2011年2月25日

ポリオ-ミャンマー、ワクチン由来株
野兎病-ノルウェー
狂犬病-ペルー,チリ

● インフルエンザ (2件)
PRO/EDR> Influenza (18): WHO update
Archive Number: 20110225.0629
 情報源 World Health Organisation (WHO), Global Alert and Response (GAR), Influenza update 128、2011年2月25日。
要約 北米でインフルエンザの活動性が高まっており、同時に検出される influenza A(H1N1)2009 and influenza type B の件数も増加している。しかし依然として北米では、influenza A(H3N2) が優位であることに変わりはない。この2-3週間の肺炎とインフルエンザによる死亡率は、流行閾値を超えた状態が続いている。西欧のほとんどの地域でピークを超えたが、重症例と死亡例の累積数は増え続けている。欧州の重症例の発生状況は the 2009-2010 season 昨シーズンと同じであり、15-64歳の年齢グループで最も多く、60-70 %に基礎疾患が見られ、ほとんどがワクチンを接種されていなかった。熱帯地域に関しては散発的 sporadic (the Americas) or 低調 low (tropical Asia) である。南半球の温帯地域ではほとんど活動性は確認できない。しかしオーストラリアでは低いレベルでのインフルエンザ A 感染が続いている。北米と欧州の主なウイルスは、現行の季節性ワクチン株のウイルスに近縁のものであるが、いずれの地域でも、少数の influenza type B of the Yamagata lineage のウイルスが報告されている。

PRO/EDR> Influenza (17): Europe update 20110225.0623
Influenza activity continues, but starts to decline in the WHO European Region
 情報源 WHO Regional Office for Europe, EuroFlu: Weekly Electronic Bulletin、2011年2月25日。
要約 
 - Clinical influenza-like illness (ILI) or acute respiratory infections (ARI) activity has peaked in 27 countries.
 - 42 % of sentinel ILI and/or ARI specimens, and 52 % of sentinel SARI [severe acute respiratory infection] specimens が influenza 陽性
 - Pandemic influenza A(H1N1) 2009 and influenza B continue to co-circulate in the Region.

● 鳥インフルエンザ、ヒト (14) -カンボジア 確定
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (14): Cambodia (BM), MOH/WHO conf. 20110225.0628
12th and 13th Human Cases of Avian Influenza H5N1 in Cambodia
 投稿者 カンボジア保健省 ・ Dr. Sok Touch; MOH/WHO press release、2011年2月23日。
カンボジア王国保健省は17日に Takong village, Ta Kong Commune, Malay district, Banteay Meanchey Province の生後11か月の男児1名が、H5N1鳥インフルエンザウイルス感染による呼吸器合併症で死亡したことを、報告する。血液検査の結果、患児の母親も同ウイルスに感染していることがわかった。この19歳の母親は12日に死亡した。両者とも Banteay Meanchey province で死亡したが、Prey Veng province の親戚を訪問した際に、病鳥を処理し食べていた。2人とも、Rokar Chor village (Bantey Chakrey commune, Prash Sdach district, Prey Veng Province) において病鳥に曝露した数日後の5日に、高熱と咳を発症し、母親は私立のクリニックに入院したが12日に死亡し、児は the Intensive Care Unit of Jayavaraman VII Hospital in Siem Reap に入院となったが、入院から2日目の17日に死亡した。Institut Pasteur du Cambodge に送付された検体の検査の結果、H5N1 インフルエンザであることが判明した。昨年に比べ、2011年は、H5N1 鳥インフルエンザの患者が増えており、 3例はいずれも病鳥の処理に深く関係していたと、保健相が述べた ... 一般的な解説 ... 2003年から2011年2月23日までの期間に、カンボジア国内で、13人の H5N1 鳥インフルエンザウイルス感染が、検査で確認されている。このうち11人が死亡した ...
関連情報 FORTH

● ポリオ-ミャンマー、ワクチン由来株

PRO/EDR> Poliomyelitis, vaccine virus associated - Myanmar: RFI 20110225.0626
Polio afflicts child in Myanmar, vaccinations planned

 情報源 Reuters, Africa、2011年2月23日。
ミャンマー政府当局は3年ぶり以上となる乳児の感染発生を受け、ポリオ Poliomyelitis ワクチン接種を強化することとなったと、23日に the World Health Organisation が発表した。生後7か月の女児1名がまれなポリオ感染したと発表し、このウイルスは経口ポリオワクチン oral polio vaccine (OPV) で予防接種を行う集団の中の,一部が接種を受けていない場合に発生すると WHO の広報担当者は説明している。担当者自身ワクチンを受けていなかった。非常にまれだが、ヒトの消化管内で増殖する過程で OPV が遺伝学的に変化し、コミュニティ内の全ての人々がワクチンを受けていない場合に感染が拡大することがある。衛生状況が悪かったり、人口が密集する場合、なおさらだと説明した ... 2010年12月に確認されたこの患者以外に、ミャンマー国内で、同ウイルスによる感染者は確認されていない

● 麻疹-トルコ
PRO> Measles - Turkey (02) 20110225.0625
 投稿者 Tel Aviv Medical Center、Steve Berger、2011年2月2日。
ongoing outbreak in Istanbul は、トルコが90 %以上のワクチン接種率を達成することで、わずか5年で麻疹感染率を激減させたことを再認識させる。

◎ 野兎病-ノルウェー

PRO/AH/EDR> Tularemia - Norway: (central) 20110225.0622
 情報源 Norwegian Institute of Public Health [in Norwegian)、2011年2月21日。
2011年のこれまでに More og Romsdal and Sor-Trondelag [in central Norway] で報告された野兎病 tularemia の患者は13人である。2010年に全国で報告された患者数は21人だった。 Tularemia は hare plague と呼ばれることもある細菌感染症で、数年ごとにウサギやげっ歯類、特にレミング lemmings の間で限局性の流行 local outbreaks が発生する。ヒトには、弱ったり死んだり細菌を保有していたりする動物と、直接もしくは間接的に接触することにより感染が広がる。また感染動物の一部によって水源が汚染されることで、飲料水を通じて感染が広がる場合もある。さらに感染動物による咬傷や感染性の排泄物の混じったホコリの吸入でも、感染が起きる。
[ModLL- これらの患者の野兎病の病型 (潰瘍腺型、眼腺型 oculoglandular、チフス型、あるいは肺型) について記載されていない。従来から rabbits あるいはダニ tick vector によりヒトに感染するとされているが,野兎病菌 _Francisella tularensis_ を含む土壌や水との接触によっても感染する。tularemia pneumonia 肺炎はバイオテロ biological terrorism 関連の病型ではあるが、自然感染により発生する可能性もあり、New York City でのまれな散発例や Martha's Vineyard (Massachusetts) の造園業者の間での outbreaks の発生例がある。水に関連する集団発生 water-related outbreaks of tularemia としては、64人の患者が発生したロシア Dagestan, Russia の洪水による沼地 flood-plain swamp 関連の事例や、イタリアのトスカーナ Tuscany でおきた塩素処理のない水道による49例、上水道の汚染に伴う the Smolensk province of Russia の集団発生例などがある。現在米国内には認可されたワクチンはないが、米軍兵士らに対して the US Army Medical Research Institute of Infectious Diseases による the LVS (live vaccine strain) vaccine ワクチンの臨床試験が行われている。2本針を複数回穿刺する、乱刺法により接種される。LVS は旧ソ連が開発し、1956年に米軍が取得した strain 15 を利用して開発された。十分に標準化されておらず、2種類の phenotypes of _F. tularensis_ を含んでいて、このうちの1種類が免疫を誘導すると考えられている。1997年に出された研究報告では、このワクチンを使用することにより、政府研究機関職員の typhoidal tularemia 発生率が研究従事期間(年)あたり5.7例から0.27例に激減したことが示されている。またワクチン使用により、the ulceroglandular form の発生率は減少しなかったが、軽症化したと報告されている]

● 狂犬病-ペルー,チリ

ペルー
PRO/AH/EDR> Rabies, vampire bat - Peru (04): (AM) 20110225.0621
 情報源 La Republica [in Spanish]、2011年2月24日。
the Shushui native communi Baguaty の1歳の女児1名が、1匹の吸血コウモリの咬傷を受けた後 Bagua の病院で死亡した。Imaza district, Amazonas region において狂犬病 Rabies で死亡した人の数はこれで8人となった。死亡した8人は Yupicusa 村の the San Ramon native community から連れてこられた the Aguaruna tribe の原住民の子どもらで、全員が15歳未満であった。
地図 Bagua province  

チリ
PRO/AH/EDR> Rabies, bat - Chile: (AR) 20110225.0624
 情報源 Radio Bio-Bio [in Spanish]、2011年2月23日。
チリの Araucania Region の保健当局は、Padre Las Casas community の住民が自宅で捕獲した1匹コウモリが、公衆衛生研究所での狂犬病ウイルスの検査で、陽性であることが確認されたと発表した ...
[Mod.TY- .. 南北アメリカでは毎年コウモリによる狂犬病が発生しているが、チリからの狂犬病の報告は非常に少ない very infrequent ため掲載した]
地図 the IX Araucania region 

● Q熱-ドイツ
PRO/AH> Q fever - Germany (02): (NW, HE) background 20110225.0620
20110223.0604 に関し。
 情報源 GIDEON (Global Infectious Disease & Epidemiology Network)、2011年2月24日。
An ongoing outbreak in Hesse and North Rhine-Westphalia の発生は、依然としてドイツ国内が Q-fever が発生しても不思議はない状況にあることを改めて知らしめた ...
1947年から2009年までに記録されている、ドイツ国内の Q熱感染流行など

● 炭疽、ウシ、イヌ-アルゼンチン
PRO/AH/EDR> Anthrax, bovine, canine - Argentina (CB Cordoba) 20110225.0627
Brote de Carbunco /Jovita-Cordoba-Argentina
 投稿者 アルゼンチン ・ Laboratorio Azul Diagnostico SA、Dr Ramon Noseda、2011年2月25日。
Jovita, Province of Cordoba の放牧場1か所で雑種のウシ hybrid cattle 170頭のうち35頭が死亡する、深刻な炭疽 Anthrax 感染流行が発生し、この農場の3頭のイヌも臨床的に感染したと見られる。イヌのうち1頭は死亡した。炭疽感染の発生の報告がない地域であったため、ウシに対するワクチン接種は行われていなかった。死亡したウシはすべて、開口部からの出血が認められていた。死体は未処理のままだが、the traditional 'Tapado Controlado' manner.で処理されることになっている。
[Mod.MHJ- The Argentine 'Tapado Controlado' は、農業用石灰で死体をおおい、その上に分厚いプラスティックのタープをかぶせ、その全ての端におもしをおいて、分解されるまで9か月間放置し、その後に、骨と残った組織を取りだして焼却または埋め立てる方法である。以下、米国の処理法など]

● 慢性消耗性疾患-カナダ、シカ科
PRO/AH/EDR> Chronic wasting disease, cervid - Canada: (AB Alberta) 20110225.0619
 情報源 The Vancouver Sun、2011年2月23日。
[Alberta] 州内で、シカの慢性消耗性疾患  Chronic wasting disease [CWD] の発生地域が広がっており、5年以内に Edmonton's outskirts やカルガリー Calgary でも確認されるようになる可能性があるとアルバータ州の大学の生物学者が述べた。2010年9月以降に検査されたおよそ4200頭のシカのうち、新たに感染が確認されたのは17頭で、2005年からの野生のシカの累積感染頭数は91頭となった