2007年10月6日

結膜炎 インド、台湾
麻疹 ネパール MMWR,ドイツ Eurosurveillance
コレラ イラン、ネパール、セネガル

● 結膜炎 インド、台湾
PRO/EDR> Conjunctivitis - India, Taiwan
Archive Number: 20071006.3302
[1] 流行性結膜炎-インド(ムンバイMumbai)
新種のウイルスによる結膜炎
 情報源: Business Standard, Press Trust Of India / Mumbai 、10月6日
新たなウイルス株による目の痛みや結膜炎 Conjunctivitis が、多数のムンバイの住民に発生し、当局者は頭を悩ませている。数例の角膜合併症の報告や、臨床症状から、'adinovirus' [adenovirusのこと]によるものが示唆されることより、新たな結膜炎ウイルス株による可能性があると、専門家らは注目している。詳細なウイルス学的検査が予定されている。通常、この感染症は、抗生物質により1週間以内に治癒するが、角膜の合併症により、表層性点状角膜炎が発生した数例は、長期の治療を必要とする。...接触による感染拡大を予防することが最良である。自分の目に触らないことと、医師らは述べた。
[2] Pinkeye cases(伝染性結膜炎)急増、爆発的流行の恐れ
 情報源: The China Post & CNA 、10月6日
このところ、台湾全土で結膜炎患者が増加し、重大な感染流行が発生する恐れがあると、2007年10月5日に地元メディアが伝えた。患者の多くで見られる症状として、目の出血とまぶたの腫れで、enterovirus 70(エンテロウイルス70、以下EV 70)感染と同じ症状であると、Tri-Service General Hospitalの眼科医が説明した。"enteroviral conjunctivitis," "acute hemorrhagic conjunctivitis," あるいは "Apollo 11 disease,"と呼ばれ、EV 70は、汚染された眼からの分泌物に、直接または間接的に接触することで感染が拡大する。...
[Mod.CP-急性結膜炎の原因には、enterovirus 70, coxsackievirus A24, and epidemic adenovirusesなどの多くのウイルスがある。これらのウイルスは、光線過敏症photophobia、流涙watering、異物感を特徴とする急性出血性結膜炎や、眼瞼腫脹、結膜出血、表層性点状角膜炎などの原因となることもある。この疾患は自然治癒する。急性出血性結膜炎AHCの感染流行が初めて報告されたのは、1969年のアフリカ(ガーナ)で、Apollo結膜炎と呼ばれた。現在human enterovirus 70とされている、新たなエンテロウイルスが原因であることが判明した。その後、AHCとEV 70関連の急性結膜炎集団発生は、アフリカやアジアの地域全体で記録されている。インドにおける、はじめてのEV 70感染に関する血清学的な報告が、1971-72年の雨期のボンベイBombayから提出され、その後インド全体で繰り返し、感染流行が報告されている。現在のムンバイにおけるEV 70感染流行は、関連疾患の中等症であると考えられる。EV 70は、台湾の感染流行の唯一の病原体とされているようだが、この診断が、検査機関での検査によるものか、臨床症状からの診断であるかが明確にされていない。これまでのところ、台湾での感染流行では、軽症例のみの報告であるが、通常エンテロウイルスには、患者の一部に神経学的障害を来す可能性があるので、サーベイランスは継続して行うべきである]

● 麻疹 ネパール,ドイツ(2件)
ネパール
2000-2003年の4年間の平均麻疹患者数は10425人であったが、予防接種活動後、2005年に3931人、2006年に1935人と減少した。
PRO/EDR> Measles - Nepal, 2000-2006
Archive Number: 20071006.3301
 情報源: MMWR Weekly, Vol 56, No. 39, 2007 、10月4日
2002年、国連総会児童特別会議で、2005年までに世界の麻疹患者を1999年の1/2にすると目標が設定された、東南アジアにある人口2700万人のネパールは、2003年にWHOの麻疹死亡率減少戦略を取り入れ、2003年の死亡率を、2005年までに半減するとの目標を立てた。戦略には、小児の定期予防接種強化、追加予防接種活動 supplementary immunization activities (SIAs)を通じた2度目の麻疹ワクチン接種提供、サーベイランス改善、麻疹患者管理の改善からなる。...背景;ネパールは5つの地方の75地区に分かれている。ネパールの3つの地区で、1979年に拡大予防接種計画Expanded Programme on Immunization (EPI) がはじまり、1988年までに75地区全てに拡大された。計画では、2010年までに、国内の予防接種を全て受けた小児が、90%以上を達成し維持することと、9ヶ月以上の小児に麻疹ワクチンを接種することを目標とした。 WHO/UNICEF によれば、1歳以下の小児の麻疹ワクチンのカバー率は、1988年の58%から、2000年には71%にまで増加し、2003年には75%であったものがさらに、2006年85%にまで増加した。全国的に2006年のカバー率は高かったにもかかわらず、75地区のうち6つの地区(5歳以下の人口の4%にあたる)では、70%以上に届かなかった。これは、政情不安で治安確保が出来なかったこと、一部の地域へのアクセスが制限されていること、そして人的資源不足が原因である。...以下、サーベイランス、2004-2005の麻疹ワクチン接種活動、麻疹発生、編集部注。
(麻疹発生状況からの抜粋)2003年、67件の麻疹感染が疑われる感染流行が調査された;2004年には196件調査された。およそ70%の感染流行が麻疹によるものと確認された。SIAs開始以来、麻疹感染疑いの流行件数は、2005年46件、2006年31件となった。2005年に調査された46件の感染流行のうち、麻疹によることが確定されたのはわずかに1件で、36件は、検査機関により風疹によるものであることが判明していた。同様に、2006年、31件のうち2件が麻疹感染と確定されたが、24件は風疹であることが確認された。2005年から2006年にかけて、麻疹と風疹の混合感染流行3件(2005年2件、2006年1件)が発生した。麻疹感染の患者数は、2003年の約1000名から2006年にはおよそ50人に減少した。いずれの感染流行にも関連しない、11119例の感染疑い患者の報告があり、このうち84人について採血・検査された結果、3人(4%)が検査室で麻疹と確定された。SIAs開始前の、2000-2003年の4年間の平均麻疹患者数は10425人であった。SIA後、2005年には3931人、2006年に1935人と減少した。

ドイツ
オーストリアとの国境に接したドイツ南東部にあるLower Bavaria地域(バイエルン州)から、麻疹患者合計90名が報告された。
PRO/EDR> Measles - Germany (Lower Bavaria) ex Switzerland
Archive Number: 20071006.3299
 情報源: Eurosurveillance weekly release, 2007 12(10) 、10月4日
[FORTH感染症公式情報より抜粋]
2007年1月から6月の間に、麻疹患者合計90名が、オーストリアとの国境に接したドイツ南東部にあるLower Bavaria地域(バイエルン州)の2地区、Passau 市およびRottal-Inn市から報告された。患者の約30%(n=26)が、オーストリアからも生徒が通学する、現地のMontessori学校に通学していた。...各症例は、検査による抗麻疹IgM抗体価上昇か麻疹ウイルス核酸の検出をもって診断確定された。
流行の概要:2007年疫学第5週(1月最終週)から第22週(5月最終週)の間、麻疹患者合計90名がPassau市およびRottal-Inn市の地区保健当局(DHA)に報告された。2名の初発患者(年齢7カ月と3歳)は、(母親によれば、その間に、現地で麻疹患者と接触した)スイスへの旅行後の1月中旬に麻疹を発病した。しかし、有症期間中に医療機関を受診しなかったため、発病から2カ月後まで保健当局に届け出されなかった。1月後半と2月前半に、初発患者の家族と隣人での接触者4名(年齢が9~16歳)が、麻疹に罹患した。患者4名中2名は、上記のMontessori学校に通学していた。そこから、この麻疹感染は他の学校7校と幼稚園1カ所へと拡大した。異なる家族から患者少なくとも2人が発生した場合、その施設で麻疹発生があったと考えられた。... 以下、症例の定義、検査結果、公衆衛生上の対応策、議論。

● コレラ、下痢症、赤痢

PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2007 (44)
Archive Number: 20071006.3300
イラン:コレラ
2007年10月6日、43人のコレラ患者が発生し、前回発表の4倍以上となったと発表した。
 情報源: Reuters 、10月6日
イラン政府は、2007年10月6日、43人のコレラ患者が発生し、前回発表の4倍以上となったと発表した。また、患者の多くが、感染流行発生中のイラクに近い場所の住民であると伝えられている。WHOの当局者は、10月4日、イランで10人の感染を確定したと述べた。WHOは、2007年8月中旬以来発生したコレラに3300人以上が感染しているイラクの周辺諸国に対し、コレラへの対策を強化するよう求めている。イランは、長い距離にわたりイラクと国境を接している。多数のイラク難民が暴力をさけるためにイランへ流入する一方、イランのシーア派Shi'ite Muslim巡礼者らが、たびたび聖地を訪れるためイラクに侵入している。保健省当局者は、コレラ感染の確定された患者43人は、ほとんどがイラン西部のクルド人地区の住民で、これまで頻回にイラクとの国境を越えていると述べた。
[Mod.L-イランで初めてのコレラ感染報告で、初期の9-10例の発生時期は明確ではないが、2007年9月19日に集団発生が始まったと報告されている。43例が報告されてさらに分からなくなっている。これ以上の患者の増加は、より多くのイラクの難民が国境を越えてくるためなのか、二次的にイラン[*?:原文はIraq]で感染が拡大しているのか、それとも両者なのか。クルド人地区以外のコレラ患者はどれぐらい発生しているのか?]
ネパール:下痢症、死亡例
合計11人が下痢症の集団発生により死亡した。
 情報源: eKantipur 、10月5日
2007年10月1-5日の間に、Rautahat地区の7人とHetaudaおよびParsa地区の各2人の、合計11人が下痢症の集団発生により死亡した。Rautahatの記者は、16の村で7人が死亡し、ほかに500人近い患者が下痢症感染流行により発病したと伝えている。...Gaur MunicipalityとChandiya, Basantapur, Jhunkhunuwa、Dumariyaなど16カ所のVDCで感染流行が発生している。...主に現地で河川の魚を摂った結果、農村部での感染が増えていると説明されている。...Bharta VDC-6、Parsa、 Lamariya area of Basantpur VDC-5などで発生している。
[Mod.L-名前は挙がっていないが、山岳地帯にあるアジアのこの国では、コレラが発生している。感染が発生している場所は、ネパール Central Regionの別々の地域にあり、すべて首都カトマンズKatmandu の南にある]
セネガル:コレラ
1060人の新たなコレラ感染患者が、国内各地から報告されている。
 情報源: XinhuaNet 、10月4日
セネガル保健当局の教授は、2007年10月4日に、1060人の新たなコレラ感染患者が、国内各地から報告されていると述べた。過去5日間の報告数は微増であったと述べた。...感染が発生しているのは、Saint-Louis, Touba, Louga, Thies, Dakar, and Diourbelなどである。最も被害が深刻なToubaでは、222人の患者が発生し、Mbacke(79), Bambey(20), Louga(4)、Saint-Louis(30人以上)となっている。
[4] Cholera - Sierra Leone 目次にはあるが,記事なし。

● 口蹄疫、ウシ 英国
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease, bovine - UK (England) (39)
Archive Number: 20071006.3298
[1] 口蹄疫最新状況
 情報源: DEFRA news release, ref 349/07 、10月5日
2007年10月5日、DEFRAは、継続中の、口蹄疫FMDに関する疫学調査に関する、新たな報告を発表した。口蹄疫感染流行発生後63日目の段階で、現在8カ所のInfected Premisesが確認されている。今回の流行に関しても、種々の証拠より、比較的小規模の範囲に留まっており、地理的な拡大はしないことを示している。FMD危険区域外へFMDの感染が広がる可能性はきわめて低い。...
[2] 最新のFMDの感染流行が、Surrey州外へ拡大する見込みは小さい。
 情報源: BBC News 、10月5日
[3] 2007年、口蹄疫の総括
 情報源: British Cabinet office 、10月3日