2010年7月4日

鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア H5N1

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア H5N1
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (43): Indonesia, Jakarta 
Archive Number: 20100704.2225
 情報源: CIDRAP News 、2010年7月2日
インドネシア保健省が最近、ジャカルタ Jakarta の34歳の女性1名が、H5N1型鳥インフルエンザにより死亡したと発表したことが、政府情報省からの翻訳されたコメントで明らかになった。2日の今日、日本の神戸大学とインドネシアの Airlangga University との協力の一環として行われている、the Bird Flu Information Corner blog に投稿された。
この女性は5月25日に発病し、2日後に受診した。翌日私立病院に入院となった。肺炎が悪化したため、6月1日に Tangerang の地域病院に転院となり、その日のうちに死亡した。女性の感染源の調査では、明らかな鳥類との接触は確認されていないが、自宅の庭で観賞用植物を育てており、また市内の親類宅を訪ねていた。市内は H5N1 が常在する地域とされている。女性の接触者や治療に当たったものに、インフルエンザ様症状は見られていない。
保健省は、この女性の死亡について WHO に報告している。WHOにより確認されれば、インドネシア国内の H5N1 による患者は166人、死者は137人となり、世界で最も多い。全世界のインフルエンザ A H5N1 の感染の確定患者が500人に達する。
[Mod.CP- 病鳥との接触が確認されていない点で、この症例は通常と異なっている。WHO による公式確認を待ちたい]

● インフルエンザパンデミック (H1N1): WHO
PRO/AH/EDR> Influenza pandemic (H1N1) (47): WHO update 107 20100704.2223
Pandemic (H1N1) 2009 - update 107
 情報源:World Health Organistion (WHO), CSR, Disease Outbreak News 、2010年7月2日 [厚労省検疫所 FORTH から]
6月27日現在、214以上の国と地域から18239例以上の死亡例を含む新型インフルエンザの確定症例が報告されている。新型および季節性インフルエンザの活動性は世界的に低い状態で推移している。現在も活発な地域は南アジア・東南アジア・カリブ海地域・アフリカ西部で、季節性B型インフルエンザの流行は、東アジア・アフリカ中部および中米の一部地域で持続しているが、活動性は低いままである ... 以下、ニカラグアのA型(H3N2)インフルエンザの急激な増加、インド南部・バングラデシュ・シンガポール・マレーシアの新型インフルエンザ、同じくガーナの4月上旬のピーク、カメルーンの季節性B型インフルエンザなど。

● ペスト シリア
PRO/AH/EDR> Plague - Syria: military, susp. RFI 20100704.2222
 情報源:JSS News [machine trans.]、2010年7月2日
亡命中のシリア反体制派関係者によると、ラテンアメリカを訪問中のシリア大統領は、訓練中の新兵を中心に多数の兵士がペスト Plague に罹患したため、すべての兵士訓練を中止するよう指示した。基地内の飲食物や熱波が流行の原因である。深刻な干ばつの中(中世のような)今回の流行が、今後シリア軍の中枢にも大きな被害を与える可能性がある。軍関係筋は、流行の原因となるような、外部からの介入の可能性を一切否定している。シリアは今、40年ぶりとなる最悪の干ばつに見舞われている。数十万人分の食料が不足し、農家には壊滅的な打撃を生じ、出国者も大勢いる。6万近い畜産農家で家畜が全滅し、ほか5万の農家で50-60%のウシが失われている。シリア軍(兵士215000人、予備兵30万人)にペストの初期症状が発生しているとすれば、多数の兵士らが帰郷するラマダン(8月11日-9月9日)も近く、ペスト感染拡大も懸念される。欧州で最後にペストが流行したのは1910年のことである。
[Mod.ML- ペストはヒトと動物の細菌感染症で、グラム陰性菌であるペスト菌 _Yersinia pestis_ の感染を原因とする。人類史上、3回の大流行が記録されている: 1度目は6世紀; 2度目は14世紀で、欧州の人口の1/3が死亡; 3度目が19世紀末で、中国からの感染拡大に引き続いて発生した。今も世界中の至る所で、散発性あるいは限定的な流行の発生が続いている。1910年冬-1911年にかけて、初めに満州と中国北部を襲った肺ペストの爆発的流行により、5万人以上の死者が発生している。最後に米国の都市部で流行したのは、1924-25年に ロスアンゼルス Los Angeles での発生であった ... 詳細 ... 世界の決まった地域では、野生の齧歯類がペスト菌を保有している。菌は、感染したノミの刺咬を介して動物間を伝播する。野生のげっ歯類から、人家近くの齧歯類とそのノミに菌が伝播され、ヒトとペスト菌との接触が生まれる。腺ペストの感染様式は、感染ノミによる刺咬である ... 以下、腺ペスト、肺ペスト、敗血症ペストの説明など、原文参照願います ... Mod.JWが指摘するとおり、この地域では以前からペストの発生が見られるものの、今回の報告は細菌学的な同定、臨床症状、シリア軍内での疫学状況の記載を欠いている。不思議なことに、今回のペスト流行の原因は、飲食物や熱波と書かれている。もしもペスト菌の流行なら、飲食物 (や熱波) によりヒトとネズミやノミとの接触が増えたということでない限り、このような原因でペストが流行することはない]

● 狂犬病 米国
PRO/AH/EDR> Rabies, update - USA (04): June-July 2010 20100704.2226
[1] バージニア VA: Rabid Raccoon (アライグマ) in Richmond
 情報源: WTVR.com 、2010年6月26日
26日、the 2800 block of the Broad RockBlvd. の複数の住民から狂犬病の症状のあるアライグマ1頭の目撃情報が、警察に寄せられた...
[2] サウスカロライナ SC: Rabies Warning for Beaufort Co. Residents
 情報源: Island Packet.com 、2010年6月27日
Hilton Head Island の男性1名が、16日朝にイヌとけんかになった狂犬病のアライグマに襲われた。その後の検査で、アライグマは狂犬病であることが判明した...2009年に SC 州内で152匹の動物の狂犬病が確認されている。2010年、これまでに44匹の感染が確認された。
[3] マサチューセッツ MA: Bat (コウモリ) rabies in Brookline
 情報源: Boston.com 、2010年6月28日
Brookline の保健当局者は28日、町内で捕獲された1頭のコウモリが、ウイルス性疾患の狂犬病であると判明したため、同疾患に対して注意するよう呼びかけている...
[4] ロサンゼルス LA: Rabies confirmed in Jeff Davis Parish horse (ウマ)
 情報源: Louisiana Department of Agriculture & Forestry、2010年6月30日。
28日に、Jeff Davis Parish のウマ1頭の、狂犬病感染が確認されたと、農林業局長が述べた。このJennings 地区で飼育されていた6才のサラブレッドのメス馬は、顔面の異常なビクつきに気づかれ、27日にバトンルージュ Baton Rouge にある the LSU School of Veterinary Medicine を受診した。神経症状に悪化が見られたことから、安楽死させられ、後の剖検により狂犬病が確定された...
[5] メリーランド MD: Rabid fox (キツネ) at Six Flags Bowie, at least one bitten
 情報源: Baltimore Sun 、2010年7月2日
The Prince George's County Health Department (衛生当局)は、ブーイ Bowie にある Six Flags America で、6月26日に訪問者1名を襲った狂犬病のキツネ1頭と、接触のあった可能性のあるヒトおよび動物を探している...
[6] バーモント VT: Aggressive fox(キツネ) in Barre City
 情報源: Burlington Free Press 、2010年7月3日
3日にBarre City の住民1名とハイイロギツネ1頭の間に "physical encounter (身体的接触、襲われたこと)" があった同じ場所で、4日になってキツネ1頭の死体が発見された事から、当局は狂犬病に対する新たな注意を呼びかけてることとなった。現地警察の報告で明らかになった。3日に攻撃行動を取ったキツネと見られる死体は、狂犬病の検査に回っている。ヒトとキツネの接触によるけがは見つからなかった...
[7] ノースカロライナ NC: Rabid Fox (キツネ) fights with 2 unvaccinated dogs and bites person
 情報源: The Dispatch、2010年7月2日
the Hasty community で、1匹の狂犬病のキツネが、2頭のイヌと1人のヒトを襲った。イヌはワクチンを接種されていなかったため、2頭とも安楽死させられた

● 鼻疽、ラクダ バーレーン
PRO/AH/EDR> Glanders, camel - Bahrain: susp. RFI 20100704.2224
 情報源:Gulf-daily-news.com、2010年7月3日
ドバイ Dubai の検査機関は 2日、バーレーン国内の1頭のラクダに対して行われた、致死性の感染症である鼻疽 Glanders の検査が陽性であったと報告した。この病気のため、すでに40頭以上のウマやロバが処分されている。バーレーンの獣医学当局は、ラクダに感染が広がる可能性を否定し、間違った検査が行われたと主張している。しかし、国際獣疫局(OIE)の認定機関である、the Central Veterinary Research Laboratory の当局者は、十分な検査が行われたと説明している
[Mod.AS- glanders 鼻疽の起因菌である _Burkholderia mallei_ の、主要保有宿主はウマ、ラバ、ロバであるが、他の哺乳動物にも感染が起きる。イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ラクダでの感染が報告されている。ネコ科の動物は、感染が起こりやすいようである。ウシ、ブタ、鳥類はめったに感染しない(高度の耐性をもつ)。6月20バーレーンから OIE に提出されたフォローアップ報告のコメント 、参考文献など]