2008年3月19日

原因不明の反応、ヘパリン 米国

● 原因不明の反応、ヘパリン 米国
PRO/EDR> Undiagnosed reactions, fatal, heparin - USA (07)
Archive Number: 20080319.1062
 情報源:New York Times 、3月19日
血液凝固阻止剤ヘパリン heparin への原因不明の混入を調査中の科学者らは、中国の動物の軟骨から製造された可能性の高い、化学的には真のヘパリンのように見える偽造物質によるものと考えられるとの結論に達しつつある。しかし、米中のヘパリンの専門家らは、ヘパリン類似作用のある over-sulfated chondroitin sulfate過硫酸化コンドロイチン硫酸) こそが、おそらくは FDA が数百人にアレルギー反応を生じ 19人を死亡させた,とする混入物であると述べている。しかし例えそうであっても、製剤中に 5-20%の割合で含有される混入物がアレルギー反応の原因であるのか、また、有効成分中に、いつどのように混入したのか、正確には分からないとものべている。コンドロイチン硫酸は、関節痛の治療に広く使用されており、元のままでは抗凝固作用は示さない。しかし、分子構造を変化させることにより、抗凝固作用を有する物質に変化するという。米国で流通するバクスター社のヘパリンを調査する科学者らは、故意に混入されたと考えられると述べた。
関連項目 
Undiagnosed reactions, fatal, heparin - USA (06): contaminant 20080307.0939

● 黄熱 ブラジル
PRO/AH/EDR> Yellow fever - South America (18): Brazil (PR)
Archive Number: 20080319.1061
 情報源:Folha Online [in Portuguese]、3月12日
パラナ Parana 州保健当局は、2008年3月12日に 2例の州内感染による黄熱 Yellow fever 患者を確認した。1人は死亡した。
パラナ州で黄熱感染が発生したのは1966年以来で、この年32人が死亡している。
保健当局者は、森林型黄熱に感染した2名の患者は、Laranjal (州都 Curitiba から423km)で感染したと述べた。35才の男性は 2月29日に死亡し、27才の患者は、Ivaipora に入院中で、命に別状はない。この2人の兄弟は、農村部 Laranjal で伐採に従事し感染した。
2008年、州内では別の 2名の感染が報告されているが、いずれも州外での感染例であった。2008年1月8日、Maringa (428 km from Curitiba) で死亡した元銀行員は、Caldas Novas (Goias state) で感染していた。

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア、ベトナム
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (39): Indonesia, Viet Nam (WHO)
Archive Number: 20080319.1060
[1] インドネシア Indonesia - dual infection 
 情報源:CIDRAP News、3月17日
インドネシアの 10代の患者 1名は、季節性インフルエンザ influenza と鳥インフルエンザ Avian influenza に同時に感染していた症例であることが明らかにされている。医療計画の立案者らが、以前より警戒しているパンデミックインフルエンザへの移行の可能性が高まった。
2008年3月17日掲載の EIDの論文の中で、インドネシア生物医学薬物研究開発センターの研究者は、2007年4月にジャカルタ Jakarta において、2005年以来インドネシア保健省が行っているインフルエンザ・サーベイランスシステムによるインフルエンザの検査を受けた16歳の少女の患者について報告した。数日前からインフルエンザの症状を呈していたこの少女は、軽症であり、38度の発熱、咽頭痛、咳、頭痛、体性痛を訴えていたが、肺炎や呼吸困難は見られなかった。(タイなどでの H5N1型感染患者の症例報告では、かなり劇症の臨床症状の報告がある。)発症後 6病日目に、鼻腔および咽頭からのスワブ検体が採取され、インドネシア保健研究開発研究所において、RT-PCR 法により、H5N1型鳥インフルエンザと H3N2型季節性インフルエンザの検査が行われた結果、陽性であることが判明した。6病日目の検体の血清抗体価では、弱い(抗体価1:10) H5N1型感染を示したが、H3N2型は陰性であった。一方で、回復期の血清検体では、はっきりとした (1:640) H3N2型の感染が示されたが、H5N1型は陰性となった。この結果は、ジャカルタの Eijkman 分子生物学研究所でも確認された。
この少女の発病は、インドネシア政府が、WHO の研究機関とインフルエンザウイルス分離株を共有することを拒んでいた時期にあたり、国外では、このウイルス株に関する評価は行われていない。「今回の報告は、ヒトでの H5N1型インフルエンザAウイルスと H3N2型との共感染の初めての症例報告であり、このような感染は、ヒト-ヒト感染が容易になる H5N1型の新興につながる遺伝学的再集合の可能性に対する、多大な懸念材料である。ヒトと鳥インフルエンザウイルスがともに感染循環する地域における、より進んだ検査に基づくサーベイランスの重要性を強調した」と、報告者は述べた。 
[Mod.CP- このような観察事項への救いは、季節性インフルエンザと鳥インフルエンザのA型ウイルスの共感染が、パンデミックウイルスに進化する可能性のある、組み替えや遺伝学的再集合に至るには不十分であったことである。しかし、データの妥当性は疑問視される。RT-PCR アッセイでは、この患者が H3N2型ヒトインフルエンザウイルスと H5N1型鳥インフルエンザウイルスに共感染したことが示唆されている。しかし、この患者の感染徴候や症状は軽症であり、さらには、回復期血清の H5N1型抗体価が陰性であったことは、ヒトの宿主において、それ以降(あるいは全く)増殖していなかったことを示唆する。感染に曝露したヒトはかなりの数に上るにも関わらず、H5N1型感染により重症化したヒトの数はわずかで、遺伝学的な感受性に関する素因の存在が示唆されている。このような遺伝学的に感受性のある個体における共感染が発生しない限り、共感染によるリスクのレベルは不確定のままである] 
[Mod.JW-RT-PCR 検査における、意図的ではない cross-contamination (交差感染) のリスクは大きい。海外の委託研究機関による結果の検証が望まれる。] 
[2] ベトナム - WHO confirmation of 106th case/52nd death 
 情報源:World health Organisation (WHO), EPR, Disease Outbreak News 、3月18日
 [*FORTH感染症速報・公式情報より] 
鳥インフルエンザ流行状況-ベトナム更新5 
ベトナム Viet Nam 保健省は新たな H5N1型鳥インフルエンザウイルス感染患者1名を確認した。この患者は、国立衛生疫学研究所(NIHE)により診断確定された。患者は、ハーナム (Ha Nam) 省 Thanh Liem 地区出身の11歳男児である。この男児は 2008年3月4日に発症し、3月9日に入院したが、3月14日に死亡した。患児は、自身の発病前に、病鳥や死亡した家禽に接触していた。感染制圧対策が実施されており、濃厚接触者が同定された。その全員について、健康状態の異常は認められていないが、今後も健康監視が継続される予定である。ベトナムでは、これまでに確定された患者106名中、52名が死亡している。

● 鳥インフルエンザ、家きんか渡り鳥か・中国由来、トルコ H5N1(2件)

PRO/AH> Avian influenza, poultry vs migratory birds (05): Chinese origin
Archive Number: 20080319.1063
 情報源:Reuters (Reuters Health)、3月18日
H5N1型鳥インフルエンザ Avian influenza ウイルスの拡大の大半は、中国南部に由来する可能性があると、2008年3月18日に研究者らが述べた。
2002年および2003年のベトナム、タイ、マレーシアに出現したウイルス株は、中国雲南省の家きん市場で確認されたウイルス株に非常に近接していることが、ウイルスの遺伝学的解析により判明した。2002年および2003年に中国湖南省の家きんで発見された2つのウイルス株はインドネシアのウイルスに非常に近い関係にあったと、Journal of Virology で報告した。
「このような結果から、雲南省とベトナムの間のH5N1型ウイルスの直接的な伝播の可能性が示唆された。ベトナムへのウイルスの導入には、家きんの取引が原因となっている可能性があり、湖南省からインドネシアへの感染伝播の経路は不明のままである」と述べられている。
1996年、中国南部の広東省のガチョウで、初めて H5N1型鳥インフルエンザウイルスが確認された。香港の 1997年の流行で6人が死亡した。2003年に再興し、福建省を訪れた香港の家族 2名が発病し1名が死亡した。その後世界60カ国以上に H5N1型鳥インフルエンザは拡大し、14カ国で感染者が発生している: Myanmar, Turkey, Djibouti,Azerbaijan, Egypt, Pakistan,Iraq, Indonesia, Thailand, Viet Nam, China, Nigeria, Laos and Cambodia。... 
University of California Irvine のチームは2007年、H5N1型ウイルス株の新しい波の源は広東省であると報告したが、中国政府はこれを否定している。

PRO/AH/EDR> Avian influenza (49): Turkey (Edirne), OIE
Archive Number: 20080319.1056
 情報源:OIE WAHID Disease Information 2008; 21(12) 、3月18日
感染開始時期 2008年3月9日 前回流行時期 2008年3月 
原因ウイルス HPAI H5N1 
新たな感染流行 発生地 Edirne, Esetce, Ipsala, EDIRNE 
感染種 鳥類(38羽中22羽死亡) 
疫学情報 感染源:媒介物Fomites (ヒト, 乗り物, エサ, etc.) 
[Mod.PC-2006年、トルコのギリシャとの国境にある、このアナトリア Anatolian 地方で、家禽の鳥インフルエンザ感染流行が発生している。当時、感受性のある1113羽のうち、19羽が感染して死亡し、残りが処分された。この2006年のトルコでの家禽での感染流行は、同時に発生したヒトの死亡とは、正反対の国境で発生した。今回の感染流行も、それぞれがかなりの距離を置いた地点で別々に発生するという地理的状況を示している。これは、最近黒海周辺で発生中の感染流行の特徴である] 

● 小麦の病気、真菌性病原体 英国
PRO/PL> Fungal pathogens, wheat - UK (England)
Archive Number: 20080319.1055
 情報源:Farmers Weekly Interactive、3月10日
英国各地で小麦の真菌による疾患が増加している...