2007年12月17日

チクングニア インドネシア
鳥インフルエンザ、ヒト パキスタン  

● C型肝炎 日本、フィブリノゲン関連
PRO> Hepatitis C, fibrinogen-transmitted - Japan: RFI
Archive Number: 20071217.4063
 情報源:The Lancet, Vol. 370, 15 Dec 2007 、12月15日。
上記に関連する The Lancet 掲載された2つの記事の紹介。 
[Mod.CP- フィブリノゲンによる治療に関連した C型肝炎 Hepatitis C ウイルスの感染に関して、現在発行中の The Lancet 誌に掲載された2つの記事に注目した。ProMED-mail では、日本のフィブリノゲンによる治療関連の症例のフォローアップについての情報と、数年間にわたりフィブリノゲン治療が行われていた他国からの情報を希望する]

● チクングニア インドネシア
PRO/EDR> Chikungunya (04): Indonesia (Java), RFI
Archive Number: 20071217.4062
 情報源:Surya Online [in Indonesian]、12月15日
2007年12月10日から15日にかけて、Jepara Regency(Central Java)のおよそ997人の住民らが、チクングニア Chikungunya ウイルスに感染した。患者の数は今後も増えるものと見られている。Jepara Regency 保健当局は、現在の状況を非常事態だと捉えている。ヒトスジシマカの刺咬によって伝播されるウイルスによってもたらされるこの病気は、3-5日間のマヒをおこすことがあるが、10日以内に自然治癒する。[ここで言う "paralysis"(マヒ)の語は、急性感染の患者が、チクングニアウイルスの典型的な症状である、重症の関節痛により動きたがらなくなることを指すものと思われる]
また、チクングニアだけでなく、現在 Jepara には、デング熱も発生していることにも注意が必要であると述べている。2007年1月から12月10日までに、Jepara では、2000人以上のデング熱患者が発生している。チクングニアによる非常事態と、デング熱患者の発生をうけ、当局は住民らに対して、蚊族の繁殖場所の除去に努めるよう呼びかけている。 
[Mod.TY-ジャワ島のこの地域で、デングとチクングニアの感染流行が同時に発生しているようである。この2つのウイルス感染が検査機関で鑑別されているのか、それともただ臨床症状に基づいて区別されたものかは、はっきりしない。ProMED-mail では、検査機関での感染流行の原因ウイルスの確認や、関与するデングウイルスの型(単独または複数)に関する情報の提供を依頼する。記事では、チクングニアウイルスのベクターとして、ヒトスジシマカのみが取り上げられ、同様に存在するものと考えられるネッタイシマカには触れられていない。チクングニアとデングの2つの疾患への対策は同じで、繁殖場所を除去することによる、蚊族ベクター対策である。いずれの蚊族 mosquito species も、チクングニアと4種類のデングウイルスともに伝播する可能性がある]

● 鳥インフルエンザ、ヒト パキスタン
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (168): Pakistan
Archive Number: 20071217.4059
 情報源:The News International (Pakistan) 、12月17日
北西辺境州 North Western Frontier Province (NWFP) の保健大臣は、国立衛生研究所 NIH による、地方の保健当局への鳥インフルエンザ Avian influenza 患者に関する報告の提供が、慢性的に消極的にしか行われていないことに、失望感を露わにした。NIH に対しては、24時間以内に報告することが課せられているが、既得権として情報を隠蔽するため、NIHは否定や遅延を行っていると指摘した。また、NWFP 州政府は、同州での養鶏業を中止することを真剣に考えている。同相は、パキスタン国内の70%の養鶏業は、NWFP の Abbottabad および Mansehra の2つの地区を本拠としており、このことが住民らの命を脅かすことになっていたとの考えを述べた。
12月19および29日に、ペシャワール Peshawar の病院で 2人の兄弟が死亡したのち、ほか 3人の患者が鳥インフルエンザウイルスに感染し、入院した。2人の患者[38歳男性1名と10歳の少女]が入院する Abbottabad の病院の医師は、患者らの状態が安定しているため、帰宅させたと説明した。1人は養鶏場で働いており、少女は養鶏場近郊在住であったと、取材に答えて言った。NIH へ血液検体が送付されているが、いまだ結果は届いていないと、説明した。Palosai 近郊在住のもう1人の患者も入院している。担当の有名な  chest physician 呼吸器科医師も、同様の説明を行った。患者らは隔離室にあるが、隔離室の空調 ventilator が開放されており、ウイルスが病院全体に巻き散らかされる可能性があることを指摘している。... 
[Mod.CP-この報告には、いくつかの日時の情報と、診断結果の連絡の際にパキスタン国立衛生研究所の遅延があることへの地方の不満が示されている。さらに 2例の H5N1 型感染患者が、Abbottabad の病院に入院中であり、1人は養鶏業関係者、もう1人は養鶏場近くに住む少女となっている。これらの患者は、ヒトと家禽の感染の間での関連性を強く示唆し、今回の流行における、ヒト-ヒト感染によるウイルス感染伝播の可能性を減少させる結果となっている]

● ブルータング 英国 ドイツから
PRO/AH/EDR> Bluetongue - Europe (63): BTV-8, UK ex Germany
Archive Number: 20071217.4064
[1] 輸入動物でブルータング確認 
 情報源: Defra News Release ref 470/07 、12月14日
Defra は、2007年12月14日、Bluetongue Protection and Surveillance Zones の外にある、Middlesbrough 近郊の農場で、輸入されたウシ1頭からブルータングウイルスを検出した。
[2] 輸入されたウシ1頭でウイルスが発見された。 
 情報源: BBC News、12月16日
North Yorkshire の農夫は、自分が飼育する家畜からブルータングの症例が確認されたことに驚いている。Woodhouse Farm (Great Ayton, near Middlesbrough) の、輸入されたウシ1頭でウイルスが発見された。その後処分された。この農夫は、英国でウシ結核の流行が拡大していたため、数年前からウシを輸入していた。

● 鳥インフルエンザ サウジアラビア ドイツ
PRO/AH/EDR> Avian influenza (188): Saudi Arabia, Germany (Brandenburg)
Archive Number: 20071217.4061
[1] サウジアラビア: ダチョウ 
 情報源: Agence France-Presse (AFP) 、12月15日
サウジアラビア農業省は、国内での新たな鳥インフルエンザ感染流行の発生を受け、2007年12月15日に135000羽のダチョウの処分を命じた。リャド Riyadh の 80km南にある、Al-Kharj 地方の農場で、2007年12月13日に、ヒトへの感染の危険がある H5N1型鳥インフルエンザの感染流行が発生したことが報告された。2007年11月、政府当局は、14件以上の独立した鳥インフルエンザ感染流行発生を受け、およそ400万羽のトリの処分を命じている。国内でのヒトでの感染の報告はない。 
[2] Saudi Arabia: ostriches 
 情報源:The Media Line 、12月16日
サウジアラビア政府は、年ごとのメッカへの巡礼であるハッジの期間中、安全と安心のため、聖地へ49000人を動員することにしている。... 
[Mod.AS-鳥インフルエンザに加え、サウジアラビアの最近の情勢で考慮すべき、もう一つの人獣共通感染症は、リフトバレー熱である。しばらく国内での発生報告はないものの、この節足動物により媒介される疾患は、1990年以来度々アラビア半島において確認されており、最近では、古くから屠殺された動物を輸出している、アフリカの角やスーダンにも拡がりつつある。サウジ政府当局は、感染発生国から生きた反芻動物を輸入することを禁止している。] 
[3] Saudi Arabia:ostriches 
 情報源: Arab News 、12月17日
リャド市当局は、この数日間にダチョウでの鳥インフルエンザが発覚したことを受け、家禽販売業者やレストランに対して、ダチョウの肉を売らないよう指示した。... 
[Mod.AS-サウジの家禽やダチョウにおける、公式に確認された感染流行に加えて、メディアから、最近輸入されたファルコンfalconでのH5N1型感染の情報もある(20071212.3997)。ProMED-mailでは、王国内での感染源である可能性がある、これら(ファルコン)の症例に関する情報提供依頼を出しているが、これまで反応はない。再度、依頼する。]
ドイツ(ブランデンブルグ)、庭先飼育の家きん
ドイツ北東部における、庭先飼育の個体群における、H5N1型高病原性鳥インフルエンザウイルス感染 
 投稿者:独・Friedrich-Loeffler-Institut、E. Starick、12月17日
家禽における新たな H5N1 型高病原性鳥インフルエンザ感染の症例が、2007年12月14日に北東部のブランデンブルグ Brandenburg 連邦州で確認された。11羽の庭先飼育されていたレイヤーのうち、5羽が突然死した。死亡したニワトリのうち2羽の検体が、Frankfurt-Oder にある地方研究所で検査され、リアルタイム RT-PCR 法により、H5 および N1 が陽性である可能性が強まった。直ちに OIE および Friedrich-Loeffler-Institut の鳥インフルエンザの国立委託検査所に送付された。青海類似の高病原性鳥インフルエンザウイルス HPAIV に対する特異的リアルタイム RT-PCR 法により、いずれの検体でも H5N1型HPAIV が確認された。HA 遺伝子配列解析の予備的結果から、ドイツで2007年のこれまでに検出された H5N1型 HPAIV に、極めて近い関係にあることが示唆された。

● 原因不明の死亡、クロコダイル インド
PRO/AH/EDR> Undiagnosed deaths, crocodiles (gharials) - India: (Uttar Pradesh)
Archive Number: 20071217.4060
[1] ワニの大量死の原因は肝硬変。 
 情報源: Reuters 、12月14日
26頭もの絶滅が危惧されているクロコダイルが、インド北部でこの3日間に死亡し、専門家らは、このまれな大量死の原因は、肝硬変によるものであるとして いると、2007年12月14日に当局が発表した。北部ウッタルプラデシUttar Pradesh から中央部Madhya Pradesh州まで延びているChambal Riverの中で、このは虫類は死亡していた。剖検により肝硬変が死因であることが確認されたと、州の野生動物当局者が述べた。川の中のサカナは死亡して おらず、毒物は疑われていないが、肝毒性のあるトキシンについて、川の水質調査が行われる予定である。... 
[2] 2日間で12匹のインドワニgharialが死亡しているのが見つかった。 
 情報源: Express India.com 、12月12日
2日間で12匹のインドワニgharialが、Chambal River(Etawah's Chakar Nagar Tehsil) で死亡しているのが見つかった。4匹は堤防で、残る8匹は水に浮いているところを発見された。...
[3] 100頭以上のalligators が原因不明の疾患で死亡した。 
 情報源: Sahara Samay 、12月11日
Chambal 地方 Etawah で、100頭以上の alligators が原因不明の疾患で死亡したと伝えられている。しかし、突然死の原因は明らかになっていない。不毛地帯で知られるチャムバルChambal 地方で、この大量のアリゲータが見つかった。 
[4] 16匹のアリゲータの死体が、Wildlife Park (Rashtriya Chambal Pashu Vihar) 内で発見された。 
 情報源: The Times of India、12月12日
合計16匹のアリゲータの死体が、Uttar Pradesh および Madhya Pradesh 州境に挟まれた、National Chambal Wildlife Park (Rashtriya Chambal Pashu Vihar) 内で発見され、ウッタルプラデシ森林局が調査を開始した。...詳細な記事

● ヘルペスウイルス、動物園のゾウ 米国(2件)
PRO/AH> Herpesvirus, zoo elephants - USA (04)
Archive Number: 20071217.4058
 投稿者:Gary Hayward, Laura K. Richman,12月10日

PRO/AH> Herpesvirus, zoo elephants - USA (03)
Archive Number: 20071217.4053
 投稿者:米・University of Florida、Jim Wellehan, DVM, MS, Dipl. ACZM, Dipl. ACVM、12月10日
20071210.3979に関して。

● 小麦の病気,Wheat stem rust, strain Ug99 ケニア: new variant
PRO/PL> Wheat stem rust, strain Ug99 - Kenya: new variant
Archive Number: 20071217.4054
 情報源:Business Daily Africa(Nairobi)、12月17日

● 黄熱 ブラジル、サル 疑い
PRO/AH/EDR> Yellow fever, monkeys - Brazil (Goias): susp., RFI
Archive Number: 20071217.4052
 情報源: Diario da Manha [in Portuguese trans.]、12月13日
緑地地帯で死亡していたサルらの死亡に関し、黄熱感染による疑いが強まっているとして、2007年12月13日に当局は関係者らによる会議を招集した。..最近ゴイアニアGoianiaにおいて、Joao Leite River の堤防にある、私有の森林内で、メスのサル1匹が死亡しているのが発見された。Jardins Madri condominium 内の保護区でも、(メス3匹、オス1匹の)4匹のサルの死体が発見されている。Botanical Garden に近い Vila Redencao では、3匹の大人のサルが死亡していた。感染源[蚊族ベクター? それとも脊椎動物での保有個体?]の調査が行われている。ゴイアス州は、黄熱の風土病地域であるため、全ての感染疑い例は調査される。... 
[Mod.TY-サルの死亡が黄熱ウイルス感染によるものであるか否かの確定情報や、サーベイランスの結果について、入手され次第提供されることを希望する。] 
[Mod.JW-サルの死亡が数ヶ月前から続いているのであれば、現地住民らに黄熱感染が発生していないことは、サルの死因が他の原因であったり、住民らのほとんどがワクチン接種を受けているのでない限り、非常にラッキーなことである。これらのサルの死亡の報告が非常に遅れたことは、市民らがその恐ろしさをよく知らないことの表れである。国際保健規則に従って、ブラジル政府はこれらの報告を先週中にWHO/PAHOに報告しているはずである]