2008年3月18日

野兎病 タイ

● 野兎病 タイ
PRO/AH/EDR> Tularemia - Thailand: (Prachuap Khiri Khan), RFI
Archive Number: 20080318.1049
[1] 07年10月にタイではじめての野兎病による死亡患者発生 
 情報源:Bangkok Post、3月18日
2008年3月17日、公衆衛生省は、Prachuap Khiri Khan で初めての患者の感染が診断されたとして、野兎病 Tularemia をタイ Thailand の新興感染症に指定した。疾病管理局長は37才の担がん女性患者が、タイ初の野兎病による死者となったと述べた。野兎病は齧歯類やウサギから感染する疾患で、北米とヨーロッパに土着感染している。この女性は自宅に複数のウサギを飼っており、おそらく感染したペットの体液のエアロゾルによって、野兎病の原因である_Francisella tularensis_ に感染したと見られている。ヒト-ヒト感染はなく、同居していた死亡患者の親族にも心配はないと説明した。同省は、野兎病が A型であるか、もしくはより危険な B型であるかについて、米国からの検査結果を待っている。現地当局者は、2007年10月に Kui Buri 地区で発生したこの女性の死亡のニュースに対し、動揺しないよう呼びかけている。 
[2] 08年2月に、タイで初めての野兎病感染患者発生 
 情報源:Bloomberg、3月18日
タイで野兎病により女性1名が死亡し、同国内初の患者報告となった。このバンコク Bangkok の南およそ 320kmの、Prachuap Kiri Khan 県の 37才の女性は、2008年2月に死亡し、米国での検査により死因が確定されたと公衆衛生省の当局者が述べた。野兎病Tularemia (rabbit fever) は、主にウサギに見られる細菌感染が原因であり、抗生物質により治療が行われる。世界中で土着感染しており、WHO によると北米、東欧、中国、日本、スカンジナビアなどでみられるとされている。感染したノミ、deerfly, その他の昆虫の刺咬や、感染した動物の死体の取り扱い、あるいは細菌を吸い込むことで感染する。ヒト-ヒト感染は知られていない。 
[Mod.LL-ウサギが、現地のものか輸入されたものか等、より詳細な情報が望まれる。野兎病肺炎は、すぐに気づかれないと死亡する可能性がある。... 1つの報道は 2007年10月、もう1つは 2008年2月と伝えている。また、タイ初めての死亡患者とする一方で、タイで初めての感染としている。] 
地図 Thailand's Prachuap Kiri Khan province (on the Kra Isthmus, アジアとマレー半島をつなぐ狭くなった部分) 

● カモの大量死 米国
PRO/ERR> Undiagnosed die-off, mallard - USA (ID)
Archive Number: 20080318.1048
 投稿者 Stuart Handysides, associate editor, ProMED-mail 3月18日
20080317.1039 に関し。
2006年12月15日の内容であった。

● ブルセラ症 ロシア
PRO/AH> Brucellosis, ovine - Russia (Moscow ex Volgograd) (02)
Archive Number: 20080318.1047
 投稿者:アイルランド、Tom Kelly, MVB、3月18日

● ヨーネ病 米国
PRO/AH> Johne's disease, zoo animals - USA (AR)
Archive Number: 20080318.1046
 情報源:Today's THV 、3月17日
動物園、家畜エリアのヨーネ病感染発生に対応 
Little Rock Zooのこども牧場の合計12頭の動物が、ヨーネ病(paratuberculosis) に感染している。反芻動物の下部消化管の消耗性疾患である。動物園の獣医が、オスのヤギ1頭の定期の血液検査により確認した。その後、ヤギの排泄物を調べ、診断を確定した。こども牧場のすべての動物の検査が行われ、12頭が感染していることが判明した。Paratuberculosis は、反芻動物によく見られる細菌性の疾患で、ヒトに感染することはない。米国農業省は、米国の乳牛の牧場の 22%以上でヨーネ病の感染が発生しているとしている。この病気により、感染動物は重症の下痢となり、その結果の死亡する。感染動物の manure(フン)やミルクを摂取することにより、または、以前に感染が発生した場所で飼育されることで、感染する。土壌の細菌を死滅させる効果的な手段は知られていない。園は12頭の動物を隔離し、他の動物への感染拡大を阻止するため、安楽させる予定である。感染動物は、ウシ1頭、ヒツジ4頭、ヤギ7頭である。動物園には現在、ヒツジ14頭、ヤギ22頭、ウシ2頭、ロバ2頭、mini-horses 2頭が、こども牧場が飼育されている。 
[Mod.TG-Johne's (YO neesと発音) 病は、_Mycobacterium avium _ subspecies _paratuberculosis_ を原因菌とする。記事にあるように、一度感染すると進行性に悪化して死亡する。最も特徴的な症状は軟便で、次に消耗状態である。若い動物は、母乳を飲むときに感染する。母乳に分泌されることから、ヒトにも影響がある。いくつかの論文によると、殺菌乳でも菌が検出されている。この報告を受け、ヒトの食品流通で同菌がミルクから検出されることがないよう、殺菌の温度を3度上昇させている。_Mycobacterium avium paratuberculosis_ とヒトの Crohn's disease との関係も示唆されている。この細菌は取り扱いが非常に難しく、ヒトの疾患との関連性の根拠ははっきりしていない。米国農業省は、ヨーネ病のサーベイランスを計画している(いた)。この計画では、検査が行われ、感染が高度であれば、処分を勧告するというものである。FDA(US Food and Drug Administration、米国食品医薬品局)は、ヨーネ病に関しては、ミルクの殺菌温度の上昇のほかには、積極的に関わっていない。温度を上げすぎたり、時間が短すぎたりすれば、消費者がまずいと感じる風味になる。しかし、この特別の菌を死滅させるのに十分な高温であるかどうかは、はっきりしていない。..動物園では、ふれあい動物園での、感染動物とこどもの接触を懸念している。現時点では、動物は wasting state 消耗状態には陥っていないようであり、感染した動物が排出する病原体の量は、動物がひどい下痢が続いて負のエネルギーバランスに陥るまでは、少量のままである。参考文献紹介]

● 流行性出血病、シカ 米国
PRO/AH> Epizootic hemorrhagic disease, cervid - USA (IN)
Archive Number: 20080318.1045
 情報源:South Bend Tribune、3月17日
北部のシカがウイルスに感染 
インディアナ Indiana 州野生動物管理者は、2007年秋のシカの状況調査で驚くべき発見をした。南部の地域だけに封じ込められていると生物学者らが考えていた EHD (Epizootic Hemorrhagic Disease、流行性出血病) が、北部のシカでも発見された。Marshall, Kosciusko, LaGrange, Whitley, and Pulaski の各郡で、シカの一部に EHD の軽い症状が認められたと説明した。調査されたシカの中で、EHD により死亡したものは 1頭もいなかったことが良いニュースだと述べた。... EHD ウイルスは、ブヨ midges (also known as no-see-ums) の刺咬により感染伝播し、過去2年間に南部で相当数のシカが死亡した
[Mod.TG-EHD はブルータングウイルス BTV 感染と非常に近い関係にある。いずれもブヨの刺咬により伝播される。最近、ヨーロッパでは、深刻な BTV の急増を経験している。BTV もまた、従来の予想を超えた北方まで拡大した。EHD も同じパターンをとるのかも知れない。このことで、ウイルスの病原性が変わったり、寒冷気候に抵抗力を有するようになったりするかも知れない。このウイルスは何らかの変化を起こしたのであるから、かつてEHDの見られなかった地域でも、獣医師や生産農家は、鑑別疾患に EHD を加えなければならない]