2007年10月10日-11日

黄熱 カメルーン
アデノウイルス14関連肺炎 米国

● 黄熱 カメルーン
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Cameroon (South)
Archive Number: 20071011.3335
 情報源:All Africa.com, Cameroon Tribune report [in French, trans.]、10月8日
カメルーンから黄熱 Yellow fever は排除されていたため、確定患者1名が発生したことにより、不安が広がっている。Zoetele 在住の中等学校生 secondary school student である19歳の男性1名が、2007年9月に、Akonolinga 病院に入院後2日目に死亡した。医師らは、黄熱感染を疑い、検体を Yaounde のパスツール研究所に送付し、解析が行われた。セネガルのダカールDakar にあるパスツールセンターにおいて、検査結果の確定後、注意喚起が発出された。
2003年から 2007年の間、カメルーン国内で 9例の黄熱患者が報告されている。最重症例では、黄熱の死亡率は 20-50%である。多くのウイルスには特異的治療法がない。しかし、黄熱は、ワクチン (antiamaril) を接種することで予防が可能であり、100% 免疫が獲得され、接種 10日後から 10年以上有効である。自然に免疫が成立することはなく、小児はとくに感染しやすい。このワクチンは、2004年にカメルーンの1歳児に行われた、拡大ワクチン計画expanded programme of vaccination に入っており、この子らが 11歳になるまで予防効果を有している。感染流行発生のリスクを持つこの出来事のなかで、国民に対してワクチン接種を行うことは、有効な手段となり得、蚊族の成虫が多数存在する場合は、広範囲の殺虫消毒噴霧が、これを補完する。しかし、この新しい対策キャンペーンを始める前に、1ヶ月待たなければならないと、予防接種計画の責任者が述べている。資金集めが必要であると話した。 
地図 Cameroon・Zoetele in the South Province 

● アデノウイルス14関連肺炎 米国
PRO/EDR> Adenovirus 14-associated pneumonia - USA (OR)
Archive Number: 20071010.3334
 情報源: MedPage Today 、10月9日
死亡する可能性のあるアデノウイルス14による市中肺炎 Adenovirus 14-associated pneumonia が、太平洋岸北西部 Pacific Northwest 地域で発生している。オレゴン Oregon 州公衆衛生当局者が、オレゴン州で2005年にはじめて発生したこのウイルス性肺炎は、しばしば入院を必要とし致死率は20%であると、米国感染症学会で発表した。原因が特定できない重症肺炎患者では、ウイルス培養を行うことを勧告している。アデノウイルス14が検出されたときは、困難な治療経過を覚悟しなければならない。考慮すべき特異的な治療法のリスクとベネフィットについての議論が望まれるとしている。
アデノウイルス肺炎の患者が確認されたのは、Portland の病院に同時に入院した4人の患者であった。どの病院にも、最近、重症または死亡例のアデノウイルス疾患患者がいたことにとても驚いたと、地域の病院のカルテの比較を行った医師が述べた。...
2006年11月から2007年4月の期間について行われた、active surveillanceによれば、1月から4月にかけて患者数が増加し、冬から春にアデノウイルス疾患が増える傾向にあると考えられている。sikest(重症?)の患者からの分離株が、CDC に送付され、ほとんど全ての患者がアデノウイルス14に関連していることが明らかになっている。このウイルスは、50年以上前に血清型が確認されたにもかかわらず、それ以来検出されることはまれで、集団発生に関係したことはなかった。1993年までの検体を調べたところ、ほぼ毎年アデノウイルス患者が数例発生していたことが判明した。2005年から、アデノウイルス14は、よく見られる血清型となった。他の血清型のアデノウイルス患者14例と比較して、31例のアデノウイルス14感染患者は、年齢が高い(平均52.9歳)ことと、約半数が喫煙していることが分かった。最も注目されたこととして、アデノウイルス14と入院の関連性が、他の血清型のアデノウイルスとの比較で、オッズ比15.9であったことがある。
アデノウイルス14感染の診断につながる臨床的特徴として、発熱(約89%)、多呼吸(75-80%)、低酸素血症(50%)、血圧低下(40-45%)がある。24例中例に、胸部X線写真の異常が認められた。55%の患者で単葉の感染が複数になり、45%では ARDS に発展するなど、レントゲン上で病勢の進行が認められることが多い。全ての患者は、広域スペクトラムの抗生物質による治療を受けていた。31人のアデノウイルス14感染患者のうち、22人が入院し、16人は集中治療を必要(ICU)とした。入院・ICU滞在日数の平均は7日間であった。ICUで治療を受けた患者のうち、13人が呼吸のサポートを必要とし、8人は血圧低下により昇圧剤が使用された。患者のうち7人 (22%) が死亡した。死亡やICU入院のリスクファクターとして、クレアチニンレベルが1.2mg/ml以上、リンパ球数が100μL中100以下、他の病原体による重複感染があげられる。これらの要因は、多変量解析においては、有意な差は認められなかった。オレゴン州全体で、2005年には発生がなかったという。ほとんど全ての患者が重症化することを認めた上で、この問題はさらに拡がり、様々な程度の疾患になりうると見ている。
[Mod.CP 鳥インフルエンザやヒトのインフルエンザウイルス感染に関する、あふれんばかりの報告によって、重症呼吸器疾患の流行には、ほかにもたくさんのウイルスが関与している事実が、看過されやすくなっている。この報告は、アデノウイルス14(_Human adenovirus B_ speciesの1つに分類されている) が、米国北西部のオレゴン州で発生した重症疾患の原因であったことを明らかにした。これまで、ヒトアデノウイルス14が、ヒトの呼吸器疾患に関連することは一般的ではなかった。異例な病気の発生状況に、おそらく共因子となっているのであって、アデノウイルス14関連肺炎が、新興感染症と定義するのは、早急すぎるだろう]

● 病原大腸菌 O157 米国
PRO/AH/EDR> E. coli O157, ground beef - USA (multistate) (05)
Archive Number: 20071010.3333
[1] Cargill outbreak:ウィスコンシン州の大腸菌、ミネソタ州の菌株と一致。 
 情報源: Cattle Network, Meatingplace.com report 、10月9日
ウィスコンシン Wisconsin 州において、病原大腸菌 [O157] 関連疾患の5例の調査が行われ、1例の患者の起因菌株は、ミネソタ Minnesota 州で患者が発生し、2007年10月6-7日にCargill Meat Solutions の牛ひき肉が回収を開始した菌とおなじものであることが判明した。ミルウォーキー Milwaukee 郡で3例、ウィスコンシン州南東部で2例のの患者が報告されていると、当局者が述べた。(菌株が確定された)患者は、ミルウォーキー郡の患者であった。... 
[2] Topps outbreak:Topps社の冷凍牛ひき肉のパティによる大腸菌感染の発生状況報告。  
  情報源: US Centers for Disease Control and Prevention (CDC)、10月9日 
複数の州で発生した病原大腸菌O157:H7の調査を行っている、州保健局ほか関係当局のうち、農業省は、2007年9月29日、冷凍牛ひき肉のパティ回収に関する通達を行った。...ニューヨーク New York 州 Wadsworth Center Laboratory および USDA-FSIS の検査機関で行われた、Topps ブランドの開封・未開封の冷凍牛ひき肉パティの検査により、分離された病原大腸菌O157には、いくつかの"DNA指紋"が異なるものが含まれていることが判明した。10月9日時点で、35例の病原大腸菌O157:H7感染が、PFGE 法により、少なくとも1つのToppsブランド冷凍牛ひき肉パティで検出された株のパターンに一致することが確認されている。患者の居住地は8つの州にわたっている [Connecticut (2), Florida (1), Indiana (1), Maine (1), New Jersey (8), New York (11), Ohio (1), and Pennsylvania (10)]。詳細な摂食歴の判明した患者24名中21人 (93%)に、牛ひき肉の摂食歴があった。3例は、患者からの分離菌が、自宅にあった肉からも分離されたため、リコールされた商品との関連が確定された。初めて患者報告があったのは、2007年7月5日のことであり、最新の患者発生は9月23日である。入院の有無がわかっている患者24人のうち、15人(63%)が入院を要していた。1名がHUS(溶血性尿毒症症候群)と呼ばれる腎不全を併発していた。死亡例は報告されていない。45%が女性であり、年齢は1-77歳であり、15-24歳の患者が52%を占めていた(米国民全体に占める、この年齢層の割合は14%にすぎない)。 
[Mod.LL- 2007年9月23日以降、患者の発生はなく、すでに17日が過ぎている]

● サルモネラ感染症 米国(3件)
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, frozen poultry pie - USA (multistate)(02)
Archive Number: 20071010.3332
[1] USDA statement: サルモネラ感染症の原因と見られる肉入りパイが回収されている。 
 情報源: US Department of Agriculture news release 、10月9日
米国の農業省 US Department of Agriculture(USDA) の食品安全検査局 Food Safety and Inspection Service (FSIS) は、2007年10月9日に、自社製品と疾患発生の関連を指摘され、自主的に生産を休止したミズーリMissouri州の工場の調査を行っている。CDC などにより、パッケージに"P-9"と印刷された、 調理済みではない(not-ready-to-eat)Banquetシリーズの冷凍の肉入りパイが、サルモネラ菌による疾患の原因と推定されている。... 
[2] ウィスコンシン Wisconsin 州における患者 
 情報源: Milwaukee Journal-Sentinel (WI), Associated Press report 、10月9日
Banquet のチキンとシチメンチョウの肉入りパイに関連し、全米で139人の患者が発生しているサルモネラ感染症 [血清型は明確になっていない]について、ウィスコンシンWisconsin 州内で、少なくとも19人の患者が発生している。... 
[Mod.LL-_S. enterica_ の血清型に関する情報提供を期待する。ニワトリの pot pie とシチメンチョウの pot pie が関係していることは、注目に値する。このことは、共通の汚染源があることを示唆する。"pot pie" (肉入りパイ) の用語は、表裏が完全に flakey crust(パイ皮)で被われ、own pie tin(自家製のパイ皿?)で焼かれた、塩味のパイ savory pie を指す。オーストラリアの肉パイや、英国の各地方の種々のパイレシピでは、表面には flakey pastry が使用されることもあるが、本体にはしっかりした、機械的に安定したサクサクあるいはしっとりした crust か、同じ生地が使用される点で、異なっている。アメリカの pot pie は、肉(特に、ビーフ、チキン、シチメンチョウ)、gravy ソース、ミックスベジタブルがぎっしり詰まっている。(今回の感染流行のように)冷凍 pot pie は、1人分サイズで売られていることも多い]

PRO/AH/EDR> Salmonellosis, frozen poultry pie - USA (multistate): alert
Archive Number: 20071010.3319
[1] 情報源: Action 3 News (NE) 、10月9日
複数の州の保健当局は、ConAgra Foods 社に対し、同社製 Banquet pot pie(肉入りパイ)がサルモネラ感染症患者と関連性があると伝えている。同社は、十分加熱すれば安全であるとしている。同社と保健当局は、さらに注意が必要か検討している。
[2] 情報源: Forbes 、10月9日
2007年10月9日、ConAgra Foods 社は、Banquet pot pies を製造するミズーリ Missouri 工場の生産を自主的に休止した。同製品が、30の州で発生した139例のサルモネラ感染症患者との関連性があるとの、保健当局の指摘を受けての措置である。... CDC によると、患者が多数発生しているのは、ウィスコンシン Wisconsin, ペンシルバニア Pennsylvania, ミズーリ Missouriの各州である。

PRO/AH/EDR> Salmonellosis, frozen poultry pie - USA (multistate)(03): CDC
Archive Number: 20071011.3337

● コレラ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2007 (47)
Archive Number: 20071011.3340
 
● 流行性角結膜炎 北マリアナ諸島
PRO/EDR> Epidemic keratoconjunctivitis - N Mariana Islands
Archive Number: 20071011.3338

● バナナの病気,Moko disease セントルシア
PRO/PL> Moko disease, banana - St Lucia: alert
Archive Number: 20071010.3322
 情報源: Caribbean Net News 、10月6日
セントルシア SAINT LUCIA のバナナ産業当局は、島内に Moko disease が持ち込まれる可能性があるとして、高度の警戒態勢を布いた。Moko disease が、セントビンセント・グレナディーン St Vincent and the Grenadines で発生している [20070521.1617] ためである。... 
[Mod.DHA-Moko diseaseは、1890年代にトリニダード Trinidad ではじめて報告され、Moko 料理用バナナに深刻な被害を与えた。原因菌は、_Ralstonia solanacearum_ という最近で、宿主の脈管組織に障害を与える。感染するのは、バナナ、plantain オオバコ、heliconia、red ginger, taro, castor beanなど]

● 原因不明の死亡,ウシ 米国
Dead cows in southern Indiana being investigated
PRO/AH> Undiagnosed deaths, bovine - USA (IN)
Archive Number: 20071010.3321
 情報源 Hoosier Ag Today 2007年10月8日
Purdue University の獣医学病理学者らは、インディアナ Indiana,IN 州の1農場で死亡した 12頭のウシの死亡原因について調査を行っているが、ブルータングウイルスや流行性出血病 EHD ウイルスである可能性は低いとしている。獣医師らは、診断のための検査が完了するまで、この Clark County の家畜の死因を確定できないとしている。一部の検査には数週間を要するものもある。... 
[Mod.TG-インディアナ州にブルータングが発生したことはないが、ケンタッキーKentucky やインディアナ州の広い範囲において、過去に EHD が発生したことがあり、除外するのは早計である。過去数年間にわたり、同地域では anaplasmosis も発生している]

● 馬インフルエンザ オーストラリア
PRO/AH> Equine influenza - Australia (15): (NSW,QLD)
Archive Number: 20071010.3320
[1] NSW州当局は、Rosehill 競馬場周辺のウマ5頭が、馬インフルエンザEIに感染していることを確認した。
 情報源: Thoroughbred News 、10月6日
2007年10月6日、ニューサウスウエールズ New South Wales、NSW 州当局は、Rosehill  競馬場周辺のウマ5頭が、馬インフルエンザ EI に感染していることを確認した。... 
[2] クイーンズランド Queensland,QLD 州一次産業局の馬インフルエンザ感染流行への対応策に反し、2007年10月6日の競争が開催される予定である。 
 情報源: Brisbane Times 、10月6日
[3] NSW 州の 32000頭以上のウマが、馬インフルエンザに感染した。 
 情報源: Horsetalk.co.nz 、10月8日

● リフトバレー熱 イラク
PRO/AH/EDR> Rift valley fever, bovine, ovine - Iraq: susp., RFI
Archive Number: 20071011.3341

● カルダモンの病気,真菌 インド
PRO/PL> Fungal disease, cardamom - India (Kerala)
Archive Number: 20071011.3339

● ブルータング 欧州
PRO/AH> Bluetongue - Europe (39): BTV-8, EU, UK
Archive Number: 20071011.3336