2010年11月22日-23日

鳥インフルエンザ、ヒト(60)-中国  H5N1
コレラ-ハイチ ワクチン
◎ 狂犬病-アルゼンチン 吸血コウモリ対策

● 鳥インフルエンザ、ヒト (60)-中国 (香港)
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (60): China (Hong Kong)
Archive Number: 20101122.4228
[1] Hong Kong CHP report
 情報源 Centre for Health Protection (CHP), Hong Kong Government、2010年11月19日。
The Centre for Health Protection (CHP) 保健当局は17日、Tuen Mun 在住の 59歳の女性 1名の鳥インフルエンザ influenza A(H5N1) に感染について発表した。生来健康であったこの女性は11月2日に鼻汁に気づき、同 5日に発熱と血液の混じった痰を伴う咳を生じていた。診察した医師より投薬を受けたが症状は改善せず、同 12日に the Accident and Emergency Department of Tuen Mun Hospital (TMH) を受診したところ、chest X-ray (CXR 胸部レントゲン検査) で左の中央部分にびまん性陰影 left middle zone haziness が認められた。抗生物質 Augmentin [amoxicillin plus clavulanic acid] を処方されたが、血痰と持続性の咳が治まらないため、同 14日に TMH の一般病棟に入院となった。女性の状態は悪化し、同 16日の CXR で左肺全体の consolidation と右肺のびまん性陰影が認められるようになっていた。厳重な観察を行うため、集中治療室に移された。この女性に対し抗ウイルス薬 oseltamivir [Tamiflu] and 100 per cent oxygen が与えられたが、人工呼吸器は必要としなかった。現在 Princess Margaret Hospital に入院中であるが重体である。同 17日の患者の鼻咽頭からの吸引検体に対する PCR [polymerase chain reaction] 検査で、H5 influenza A virus が確認された。この女性は10月23日から 11月1日までの間、夫と娘とともに中国本土 (上海、南京、杭州) を旅行していた。潜伏期間に本土の生きたトリの市場を訪れていたが、家禽もしくは鳥類との直接の接触はなかった。11月1日に香港に戻っている。感染源の調査が続けられている。女性の60歳の夫にも鼻汁と喀痰を伴う咳が認められたが、症状は回復している。女性の濃厚接触者は監視下に置かれ、予防内服が提供されている。(接触者の) 気道検体の検査は陰性だった。以下、当局の警戒レベル引き上げ(from "Alert" Response Level to "Serious" Response Level )、香港でヒトでのinfluenza A(H5N1) infection は 2003年以来であることなど。
[2] WHO report
 情報源 World Health Organisation (WHO), CSR, Disease Outbreak News 、2010年11月19日。

● マラリア-インド 熱帯熱マラリア
PRO/EDR> Malaria - India (10): (GA Goa) falciparum 20101122.4227
 情報源 The Navhind Times 、2010年11月21日。
Bicholim で 22人のマラリア Malaria 患者が確認されたことから、保健当局は対応策を開始した; 患者の多くが、新しい医療センターの建設現場で発生している。
[Mod.EP- Goa ゴアへの旅行者の中から、2007年から繰り返しマラリア感染が報告されている。今回の報告により、2008年以後、旅行者のマラリア感染は報告されていないものの、依然としてゴアでのマラリア感染リスクが続いていることが示された]

● ヘロイン-英国 : 過量使用のリスクの増大
PRO/EDR> Heroin - UK: increased overdose risk 20101122.4225
Heroin shortage in UK is "putting lives at risk"
 情報源 The Guardian 、2010年11月21日。
国内の病院において、英国中でオピエート (アヘン) が極端に不足する中、ディーラーがヘロインに他の薬剤を混入することによる、過量使用の薬物使用者への治療件数が増加している。London, Lancashire, Surrey, and Stockton-on-Tees など国内全域での、5年ぶりのヘロイン "droughts (不作) " は、2010年のアフガニスタンのアヘン生産量が、真菌により半分に減少したことによる。

● コレラ-ハイチ ワクチン
PRO/EDR> Cholera - Haiti (23): update 20101122.4224
[1] Haiti update
 情報源 Haiti Libre 、2010年11月22日。
[2] Dominican Republic: update
 情報源 Medical News Today、2010年11月19日。
[3] Dominican Republic: update
 情報源 Listin Diario [in Spanish]、2010年11月18日。
[4] コレラワクチン使用の可能性について
Potential use of cholera vaccine
 情報源 SciDevNet 、2010年11月18日。
コレラ研究の第一人者である the Massachusetts General Hospital, USA のStephen Calderwood は WHO に対し、ハイチでのコレラ感染流行で使用可能な新型のコレラワクチンの導入を働きかけた。ShanChol と呼ばれるこのワクチンは安価な上に効果的であり、間髪を入れずに投入すべきであると述べた。ShanChol はすでにインドとベトナムで販売されているが、国連や米国の機関による海外への頒布に先立つ品質 ・ 安全性・有効性評価のための、"prequalification" by WHO's Prequalification of Medicines Program を待っている状態にある。このワクチンは 1997年に開発され、ベトナムでは 1998年から、ORC-Vax として販売が許可されている。その後、2004年に韓国の the International Vaccine Institute の研究者らが WHO 製造ガイドラインに見合うとして採用し、さらに最近インドの第 Ⅲ 相臨床試験を通過し、2009年に 7万人に使用し、コレラ発生の 2/3にあたる件数を減少させた。
[Mod.LL-The vaccine is an orally administered, inactivated, and bivalent (O1 and O139) whole-cell biologic.]
[5] Haiti: possible alternative source of cholera
 情報源 The Guardian, SciDevNet report 、2010年11月22日。
国連軍の兵士ではなく、気候条件によってハイチでのコレラ感染流行が引き起こされた可能性があると、研究の第一人者である3人が取材に答えて述べた。

● デング熱/デング出血熱 (58) 
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2010 (58) 20101122.4217
[1] ベネズエラ
 情報源 Globovision [in Spanish]、2010年11月18日。
中左翼政党の保健コーディネーターは、現在のデング熱感染流行の状況は、南北アメリカにおいて、21年ぶりの最悪の事態であると述べた。2009年の 44 933 人に比べ、2倍以上の 10万6735人の患者が発生した。さらに、10-11歳の年齢層で 9339 cases of DHF も報告されている。また、輸血用血液不足のためになくなった人が 75人であったことも示されている。
[2] 各国: フィリピン, インド, パキスタン, ペルー、 ブラジル
 - フィリピン (national), 18 Nov 2010: the death toll from dengue fever in the Philippines has reached 724...
 - インド (Delhi), 15 Nov 2010: the national capital reported the total number of patients affected this season (2010) to 5994. Officials said 8 people have lost their lives to dengue this season
 - パキスタン (Sindh), 16 Nov 2010: dengue cases are declining...The death toll from the virus stands at 21, 16 of which were in Karachi
 - ペルー (Iquitos), 31 Oct 2010(Spanish).: 4348 patients have been treated for dengue
 - ブラジル (Alagoas), 17 Nov 2010 (in Portuguese).: Alagoas has its greatest dengue outbreak in its history. Alagoas had 50 384 reported dengue cases
 - (Piaui), 16 Nov 2010 (in Portuguese).: 6 dengue deaths, 7719 dengue cases, and 16 DHF cases.

◎ 狂犬病-アルゼンチン ウシ、吸血コウモリ対策
PRO/AH> Rabies - Argentina: (SE) bovine, vampire bat 20101123.4230
 情報源 El Liberal.com [in Spanish]、2010年11月22日。
ブエノスアイレス Buenos Aires で行われた検査により、北部 [Santiago del Estero] 県でウシ 1頭が狂犬病 Rabies に感染していたことが判明した。狂犬病は吸血コウモリ the vampire bat (_Desmodus rotundus_) により伝播される病気である。新たな感染が発生したのは、2年前に狂犬病が流行したLos Surgentes( La Avenida 近郊:Alberdi department内) である ...今回の発生を含め、the province of Santiago del Estero では 4件の発生があり、すべて the departments of Copo and Alberdi で起きている。2008年 3月、the Copo and Alberdi departments の境界である the area of La Avenida ではじめての流行が確認され、大規模な感染対策によって制圧された。2008年 6月、La Morenita (Copo) で 2件目が、そして 2010年6月に Pampa de los Guanacos [Copo] で 3件目が発生し、ワクチンにより沈静化した。4件目が最近発生した。
[Mod.TG- Vampire bats はアルゼンチンからメキシコにかけての西半球の熱帯地方に広く生息し、狂犬病の感染伝播の原因となっている。最も多いのは咬傷によるウシとウマ科の動物への狂犬病ウイルス感染であり、まれにヒトにも感染する。3種類の vampire bat species のうち、Desmodus rotundus_ が the most common rabies virus transmitter としてずば抜けて多い。[コウモリによる] 狂犬病感染対策には 2つの方法がある -- 吸血コウモリが襲う動物へのワクチン接種と、the vampire bat の駆除である。ある地域でコウモリが伝播する狂犬病が発生した場合は、コウモリ自身へのワクチン接種が最も迅速かつ効率的である。繰り返し発生のある一部の地域では、コウモリ対策が行われている。発見の難しい生息地除去による駆除は、きわめて困難を要する。Effective vampire bat control として行われてきたのは、家畜の吸血時を狙ってかすみ網でコウモリを捕獲し、抗凝固剤ゼリー(ワーファリンなど)を塗布する applying 方法で、 そのコウモリや同じ巣の仲間は毛づくろいすることで抗凝固剤を摂取する。ウシの狂犬病の症状、コウモリの唾液中に含まれるウイルスが咬傷で伝播されること、ウシからヒトへの感染経路など]
写真 the vampire bat _Desmodus rotundus_

● パルボウイルス、ブタ-中国: PPV4 米国から、疑い
PRO/AH> Parvovirus, porcine - China: PPV4 ex USA, susp 20101122.4226
 情報源 7thSpace Interactive, Virology Journal report、2010年11月21日。
原著 Detection of a novel porcine parvovirus, PPV4, in Chinese swine herds. Virol J. 2010; 7: 333 doi:10.1186/1743-422X-7-333
米国で最近報告された、新型の porcine parvovirus type 4 (PPV4) について、中国国内での感染状況を明らかにするため、a set of specific primers を作成し、これを用い、2006年から 2010年に中国各地で採取された臨床検体について、molecular survey of PPV4 の測定を行った。検査の結果、中国国内のブタの間で、臨床症状のあった検体の 2.09 per cent (12/573) 、健康なブタからの検体の0.76 per cent (1/132) で、それぞれ PPV4 が確認された。