2010年7月9日

デング熱 イタリア タンザニアから

● デング熱 イタリア、タンザニアから
 PRO/AH/EDR> Dengue - Italy ex Tanzania 20100709.2304
 投稿者: 伊・ National Institute for Infectious Diseases Lazzaro Spallanzani、Giuseppe Ippolito MD、2010年7月9日
ローマ ROME の the Spallanzani National Institute for Infectious Diseases において最近、3型のデング Dengue ウイルス感染例が 1例診断された。
2010年6月24日に、タンザニアのザンジバル Zanzibar から帰国した旅行者で、帰国の3日後に発症し熱帯病病棟に入院となった。研究所のウイルス部門で、6月30日の検体について行われた RT-PCR 検査によりデングウイルスが確認された; sequencing of the NS5 gene により、the Dengue [virus] serotype が確定された。
以前の ProMED-mail (20100517.1620) で報告されたように、タンザニアでデング熱が発生しており、特に Zanzibar で著しいことが確かめられた。また、Dengue-3 [virus] is circulating in Africa との仮説も支持する結果となった (Recent expansion of Dengue virus serotype 3 in West Africa, Euro-surveill. 2010;15:19490)。
[Mod.TY- 20100517.1620 では、タンザニアの Dar es Salaam で 5月15日に 17例のデング熱患者が発生した事を報告した。日本でも 2月と3月に、タンザニアからの帰国者のimported dengue virus-3 感染(合計2例)が報告されている(20100323.0922) ]

● メラミン混入、乳製品 中国
PRO/AH/EDR> Melamine contamination, milk products - China (03) 
Archive Number: 20100709.2306
[1] Tainted Dairy Products Seized in Western China
 情報源:The New York Times 、2010年7月9日
中国全土を揺るがせた、メラミンが混入した乳製品による健康被害から2年が経過し、今も同国内の食の安全が疑問視される中、中国西部の青海省 Quighai 当局は、同じメラミンが混入した乳製品76トンを押収した。9日、政府系報道機関が伝えた。2008年の全国での回収騒ぎをくぐり抜けていた製品と見られる。当時、少なくとも6人の小児が死亡し、29万4千人の健康が損なわれた。まず、甘粛省 Gansu の調査当局が、隣接する青海省の the Dongyuan Dairy Factory の従業員1名が、検査のため持ち込んだ粉ミルクのサンプルの汚染(混入)に気づいた。その後の青海省の調査で、64トンの原料と完成品12トンのメラミン混入を確認した。一部は、法律で決められた最高値の559倍にも及んだ。54才の工場主と製造管理者が警察に拘束されている。警察によると、これらの製品の出荷先は、上海 Shanghai に近い、浙江省 Zhejiang であった...
[2] China finds more milk items tainted with melamine
 情報源: Associated Press、2010年7月9日
中国政府当局が、2008年に6人が死亡し多数の患者が発生した工業材料の乳製品への混入が,3つの省において確認したと 9日報じられた。中国国内では、2年前の有毒ミルク製品の製造が、関係者が逮捕された後の現在もなくなっていないことが示唆された
[3] Melamine tainted milk re-emerges in northwest China plant
 情報源: XinhuaNet 、2010年7月9日。
関連項目 
Melamine, milk products - China (02) 20100202.0352

● 炭疽 モンゴル
PRO/AH/EDR>, human, livestock - Mongolia: (SL Selenge) 20100709.2300
 情報源:XinhuaNet 、2010年7月9日
Northern Mongolia hit by anthrax outbreak
モンゴル政府当局は 8日、3人の放牧民の炭疽 Anthrax 感染を確認した。いずれも北部セレンゲ Selenge 県で発生したもので、非常事態省はこの牧民らの住居周辺の消毒作業などを実施したと述べた。ほか 7人の住民らにも炭疽感染が疑われたため、病院に送致された。これまでにウシ6頭、ウマ2頭、ヒツジ1頭、ヤギ1頭が炭疽感染により死亡し、約5300頭の家畜へのワクチン接種が行われている。
[Mod.MHJ- モンゴル国内において、Selenge 県はそれほど炭疽感染が報告されることは多くない。全国的な炭疽感染患者の発生は散発的である: 2000 (2), 2001 (4), 2002 (16), 2003 (-), 2004 (22), 2005 (3 & 1 died), 2006 (4), 2007 (7 & 1 died), 2008 (15).。家畜での流行件数は、ウシを中心にふた桁前半(19-29)で、今回のように、ウマ、ラクダ、ヒツジ、ヤギなどの他の家畜にも感染する。2004年と2006年に、Selenge 県から感染が報告されている。この冬は、例年にない厳しさにより多数の家畜が死亡していることから、農村部の困窮も著しく、弱った家畜が処分されて肉として売られ、さらに炭疽感染患者が増えることも予想される]

● 麻疹 オーストラリア 南アフリカから
PRO/EDR> Measles - Australia ex South Africa 20100709.2299
 投稿者:豪・Darwin, Northern Territory 感染症医、Krispin Hajkowicz、2010年7月9日
Laboratory-confirmed case of measles in a returned traveller from the FIFA World Cup in South Africa
オーストラリアから南アに旅行した 24才の男性1名は、以下の試合を観戦した。
England vs USA - Rustenberg 12 Jun 2010
Australia vs Germany - Durban 13 Jun 2010
England vs Algeria - Cape Town 18 Jun 2010
Australia vs Ghana - Rustenberg 19 Jun 2010
Australia vs Serbia - Nelspruit 23 Jun 2010
渡航前の医療相談は受けていないが、小児期の予防接種は受けている。感染力を有する時期の飛行機での移動はなかったが、ダーウィン Darwin での 2か所の家庭医の受診と映画館への入場があった。7月2日に発症し、同 4日に発疹が出たことから、ケープタウンか Rustenberg で感染したと見られている。これまでにも、ドーム付きのスポーツ施設内での麻疹感染の報告がある

● サルモネラ感染症 米国
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, unpasteurized milk - USA (02): (UT Utah) serotype Newport 20100709.2287
 情報源:CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2010; 59(26): 817-8、2010年7月8日
_Salmonella_ Newport infections associated with consumption of unpasteurized Milk - Utah, April-June 2010
2010年4月29日、the Utah Department of Health (UDOH ユタ州衛生局) に3例のサルモネラ感染症 _Salmonella enterica_ serotype Newport infection 症例が報告された。患者らは、州北部の1軒の店で購入した、殺菌処理されていないミルクを飲んでいた。ユタ州では、認可された販売店や酪農場所有の乳製品販売所でも、条件を満たせば殺菌処理をしないミルクの販売が許可されている。

● 病原大腸菌 O157 米国:バイソンの肉
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - USA (05): (CO Colorado, NY New York), bison meat, alert, recall 20100709.2286
 情報源 CNN 、2010年7月4日
コロラド Colorado 州の Rocky Mountain Natural Meats of Henderson 社は、死亡する可能性もある大腸菌 E. coli による感染の恐れがあるとして、約 30トン分のバイソンの肉(挽肉および tenderized steak 肉)の回収を開始したことが、the US Department of Agriculture's Food Safety and Inspection Service (FSIS)により明らかにされた。6月4日から 9日にかけて、同州内で合計4例の病原大腸菌 O157:H7 による感染患者が発生したが、これらは同製品に関係する疑いがあると 2日当局が説明した。ニューヨーク NY 州でも 1例が報告されている。この肉は全米の小売り業者に流通し、ユタ Utah およびアリゾナ Arizona 州では給食関係の業者 food service distributors も使用していた ...

● 原因不明の死亡、サル 日本

PRO/AH/EDR> Undiagnosed deaths, macaque monkeys - Japan: RFI 20100709.2307
 情報源:Chunichi Shimbun [Transl]、2010年7月9日
Monkeys die from a mysterious cause in the Inuyama primate research institute
(抜粋)ニホンザル44匹、謎の病死 犬山の霊長研
京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)で飼育しているニホンザルが、2001~10年の間に原因不明の疾病で 44匹死んでいたことが分かった。いずれも血液中の血小板、白血球、赤血球の数が著しく低下し、極度の貧血状態となって死んだ。所長らは「未知の病原体による感染症の可能性が高く、治療法も見つかっていない」とし ながらも「他種のサルや人間に感染、影響するとは考えられない」と説明した ... 症状は臓器中の出血、鼻粘膜からの出血、皮下出血斑、暗褐色の泥状の便などが主なもので、特に死んだ時には血小板の数がゼロになるケースがほとんどだった。これまでのところ、ニホンザル以外の種や人間に発症は確認されていない。研究所側は「人間にとって危険性が高いエボラ出血熱のような感染症とは大きく症状が異なり、ニホンザルの特異的な疾患」との見解を示し、現在は疾病の拡大防止、他の研究機関との連携による病因の特定を進めている ...

● リフトバレー熱 ナミビア
PRO/AH/EDR> Rift Valley fever, animal - Namibia (03): (ER, HA, KA) 20100709.2303
 情報源 Allafrica.com、2010年7月8日
More Rift Valley Fever Cases Detected in Namibia
the Hardap and Karas regions の農場に続き、新たに the Erongo Region でも、Rift Valley fever (RVF リフトバレー熱) の患者が発生した。獣医学当局によるサーベイランス活動により、今回6か所での感染が確認され、感染が発生したのは合計14か所の農場となった。新たな感染発生農場は、the Erongo Region の1か所、the Karas Region の2か所、the Hardap Region の3か所で、Hardap は感染頭数が最も多く、11 farms に及んでいる。 Erongo で確認されたのは、はじめて...
[Mod.AS- Namibia が OIE に対して、上記の3つの地域での outbreaks を報告した、 follow-up report No 2, submitted 7 Jul 2010 。現在 RVF virus が感染循環する3か国(southern-Africa countries): 南アフリカ, animal and human infections, ナミビアおよびボツワナ]

● 口蹄疫 日本
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Japan (32): (MZ) update, OIE 20100709.2298
[1] OIE report: Foot-and-mouth disease, Japan: follow up report no 12
 情報源: OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2010; 23(27)、2010年7月7日
感染開始時期 2010年3月26日
前回流行時期 2000年5月
原因ウイルス Foot-and-mouth disease virus Serotype: O
新たな感染流行
発生地 宮崎市 Miyazaki city 3, Miyazaki、農場
Outbreak status: resolved (5 Jul 2010) [by stamping out]
感染した種 / 頭数 / 症例数/ 死亡 / 廃棄 / 処分
ウシ Cattle / 16 / 1 / 0 / 16 / 0
疫学上のコメント:都城市、日向市、西都市周辺の移動制限は、それぞれ7月2,3,6日に解除された。3km以内の血清学的検査や臨床症状サーベイランスで、感染発生のないことが確認された。7月4日、宮崎市の農場で、獣医学的サーベイランスによって典型的な FMD の症状を示す症例が確認され、農場の家畜はすべて処分された。
[2] News report
 情報源:Breitbart, Associated Press (AP) report、2010年7月9日
日本政府当局は、7月12日の週の前半に、所有者が拒んでいる 6頭の個人所有の種牛の処分について結論を出す方針である。9日、政府高官が明らかにした。農水省の方針に変わりはないが、飼育農家の気持ちにも配慮したいと、同省副大臣は述べた。県知事は、例外的に処分しないことを希望していた

● テンサイの病気,Cercospora leaf spot 英国
PRO/PL> Cercospora leaf spot, sugarbeet - UK: alert 20100709.2297
 情報源: Farmers Weekly Interactive 、2010年7月6日
テンサイの病気である cercospora が、ベッドフォードシャー Bedfordshire 州 ルートン Luton 近郊のテンサイの葉から検出されたことが、研究者により明らかになった。最近の温暖な天候による、病気の拡大が懸念されている...
[Mod.DHA-_Cercospora beticola_ は、世界中で最も恐ろしい sugarbeet の葉の病気である。 この真菌は、野生および栽培種の_Beta_ (cultivated and wild) のほか、多くの野草にも感染し、pathogen reservoirs となる]

● ココアの病気,Black pod & swollen shoot コートジボワール: BS
PRO/PL> Black pod & swollen shoot, cocoa - Cote d'Ivoire: (BS) 20100709.2296
 情報源: Reuters Africa 、2010年7月5日
先週 [6月26日の週] 、Ivory Coast (象牙海岸、コートジボワール) のココア栽培地域に降り続いた長雨により病気が発生したが、最後に晴天が続き、豆の品質については望みがつながった。農家は、black pod disease への不安を訴えている。2009年は、5年ぶりの悪い年であった。2010年の異常な降雨により、black pod and swollen shoot disease が不安視されている...
[Mod.DHA- Black pod ---Black pod (also called _Phytophthora_ pod rot) は世界中の cocoa に発生する主な真菌疾患の1つである。アフリカにおいては、真菌類似の病原体 _Phytophthora palmivora_ and _P. megakarya_ が関係するが、南北アメリカではさらに. _P. palmivora_ が中心となっている ... insects, mechanical means, plant debris, water, and wind によって感染が拡大する ...
Swollen shoot---Swollen shoot disease of cocoa は _Cacao swollen shoot virus_ (CSSV; genus _Badnavirus_) を病原体とする疾患で、 West African forest trees から広がった]

● ボツリヌス症、鳥類 米国 
PRO/AH/EDR> Botulism, avian - USA (03): (CA) 20100709.2294
 情報源:AppealDemocrat.com 、2010年7月6日
Botulism blamed in Ellis Lake duck deaths
Ellis Lake 湖周辺の複数か所にその死体は集まり、一部は逆さまになって浮いており、またある遺体は横になっていた。ここ数週間で30体以上のダックの死体が発見されている。このほかにも数羽のダックが瀕死の状態だと報告されている。鳥ボツリヌス症 Botulism によるものと考えられている...
[Mod.TY- 6日、13羽のダックがカンなどゴミに混じって浮いていた。ほとんどが 14th sreet のすぐ南の、湖の北の端に集まっていた]

● タマネギの病気,細菌性枯れ病 blight アルゼンチン
PRO/PL> Bacterial blight, onion - Argentina 20100709.2288
 情報源: Agroaldia [in Spanish]、2010年6月30日
アルゼンチンのタマネギ栽培農家は、著しい bacterial blight の被害が発生した、2009-2010年のシーズンを終えた。品質に問題はなかったものの、海外市場への出荷という点で多くの問題を抱えている。この病気では含まれる水分量が増え、貯蔵や移送中に玉の腐敗が発生する。とりわけ、収穫から移送先まで20日間かかる欧州向けの輸出は、大きく影響される。何の異常もないまま梱包され、到着地で腐敗のため受け取り拒否となってしまう...
[Mod.DHA- Bacterial blight of onion は世界中の熱帯および亜熱帯地域に、10年以上前から新たに発生した深刻な病気の1つである。2000年、日本では新たな変異株の the new pathovar _Xanthomonas axonopodis_ pv. _allii_ が、その原因として発見されている]