2008年3月17日

鳥インフルエンザ,ヒト ベトナム
蚊族媒介性疾患 オーストラリア

● 鳥インフルエンザ,ヒト ベトナム
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (38): Viet Nam
Archive Number: 20080317.1041
 情報源 ChinaView, Xinhua News Agency report 2008年3月17日
Vietnamese child dies from bird flu [106th case/52nd death]
Viet Nam's National Hygiene and Epidemiology Institute 衛生研究所が,ハノイ Hanoi の病院での 4日間の治療後,3月14日に死亡した northern Ha Nam province の 11歳の少年が、鳥インフルエンザ Avian influenza に感染していた the country's latest human case of bird flu infection ことを明らかにした。
Thanh Liem district のこの少年の bird flu virus strain H5N1 の感染が確認された。3月5日に発症後,8日に the Ha Nam General Hospital in the province に入院し,11日にハノイの国立小児病院 the National Hospital of Pediatrics に移送されていた。2008年2月後半、少年の家族が飼育するニワトリのうち10羽が発病し、次々に死亡した。このため、家族は健康なニワトリを処分して食料としていた。関係当局は感染地域の消毒作業を行い、家禽からサンプルを採取して鳥インフルエンザの検査を行っている。
2007年6月、同地区で28才の女性が鳥インフルエンザで死亡している。2003年12月に国内で初めて鳥インフルエンザが発生して以来これまでに、ベトナムの13の市や省で、合計106人の鳥インフルエンザの感染が報告されており、うち52人が死亡した。WHOはこの最新症例の確認を行っていない。動物衛生当局は、現在11の地域で(家禽での)鳥インフルエンザの発生を確認している: 北部では Ninh Binh, Phu Tho, Ha Nam, Tuyen Quang, Hanoi, and Lao Cai; 中央部ではQuang Tri, Quang Binh, and Quang Nam; 南部では Soc Trang and Vinh Longである。2003年12月に始まったベトナムの鳥インフルエンザにより、国内で数千万羽の鳥類が死亡または処分されることにつながった。

● 蚊族媒介性疾患 オーストラリア
PRO/EDR> Mosquitoborne disease - Australia (NSW): alert
Archive Number: 20080317.1037
 情報源:The Sydney Morning Herald online、3月16日
保健当局は、2008年の最初の2ヶ月の蚊族媒介性ウイルス(疾患)が3倍に増加したことを受け、国民に対し蚊族の刺咬から身を守るよう注意を呼びかけている。
ニューサウスウェールズ New South Wales (NSW) 州内で、1月および2月に、380人Ross River virus 感染患者が発生した。2007年同時期は 78例であった。
Barmah Forest virus 感染例は、2倍の121例で、蚊族の活動がピークとなる3月にはさらに症例が増加すると見込まれている。最近の降雨により、発熱や発疹などの原因となる蚊族の個体数は爆発的に増加した。州感染症当局は、自宅周囲のプールなど水をためる場所は、蚊族の発生を助けるため、清掃するよう求めている。.. 
死亡する可能性のあるマレーバレー脳炎ウイルス Murray Valley encephalitis virus (MVEV) が、Griffith, Leeton, the Macquarie Marshes の蚊族およびニワトリにおいて確認されている。まれではあるが、蚊族によってヒトに感染伝播し、永続的な後遺症や死亡の可能性がある。これまで、MVEV のヒトの感染症例は発生していないが、モニタリングの結果から、蚊族の刺咬によってヒトへの感染が発生する可能性があることが示唆される。
イースターで州内を旅行する人々に、昆虫忌避剤を使用しゆったりした衣服を着用し、とくに釣り、キャンプ、bush-walking(ハイキング)の際には、夕方や明け方には外出しないよう呼びかけている。NSW州における蚊族対策はこれまで散発的に行われてきた。病院の医学昆虫学部門は、Hunter area において、住民や余暇を楽しむ人々に、蚊族の活動が活発化する時間を周知する試みを行っている。 
[Mod.CP- Ross River virus と Barmah Forest virus は、類似(同じ similar) のウイルス(alphaviruses) に分類され family _Togaviridae_(トガウイルス)に分類されている。一方、Murray Valley encephalitis virus はこれらとは関係がなく、フラビウイルス_Flaviviridae_ に分類されている。良性の多発関節炎の流行は、早くも 1927年からオーストラリアで報告されており、原因である病原体の Ross River virus は、1963年に分離された。Ross River virus は、トガウイルス科アルファウイルス属の蚊族媒介性ウイルスである。ほとんどのオーストラリア沿岸部で見られ、1980年代以降、大部分の南太平洋の島々も含め、地理的分布を拡大させている。動物での保有宿主は多種多様で、ヒト-蚊族-ヒトの感染サイクルを成立させるほど、広くヒトの間でウイルス血症が認められる。蚊族のベクターは、地域によって異なる。ヒトでの感染は、長期化したり、有痛性であったりするものの、死亡することはなく、後遺症なく回復する。Barmah Forest virus 感染は、オーストラリアで発生する流行性多発関節炎患者のおよそ10%を占める。このウイルスはオーストラリアだけに見られ、臨床的に Ross River virus と同じ症状を呈する。哺乳動物と有袋類 marsupials が宿主と考えられており、複数の蚊族からウイルスが検出されている。ヒトでの感染例は散発的に発生し、ほとんどはクイーンズランド Queensland 州からの報告である。Murray Valley encephalitis は、オーストラリアとニューギニアの人獣共通感染症である。Murray Valley encephalitis ウイルスは、水鳥と蚊族の間で自然の循環サイクルと形成しているものと考えられている。日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、セントルイス脳炎ウイルスなどとの関連が深く、臨床症状も類似している:発熱、筋肉痛、嘔気、嘔吐。初期に中枢神経系の症状を呈することが多く、次第に昏睡となる患者では、頚部・四肢・構語障害に続く呼吸マヒがおこり、予後不良である。脳障害や二次性感染により死亡する。不顕性inapparentと顕性apparentの割合は、およそ500対1で(顕性感染の患者あたりの)致死率は約2- %である。今のところ、感染対策のためのワクチンはない] 
地図 Australia、New South Wales

● ブルセラ症 ロシア ヒツジ
PRO/AH> Brucellosis, ovine - Russia (Moscow ex Volgograd)
Archive Number: 20080317.1043
 情報源 IA riag.ru, [translated] 2008年3月12日
 Odintsovo district of the Moscow region のヒツジ農場の1頭が、ブルセラ症に感染していることが判明した。農夫は、2007年12月にボルゴグラード Volgograd 地方から100頭のヒツジを買い入れた。許可証はなく、獣医学規則違反である。2月28日、現地の獣医学当局は、Kozlov 農場の家畜の異常行動の通報を受け、直ちに現地に向かい、農場と Solmanovo 村を隔離した。... 
[Mod.AS-おそらく、南部ロシアに土着感染している _Brucella melitensis_ が確認されたのであろう。報告の中のヒツジの異常行動 "strange behavior" については、解明が必要である。ヒツジのブルセラ症による症状は流産のみで、それが "strange behavior" を意味するだろうか?! [sic]。感染動物の種類などによって決定されるが、検査と処分またはワクチン接種による検疫隔離対策によって、_B. melitensis_ 対策が行われる。]

● 鳥インフルエンザ 中国 ベトナム バングラデシュ インド 
PRO/AH/EDR> Avian influenza (48): China, Bangladesh, India, Viet Nam
Archive Number: 20080317.1042 
[1] 中国 (広東省) 中国広東省、家禽の鳥インフルエンザ感染流行報告 
 情報源:ChinaView, Xinhua News Agency report、3月16日 
中国南部の広東省で、家禽の鳥インフルエンザ感染流行が報告されていると、2008年3月16日に農業部が発表した。国立鳥インフルエンザ委託検査機関で確認された。13日に広洲市の Liwan District の市場で発生した。[メディアの報道によれば、当初現地当局は、鳥類の死亡が H5N1型によるものではないかとの疑惑を否定した] 農業部は、H5N1型高病原性鳥インフルエンザウイルスによるものであると説明した。114羽の家禽が死亡し、518羽の処分が行われ、鳥インフルエンザは無事処理されている。中国国内では、2008年に入って5件目の家禽での鳥インフルエンザ感染流行となった。北西部の新疆ウイグル自治区で1件、南西部チベット自治区で2件、南西部貴州省で1件の発生があった。2月25日、広東省 Haifeng 郡の44歳の女性1名が、H5N1型鳥インフルエンザの感染により死亡している。この結果、WHOによれば、中国の鳥インフルエンザの感染者は29人となり、うち19人が死亡したことになる。政府農業当局の獣医学担当者は、10日、かつてない雪嵐と寒波が 2008年の初めに到来したことが原因であると説明した。鳥インフルエンザウイルスは、寒冷気候で活動性を増すことを、人民代表会議で説明した。また、ブリザードにより、家畜の生育条件が悪化し、2-3月にかけて行われる事になっている定期的なワクチン接種に影響がでたことで、よりウイルス感染が起こりやすくなったと述べた。 
[2] ベトナム Viet Nam (Quang Nam) 
Quang Nam省 で鳥インフルエンザ感染発生
 情報源:thanhniennews.com、3月17日  
中央部 Quang Nam 省で鳥インフルエンザによりおよそ 300羽のアヒルが死亡したと、2008年3月16日に当局が発表した。Thang Binh District の農場で死亡した鳥類の検査により、H5N1型ウイルスが陽性であることがわかった。現地当局は、周辺の農場をふくめた家禽の処分を行った。... 
[3] バングラデシュ, インド (西ベンガル Bengal) 
 情報源:The Daily Star、3月17日
バングラデシュ Bangladesh とインド India (西ベンガル) におけるH5N1型鳥インフルエンザの感染流行が続いている。ベンガル農村部ではほとんどの家がニワトリを所有しており、庭先や畑に放し飼いにされている。庭先養鶏はとくに鳥インフルエンザウイルスの感染を受けやすいことは周知の事実である。...長文。
[Mod.AS-[3]の記事の筆者は、養鶏場のオーナーである。彼のコメントには妥当性がある:バングラデシュで観察されているのと同じ状況は、他のアジアやアフリカ諸国からも報告されている:これらのうちの1つであるエジプトの鳥インフルエンザの社会経済的影響が20080311.0982 で詳しく語られている。(飼育されている水禽の種類に違いがあるが)かなり農業形態の似ているベトナムでは、ワクチンの一斉接種計画を実施することで、高病原性鳥インフルエンザ対策に相当な努力を行ってきた。残念ながら、おそらくワクチンの不足、遅れ、不十分な追加接種などが原因で、再興している。6年目に入り、H5N1型の panzootic (動物での大流行) は、東半球において、季節性の変化を示しながら警戒を要する活動を続けている。パンデミックにつながるとの当初の懸念はいくぶん薄らいでいるが、安心する余地はない]

● サトウキビの病気 オーストラリア
PRO/PL> Smut, sugarcane - Australia (QLD): update
Archive Number: 20080317.1040
[1] 真菌、サトウキビ収穫に被害 
 情報源:The Australian、3月11日
クイーンズランド Queensland 州のサトウキビ農家に対して、耐性種と考えられていたサトウキビに壊滅的な被害をもたらせる病気が見つかったことにより、大混乱に陥いらないよう呼びかけられている。調査担当の BSES は、この疾患を乗り切るため、smut 黒穂病にかかりやすいサトウキビの品種を、耐性種に転換する動きを奨励している。耐性作物の3つの農場で発見されたあと、10日 BSES社は新種にも感染するのではないかとの不安を一蹴した。南東部の Herbert region の2つの農場と、Bundaberg のもう1つの農場で発生した。... 
[2] 黒穂病への冷静な対応が求められている 
 情報源:NewsMail、3月11日
北部クイーンズランド州で耐性であるサトウキビに黒穂病が発見されたことへの不安は、Q200種を栽培する Bundaberg の農家に転換を促すことにならないようである。Ingham では、Q200の黒穂病は発見されておらず、Q200は1/9しか感染を起こさない優秀な意品種の1つだと協同組合長が述べた。... 
[3] クイーンズランド州全域に黒穂病拡大 
 情報源:Australian Broadcasting Corporation Rural News、2月27日。 
2008年2月26日、Innisfail areaの農場で確認された真菌疾患の黒穂病は、クイーンズランド州全体に拡大を続けている。... 
[4] 豪・サトウキビ栽培に黒穂病蔓延 
 情報源:Channel Nine News Money、2月27日  
北東部クイーンズランド州 Innisfail district にサトウキビ黒穂病が広がっていると、2008年2月28日に砂糖試験場事務局 Bureau of Sugar Experiment Stations [BSES] が発表した。2007年前半、ブリスベン Brisbane の北およそ 280kmの Bundaberg region で、オーストラリアのサトウキビとしては初めてこの真菌性疾患が発見されたことに続く事例である。その後、北の Mackay や Townsville にも拡大している。

● 原因不明の大量死、カモ 米国
PRO/AH> Undiagnosed die-off, mallard - USA (ID)
Archive Number: 20080317.1039
 情報源:Helenair.com、3月15日。 
細菌または真菌感染によると思われる、カモの死亡 
2500羽もの mallard マガモが、南東部アイダホ Idaho 州の小川に沿って集団で死亡していた異様な光景の原因を当局は未だに解明できていないが、予備的な検査によると、細菌または真菌の感染が疑われると、2008年3月13日に州動物関係当局者が明らかにした。... [Mod.TG-肺の細菌感染病変は、確かに細菌もしくは真菌疾患を示唆する。短期間に多数の鳥類が死亡したことは、トキシンの可能性も想起させる。草原に関係する toxicants(毒物)について、これらの鳥類の検索が望まれる]

● ポテトの病気、特定されていないウイルス ウガンダ
PRO/PL> Unspecified virus, potato - Uganda (KB)
Archive Number: 20080317.1038
 情報源:The New Vision、3月11日
ウイルスにより、ポテトの収量減少 
Kabale district  [Western Region] において、壊滅的なポテトの病気が発生し、住民の生活をも脅かしている。... このウイルスは昆虫のベクターによる拡散やヒトを通じて、植物の間で伝播されている。また、tuber plants (球根のある植物?) では、シーズンを越えて伝播されることもある。葉の curling、モザイク、成長の遅れ、収穫量減少などの症状が見られるが、同地域には、組織培養ができる検査機関が設立されている。..原文参照願います。 
[Mod.DHA-ポテトに被害をもたらせるウイルスは、およそ 40あり、昆虫 (アブラムシなど)が伝播するウイルスも多数ある。さらに、_Potato leafroll virus_, _Potato virus X_ and _Potato virus Y_, as well as _Potato spindle tuber viroid_ などはtuber(塊茎)に広がる。...上記の記事に関係するのはおそらく _Potato leafroll virus_ (PLRV; genus _Polerovirus_) と考えられる]