2007年7月24日

細菌性髄膜炎 米国,航空機内での曝露
ビブリオ・バルニフィカス感染症 米国、海水への暴露

● チクングニア熱 インド
PRO/EDR> Chikungunya - Indian Ocean update (19): India (Kerala) 20070724.2380
 情報源 The Hindu 、7月24日
Thiruvananthapuram 地区では 3788人のウイルス性発熱患者の報告があり、このうち 23例でチクングニア感染が疑われている。
Thiruvananthapuram: 2007年7月23日、地区内で 3788人のウイルス熱患者が報告され、このうち 23例はチクングニア熱Chikungunya が疑われている。Parassalaからの報告は 212人で、その他、Kesavappuram, Manamboor, Vizhinjam, Perumkadavila, Vellarada, Neyyattinkara and Nedumangad からの報告であった。チクングニア熱が疑われる患者は、Peroorkada 地方からも度々報告されている。Peroorkada Government 病院の外来診療所は、2007年7月8-21日の期間、発熱患者により大変混み合っている。同病院からの規則に則った数の血液検体の送付が行われていなかったが、中央からの派遣チームによる送付が行われ、現在は、同地方からのチクングニアの確定および疑い患者が報告されている。水痘患者も報告されている。
[Mod.TY- チクングニアの感染伝播は、懸命にヤブカ属対策を行うことで、減少できる。検査機関での確定診断は、これらの患者の中で、どれほどチクングニアウイルス感染が原因となっているかを知る上で不可欠であり、効果的な対策を立ち上げることにつながる。]

● A型肝炎 米国 エチオピアから
PRO/EDR> Hepatitis A, adoptees - USA ex Ethiopia: alert 20070724.2379
 情報源 Official CDC Health Advisory: Thu 19 Jul 2007 、7月23日 
エチオピアから養子縁組された小児が A型肝炎、家族が曝露

● 細菌性髄膜炎 米国
PRO/EDR> Meningitis, bacterial, airplane exposure - USA (KS ex FL): alert 20070724.2378
 情報源 wkrn.com (AP article) 、7月23日
ティーンエイジャーが、AirTran航空機に搭乗中に髄膜炎に感染。
AirTran 航空のフライト中に重症化したティーンエイジャー1名が、細菌性髄膜炎であると診断され、この女性の周りに座っていた乗客らに連絡を取っている。この少女は、2007年7月23日現在、カンザス州 Wichita にある Wesley メディカルセンターで危険な状態である。この少女は、2007年7月21日にフロリダ州オーランド Orlando を発ったアトランタ Atlanta 行き 862 便に搭乗し、次いで Wichita行き687便に搭乗した。2番目の便の中で発病し応答がなくなったため、乗務員らが救急車をゲートまで呼んだ。7月22日に CDC に報告した。細菌性髄膜炎に関する解説など...。少女のすぐ近くの乗客は20人足らずであったと航空会社が報告した。
[Mod.ML- 細菌性髄膜炎の菌の種類については明らかになっていない。B型インフルエンザ菌ワクチンにより、同菌の感染は制圧され、髄膜炎菌が小児や若年者の髄膜炎の主因となっている。肺炎球菌が、この年齢層で起こる髄膜炎の原因の、もうひとつの候補である。髄膜炎菌性髄膜炎は、散発でも流行でも発生する。髄膜炎菌性髄膜炎では、家庭内、デイケアセンターおよび患者の呼吸器分泌物に直接触れた(キス、口-口の蘇生、気管内挿管)などの、患者との濃厚接触があった者は、予防内服が勧められる。予防内服薬として、rifampin, ciprofloxacin, and ceftriaxone が勧められている。学校や職場などにおける暴露には予防内服は勧められていない。肺炎球菌に関する予防内服は、決まったものはない。CDC によると、髄膜炎菌性疾患に暴露した航空機の乗客の取り扱いについては、初発(当該、index)患者とともに旅行した家族、および同患者と長期間濃厚接触のあった旅行の同行者(たとえば、宿泊時の同室者や、同じスポーツをしたチームのメンバーなど)を確認し、抗生物質による予防内服について考慮すべきであるとされている。また、当該患者からの呼吸器分泌物を直接受けた搭乗客や、8時間以上のフライトで同患者のすぐとなりの座席にいた乗客にも、予防内服を考慮すべきとしている。感染直後の数日間が、最も危険性が高いので、患者との接触後なるべく早期(24時間以内が望ましい)に、予防薬を開始すべきである。14日間以上の予防内服を行うことは、ほとんどあるいは全く価値がない。髄膜炎菌結合ワクチンと、多糖体ワクチンはいずれも、抗髄膜炎菌抗体が防御レベルに達するまでに、接種後およそ7-10日間かかる。しかし、感染流行状況となった場合には、髄膜炎菌ワクチン接種が、髄膜炎感染拡大防止に用いられる] 

● ボツリヌス中毒 米国
PRO/AH> Botulism, canned food, human, pet - USA (02) 20070724.2377
 投稿者 イスラエル、Kimron Veterinary Institute、Dr. Alan Shlosberg、7月24日
FDAは、イヌの発生のみで、ネコでの発生報告はないとしている。
FDA は、イヌのみでネコでの発生報告はないとしている。
実際には、ネコにおいて、このような中毒での死亡が報告されたことがある
参考文献(2件):Mortality in a group of cats probably caused by Clostridium botulinum type C toxin. World Congress on Animal, Plant and Microbial Toxins, Adelaide, Australia, 2003.など。

● ビブリオ・バルニフィカス感染症 米国

PRO/EDR> Vibrio vulnificus, salt water exposure - USA (LA) 20070724.2376  
 情報源 KIRO-TV (WA) 、7月23日
ビブリオ菌で死亡した男性の家族が、海水からの感染に注意するよう市民に呼びかけている。
致死性となる可能性のある細菌感染により父親が死亡したことを受け、この男性の息子が、人々にルイジアナ州のbayous[流れのゆるい、小さな渓流など]での遊泳が危険であると注意を呼びかけている。 2007年6月、ロサンゼルスCocodrieのRobinson Canal(運河)で、男性1名が海に転落し、缶で手を切った。その後、男性は_Vibrio vulnificus_に感染した。(この細菌による)感染症は、海水の温度が上昇する夏期の数ヶ月に発生する。「父親は事故以来26日間生命維持装置をつけたまま入院し、2007年6月13日に死亡した。」と、男性の息子が語った。ビブリオ_Vibrio vulnificus_菌は、抗生物質により治療可能であるが、早期に開始する必要がある。もしそうできないなら、水に入らない方がよいと、この息子は警告している。CDCによると、菌血症となった患者の約50%が死亡するという。
[Mod.LL- ProMEDでは、テキサス Texas 州の別の_Vibrio vulnificus_感染例について報告した。ルイジアナ州は、テキサス州のすぐ東隣である。いずれの例も皮膚への暴露から発症したが、同菌を保有するカキやアサリの摂食による感染もある。20070719.2317に、この菌のヒトでの感染に関する、適切な議論がある。そこでは以下の2点が強調されている;ビブリオ属は暖かい海水の常在菌であり、(この菌の存在は)汚水による汚染を示すものではないことと、致死的な転帰をとる可能性が最も高いのは、免疫低下、慢性肝疾患、糖尿病などの医学的な問題を抱えるヒトであること。いわゆる健康な個人では、たいてい胃腸炎を起こすに過ぎない。_V. vulnificus_ の発生地域は、かなりの猛暑が発生すれば、さらに北の地域にも拡大する可能性がある]
地図 米国北部 Louisiana 州 

● ノロウイルス オーストラリア
PRO/EDR> Norovirus, hospitals - Australia (QLD Queensland) 20070724.2375
 情報源 news.co.au 、2007年7月23日
複数の病院内でノロウイルス感染が流行し、体調不良者の来院を控えるよう呼びかけている。
クイーンズランド州の衛生当局は、ノロウイルス感染流行と闘っており、体調が悪い、あるいは有症状のものは、病院に立ち入らないよう求めている。王立ブリスベン Brisbane and Women's Hospital (RBWH) . ゴールドコースト Gold Coast Hospital および ケアンズ Cairns Base Hospitalから、ノロウイルスの感染流行が報告されている。 職員らが次第に職場に復帰しつつあるRBWHの責任者は、2007年7月23日、体調不良の人は全て、病院への立ち入りを延期するよう求めた。「患者への不可欠な医療を提供する中で、ウイルス対策には必要な処置である。ノロウイルスの患者は、職員、他の患者、外来患者らから隔離されている。」と、説明した。QLD 州衛生当局の広報担当者は、州立病院が感染流行対策に当たっていると述べた。ゴールドコーストとケアンズの病院で感染していた職員も、職場復帰はゆっくり進められている。ノロウイルスの患者は、症状が回復してからも72時間以上は感染力を有している。抗ウイルス薬や予防ワクチンはない。感染の機会を減らすため、トイレやオムツがえのあと、食品の取り扱いや食事の前に、徹底的に手を洗うことが勧めらている。
[Mod.CP- ノロウイルスの院内感染流行は、世界中で発生している。米国では、年間2300万人が罹患し、食品関連の感染流行の最大で50%を占めている。血清学的蔓延状況の研究により、ノロウイルス感染は世界中に遍在し、5歳までに一度は感染するものと考えられている。ノロウイルスは、遺伝的および抗原性の面で多様であり、免疫は短期間のみで、感染流行が繰り返される。学校や病院などの閉鎖環境での感染流行は、通年発生しているが、開放された集団内では、北半球の冬期嘔吐症や、しばしば関連するバケーションの時期のクルーズ船での集団発生など、感染伝播に好適な時期となる季節ごとに発生する。感染リスクは、食品が衛生的でない状態で調理されたり、飲料水の処理が不十分であれば、どこにでも存在する。とりわけ危険なのは、魚介類、なかでもカキとされている]

● ブドウの病気,べと病 ・ うどんこ病 フランス
PRO/PL> Downy and powdery mildews, grapevine - France (02) 20070724.2368
 投稿者:フランス ・ ボルドーBordeaux、Institut National de la Recherche Agronomique (INRA)、Olivier Le Gall、2007年7月21日
ブドウが被害を受けている原因疾患は、べと病。
20070720.2323 のモデレータのコメントに対して。
べと病 Downy mildew ("mildiou" in French, pronounced "mildew")が、現在のボルドー Bordeaux地方で発生中であり、うどんこ病 Powdery mildew ("oidium" in French) は、2007年のこの地方が置かれている状況よりも、乾燥した条件を好む。