◎ Rickettsia felis-オーストラリア

ネコが無症候性に保菌する人獣共通感染症 murine typhus に近い疾患 世界中に広く分布

PRO/AH/EDR> Rickettsia felis - Australia: (VI) 20110107.0090
 情報源  Medical News 、2011年1月3日。
オーストラリアでは初めてのヒトでの _Rickettsia felis_ 感染例について報告された。2006年にネコとイヌについたネコノミで初めて確認されている。小児3人と成人1人が発熱と発疹のため入院した。女児はかなり重症で集中治療が行われており、適切な抗生物質の治療を受けていなければ死亡していたかも知れない。
[Mod.MPP- チフス typhus の名が付く疾患は多い: epidemic typhus, Brill-Zinsser disease (recrudescent epidemic typhus), murine typhus, scrub typhus, and typhoid (so-called because it is typhus-like)。病原微生物は実際には spotted fever-type rickettsia に分類されているが、murine typhus のようにこの疾患も feline typhus と呼ばれている。世界中の熱帯及び亜熱帯の高温湿潤沿岸気候条件の地域に広範囲に発生し、ネコが無症候性に保菌する人獣共通感染症である _Rickettsia typhi_ 感染を原因とする murine typhus に最も近い病気で、双方のリケッチアは遺伝的に近縁 (核酸の違いはわずか12個) であり、特異的 PCR アッセイ以外には両者を鑑別診断することはできない。従って、 murine typhus-like disease と診断された患者の一部、おそらく多数が、1990年に初めてネコノミから同定された _R. felis_ 感染が原因であった可能性がある。ネコノミに存在するこの病原体は、西半球の米国、ブラジル、メキシコ、スペインや、アフリカ、そしてオーストラリア、ベ トナム、インドネシア、韓国などの旧世界に広く分布する。特異的 PCR 検査が普及すれば、さらに _R. felis_ による感染患者が増えても不思議はない。ヒトへの感染伝播の主要な役割を果たすのは、ノミの刺咬部位に擦りこまれる、リケッチアを含んだノミの排泄物とさ れているが、ノミの刺咬そのものや、エアロゾル化された排泄物によっても、感染が伝播される可能性がある。ノミ the cat flea (_Ctenocephalides felis_) のほか,ダニ(ticks and mites)においてもこの病原体が確認されている。opossum などのネコ科動物も hosts for _R. felis _ となることがある。epidemic typhus と比べ、Murine typhus は比較的軽い発熱性疾患で、発疹は有ることもないこともある。急性期の入院患者で集中治療を必要とするものは10%にすぎないが1-4%が死亡す る。"feline typhus" に関する報告はあまり多くないが、重症患者の肝炎や髄膜炎などが報告されている]