2009年8月1日-2日

◎ Lupin seed 中毒 オーストラリア
マールブルグウイルス ウガンダ、コウモリ PLoS

◎ Lupin seed 中毒 オーストラリア
PRO/EDR> Lupin seed toxicity - Australia: alert
Archive Number: 20090802.2720
 情報源:Brisbane Times 、2009年8月2日
low GI(glycemic index 血糖上昇が弱い)のため人気のマメが、正しい調理を行わないと死亡につながることもあるとして、当局は注意を呼びかけている。Lupins は苦いものと甘い種類があるマメで、血糖上昇や脂肪を抑える目的でパンやソーセージの中に混ぜられている。スナックとして生で食べられることもあるが、医師によると、はじめに有毒なアルカロイド alkaloid の濃度を下げておく必要があるとされている
[ModTG- Lupins にはアルカロイド quinolizidine alkaloids が含まれているが、ほかの多くの _Lupinus_種の植物から,ある種の piperidine alkaloids や他の alkaloids が分離されている。ニコチン作用を持つものが多い。The nitrogen oxides(一酸化窒素) of some of these bases が検出されるものもある。 The alkaloids は葉にも含まれるが、最も高濃度となるのは種である。女性に抗コリン症候群が見られたのは lupin seed の主な中毒作用の1つであるアセチルコリン阻害があったこと意味する。オーストラリアでは the sweet と the bitter の 2種類の lupin seeds があり、the sweet form はある期間 food source として使用されたことがある。もし the bitter form を使用するなら、seeds を何度も水を換えながら長時間浸水し、トキシンを取り除かなければならない]
[Mod.MPP- 実際の発生は 2007年であるが、オーストラリア国内では違う種類の seeds による毒性をよく知らずに、lupin seed や lupin seed products を使う人々が増えてきていることが懸念されている]

● インフルエンザパンデミック (H1N1)2009(2件)
台湾中国
PRO/AH/EDR> Influenza pandemic (H1N1) 2009 (23): (China, Taiwan), co-circ. H3N2 20090802.2713
[1] 台湾 H3N2 brings new influenza threat
 情報源:RTI (Radio Taiwan International) 、2009年7月31日
台湾政府当局は 31日、新たなインフルエンザ Influenza ウイルス感染患者について発表した。1人は H1N1 豚インフルエンザ [インフルエンザパンデミック (H1N1)2009] の感染による患者で、もう 1人は H3N2亜型インフルエンザ Aウイルスの患者であった。7月31日に発生した台湾の H1N1 感染患者は 6人、H3N2 感染患者は 2人である。H1N1 の 6人のうち、1人が死亡した。さらに 7月だけでも 10人の H1N1集団発生があった。H1N1 と確定診断されたケースは 58人いる。最も感染者が多いのは 30歳代の男性でこれらの年齢層へのワクチンを考慮すべきと、CDC 当局者は述べている
[2] 中国 (香港 S.A.R.) H3N2 brings new influenza threat
 情報源: China view, Xinhua News Agency、2009年7月31日
香港衛生当局は 27日、H3N2型季節性インフルエンザウイルスの新株 variant が市中で確認されたと発表した。昨年の H3N2の流行株は The Brisbane strain で、the new variant はこの直接の子孫であると保健当局者が説明した。以前の Brisbane strain といくつかの遺伝学的な相違点をもつものの、カナダ、英国、オーストラリアなどの海外の保健当局もこの変異株を確認していると付け加えた。北半球に供与されたワクチンは、この新たな変異株に direct match(ぴったり合う)していないが、ある程度の防御作用をもつものと見られている。1ヶ月以内に香港の広い地域でワクチンが使用可能となるとした上で、慢性疾患患者、高齢者、小児などのハイリスクグループへの接種を勧めている。H3N2 型は香港で感染循環するインフルエンザウイルスの 43%を占め、一方の H1N1は 49%の割合である。
[3] 無症候性患者 Asymptomatic cases ProMED 20090730.2668 に関して
 投稿者: Dr. Steve Berger、2009年7月31日
H1N1の感染者の多くが無症候性であるとすれば、報告方法や感染対策を大幅に改訂する必要がある。空港・救急室などでのスクリーニングは発熱患者であることを前提に始められている。症状の認められない感染は、報告されることも、行動を制限されることもないまま、他者への感染を広げる。評価されている致死率の値も下げなければならない。

オーストラリア 
PRO/AH/EDR> Influenza pandemic (H1N1) 2009 (22): Australia (NSW), swine 20090801.2698
[1] NSW pigs catch swine flu
 情報源:ABC.net.au 、2009年7月31日
中西部 New South Wales (NSW ニューサウスウェールズ州) の豚舎 piggery 1か所で、豚インフルエンザの感染流行が発生していることが検査で明らかになった。オーストラリアでブタでの感染が確認されたのは初めてで、当局は養豚場作業員からの感染と見ている。合計 280頭の豚インフルエンザが隔離され biosecurity 対策が実施されている。保健相によると農場の所有者とその従業員らにインフルエンザ様症状が発生しており、当局は豚インフルエンザの検査を行っている。ヒトへの影響はないとしている。
[2] Australia reports its 1st H1N1 case on pig farm 31 Jul 2009
 情報源:Pig Progress 、2009年7月31日
ヒトからブタへの感染が起きた結果、ニューサウスウェールズ州のブタの新型インフルエンザ A(H1N1) ウイルス感染が確認された。弧発例は外来疾患対応策にしたがって取り扱われると、州一次産業局の当局者が説明した.カナダのアルバータおよびケベック両州と、アルゼンチンのブエノスアイレス県に次いで、今回の事例は 4件目のブタでの感染報告となった。南北アメリカ以外では初めてとなった。オーストラリアの biosecurity は世界トップクラスであり、家畜の所有者は通常の厳しい対策と家畜と従業員らの監視を実施するものと期待 されており、当面の目標は養豚場1ヶ所での排除であると述べた。

● クリミア・コンゴ出血熱 カザフスタン
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Kazakhstan (02): (SK) 20090802.2707
 情報源:Stan TV News [in Russian]、2009年7月23日
カザフスタン南部の CCHF [Crimean-Congo hemorrhagic fever クリミア・コンゴ出血熱] が疑われていた感染流行 [20090715.2529] に関する検査の結果が判明した。7月4日,the city of Turkestan 市で、出産後の出血が原因で母親が死亡(児は生存)し、治療に当たった医師ら 3人も死亡した。その後も医師らは 5人の死因は感染症によるものではないとしていたが、今になってようやく CCHF ウイルス感染が原因であったことを認めた。これらのグループ以外への感染拡大は認められていない。これらの死亡発生の 2日後、衛生当局の責任者と病院の産科部長は解任された。5人の治療に合っていた医師らは exonerated(解放された? 許された?)。感染流行の発端はこの母親であるが、彼女の感染経路は判っていない。

● レプトスピラ症 ソマリア
PRO/AH/EDR> Leptospirosis - Somalia: susp, RFI 20090802.2706
 情報源:The New Vision (Uganda) 、2009年7月29日
ソマリアで活動中のウガンダ人平和維持活動従事者 2人が、原因不明の疾患により死亡し、感染のあったほか 17人が 28日にナイロビ Nairobi の病院に空路移送されたと、ウガンダ人民防衛軍 UPDF が発表した。モガディシュ Mogadishu で 7月28日に 1人が死亡し、もう 1人も 29日にナイロビで死亡した。ほか 17人が Nairobi Hospital の集中治療室に入院中である。UPDF は医療チームを現地に派遣した。胸痛、発熱、頭痛、下肢腫脹、頻脈、呼吸困難の症状が見られたと報道官は説明した。原因はまだ掴んでいないと述べた。先週末(7月25日)、50人を超えるブルンジ人らも同じ原因不明の病気を発症し 4人が死亡しており、24日、レプトスピラ症 Leptospirosis が疑われると発表されている。同疾患は感染性のネズミの尿に汚染された水に曝露することで感染する細菌感染症で、例えば貯水槽にネズミが排尿することで感染が広がる場合もあるという.
[Mod.ML- Leptospirosis は多彩な臨床症状を呈し、心機能障害や腎障害、髄膜炎、肝不全、呼吸不全などを合併することもある。記事にある症状は、非特異的過ぎて診断には繋がらない。またレプトスピラ症で見られることの多い症状である、筋肉痛、眼球結膜充血(suffusion)などの記載も見あたらない:重症型レプトスピラ症の有名な症状である黄疸もない]
[Mod.JFW- Leptospirosis は水を介する人獣共通感染症で _Leptospira_ species を原因とする。この病原体は、齧歯類、食虫類、イヌ、ウシ、ブタ、ウマに存在する。屋外または動物と接触のある職業である、兵士、農業従事者、下水業者、獣医師、酪農家などは、職業上のリスクを負っている。ヒトでの感染は、感染動物の尿そのものや、尿に汚染された地表水、土壌、植物などとの接触によって発生する。皮膚の傷や目・鼻・口の粘膜を通して細菌は侵入する。症状として発熱、激しい頭痛、筋肉痛、悪寒、目の発赤(充血)、腹痛、黄疸、皮膚や粘膜の出血(肺出血を含む)、嘔吐、下痢、発疹などである。感染流行が疑われた場合には、早期からの抗生物質治療が開始できるようレプトスピラ症の診断を念頭におくことが求められる。感染流行が疑われたり確定された場合、さらに病原体の serovar(血清型)が判明したなら、感染源を特定し適切な環境対策を行い、リスクのある人々に対する情報提供を行う必要がある(医師や医療従事者、衛生当局を含む)]

● 肺ペスト 中国
PRO/AH/EDR> Plague, pneumonic - China: (QH), RFI 20090801.2702
 情報源:XinHuaNet、2009年8月1日
中国北西部・青海省 Qinghai Provance の the Hainan Tibetan Autonomous Prefecture(海南チベット人自治区)で、肺ペスト Plague に感染した 11人のほか、1人が死亡したと省当局が発表した。感染のあった 11人は隔離病棟に入院中で状態は安定している。多くは死亡した 32才の牧民の関係者である。当局は専門家らを派遣し Ziketan town を隔離している。保健当局は,7月16日以降に Xinghai county of Hainan Tibetan Autonomous Prefecture の Ziketan town 周辺に滞在し、発熱や咳の見られる患者は病院を受診するよう求めている。

● 麻疹 タンザニア、コンゴ(民)から
PRO/EDR> Measles - Tanzania, ex Congo DR 20090801.2701
 情報源:Daily News online、2009年7月31日
コンゴ民主共和国で麻疹 Measles 感染流行が発生し、Nkasi District(Rukwa Region)の 6か所の村々にコンゴ DRから多数の人々の流入が起きている。Kalungu village dispensary  診療所ではすでに 7人の麻疹患者が死亡し、5人が成人で 2人は 5才以下の小児であった。Kalungu はタンガニーカ湖 Lake Tanganyika(Kirando Division, Nkasi District)に面した小さな漁村である。患者らはすべてコンゴ民主共和国の市民であった。伝統医療者を受診した後での病院受診で、すでに手遅れとなっていた。DRC から治療やワクチンを求めて流入するヒトの数は不明である。いずれもタンガーニカ湖畔にある Kirando, Manda Kerenge, Kalungu and Namasi への流入が最も多い
地図 Nkasi and neighboring regions 

● ロッキー山紅斑熱 米国
PRO/AH/EDR> Rocky Mountain spotted fever - USA (02): (MN), fatal 20090801.2699
 情報源:Star Tribune、2009年7月30日
ミネソタ Minnesota 州で重症のダニ媒介性疾患が発生し、今月(2009年7月)Dakota 郡の小児 1名が死亡したと、7月29日に州保健当局者が述べた。
Rocky Mountain spotted fever(ロッキー山紅斑熱)と呼ばれるこの疾患は、ミネソタ Minnesota 州で見られることはまれだが、感染すると重大なリスクをもたらせる。この小児は Dakota 郡内でこの病気を保有していたダニの刺咬を受け感染したと州当局は見ている。2009年の州内では初めての同疾患による死者の報告となった。ミネソタ周辺では近年、散発的な発生が報告されていた。米国内では年間約 2000件の患者報告がある。南東部の州に比べ、ミネソタ州での報告はまれだが、近頃発生したこの死亡例と州内に American dog ticks が数多く生息していることから、この重大な疾患に対して周知し、いかなる種類であってもダニの刺咬は避けるよう呼びかけなければならないと公衆衛生学者が述べた。The American dog tick, the Rocky Mountain wood tick and the brown dog tick ダニが病原体を保有する可能性がある。
Rocky Mountain spotted fever の症状には、高熱、頭痛、発疹などがある。筋肉痛、関節痛、全身倦怠、嘔気、嘔吐、食欲不振などの症状が見られることもある。約5%の患者が感染により死亡する。
[Mod.LL- 有病率と致死率減少のために、リケッチア感染症は直ちに診断することが肝要である。特にこの病気がそれほど多くない uncommon 米国中西部ではなおさらである。]
[Mod.MPP- 同じ記事の中でミネソタ州の Powassan virus 脳炎の患者についても触れられている]
写真 ダニ The female _Dermacentor variabilis_ (the American dog tick), a common vector for this infection

● マールブルグウイルス ウガンダ、Egyptian fruit bat

PRO/AH/EDR> Marburgvirus, Egyptian fruit bat - Uganda 20090801.2700
[1] Marburg virus found in fruit bats in Uganda
 情報源: Reuters News 、2009年7月31日
ウガンダのある洞窟内にいる数千頭のコウモリが、エボラウイルスの cousin であるマールブルグウイルス [the Ebolavirus と Marburgvirus はともに genera of the family _Filoviridae_(フィロウイルス科に属するウイルス)である] に感染していることが、31日に研究者によって明らかになり、この哺乳動物が致死性ウイルスの自然界の宿主であるとの説がより一層支持される結果となった。米 CDC などからなる調査チームにより、2007年に鉱山労働者らがマールブルグウイルスに感染した洞窟内のコウモリに対して行われた検査で、5%のコウモリにウイルスが見つかった。10万頭以上が生息するウガンダの Kitaka 洞窟の _R. aegyptiacus_ bats の 5%で生きたウイルス感染が確認されたことから、同所内には5000匹を超えるマールブルグウイルス感染のコウモリがいることになる。この洞窟はアフリカ中にある同じような洞窟内コウモリの1つに過ぎないと、報告した the Public Library of Science journal PLoS Pathogens 誌の中で述べられている。ヒトでの感染流行の主要な発生原因となる可能性があることは明らかだとされた。研究者の中で長い間、同じフィロウイルス科の致死性ウイルスであるエボラウイルスとマールブルグウイルスの自然界の宿主としてコウモリが疑われていた。この調査チームは,2007年に鉱山労働者 1名がマールブルグ出血熱で死亡した巨大洞窟内のコウモリの血液を採取した。この死亡した鉱山労働者のウイルスとコウモリのウイルスは、遺伝学的に非常に近い(一致)ものであった。common Egyptian fruit bats がマールブルグウイルスの保有宿主かつ感染源であり、ヒトに感染が波及する可能性があると報告している。
[2] Isolation of Genetically Diverse Marburg Viruses from Egyptian Fruit Bats
 情報源: PLoS Pathogens、2009年7月31日。
[出典 PLoS Pathog 5(7): e1000536. doi:10.1371/journal.ppat.1000536. Full article available at the above URL]
要約
2007年の7月と9月にウガンダの Kitaka Cave の鉱山労働者らがマールブルグ出血熱と診断された。洞窟内での感染源は、コウモリの 5.1% (31/611) に認められたマールブルグウイルス RNA、コウモリ血清中のウイルス特異抗体、コウモリの組織からの遺伝学的多様性のあるウイルスの分離などから、Egyptian fruit bats (_Rousettus aegyptiacus_) である可能性が高いことが判明した。9ヶ月の間隔を空けてウイルス株が分離されたことから、長期間のウイルス感染循環があることが判った。mark and re-capture methods を用いて調べた結果、このコウモリの群生地には 10万匹以上が生息していることが判明し、ウイルスに感染しているコウモリの数は 5000匹を超えると予測される。コウモリと鉱山労働者から分離されたウイルス遺伝子塩基配列の遺伝学的多様性は非常に近いものであった。common Egyptian fruit bats が marburgvirus の自然界の宿主であり、ヒトへの感染源であることが示唆された。
著者要約:
[Members of the genus Marburgvirus] は、近縁ウイルスである the Ebolavirus genus と同じく、アフリカ農村地帯で致死率が 90%を超えるような大規模な出血熱流行の原因となる。この致死性ウイルスの自然界の保有宿主が何であるかは、過去数十年間の長い間の enigma 謎であった。本報告により、洞窟内に生息する Egyptian fruit bat (_Rousettus aegyptiacus_) が marburgviruses の natural host であることが明らかになった。これは、これまでで初めて野生で捕獲された一見健康なコウモリからの直接のウイルスが分離されるなどの,ひとつながりの複数の証拠に基づくものである。_R. aegyptiacus_ はアフリカ全域で普通に見られ、地中海東部から中東まで分布する。ウガンダの Kitaka 洞窟内の _R. aegyptiacus_ bats の約 5%で生きたウイルスが発見され、洞窟内に 10万匹以上が生息することから、洞窟内でマールブルグウイルスに感染しているコウモリの数は 5000匹以上となる。(この洞窟は)アフリカ全域に数多く存在する同じような洞窟の1つにすぎない。これらのコウモリがヒトでの感染流行の発生開始に関与する(感染源となる)可能性があることは明らかで、公衆衛生上の影響は大きい。またコウモリから分離された感染循環中のウイルスに認められた遺伝子塩基配列上の高度の多様性 (21%) は、大きな集団の適合する保有宿主と長期間の関係性をもっていた結果として認められるレベルにあった。
[Mod.CP- この著者らは、自然界のフィロウイルスの由来が厳密には確認されていないものの、証拠の積み重ねによりコウモリが関与する可能性が示唆されたと主張している。初めての Maruburg 出血熱のアウトブレイクの原因となった 1967年にウガンダから欧州に運搬された感染サルは、多数の fruit bats(オオコウモリ、フルーツバット)が生息するビクトリア Vidtoria 湖岸や島で捕獲されている。1996年、実験的に感染させた fruit bats が発症することなくエボラウイルスを増幅させることができることが証明された。洞窟内の Egyptian fruit bats, _Rousettus aegyptiacus_ と 2種類の食虫コウモリにおいて、多様な遺伝学的系統のマールブルグウイルスが確認され、洪水発生によりアウトブレイクがおさまったものの、生きたウイルスは分離されていない。2002年の調査で、ガボンの森林に生息する種の fruit bat でエボラウイルスの RNAが確認されその後 EHF(エボラ出血熱)の感染流行が発生し、2005年には同じガボン国内で,対応するアウトブレイクが発生することなく,コウモリ _R. aegyptiacus_ bats においてマールブルグウイルスの核酸が確認されている。いずれのケースでも生きたウイルスは証明されていない。2007年7月、小規模の Marburg haemorrhagic fever のアウトブレイクが Kitaka Cave (Ibanda village in western Uganda)の鉛と金の採掘抗夫の間で発生した。この鉱山内にはおびただしい数の _R. aegyptiacus_ と食虫性 _Hipposideros_ species コウモリがいた。2007年8月と 2008年5月に行われた環境調査の結果が、今回報告されている。_R. aegyptiacus 内での垂直感染(母児感染)の証拠はないが、母親からの免疫が減弱したり、季節性に節足動物などの外部宿主の感染の発生するなどの要因によって,発達段階にある幼弱なコウモリ juveniles はウイルスに曝露するものと結論づけられている。今回の研究において、コウモリの接触動物の寄生虫についての限定された調査では、マールブルグウイルス感染の証拠は認められなかったし、1999年の DRC (コンゴ民主共和国)で調査された,多数の寄生性の洞窟関連の節足動物においても同じ結果であった。ヘンドラウイルスやニパウイルスのように感染感受性のあるコウモリの間での水平感染するというのがもっともらしい。しかし、コウモリの口腔内スワブ検体で Marburg ウイルス RNAが確認されたことはない。これは肝や脾でウイルス RNA が陽性であったコウモリも含めた結果である。Nipah ニパウイルスで示唆されているような masticated fruit spats(フルーツの咬み残し)による感染伝播は、マールブルグウイルスの感染経路とは考えにくいことを示している。別の経路として、糞や尿を介した感染伝播がある。ebolavirus が、実験的に感染させたコウモリ fruit bats において,最大3週間、排泄物中に排泄されることは有名である。しかし、われわれが行った RT-PCR 陽性のコウモリのホルマリン固定した腎臓の限定的な免疫組織学的解析ではこれまでのところ陰性で、糞を介した感染経路と比較して、尿を通じた感染経路の可能性は低い。しかし、糞や尿、だ液による感染伝播を除外するのは早計で、免疫組織化学法は RT-PCR より感度が低い。R. aegyptiacus bats の感染実験を通じて、将来感染経路のメカニズムが検討されるべきである。CONCLUDING REMARKS において著者らは、21%以上の核酸の相違が見られるようなウイルスの遺伝学的系統上の多様性をもつ世代や perpetuation 存続は、保有宿主とウイルスに長期間の関連性があり、さらに naive な個体との絶え間ない接触が繰り返されるような大きな集団であることも示唆する結果と述べている。112000匹と見積もられている Kitaka mine 内の _R. aegyptiacus_ bats は、年間 2回の繁殖期を通じて最大 10万匹の子孫を生み出すと考えられる。その上、この種のコウモリはアフリカ中に分布しており、the Kitum Cave complex on Mount Elgon のある東アフリカの周辺地域だけでも多数の巨大コロニーを有している。南アフリカでは _R. aegyptiacus_ colonies 内のコウモリの大部分が季節ごとに(on a seasonal basis)300マイル以上離れた他のコロニーまで移動することが確認されている。すなわち marburgviruses の脊椎動物の宿主の範囲は、広大な地理的範囲内の数千万頭のコウモリにおよぶ可能性もある。Marburg virus の系統的多様性が、ウガンダの Kitaka 鉱山や DRC の Goroumbwa 鉱山という単一の場所で共感染循環していることが観察されているものの、非常に近縁の系統が、例えば 2000km以上も離れた別の場所でも確認されていることは注目に値する。例えば、ガボンの marburgvirus の遺伝子塩基配列は、ジンバブエ、ウガンダ、DRC で分離されたウイルスと非常に近い関係にある。the Ravn lineage のウイルス株は Kenya, DRC and Uganda で確認されている。実際、今回のデータについて行った isolation-by-distance analysis (Mantel test) では、遺伝学的相違と距離との相関関係は認められなかった。非常に近い関係にある marburgvirus の系統株が地理的に離れた場所に存在することは、その自然界の宿主の移動性と最も関係が深く(一致するもので)、アフリカに生息する _R. aegyptiacus_ の大移動の動きがあれば容易に達成される。自然感染した _R. aegyptiacus_ colonies の縦断的研究により、免疫状態のほか、集団内での shedding(ウイルス排泄)、感染伝播、持続性などの動きに関する様々な洞察が得られるだろうし、年齢別の感染割合が周期的なのか、確率に従うのかも判るだろう。個々のコウモリにおける感染経過を知るために、感染実験が追加される必要もある。ヒトでの感染では、発症から3ヶ月後まで、睾丸などの privileged sites(免疫寛容部位)において感染性のエボラウイルスが確認されていることから、感染したコウモリの様々な組織の検査は慎重に行うことも留意しなければならない]

● 野兎病 米国 ネコ
PRO/AH/EDR> Tularemia, feline - USA (UT): alert, RFI 20090802.2719
 情報源:The Spectrum.com、2009年7月28日
The Southwest Utah Public Health Department 当局は、the Kanab area 内のネコ数匹に最近発生した野兎病 Tularemia に関する調査を行っている。rabbit feverとも呼ばれる細菌の _Francisella tularensis_ 感染を原因とする Tularemia(野兎病)は、deer flies やダニにより媒介され、感染した動物の血液に曝露することでも感染が広がることがある

● Oleander 中毒 米国、ウマ
PRO/AH/EDR> Oleander poisoning, equine - USA: (CA) 20090802.2717
 情報源:The San Diego Union-Tribune 、2009年8月1日
San Diego County のある牧場所有者は、何者かによって毒性の強い oleander leaves を食べさせられ 23頭のショー用の馬が中毒になったと述べている。3頭が危険な状態にあり、動物病院で治療中である。妊馬2頭を含む他のウマは牧場内で治療中である。30日に状態の悪い American Saddlebred horses を発見し、リンゴとニンジンのスライスを飼料に the bitter oleander を混ぜ込んだエサを与えられていた
[Mod.TG- Oleander (_Nerium oleander_) には心臓作用のある glycosides oleandrin と neriine が含まれている。植物全体に毒性があるが cardioactive glycosides が最も高濃度であるのは sap 樹液とされている。非常に毒性が高く、苦みがあると報告されている。空腹の動物は何でも食べるが、リンゴとニンジンに oleander の苦みがかき消されるとは考えにくい。ただ単に空腹であったため、苦みに構わずニンジンとリンゴに混ざったものを食べたのだろう。フランクフルトソーセージをあぶる時の串として葉を落とした枝が使用され、フランクフルトを食べた人がその有毒性のため中毒を起こすことが知られている]

● 東部ウマ脳炎 米国、ウマ 
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis, equine - USA (08): (GA) 20090802.2716
 情報源:Moultrie Observer 、2009年7月31日
7月27日-31日の間に the Tift area において,蚊族媒介性のウマの致死性疾患である Eastern equine encephalitis 東部ウマ脳炎の確定例 2例と、感染が疑われる数例が確認された

● 口蹄疫 台湾、中東(2件) 
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease, porcine - Taiwan (06) 20090802.2714
 情報源: Central News Agency via Taiwan News 、2009年7月31日
8月1日より台湾政府当局は、foot-and-mouth disease (FMD 口蹄疫)対策として生後 12-14週のすべてのブタに対してワクチン接種を開始すると 31日に発表した。2月以降に感染流行発生の報告があった地域は Yunlin, Changhua, Chiayi, Pingtung, Taoyuan and Hsinchu の養豚場である。ワクチン接種を再開することで,台湾が完全な FMD-free country の地位を獲得するまで、相当の期間を要することになる.

PRO/AH> Foot & mouth disease - Middle East (05): FAO/OIE surveill., control
Archive Number: 20090731.2686
 情報源 FAO/OIE GF-TADs (Global Framework for the Progressive Control of Transboundary Animal Diseases) meeting report 7月31日
5th round table on FMD surveillance and control in the Middle East,
7-8 Apr 2009, Beirut, Lebanon. Report

● 原因不明の大量死、カキ フランス
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, oysters - France: RFI 20090801.2697
 情報源:The Telegraph 、2009年8月1日
2010年のクリスマス用の稚ガキ baby and juvenile oysters が、最大で 90%死滅している原因について、研究者らは適切な答えを見い出していない