● インフルエンザ A(H1N1)(3件)
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (24): case counts
Archive Number: 20090512.1772
[1] WHO - global updates (06:00 GMT)
情報源: WHO Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR)、2009年5月11日
a. Influenza A(H1N1) - update 25 -- 11 May 2009
11 日GMT6:00現在、30カ国から 4694人のインフルエンザ A(H1N1) ウイルスの感染者が公式に報告されている。メキシコからは死者 48人を含む 1626人、米国からは死者3 人を含む 2532人、カナダからは死者 1人を含む 284人、コスタリカからは死者 1人を含む 8人の、感染が確定診断された患者が報告されている。
これまでに感染が報告され、死者は発生していない国...
b. 重症度の評価 Assessing the severity of an influenza pandemic - 11 May 2009
重症患者および死者数から判断されるインフルエンザ大流行の重症度の主な決定因子は、ウイルスが本来持っている毒性である。しかし、他の多くの要因もパン デミックの影響の重大性に影響する。生来健康であったヒトが当初は軽症であるパンデミックウイルスであっても、今日の高度の移動性があり相互依存的な社会という条件の下では、破壊的な影響を及ぼす可能性もある。その上、ある国では軽症である同じウイルスが、他の国では有病率・死亡率ともずっと高くなる可能性 もある。加えて、ウイルスに本来備わっている毒性は、パンデミックが国内外に波及するいくつもの波を経て変化する可能性もある。
ウイルスの特性
インフルエンザパンデミックは、全くの新型、もしくは近年ヒトの間で広範囲な感染循環のなかったウイルスにより発生する。この場合、ほとんど全てのヒトが感染しうる状態が生み出される。これまでパンデミックで全人類が感染したことはないが、ほとんど全てのヒトに感染の感受性がある。ほとんど同時期に 大量の発症者が発生することが、パンデミックが社会的・経済的な壊滅をもたらせる要因の1つで、一時的な医療サービスへのoverburden(過重)を伴う可能性がある。ウイルスの感染力もパンデミックの影響の重大性に影響し、限られた地域で短期間に発病してケアを必要とする人の数が増加することにつな がるためである。明るい面としては、全世界や国全体で同時に感染の影響を受けるわけではないことがある。ウイルスの感染力は、国内および国際間の感染拡大のスピードに影響する。このこともまた感染流行の影響の重大性に関係し、非常に速いスピードでの感染拡大により、政府や保健当局の対応能力が削がれる可能性がある。パンデミックは通常、ある特定の年齢のグループに集中して悪影響を及ぼしてきた。経済的生産性のある若年者に疾病や死亡が集中することで、季節性インフルエンザのように幼小児や高齢者に重症例が多く出る場合に比べ、より社会的経済的影響が大きくなる。 人口の脆弱性 人口全体の疾患脆 弱性は重要な因子であり、例えば、心血管疾患・高血圧症・喘息・糖尿病・関節リウマチ・その他の慢性の基礎疾患を持つ人々は、感染による重症化もしくは死亡に陥る可能性が高くなる。このような状態の人が多くなり、栄養状態などの他の因子が結びつくことにより、パンデミックの重大性は有意に影響される。
後の感染拡大の波
パンデミックの全般的な重大性は、パンデミックが世界中を少なくとも 2周、時に 3周巡る傾向にあることで、さらに影響を受ける。いくつかの理由で、後に起きる感染の波の影響は、一部もしくはほとんどの国々で劇的に変化する。インフルエンザウイルスの特徴として、その 8つの遺伝子分節内の頻 繁かつ予測不能な変異があり、特にヘマグルチニン遺伝子で著しいパンデミックの経過中に、より強毒性のウイルスが発生する可能性も否定できない。感染拡大にいくつかのパターンが存在することも、その後の感染波の重症度に影響する。例えば、第1波に主に学童が感染した場合、第2波では高齢者でより感染脆弱性が増し、感染の矛先が向けられ、高い死亡率を生む結果となる可能性がある。前世紀では 1918年のパンデミックははじめは穏やかであったが、半年後に再び発生し、より致死性の高い型になっていた。1957年に発生したパンデミックも当初軽症であったが、やや重症型となって再発生した。ただし 1918 年に比べずっと壊滅的な影響は低かった。1968年のパンデミックも比較的穏やかな症状で始まり、第1波発生以前から散発的に症例が発生し、第2波になっ ても全てではないがほとんどの国で、穏やかな症状のままであった。
対応能力
最後に、医療サービスの質は、どのようなパンデミックの影響にも関係する。strong(高度の)医療サービスを有する国々では、軽い症状しか示さないウイルスでも、医療サービスが弱く、器材や抗生物質などの医薬品が限られまたは欠品しやすく、病院は混み合って器材が不足し人員が足りないような他の国では、破壊的影響がもたらされるかも知れない。
現況の評価
現在まで、H1N1ウイルスに限り、またより一般的には世界人口の脆弱性に関しては、以下のような状況が認められている。H1N1 に特異的に観察された項目は暫定的なものであり、数カ国に限られたデータに基づくものである。今回感染流行の原因となった H1N1ウイルスは、これまでヒトでも動物でも確認され たたことのない新型ウイルスである。未だ結論は得られていないものの、専門家らは、今までにこのウイルスに対して獲得された免疫は、低レベルもしくは皆無であるか、または高齢者集団だけに見られる程度と予想している。H1N1 は、季節性インフルエンザに比べより感染力が強いと見られている。季節性インフル エンザによる二次性感染は 5-15%であるが、現在観察されているH1N1の二次感染率は 22-33%と見積もられている。まだ完全には解明されていないメキシコでの感染流行を除くと、この H1N1 ウイルスは、生来健康なヒトにとっては非常に軽症の疾患となる傾向にある。メキシコ以外では (重症?)患者のほとんどと、全ての死者は慢性の基礎疾患のある患者であった。これまでに発生したよく記録された 2大感染流行である、メキシコと米国の流行では、季節性インフルエンザと比較してより若い年齢層に被害が発生している。乳児から高齢者まで、全ての年齢層で患者が確認されているものの、若い患者での重症感染もしくは感染症死が、今回の感染流行初期の目立った特徴となっている。人口集団の脆弱性という点で、基礎疾患のある患者でより重症化したり死亡に至るという H1N1 ウイルスの傾向には、特に関心が持たれる。前世紀最後のパンデミックが発生した 1968年以後、種々の理由から慢性疾患をもつ患者の割合が劇増している。かつては富裕社会と密接な関係にあると考えられていたこれらの疾患の、地理的分布もまた劇的に変化している。今日 WHO は、慢性疾患の 85%が 中低所得国に集中すると見ている。これらの国々では、慢性疾患の平均的な発症年齢が、世界の富裕国に比べ若くなっている。感染流行早期にある現在、一部の科学者らは、感染が拡大するまで H1N1 感染の臨床的な全体像は見えてこないと考えている。また、メキシコ以外では圧倒的に軽症例の多い現時点での臨床像も変化する可能性があるとみている。感染拡大が続けば、どのような形によるかは全く予想できないが、インフルエンザウイルス自身がもつ変異性以外の種々の要因で、現在の疾病重症度パターンが変化する可能性が考えられる。ウイルス感染が通常のインフルエンザシーズンが始まった南半球に拡大し、感染循環するヒトインフルエンザと遭遇した際に発生するであろう変化に注目している。世界各地の家禽に H5N1鳥インフルエンザウイルスが定着した事実も、もう1つの懸念材料となっている。H5N1ウイルスが、パンデミックが切迫する中でどのような動きをするか、誰にも予想できない。現時点では H5N1 ウイルスは動物のウイルスで、ヒトには容易に感染せず、ヒト-ヒト感染は非常にまれである。
国別(日別)の発生状況
[2] PAHO - Americas regional update (17:00 GMT-4)
情報源: PAHO H1N1 flu website 、2009年5月11日
10日新たに、ブラジル、コロンビア、エルサルバドルで各2名の患者のインフルエンザA(H1N1)感染が確定診断された。
[3] CDC - USA update (12:41 GMT -4)
情報源: CDC H1N1 flu website、2009年5月11日
新型の influenza A (H1N1) はブタ由来の新たなインフルエンザウイルスで、2009年4月に初めて確認された。このウイルスはヒトに感染してヒト-ヒト感染も起き、米国では感染流行 拡大が懸念され、世界中でも患者が増加している。国民はほとんどもしくは全くこのウイルスに免疫を持っていないため、今後も同ウイルスによる患者、入院、 死亡が増加すると CDC では見ている。新型のインフルエンザ A(H1N1) の活動性は、8日の FluView に報告されているように、CDC の 2種類の定常インフルエンザ監視システムで確認され ている。... The 8 May 2009 FluView では、米国内で通常この時期に予想されるインフルエンザ類似疾患 influenza-like-illness による受診者数を超える数の受診が確認されている。また、検査データによると、米国内では今も通常の seasonal influenza A (H1N1), (H3N2) および influenza B ウイルスの感染が続いているが、novel influenza A (H1N1) と "unsubtypable(型不明)"* viruses が、米国内で確認されるウイルスの相当な割合を占めている。novel influenza A (H1N1) flum も通常の季節性インフルエンザウイルスと同じ経路で感染が広がると見られている:それは主に、ウイルスに感染した患者の咳やくしゃみによる。
[4] Mexico - MOH update (08:30 GMT -5)
情報源:Secretaria de Salud website (MOH)[trans]、2009年5月11日
[5]カナダ - Public Health Agency of Canada (15:00 GMT -4)
情報源: Public Health Agency of Canada、2009年5月11日
[6] News brief: 11 May 2009
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (23)
Archive Number: 20090511.1764
情報源: Science Express、2009年5月11日
新型インフルエンザ A(H1N1) ウイルスが瞬く間に世界中に広がっている。限られたデータからパンデミックとなるかどうかを判断することは難しいが、 適切な保健対応を行うことは重要である。メキシコでの感染流行、世界的な感染拡大に関する早期のデータ、ウイルスの遺伝学的多様性を解析し、感染伝播性と 重症度に関する初期評価を行った。われわれは 2009年4月末までのメキシコ国内の感染者数は 3000人(6000−32000人)で、これまでに感染が確定または疑われた死者の報告から、致死率 0.4%(0.3-1.5%)と見積もっている。La Gloria(ベラクルス Veracruz)の小さな町の市中感染流行では、いずれの死亡も感染によるものではなく、上限 95%で致死率は 0.6% であっ た。不確実性が残るものの、臨床的重症度は 1918年に見られたよりも低く、むしろ 1957年に相当すると考えられた。La Gloria の小児の臨床的感染率は成人の 2倍であった(15才未満:61%)。3つの異なる疫学的解析方法により、R0 estimates (推定基礎再生産数) の範囲は 1.4-1.6 にある一方、遺伝学的解析による central estimate は 1.2であった。値がこの範囲にあることは、2009年4月後半までにメキシコで発生したヒ ト-ヒト感染は 14世代から 73世代にまでおよぶことを意味する。このことから季節性インフルエンザに比べて感染伝播性がかなり高く、これまでのインフルエンザパンデミック時の estimates of R0 に比べると低いことが分かった。
[2] UK perspective
情報源: BBC-News、2009年5月11日。
イングランド England で新たに 2例の豚インフルエンザ患者が確認され、英国内の患者数は合計 65人となったことと Health Protection Agency 当局が発表した。ほか 7人の成人と 3人の小児がウイルス感染と診断されている。英国の調査で WHO が世界的インフルエンザ大流行の警戒レ ベルを引き上げることは妥当と結論した中でこのニュースが届いた。20世紀のパンデミックに匹敵する可能性があると述べている。Imperial College の教授が行ったこの調査に関する論文は雑誌 Science に掲載されている。その中で --仮説として-- ウイルスは通常のウイルスより感染力が強いと述べられている。季節性インフルエンザは通常人口の 10% に感染する。これまでのところ、メキシコにおける豚インフルエンザでは接触者の 1/3 が感染した。しかし同教授は、現段階でヒトの健康に対する影響を評価(quantify 定量化) するのは難しいことを認めている。この研究では、豚インフルエンザでは感染者 1000人あたり 4人から 14人が死亡する可能性がある。WHO が無視できないウイルスと判断したことは正しかったとした上で、現時点のこの数字から判断すると大惨事には至らないと思われると述べた。イングランドの新たな患者は東部の 4人と北西部の 3人であった。さらにロンドンで 3人が感染し、この中には南西部の Hampton School の生徒 1名が含まれている。同校は11日以降、1週間にわたり閉鎖されている。イングランドの他の 4校は再開されている。... 保健当局の広報担当者は 11日、英国で確認された感染はこれまでのところ全てが軽症例であると述べた。早期診断と抗ウイルス薬による治療により、ウイルスの感染拡大は食い止められており、症状は緩和された。... ロンドンの 2症例はいずれもダリッジ Dulwich の Alleyn's School と関係があった。同校は 5人の生徒がウイルスに感染したため 4日から閉鎖されている。NHS London によると、最新の患者は 12才の生徒 1名とその保護者である。感染は広がったが 11日に学校は再開され、衛生当局は豚インフルエンザの診断には時間を要するため、新たに感染が確認された 10人の患者らはすでに回復しており、症状はおさまっている点を強調した。NHS East of England 当局が明らかにした同区内の 4人の患者は、既感染確定患者と接触のあったエセックス Essex 州 North Weald の男性 1人、最近メキシコへ渡航していた同州 Canvey Island の小児 1名、最近フロリダ州を旅行した Lowestoft, Suffolk の男性 1名、および the Huntingdonshire district(Cambridgeshire)の女性 1名である。この女性については感染源の調査が続けられている。北西部の患者は海外から帰国した成人 2名と患者との濃厚接触のあった成人 1名である。
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (22): case counts
Archive Number: 20090511.1759
[1] WHO - global update (07:30 GMT)
情報源: WHO Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR) 、2009年5月10日。
Influenza A (H1N1) - update 24 -- 10 May 2009
10日07:30 GMT現在、29カ国で 4379人のインフルエンザ A(H1N1) 感染患者が公式に報告されている。メキシコの報告では 1626人の感染が検査で確認さ れ、死者は 45人となっている。米国では 2254人の検査確定患者が報告され、死者 2名が含まれている。カナダでは 280例の感染が確認され、うち 1名が 死亡した。コスタリカでは 8人の感染が確定され 1名が死亡した。
以下、国別・日別の発生状況
[2] PAHO - Americas regional update (17:00 GMT-4)
情報源: PAHO H1N1 flu website 、2009年5月10日。
ワシントン Washington 州では新たに 1名のインフルエンザ A(H1N1)ウイルスによる死者が報告され、パナマの確定患者数は 15人に増加した。.
[3] CDC - USA update (11:00 GMT -4)
[4] メキシコ - MOH update (none 10 May 2009)
[5] カナダ
● デング熱 オーストラリア,ベトナム,カンボジア,スリランカ,ブラジル
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2009 (19)
Archive Number: 20090512.1774
オーストラリア(クイーンズランド)
情報源:ABC News (Australian Broadcasting Corporation) 、2009年5月5日
クイーンズランド州 Queensland Health 保健当局は,州北部で発生したデング熱 Dengue 流行は 50年ぶりの規模となったことを明らかにした。すでに 901例の 3型デング熱ウイルス感染患者が確認されている。1992/93 の感染流行では Townsville と Charters Towers で 900人の患者が記録された。北部のデング熱感染患者数の合計は 5日の週のうちに 1000人を超えるものと見られている。
地図 Australia showing the location of Queensland state
ベトナム(南部)
情報源:Thanh Nien News 、2009年5月9日
ベトナム南部では、2009年になって 13000人以上がデング熱に感染している。3日までにこのうちの 11人が死亡したと、8日ホーチミン Ho Chi Minh 市にあるパスツール研究所長が述べた。最も感染がひどい南部では、全国の患者の 84.4%が発生しており、デング熱はもはや雨期だけに限定された病気ではなく、年中発生する可能性があると説明した。ベトナムの 5大感染症の中で、デング熱の患者数と死者数が最も多い。市販されているデング熱のワクチンはないが、いくつかのワクチンが治験段階にあり、The Pasteur Institute はタイ、フィリピン、シンガポールにおける、Sanofi-Pasteur (the vaccines division of Sanofi-Aventis Group) 社の tetravalent dengue vaccine(4価デング熱ワクチン)の臨床治験を共同で行っている。このトライアルで良い結果が得られれば、2015年もしくは 2016年に、デング 熱に対する新しいワクチンが使用可能となると同社の臨床開発担当責任者が述べた。4種類あるうちの 1つのウイルスによって発生するこの蚊族媒介性疾患に、毎年 2億3千万人が感染し、世界人口のおよそ半分が感染の脅威に曝されていると同社は述べている。
関連項目 20090416.1443
地図 Viet Nam with provinces
カンボジア
カンボジア
情報源:Xinhua News Agency 、2009年5月3日
カンボジア政府当局は,2009年のこれまでにすでに 2人が死亡しているデング熱流行のピークがまもなく訪れるとして、国民に向けて注意を促したと 3日に伝えられた。2009年は雨期の開始が早まり感染のスピードが加速され、第1期の4ヶ月間で 871人の感染者が発生した。これは 2008年同期のおよそ 2倍の数字となった。通常 1−9才の小児が最もデング熱に感染しやすいと保健相が述べたことが伝えられた。感染した患者の約 71%が小児であると述べ た。公式の数字によると、国内でデング熱が猛威を奮った 2007年には、合計 39851人のこどもが感染し、407人が死亡している。
地図 Cambodia with provinces
スリランカ
スリランカ
情報源:Colombo Page、2009年5月8日
7 日、Tangalle でデングによる死者1名が発生し、この5ヶ月間にデングウイルス感染で死亡したヒトの数は 55人となった。7日に小児がデング熱により死亡したと、保健省当局者が報告した。Tangalle and Kegalle areas からの報告が最も多いものの、全国から死者発生が報告されている。保健省の統計によると、全国でこの 5ヶ月間におよそ 4000人のデング熱患者が報告された。
ブラジル
ブラジル
情報源:O Povo Online [in Portuguese]、2009年5月7日
バイア Bahia 州で 49人、セアラ Ceara 州で 2 人がデング熱感染流行で死亡した。全国的なモニターは行われていない。
● 原因不明の疾患 ネパール
PRO/EDR> Undiagnosed illness - Nepal: (RO) RFI
Archive Number: 20090512.1779
情報源:Xinhua News Agency、2009年5月12日
中西部ロルパ Rolpa 地区の Jaimakashala で 60人以上の住民が 3日前に村内に発生した原因不明の病気に罹患している。12日のウェブサイ トの情報によると、患者の多くは女性、老人、小児である。カトマンズ Kathmandu からおよそ 270km西にあるこの発生地域に、医療チームが派遣されたと公衆衛生省当局者が述べた。全ての患者に急激な頭痛、発熱、吐血の同じ症状が見られている。汚染された水か不衛生が原因と見られている。
[Mod.MPP− 水系感染の微生物が、吐血に関係することはあまりない。突然の頭痛から、マラリアや日本脳炎などが想定されるが、CCHF や旧世界ハンタウイルスなど、出血熱の初期症状である可能性もある]
地図 Nepal to juxtapose the map of Rolpa
● 炭疽 インド(2件),米国・カナダ
インド
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - India (02): (AP)
Archive Number: 20090512.1778
[1] 投稿者:Pradeep Nath 、2009年5月12日
いつもの年と変わりない
[2] 6 new anthrax cases confirmed
情報源: The Hindu 、2009年5月12日
Karlapodur and Hatikal hamlets(Laxmipuram panchayat, [Munchingput, Visakhapatnam district] から約 20 km (12.4 mi) 、Visakhapatnam から 200km離れている)の原住民種族の Kondhs の間で、新たに 6例の皮膚炭疽 anthrax 症例が確認された。4月23日に死体の肉を食べた 20−60才の住民らの感染が確認された。2009年3月に初めての感染が確認されて以来、死体の肉を食べて感染する患者の数は 65人に増えた。
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - India: (AP)
Archive Number: 20090511.1763
[1] 11人が死亡し、5人に炭疽感染の症状が見られている
情報源: Thaindian News Asian News International (ANI) report 、2009年5月10日
アンドラプラデシュ Andhra Pradesh 州 Visakhapatnam district の農村部で、炭疽 Anthrax 感染流行が報告されている。これまで 51件の感染が報告されており、うち 11人が死亡し、5人に炭疽感染の症状が見られている。
[Mod.SH−恐らく当局は 51人の経過を追っていて、11人はすでに死亡し、5人に症状が見られ、残る 35人が予防的に抗生物質を内服しているという内容だと思われる]
[2] 2ヶ月間で住民 17人が炭疽感染と下痢により死亡した
情報源:The Times of India (TNN)、2009年5月10日
the Visakha agency [tribal] areas で 9日、隣接する州から炭疽感染の報告が相次いでいることから衛生上の非常事態が宣言された。... この 2ヶ月間で住民 17人が炭疽感染と下痢により死亡した。Mungchingput だけで 937頭のウシの死亡が報告されている。
米国 カナダ
PRO/AH> Anthrax risk, 2009 - USA, Canada
Archive Number: 20090512.1781
情報源:KFYR-TV News Stories 、2009年5月11日
North Dakota State University (NDSU ノースダコタ州立大学) Extension Service の獣医師らは、およそ 8万頭のウシが厳しい冬と春の洪水のために失われている可能性があると報告した。この獣医らは、失われたウシの頭数を計算し、ウシの群れの頭数を回復させるまでには時間がかかると話している。同氏は、家畜間の炭疽感染のおそれの問題もあるという。洪水が、炭疽 Anthrax の芽胞 を州内の新たな地域に拡散させたと説明した。
● 鳥インフルエンザ、ヒト エジプト
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (87): Egypt (SJ) 69th case
Archive Number: 20090511.1760
情報源:Reuters News 、2009年5月10日
5才のエジプト人の少女が、病鳥との接触後に高病原性鳥インフルエンザ Avian influenza ウイルスに感染したことを、10日政府系報道機関が伝えた。この症例でエジプトで H5N1 鳥インフルエンザ感染が確認された患者は 69人となり、アジアを除いて世界で最も被害が深刻な状況となっている。鳥インフルエンザがヒトに感染することはまれであるが、専門家らは、変異してヒトの間で感染が容易となり、数百万人の死亡につながるパンデミックを引き起こすことを懸念している。保健省当局の話として、Sohag 県のこの少女は 9日に入院したと伝えている。抗ウイルス薬 Tamiflu (oseltamivir) による治療が行われており、状態は安定している。およそ 26人のエジプト人が同ウイルス感染により死亡している。感染した患者のほとんどが、国内で感染のあった家禽との接触により感染したもので、国内の 500万世帯が食糧源と収入源として自宅で飼育する家禽に依存している。2009年4月、エジプト政府は新型 H1N1 インフルエンザウイルス予防策として、国内に 30−40万頭いるブタ全てを処分するよう指示した。WHO は10日、29カ国で 4379人の新 型ウイルス患者が発生したと報告しているが、エジプトでは 1例も報告されていない。
[Mod.CP- この 69例目となる症例は 20090507.1708 で述べられている、鳥インフルエンザ A(H1N1) 症例と特徴づける年齢特異性パターンに矛盾しない]
地図 Sohag province (no. 24)
● 黄熱 ブラジル
PRO/AH/EDR> Yellow fever - South America (29): Brazil (RS,SP)
Archive Number: 20090511.1754
情報源:Terra [in Portuguese]、2009年5月9日
衛生当局が豚インフルエンザ対策を議論する中、ブラジル国内において森林型黄熱 Yellow fever が南部および南東部にまで感染が広がり、黄熱による死者数は 4倍に増加した。以前から北部および中西部の州では地方病感染が発生していたが、保健省によると 2009年に発生があった州は Sao Paulo と Rio Grande do Sul のわずかに2州だけであった。43人が感染し、その結果 16人が死亡した。2008年にこれら 2つの州で黄熱に感染して死亡した症例は、1/4 の 4例(各2例)のみであった。それ以前にサンパウロ州で死亡が記録されたのは 2000年が最後であった。リオグランデドスル州では 1990年以降、これまで黄熱による死者は報告されていなかった。サンパウロ州では 2009年 2月22日から 4月1日の期間に 9人が死亡した。合計 25例の感染患者が確認されている。致死率は 36% に達した。確認された 25例のうち、16人が男性(64%)で、年齢は生後 8日目から 52才までで、平均年齢は 30才であっ た。いずれの患者もこれまでにワクチンを接種されたことがなく、活動場所である農村部または森林地帯において感染を受けたと考えられる。臨床症状が見られた患者全員から血液が採取され、検査機関で検査が行われている。軽症例の 20人について、検査結果が出るまでの間、監視が続けられている。リオグランデドスル州内では 2008年まで黄熱感染の発生は確認されておらず、黄熱の "free area(清浄地区)" と見なされてきたが、18例の黄熱患者が確認され 7人が死亡している。当局はこの 2州での発生状況悪化を見て、ワクチンの集団接種を開始した。サンパウロ SP 州では 2009年に州内の北西地域から南西地域へと黄熱感染が拡大しており、44市の 89万5千人分のワクチンが配 布された。このうち Buri, Saratuia, Itatinga, and Piraju で死者が確認されている。2009年4月22日までに配給されたワクチンは、2008年まで黄熱感染がないとされていた 44都市の人口の 89%をカバーする量で、SP 州内の 374都市は黄熱リスク地域に入っている。黄熱感染による致死率が 39%に達したリオグランデドスル RS 州でも、ワクチンの一斉接種が続けられている。保健省によると、2008年まで黄熱の記録はなかったが、現在地方病感染地域となっているのは 272都市にまたがる広範囲となって いる。81都市で感染が発生し 190都市がリスク地域に数えられており、州都ポルトアレグレ Porto Alegre もその中に入っている。ポルトアレグレでは、隣接するグアイバ Guaiba 市で 2匹のサルの感染が確認されたことを受け、週末の 9−10日にワクチン接種が行われる。.. 2009年4月1日以降、the State(国内?州内?)において、黄熱患者は 1例も報告されていない。環境学者は,サンパウロ州の新たな地域への黄熱感染拡大は、the _Haemagogus_ mosquito [黄熱ウイルスの都市および森林での蚊族ベクター] の生息地である湧水池付近を中心とした、deforestation 森林伐採の影響であると説明している。しかし一旦森林地域で感染すれば、今度はその感染者が黄熱ウイルスやデング熱ウイルスの都市のベクターであるネッタイシマカ _Aedes aegypti_の感染源となる。
[Mod.LJS−以前からくり返し述べているように、黄熱は決して "progress(ここでは感染地域の拡大の意)"していない。以前から南部にも存在しており、理由はよく判らないが、その感染伝播の強度が刻々と変化しているだけである]
地図 Brazil showing the location of the states
● ハンタウイルス 米国
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2009 - Americas (06): USA (NM)
Archive Number: 20090511.1753
情報源:The Durango Herald, Associated Press (AP) report、2009年5月9日
8 日 Santa Fe County の女性1名が,Albuquerque の病院で 2009年初のハンタウイルス Hantavirus 肺症候群により危険な状態となったと、ニューメキ シコ New Mexico, NM 州保健当局が発表した。ウイルスに感染した場所の特定のため、州保健当局者が環境調査を行っている。25才のこの女性については現在 University of New Mexico Hospital 大学病院で治療が行われている。州の公衆衛生獣医官によると、ハンタウイルスに曝露する人のほとんどが自宅あるいはその周辺で、特にマウスの糞のある締め切った場所の掃除のときに曝露しやすい。最良の予防策は、齧歯類が生息する巣や糞のある危険個所を避けることで、暖かい季節になったら、小屋や倉庫にはいる前に空気の入れ換えを行う必要があると述べた。ハンタウイルスは致死性となることもある疾患で、感染した齧歯類の尿・糞・唾液などからヒトに感染する。ウイルスを含んだ乾いた埃の粒子を吸い込むことで、ウイルスに感染する。初期症状としては、発熱と筋肉痛があり、その他、悪寒、頭痛、嘔気、嘔 吐、下痢、腹痛、咳などが認められることもある。曝露から 1−6週間以内に発症する。ハンタウイルス感染症の特異的な治療法はないが、保健当局者は早めに医療機関を受診することが回復のチャンスを高めると説明している。2008年、ニューメキシコ州では 2例のハンタウイルス感染が報告されているが,いずれも死亡した。12月に Otero 郡の 22才の女性が死亡し、3月には Taos の男性 1名が死亡した。
[Mod.TY−西半球のハンタウイルスのほとんどにハンタウイルス肺症候群を起こす可能性がある。この報告には記載ないが、恐らく Sin Nombre virus である可能性が最も高く、その齧歯類の宿主は _Peromyscus maniculatus_ (deer mouse)である]
● チクングニア マレーシア
PRO/EDR> Chikungunya (11): Malaysia (KH)
Archive Number: 20090511.1752
情報源:Malaysian National News Agency (Bernama)、2009年5月10日
[Pendang 地区において] 4人が原因不明の病気に罹患し、チクングニア Chikungunya ウイルスの感染が疑われている。ケダ Kedah 州衛生局長は、患者らは Kampung [village] Bendang Raja, Kampung Perupuk, Kampung Banggol, and Kampung Charok Tok Min (in the Pendang district) の住民であることを明らかにした。同氏によると、このウイルス性疾患は Padang Terap および Kota Setar districts の住民らの間にも感染が広がっている疑いがある。チクングニア感染が疑われる 4人の患者が発生し、調査目的に保健チームが派遣されたと、10日報じられた。Pokok Sena (Kedah)で初めてチクングニアが確認されたのは 2009年3月のことで 200人以上が発病した。蚊族対策が呼びかけられる一方、当局は噴霧消毒を行っている。発熱、関節痛、発疹などが見られる患者は直ちに医療機関を受診するよう勧告している。
[Mod.- 前回のマレーシアのチクングニアウイルス感染に関する ProMED-mail の報告 (20090218.0676) では 2009年の早い時期に 109人の患者が発生していたと報告さ れていたが、マレーシアのどの地域で発生したかは特定されていなかった。今回の報告(上記)では、Pokok Sena (Kedah) で 200例の患者が発生していることが示唆されている。チクングニアウイルスの感染伝播がマレーシア半島北部で続いていると見られる。Songkhla province (tinh) はタイ南部にあり、マレーシアと国境を接している。タイ国境にあるマレーシア北部の Kedah state で最近チクングニアウイルス感染例が報告されている (20081217.3963)。国境を越え、Songkhla province でチクングニアウイルス感染流行が発生してもおかしくはない]
地図 Malaysia
● 狂犬病、野生動物 米国
PRO/AH> Rabies, wildlife - USA (03): (AZ)
Archive Number: 20090512.1780
情報源:National Geographic News 、2009年5月4日
他の新型狂犬病ウイルスに比べ、northern-Arizona rabies strain は、スカンクやキツネの間での感染力をより強めた形に変異したと見ている。このウイルス株は、速やかに感染が拡大し、全米の狂犬病研究者らの 注目を集めている。狂犬病に感染した動物が、ハイキングや道路でヒトを襲う例は珍しいことではなく、2009年3月27日にも Chaparral in Cottonwood のプールバーのビリヤード台の周りで、狂犬病の bobcat がプレーヤーを追い回す事件が起きている。big brown bats に多く見られる感染性の狂犬病ウイルスが、スカンクやキツネの検査で陽性となることもまれではない。通常と異なっているのは、このウイルスがその kin(同族)に対して、咬んだり引っ掻いたりではなく、ヒトのインフルエンザの感染伝播のようにただ単に一緒にいるだけでウイルスを感染させるような変異が起こったことである。通常、コウモリの咬傷を受けたスカンクやキツネなどの二次宿主(感染種)は、最終的に死亡する。感染動物は指向性を失って死亡するが(他者を)攻撃をしない限りウイルスを拡大させることはできない。スカンクについては、すでに 2006年の EID 誌の報告で、ウイルスの個体間の受動的な感染伝播が生じていることが分かっている。遺伝学的研究で、キツネもこの新たなウイルス株を互いに感染伝播していることが示唆されているが、専門家による検証は行われていない。
● 鳥インフルエンザ LPAI、家禽 米国
PRO/AH> Avian influenza (LPAI), poultry - USA (04): (TN)
Archive Number: 20090512.1773
情報源:The Poultry Site、2009年5月5日
テネシー Tennessee 州で新たな養鶏場で鳥インフルエンザ Avian influenza が確認された。低病原性インフルエンザで、州内では 2009年4月27日にも別の養鶏場で同じウイルスが確認されている。州および政府当局は、検査で鳥インフルエンザウイルスが確認されたことを受け、Lincoln County の養鶏場の調査を開始した。
● 原因不明の疾患,マンゴー パキスタン
PRO/PL> Undiagnosed disease, mango - Pakistan: (SD) RFI
Archive Number: 20090511.1762
情報源:FreshPlaza, Regional Times report 、2009年5月7日
マンゴー農園 [Khairpur district, Sindh シンド] で、原因不明の "ウイルス" の被害が発生し、果実に悪影響が出ている。潅漑用水の不足に加え、今回のウイルスによるダブルパンチを受けた格好になっている。
[Mod.DHA − マンゴー Mango (_Mangifera indica_) は、世界中で重要な果物の 1つとなっている。様々な病気にかかるが、その多くが真菌によるものである。パキスタンでは 2008年に真菌感染の流行があったがすぐに減少 (20080339.0832) し、2007年にはうどん粉病が報告 (20070611.1900) されている。記事にはウイルスと書かれているが、これまでにマンゴーのウイルス感染は報告されたことがない]
● コーヒーの病気,Ojo de gallo パナマ
PRO/PL> Ojo de gallo, coffee - Panama
Archive Number: 20090511.1761
情報源:Panama Guide, El Siglo report 、2009年5月5日
農業開発局コーヒー計画の責任者は、2007/2008年が 1haあたり 795kgであったのに対し、2008/2009年のシーズンの収穫量は 861kg となったことを明らかにした。しかし、全体の生産量は 2007/2008年に比べてわずかに劣っていると述べた。生産量の低下は、Chiriqui province の栽培地域に発生した洪水と、一部に Ojo de Gallo と呼ばれる病気の感染が発生したことが原因であると説明された。
[Mod.DHA − Ojo de gallo ("rooster's eye", American coffee leaf spot disease) は、真菌の _Mycena citricolor_ を原因とし、熱帯および亜熱帯で発生し arabica や robusta などの coffee species を含め 150種類以上の植物宿主を持つことが知られている。Ojo de gallo は、ラテンアメリカの高緯度にあるコーヒー農園ではメジャーな病気で、収穫量の 75% が失われることもある]