2007年7月4日

鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア
クリミア・コンゴ出血熱 ロシア

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (106): Indonesia
Archive Number: 20070704.2128
 情報源 Xinhua News Agency 、7月4日
インドネシア Riau 州の 3才女児が、鳥インフルエンザ Avian influenza の検査の結果陽性となり、国内での患者数が 101人となったと、2007年7月4日MetroTV が伝えた。この幼い患者は、辺地である Pesisi 地区在住であると報じた。インドネシアでは、2003年に国内でウイルスが確認されて以来鳥インフルエンザによる死者が 80人に達し、世界で最も被害が深刻な国となっている。
[ModCP- 今回の患者発生(WHOは未確認)により、インドネシアにおける H5N1型鳥インフルエンザ患者数は、合計で101人となり、世界中では 314人となった。191人の死者のうち、80人がインドネシアから報告されている]

● クリミア・コンゴ出血熱 ロシア
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hemorrhagic fever - Russia (Kalmykia, Volgograd)
Archive Number: 20070704.2127
[1] ロシア(Kalmykia 地方) 
 情報源 RostBalt-Yug News [in Russian]、6月26日
クリミア・コンゴ出血熱 CCHF の保有宿主はダニであり、Kalmykia共和国の首都エリスタ Elista では、2007年4月3日から 6月25日にかけて、合計 178人(小児 4人)のダニ刺咬患者が発生した。この数日間に、エリスタでは、CCHF が疑われる患者が合計 6人入院した。このうち 2人は検査室で診断が確定した。2007年になってロシア南部では、CCHFに関して深刻な事態となっている。ロシア南部の 13の地域のうち 7地域で CCHF が報告されている; Rostov, Volgograd [see below], Astrakhan,および Stavropol 地方と、 Dagestan, Kalmykia, and Ingushetiaの各共和国。CCHF患者の大部分は農村部で発生している。空気感染による感染伝播は、家畜の集団化や不適切な分離に起因しており、CCHFの自然界での発生地拡大につながっている。
[2] ロシア(Volgograd 地方)
 情報源 RostBalt-Yug News [in Russian]、6月26日
2007年5月11日以降、54人がCCHF感染の疑いで入院している。同地方政府公衆衛生部の委員会は、80人の小児を含む463人の住民が、CCHFウイルスを伝播するダニの刺咬を受けたと報告している。全患者の半数以上が、Kotelnikovsky および Oktyabrsky地区の住民であった。..医療従事者らは、ダニの刺咬があれば直ちに受診するなどの啓蒙活動に取り組んでいる。2007年5月に、Oktyabrsky 地区の40才の女性1名がCCHFにより死亡している。
[ModCP- 2006年、ボルゴグラード地方の住民で CCHFと診断されたのは 15人であった。ロシア南部全体で、最多 のCCHF患者(69)を記録したのは、Kalmykia 共和国であった。ロシア連邦南部地区Southern Federal District (SFD)は、ロシアの7つの連邦行政区の1つである(連邦南西端に位置し、Rostov,Krasnodar, Stavropol, Volgograd,and Astrakhan regions, and also the Republics of Chechnya, Kalmykia, Dagestan, Adygeya, Severhaya Osetiya, Kabardino-Balkaria, Ingushetiya, and Karachaevo-Cherkessiyaが含まれる。首都はRostov-on-Don)。
CCHF は、ダニ媒介性のウイルス性疾患で、アフリカ、アジア、欧州南東部、中東の、30以上の国で発生報告がある。その分布は、ベクターのダニである _Hyalomma_ spp. の分布にほぼ一致している。CCHFウイルスは、家畜動物の屠殺時の血液や汚染されたミルク、接触や院内感染、ダニの刺咬によっても感染伝播する。ヒトでの感染は、主に畜産業、農業、屠殺場、獣医学関係の労働者である。臨床症状で特異的なものはなく、典型例では、高熱、頭痛、全身倦怠、関節痛、筋肉痛、嘔気、腹痛、非血性下痢が認められる。出血傾向が見られることもある。CCHFの治療は対症療法のみで、体液と電解質バランスを慎重に管理することである。ヒト以外の動物は、臨床症状を示さない。近年、地理的・時間的に異なる13種類のウイルス株遺伝子の、全塩基配列決定を含めた分子学的解析により、CCHFウイルスは非常に変化しやすいことが判明した(J Virol. 2006 Sep; 80(17):8834-42)。ウイルスが長距離を移動したことを示唆するいくつかの例外はあるものの、異なる地域ごとの系統がある。S,M,Lゲノムサブユニットの系統樹topology間の不一致は、複数のセグメントでRNAの再集合がおこったことを示唆する。(セグメント内の組み換えも含め)このような特徴が、CCHFウイルスのゲノムが著しい可塑性を有することを示唆している]

● 鳥インフルエンザ ベトナム,フランス(2件)
ベトナム
PRO/AH/EDR> Avian influenza (121): OIE, Viet Nam, vaccination
Archive Number: 20070704.2129
[1] OIE ワクチン接種を支援、アフリカ 
 情報源 OIE press release 、7月4日
OIEは、トーゴ国内初のH5N1型鳥インフルエンザ感染が確認されたことを受け、ワクチンバンクから、成鳥の家禽への感染防止のため、鳥インフルエンザワクチン100万回分をトーゴへ供与した。この供出は、OIEと協力関係にある資金提供者からのOIE世界動物衛生福祉基金への協力と、カナダ国際開発局を通じたカナダ政府の経済支援によるものである。2006年5月の発足以来、ワクチンバンクは、アフリカ諸国に2030万本のワクチンを供与した; エジプト (1400万), マリ(100万), モーリタニア、ガーナ(200万), セネガル (100万) モーリシャス (30万)。以下、ワクチンバンクについての概説など。
[2] ベトナム、ワクチン接種  
 情報源 Vietnam Net Bridge 、7月4日
ベトナム北部で鳥インフルエンザ感染流行が制圧されつつあるが、またいつ流行が起こるかも知れないと、2007年7月3日、鳥インフルエンザ対策委員長である農相が述べた。第2期の家禽へのワクチン接種計画の遂行は、ワクチンが極端に不足しているため、かなり遅れている。現在 H5N1型ワクチンは、ベトナムの国内には、1500万本しかない。一方、獣医学当局の報告では、家禽市場全 15カ所のうち 10カ所で、販売されている家禽がH5N1型ウイルスの感染が見つかっており、このうち 96 %にはワクチンが接種されていなかった。このワクチンの不足に対して、政府鳥インフルエンザ対策委員会は、中国に代表を送り、早急に 5000万本のワクチンを入手し、できるだけ早く全国の水禽に接種できるよう、交渉に入っている。
[Mod.LM- ワクチンのカバー率が示されれば、ワクチン接種の効果を評価できる]

フランスベトナム
PRO/AH/EDR> Avian influenza (120): France, wild birds, Viet Nam
Archive Number: 20070704.2119
[1] フランス、ハクチョウ 
 情報源 French Ministry of Agriculture, press release [in French]、7月3日。
Assenoncourt (department of the Moselle)の池で死亡して発見された、3羽のハクチョウの幼鳥で、初期検査により鳥インフルエンザ感染が疑われていることをうけ、予防策を実施している..
EU規則に従った制限区域内の予防策
a 池の周囲1km圏内;監視強化、捕獲したトリは圏外へ移動させず獣医師に報告、トリを1カ所に集めない、狩猟の禁止など
b 周囲15km圏内;ほぼ同内容
[Mod.AS- 感染したハクチョウの種の情報が寄せられることを希望する。ドイツで感染したのは、コブハクチョウ_Cygnus olor_ (mute swans); 写真。ハクチョウの集団内で感染が持続しているのか、他の野鳥の種の潜在性感染から伝播したものかは明らかではない。コブハクチョウは、ヨーロッパとアジアの高緯度地域から、南は北アフリカまで渡りを行う]
地図 Assenoncourt (ドイツ国境から約50km)
[2] ベトナム  
 情報源 Reuters India 、7月4日
ベトナム政府は、H5N1型鳥インフルエンザウイルスにより2名が死亡したことを受け、家禽用ワクチン5000万本を購入する目的で、当局者は中国へ緊急派遣した。
ベトナム国内には、1500万本分のワクチンしか残っておらず、水禽や家禽への全国一斉接種実施が危ぶまれている。首相は、H5N1型感染拡大防止のための2億本のワクチン輸入を承認している。海外の専門家らは、(ベトナム政府の)家禽へのワクチン接種計画やその他の対策に賛辞を送っていた。同政府は、2005年後半より、ウイルスの水際での防止作戦として、(ワクチン接種を)導入している。しかし、2007年になって国内各地で、トリやヒトでの鳥インフルエンザ感染が発生した。5月以降、5人が同ウイルスに感染し、うち2人が死亡した。これは、東南アジアの同国にとって、2005年11月以来の患者となった。WHOは、共に男性で回復した、最初の2例のみを確認している。「北部ではすでに減少傾向にある鳥インフルエンザだが、南部地域では鳥インフルエンザ感染再興の危険性が極めて深刻となっている」と、7月3日、農相は新聞取材に答えて述べている。動物衛生当局者は、6月に家禽での鳥インフルエンザ感染流行が確認された、8省とハイフォンHaiphong市-全て北部および中部地域-も、引き続き政府の監視リストの対象となっていることを明らかにした。
ベトナムのOIEへの報告 フォローアップ8報 

● キュウリの病気,べと病 米国、カナダ
PRO/PL> Downy mildew, cucumber - USA (OH, MI), Canada (ON)
Archive Number: 20070704.2120
[1] 米国 (オハイオ Ohio 州) 
 情報源: The Beacon Journal 、6月27日
[2] 米国(ミシガン Michigan 州), カナダ (オンタリオ Ontario 州) 
 情報源: Detroit Free Press 、6月29日