のほとんどは,抗生物質治療を行わずに 4ないし7日間で回復するが,免疫低下,65歳以上の高齢者等は重症化のリスクが高くなる。
[Mod.LL- 世界中で,サルモネラ salmonella, リステリア listeria, and 腸管出血性大腸菌 enterohemorrhagic _Escherichia coli_ などの様々の重要な病原体が,種々のスプラウトの摂取 ingestion of a variety of different kinds of sprouts と関連している。
参考文献
Outbreaks caused by sprouts, United States, 1998-2010: lessons learned and solutions needed. Foodborne Pathog Dis. 2014; 11(8): 635-44;
要約
"1990年半ばのスプラウトが関係する一連のアウトブレイク発生後,米食品医薬品局 the US Food and Drug Administration (FDA) は 1999年に,スプラウト生産者のための汚染防止ガイドラインを作成した。推奨事項として,種子を calcium hypochlorite solution 溶液などの抗微生物物質により処理することや洗浄後の溶液の病原体検査などが含まれていた。米国内で From 1998 through 2010 の間に,33件のアウトブレイク outbreaks from seed and bean sprouts と 1330人の健康被害が報告されている。合計 28 outbreaks がサルモネラ菌 salmonella が原因であり,4件が志賀毒素産生性大腸菌 Shiga toxin-producing _Escherichia coli_, 1件がリステリア菌 listeria が原因とされた。情報が得られた 18件のうちの 15件は,生産者が key FDA guidelines に従っていなかった。しかし,3件については,key FDA guidelines を遵守していた生産者のスプラウトだった。種子の塩素殺菌 seed chlorination が必ず実施されていればスプラウトの病原体は減少するが,ヒトの感染リスクを 0 にすることはできない。最近開発されたものも含め,より進歩した種子とスプラウトの殺菌技術が,さらなるスプラウトの安全性とヒトの健康被害の減少に必要である。種子生産手順の改善も,病原体によるリスクの減少 decrease pathogen burden につながるが,種子は世界中で共有されている a globally distributed commodity ため,国際間の協力が必要となる。"]
● 食中毒 オーストラリア ホウレンソウ
PRO/EDR> Foodborne illness - Australia (03): toxic spinach products, recall
Archive Number: 20221226.8707472
情報源 The Hindu 2022年12月21日
ベビースピナッチ baby spinach を食べて 100人以上が精神症状 hallucinations を経験し,少なくとも 54人が医療機関を受診したことから,オーストラリア Australia 国内のスーパーマーケットが同製品の回収を行っている。異物混入 contamination が原因となったホウレンソウによる中毒症状 toxic reactions とみられている。患者らには,せん妄 delirium, 視野障害 blurred vision, 散瞳 dilated pupils, 嘔気と嘔吐 nausea and vomiting, 頻脈 rapid heartbeat, 精神症状 hallucinations, 発熱 fever, and 錯乱 confusion などの症状が見られた ... ニューサウスウェールズ州保健当局者 the medical director of New South Wales's Poisons Information Center が答えた。
Riviera Farms が生産した葉物野菜に,これらの重篤な症状の原因となる草 a weed が混じっていたとされている。問題のベビースピナッチ The baby spinach の出荷先は,ビクトリア Victoria 州 in the Australian Capital Territory, which includes Canberra およびニューサウスウェールズ New South Wales 州である。
ビクトリア州保健当局 the Health Department of Victoria は,確認されている症状は,mandrake root, nightshade, and Samson weed from the Solanaceae family(ナス科植物)などの植物に含まれる物質による抗コリン作用症候群 anticholinergic syndrome と考えられるとしている。抗コリン作用成分を含む植物や薬品は,思考,記憶,視覚などを司る神経伝達物質のアセチルコリン acetylcholine の産生を低下または停止させる。アセチルコリンの低下や喪失 acetylcholine loss は,アルツハイマー病や認知障害などの,神経変性疾患に関係している。
acetylcholine loss による精神症状 Hallucinations などの説明 ...
anticholinergic syndrome は死亡につながるおそれはないかもしれないが,extreme symptoms and severe effects となる。
関連項目
Foodborne illness - Australia (02): toxic spinach products, recall 20221218.8707342
● フォスフィンガス中毒 パレスチナ自治区
PRO/AH/EDR> Phosphine gas poisoning - Palestinian Auth: fatal
Archive Number: 20221226.8707463
情報源 Palestine News & Info Agency (WAFA) [in Arabic] 2022年12月21日
保健省 The Ministry of Health は 21日,20日夜に中毒のため住民が救出された Jabal Al-Dik - Al-Rum housing in Beit Sahour の家屋の 60m圏内に住む市民らに対して,48時間自宅から離れるように求めている。The Director of Bethlehem Health 保健当局者は,Beit Sahour の住居ビル内の 1室で有毒ガスのフォスフィンが発生し the presence of a toxic gas called "phosphine",多数の住民が中毒となり,うち 2人が死亡したと明らかにした ... 国内でフォスフィンの使用は禁止されている,小児 2名(兄,妹)が相次いで死亡した ...
参考項目 2020
Phosphine gas poisoning - France: fatal 20200216.6995512
● 鳥インフルエンザ パナマ
PRO/AH/EDR> Avian influenza (245): Americas (Panama) wild bird, HPAI H5N1, 1st rep, alert
Archive Number: 20221226.8707471
情報源 La Estrella de Panama [in Spanish] 2022年12月24日
野鳥の鳥インフルエンザ感染が発生した the occurrence of avian influenza H5N1 ことを受け,パナマ動物衛生当局 The National Animal Health office [DINASA] of Panama が衛生上の注意喚起 a sanitary alert を発出した。90日間有効となる。
● クロストリジウム菌感染症,ヒツジ ウシ 英国
PRO/AH> Clostridium diseases, sheep, cattle - UK: seasonal alert, prevention
Archive Number: 20221226.8707466
情報源 Farming UK 2022年12月16日
2人の畜産獣医学の権威が畜産農家に対し,今冬のクロストリジウム菌感染症 clostridial diseases に対するワクチンを家畜に接種するよう呼びかけている。多数の家畜が越冬する中,ワクチンの追加接種が行われていない。ヒツジやウシは長時間牧草を食み,fodder beet and swedes [?] などの作物の上に居ることから,クロストリジウム菌芽胞が存在する土壌に暴露することで感染リスクが高くなると説明されている。