2009年2月1日

黄熱 ブラジル
ダニ媒介性脳炎 オーストリア 

● 黄熱 ブラジル
PRO/AH/EDR> Yellow fever - South America (14): Brazil (MG ex RS)
Archive Number: 20090201.0456
 情報源:UOL Noticias [Portuguese]、2009年1月30日
30日、ミナスジェライス Minas Gerais 州保健局長は 30日、ムリアエ Muriae 市 (Zona da Mata of Minas Gerais [state]) の男性の黄熱 Yellow fever 患者が死亡したことを明らかにした。男性は36才で 6ヶ月前から市内の農村部に住んでいた。リオグランデドスル Rio Grande do Sul への旅行後、2008年12月31日に高熱を発し、現地病院に入院となっていた。1週間後の 1月7日に死亡した。黄熱感染が疑われたため自宅周辺の蚊族対策などの措置がとられた。黄熱患者発生の監視も強化されている。ムリアエ市は全人口をカバーするだけのワクチンを保有している。黄熱ワクチンを一度も受けていない、もしくは接種後 10年以上経過している場合は、予防接種を受ける必要がある。
[Mod.TY- 報告はこの男性が Rio Grande do Sul のどこで感染したかについては触れられていない。2009年、同州内のアルゼンチン国境付近では複数のサルやヒトの森林黄熱ウイルス感染が報告されている]
地図 the state of Rio Grande do Sul

● ダニ媒介性脳炎 オーストリア 
PRO/AH/EDR> Tick-borne encephalitis - Austria
Archive Number: 20090201.0450
 情報源:PR Newswire on behalf of ISW-TBE (International Scientific Working Group on Tick-Borne Encephalitis)、2009年1月29日
the International Scientific Working Group on Tick-Borne Encephalitis (ISW-TBE ダニ媒介性脳炎の国際科学活動グループ) の専門家らは、TBE の危険性について声を上げてきた。今、高所にもダニが棲息するようになり、ハイカーらにも危険が迫っている。地球温暖化現象の1つとして、2008年には初めて海抜 1500m以上の地点で TBE ウイルスが確認された。The ISW-TBE は地方病感染地域への全旅行者にとって、TBE ワクチン接種を標準の予防策とするよう呼びかけている。予防ワクチンを接種しなかった旅行者は far-reaching consequences (様々な影響) を受ける可能性がある。ダニにより媒介されるウイルスである TBE (ダニ媒介性脳炎 [ウイルス]) は、中枢神経を侵し、軽度の神経障害,集中力障害、うつ、重度の麻痺,さらには死に至るものまで、その臨床症状は多岐にわたる。1990年以降、欧州では 15万7500例以上の TBEが報告されており、年間あたり 8755例の計算となる。気候変動によりオーストリアも TBE のハイリスク地域となっているが、オーストリアにおけるワクチンの接種 (カバー) 率は例外的に高く、TBEの症例数は 1979年の 677例から 2008年の 86例に減少していると、Friedrich-Loffler-Institute の教授が説明した。欧州全体としては、TBE は今も報告義務のある疾患には至っていないが、TBE の危険性を周知し、人々にワクチンを受けるよう働きかけていると話した。一旦感染すると治療法はない。 
[ModCP- the CDC Special Pathogens Branch のウェブサイトによると、tick-borne encephalitis (TBE) は中枢神経系におよぶヒトのウイルス感染症である。髄膜炎・脳炎・髄膜脳炎の形で発症することが多い。TBE は神経系の疾患として最もよく知られているが、軽症の発熱疾患を発症することもある。長期間あるいは永続的な神経精神病学的後遺症が、感染した患者の 10-20%に見られる。
TBE は tick-borne encephalitis virus (TBEV) ウイルスを原因とし、これは _Flaviviridae_ フラビウイルス科のウイルスである。 Far Eastern Eurasia (極東ユーラシア) には、近い関係にある Russian spring-summer encephalitis virus (RSSEV ロシア春夏脳炎ウイルス) があり、類似のさらに重症の臨床経過を辿る疾患の原因となる。
ダニが TBEV のベクターで、保有宿主でもある。主要な保有動物は小型の齧歯類で、ヒトも一時的な保有宿主となりうる。大型の動物はダニの給血者だが、ウイルスを保持する役割を果たすことはない。ウイルスはダニに慢性感染しており、transtadially (from larva to nymph to adult ticks) でも、transovarially (from adult female tick through eggs 経卵感染) でも伝播される。TBE 患者はダニの活動が活発となる時期 (between April and November) に最も多く、ヒトは農村部におけるダニ刺咬により感染する。また、感染したヤギ・ヒツジ・ウシのミルクを生で飲むことで感染することもある。ワクチン接種や感染性エアロゾルへの曝露防止対策が行われるまでは、実験室での感染も多かった。ヒト-ヒト感染は報告されていない。感染した母親から胎児への垂直感染も発生する。TBE は the ixodid tick reservoir (マダニ) の分布に一致して、欧州、旧ソ連、アジア各地で重要な感染症となっている]

● A型肝炎 ラトビア
PRO/EDR> Hepatitis A - Latvia: RFI
Archive Number: 20090201.0451
 情報源:Gorod.lv News Agency [trans.]、2009年1月30日 
ラトビアの感染症センターにおいて、2009年1月に A型肝炎 Hepatitis A の治療を受けた患者はおよそ 200人であると、センター長が述べた [2008年9-10月に確定患者 257人を加え合計1016人の確定患者と、ほか265人の疑い患者の調査中とされていた]。29-30日の 24時間に 14人が A型肝炎ウイルス感染疑いで入院となっている。2009年8月末まで続くと見られている。
[ModCP- 以前の投稿で、2008年のラトビアにおける A型肝炎感染流行はウイルスに曝露していない感受性者の集積の結果であることが示唆されていた。ラトビアの感染流行は、チェコで同時発生中の感染流行と類似するいくつもの特徴を有しているが、その関連性は証明されていない。2008年9月時点で欧州では、ラトビアに関連する A型肝炎の患者が報告されていた。リスク行動を行う旅行者を中心として、多国間の感染拡大のリスクがある。疫学状況の再評価が望ましい]

● ブルセラ症 キルギスタン 2008 
PRO/AH/EDR> Brucellosis - Kyrgyzstan (03): epidemic overview 2008
Archive Number: 20090201.0449
 情報源: 24.kg [trans]、2009年1月22日
2008年キルギスタンでは、家畜 10万頭対 74.3件のブルセラ症 Brucellosis が発生した。2007年 (77.5) からわずかに減少した。最も被害が多かった地域は Jalal-Abad, Talasskoe, Norinskoe [Naryn], and Issik Kulsoe で、これらの地域では、全国平均をはるかに上回る発生があった。

● 鳥インフルエンザ 香港、H5亜型
PRO/AH/EDR> Avian influenza (09): China (Hong Kong), H5 susp.
Archive Number: 20090201.0453
 情報源:News Release - Hong Kong's Information Services、2009年2月1日
Sha Lo Wan, Lantau Island [Hong Kong 香港] で死亡して発見された、1羽のガチョウと2羽のダックの初期検査により、H5亜型鳥インフルエンザの感染が疑われていることを、農・水・開発開発局が明らかにした。詳しい検査が行われている。この1羽のガチョウとダックの死体は、29日に Sha Lo Wan football pitch 近郊の海岸で収容された。1日、同じ場所でさらに1羽のダックが同局職員により収容された。この地域から 3km以内に家禽を飼育している場所はない。付近の庭先飼育の家禽にも異常は見られていない。作業に関わった職員のうち、26才の運転手が 27日から発熱と上気道炎症状を示している。発症は作業の 2日前であり、鳥インフルエンザに感染した可能性は低いが、念のため、入院し精査されている。

● 口蹄疫 サウジアラビア
PRO/AH> Foot & mouth disease - Saudi Arabia (02): vaccination
Archive Number: 20090201.0447
 投稿者:サウジアラビア・Almarai Company、Scott Waight, MRCVS BVSc、2009年2月1日
サウジアラビアで使用されているワクチンは以下の2種類である 
1) Septavalent (7価): O - 3039 (Manisa) O1- BFS A Iran 96 A Iraq 22 A 4165 Asia - 1 (Shamir) SAT - 2 (Saudi 2000) 
2) Monovalent (1価): O - 3039 (Manisa) O1- BFS 
農業省がいずれのワクチンを採用しているかは不明である。 一般的には使用されていない、補助ワクチンとしては、A Iran99 A Eritrea がある。