ペスト 米国 家庭内・実験室内感染 MMWR
● ペスト 米国(2件)
PRO/AH/EDR> Plague - USA: (OR), 2010, bubonic, CDC
PRO/AH/EDR> Plague - USA: (OR), 2010, bubonic, CDC
Archive Number: 20110224.0615
情報源 Morbidity Mortality Weekly Report (MMWR) 2011;60:214、2011年2月24日
ペスト菌 _Yersinia pestis_ の感染によるペスト Plague は、アメリカ西部のげっ歯類の間に常在 enzootic する ... 2010年9月、オレゴン州保健当局 the Oregon Health Authority が1995年以来となる2例のペスト患者を報告した。米国内で2010年に報告された患者は、この2例のみであった。患者は何れも2010年8月21日に発病し、同じ家に住む17歳と42歳のこの患者らは、1匹のイヌのノミから感染したと見られている: このイヌは、ペスト菌の血清学的検査で陽性であった。患者らには高熱と多発性両側性のそけいリンパ節腫大 buboes の症状が認められた; 患者の1人は低血圧、多呼吸、急性腎不全を発症し入院となった。この患者の血液検体から bipolar staining のグラム陰性桿菌が分離された ...
情報源 Morbidity Mortality Weekly Report (MMWR) 2011;60:214、2011年2月24日
ペスト菌 _Yersinia pestis_ の感染によるペスト Plague は、アメリカ西部のげっ歯類の間に常在 enzootic する ... 2010年9月、オレゴン州保健当局 the Oregon Health Authority が1995年以来となる2例のペスト患者を報告した。米国内で2010年に報告された患者は、この2例のみであった。患者は何れも2010年8月21日に発病し、同じ家に住む17歳と42歳のこの患者らは、1匹のイヌのノミから感染したと見られている: このイヌは、ペスト菌の血清学的検査で陽性であった。患者らには高熱と多発性両側性のそけいリンパ節腫大 buboes の症状が認められた; 患者の1人は低血圧、多呼吸、急性腎不全を発症し入院となった。この患者の血液検体から bipolar staining のグラム陰性桿菌が分離された ...
PRO/EDR> Plague, fatal - USA: (IL), 2009, lab strain, CDC 20110224.0614
Fatal laboratory-acquired infection with an attenuated _Yersinia pestis_ strain -- Chicago, Illinois, 2009
情報源 CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2011; 60(07): 201-5、2011年2月24日
2009年9月18日、シカゴ公衆衛生当局 the Chicago Department of Public Health (CDPH) に、ペストの原因菌である _Yersinia pestis_ に研究室で感染し死亡したと思われる患者1名について現地の病院から通報があった。大学の研究者であったこの患者は、同じ研究グループの他のメンバーと共に pigmentation-negative (pgm-) attenuated _Y. pestis_ strain (KIM D27) の1種についての研究を行っていた。この菌株はこれまで研究室内感染や死亡に関係したことはなかった。同じ建物内の別の研究施設の研究者らは、select biologic agent として a virulent (毒性のある) _Y. pestis_ strain (CO92) を取り扱っていたが、the pgm- attenuated KIM D27 は the National Select Agent Registry から除外されていた。CDC ほか関係各局が死亡原因に関する調査を開始した ... 可能性のある死亡原因として、事故による _Y. pestis_ への職業上の曝露 (感染経路不明) があり、敗血症性ショックにつながった可能性があるとの結論に至った。死亡前の血液培養で _Y. pestis_ が分離されている。Polymerase chain reaction (PCR) により,患者から分離された菌が a pgm- strain of _Y. pestis_ であることが確認された。死後剖検で肺ペストの徴候は認められなかった。また、histopathologic, laboratory, and genetic testing により、遺伝性ヘモクロマトーシス hereditary hemochromatosis と診断された。今回起きた予期せぬ死亡発生の原因説明として、 hemochromatosis-induced iron overload (鉄過剰状態) が、鉄獲得能の欠失により弱毒化されていた KIM D27 strain に感染力(病原性)を与えた可能性が考えられる
情報源 CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2011; 60(07): 201-5、2011年2月24日
2009年9月18日、シカゴ公衆衛生当局 the Chicago Department of Public Health (CDPH) に、ペストの原因菌である _Yersinia pestis_ に研究室で感染し死亡したと思われる患者1名について現地の病院から通報があった。大学の研究者であったこの患者は、同じ研究グループの他のメンバーと共に pigmentation-negative (pgm-) attenuated _Y. pestis_ strain (KIM D27) の1種についての研究を行っていた。この菌株はこれまで研究室内感染や死亡に関係したことはなかった。同じ建物内の別の研究施設の研究者らは、select biologic agent として a virulent (毒性のある) _Y. pestis_ strain (CO92) を取り扱っていたが、the pgm- attenuated KIM D27 は the National Select Agent Registry から除外されていた。CDC ほか関係各局が死亡原因に関する調査を開始した ... 可能性のある死亡原因として、事故による _Y. pestis_ への職業上の曝露 (感染経路不明) があり、敗血症性ショックにつながった可能性があるとの結論に至った。死亡前の血液培養で _Y. pestis_ が分離されている。Polymerase chain reaction (PCR) により,患者から分離された菌が a pgm- strain of _Y. pestis_ であることが確認された。死後剖検で肺ペストの徴候は認められなかった。また、histopathologic, laboratory, and genetic testing により、遺伝性ヘモクロマトーシス hereditary hemochromatosis と診断された。今回起きた予期せぬ死亡発生の原因説明として、 hemochromatosis-induced iron overload (鉄過剰状態) が、鉄獲得能の欠失により弱毒化されていた KIM D27 strain に感染力(病原性)を与えた可能性が考えられる
◎ 麻疹 トルコ
PRO/EDR> Measles - Turkey 20110224.0613
情報源 Daily News Economic Review 、2011年2月23日
イスタンブール Istanbul において、これまでとは違うタイプの麻疹 [see comment below] の感染が続いている。2011年初から24人の患者が報告されていると the Istanbul Provincial Health Directorate が発表し市民に注意を呼びかけている。"foreign-origin virus [was] unseen in Turkey" と説明され、このため急速な拡大が起きている。この新たな危機に対応するため、保健省は、1975年から1990年の間に生まれた人で、必要な人々に予防接種を受けるよう勧めている。イスタンブールの麻疹患者は、3週間で、2人から24人に増加した ...
[Mod.CP- トルコは2008年までに97%のワクチン接種率を達成し、麻疹ウイルス感染対策に賞賛すべき結果を残している。
麻疹ウイルスは血清学的には monotypic であるが、野生型 wild-type viruses の遺伝学的特徴 the genetic characterization には8 clades (A-H) があることが知られており、22 genotypes and one proposed genotype に分類されている。Clades B, C, D, G and H には各々 multiple genotypes (B1-3, C1-2, D1-10, G1-3, H1-2) があり、clades A, E and F は a single genotype (A, E, F) だけである。ワクチン用のウイルス株 the vaccine strains の遺伝子塩基配列 sequences の解析から,ワクチン株の元である the wild type viruses はすべて (all members of) genotype A であることが分かっている。(see: Review of the temporal and geographical distribution of measles virus genotypes in the prevaccine and postvaccine eras. Riddell et al. Virol J. 2005; 2: 87;) 2005年トルコで genotype D6 の麻疹ウイルスが確認されている。(Turk J Pediatr 2005 Oct-Dec;47(4):309-150) おそらく今回の感染流行は異なる genotype の麻疹ウイルスによるものであり、トルコ以外の国から持ち込まれたのだろう]
情報源 Daily News Economic Review 、2011年2月23日
イスタンブール Istanbul において、これまでとは違うタイプの麻疹 [see comment below] の感染が続いている。2011年初から24人の患者が報告されていると the Istanbul Provincial Health Directorate が発表し市民に注意を呼びかけている。"foreign-origin virus [was] unseen in Turkey" と説明され、このため急速な拡大が起きている。この新たな危機に対応するため、保健省は、1975年から1990年の間に生まれた人で、必要な人々に予防接種を受けるよう勧めている。イスタンブールの麻疹患者は、3週間で、2人から24人に増加した ...
[Mod.CP- トルコは2008年までに97%のワクチン接種率を達成し、麻疹ウイルス感染対策に賞賛すべき結果を残している。
麻疹ウイルスは血清学的には monotypic であるが、野生型 wild-type viruses の遺伝学的特徴 the genetic characterization には8 clades (A-H) があることが知られており、22 genotypes and one proposed genotype に分類されている。Clades B, C, D, G and H には各々 multiple genotypes (B1-3, C1-2, D1-10, G1-3, H1-2) があり、clades A, E and F は a single genotype (A, E, F) だけである。ワクチン用のウイルス株 the vaccine strains の遺伝子塩基配列 sequences の解析から,ワクチン株の元である the wild type viruses はすべて (all members of) genotype A であることが分かっている。(see: Review of the temporal and geographical distribution of measles virus genotypes in the prevaccine and postvaccine eras. Riddell et al. Virol J. 2005; 2: 87;) 2005年トルコで genotype D6 の麻疹ウイルスが確認されている。(Turk J Pediatr 2005 Oct-Dec;47(4):309-150) おそらく今回の感染流行は異なる genotype の麻疹ウイルスによるものであり、トルコ以外の国から持ち込まれたのだろう]
◎ レプトスピラ症 スリランカ
PRO/AH/EDR> Leptospirosis, fatal - Sri Lanka: (NC) 20110224.0605
情報源 Daily News 、2011年2月22日
保健省は21日、洪水の被害を受けた人々に対し発熱がある場合はすぐに医師と相談するよう呼びかけた。Anuradhapura [North Central province] の2人がレプトスピラ症 rat fever (leptospirosis) により死亡し、ほか50人が治療中であると当局者は説明した。the Anuradhapura hospital で死亡した7人のうち、2人がレプトスピラ症による死亡であり、他の患者らの血液検体についても、現在検査が行われている。感染のリスクの高い農業従事者らは、当局から doxycycline を入手し、作業に入る前に 2 tablets を服用することが勧められる。
[Mod.LL- Leptospirosis はスピロヘータ the spirochete _Leptospira_ を原因とする人獣共通感染症で、洪水が起きたときに発生するという特徴があり、スリランカ国内に常在 endemic する。(20110121.0246)
情報源 Daily News 、2011年2月22日
保健省は21日、洪水の被害を受けた人々に対し発熱がある場合はすぐに医師と相談するよう呼びかけた。Anuradhapura [North Central province] の2人がレプトスピラ症 rat fever (leptospirosis) により死亡し、ほか50人が治療中であると当局者は説明した。the Anuradhapura hospital で死亡した7人のうち、2人がレプトスピラ症による死亡であり、他の患者らの血液検体についても、現在検査が行われている。感染のリスクの高い農業従事者らは、当局から doxycycline を入手し、作業に入る前に 2 tablets を服用することが勧められる。
[Mod.LL- Leptospirosis はスピロヘータ the spirochete _Leptospira_ を原因とする人獣共通感染症で、洪水が起きたときに発生するという特徴があり、スリランカ国内に常在 endemic する。(20110121.0246)
予防内服の方法としてドキシサイクリン Doxycycline 200 mg oral dose を経口で1回 (長期間曝露がある場合は1週間ごと) 服用する方法が用いられている。The single dose of doxycycline により、およそ1週間の予防効果が得られると考えられている。
しかし the efficacy of chemoprophylaxis of leptospirosis に関するいくつかの臨床治験では、相反する結果が示されている。
プラセボを対象とした1件のランダム化試験において doxycycline prophylaxis は an endemic area における季節性 outbreak の leptospiral infection を予防できなかった。が、有病率と致死率低下に関しては、有意の効果 significant protective effect を示した。
もう1つのパナマの米訓練兵での研究 randomized placebo-controlled study では、a weekly dose of 200 mg doxycycline for 3 weeks によって、プラセボと比較して95 %の感染防護の有効性 protective efficacy が示された。(An efficacy trial of doxycycline chemoprophylaxis against leptospirosis. N Engl J Med. 1984; 310(8): 497-500; abstract)
さらに doxycycline によるレプトスピラ症の予防効果を、異なる対象 -- 感染リスクのある地域への旅行者、住民、encompassing soldiers (?),農民、学生 -- について調べた臨床研究のデータをもとにした1件の Cochrane review では、いずれの対象についても実施を支持しないとの結果が示されたが、短期間の high risk exposure の可能性のある旅行者には、有用である可能性があるとされた]
地図1 The Anuradhapura District is one of 2 districts in the North Central Province
地図2 The city of Anuradhapura, the capital of the North Central Province, is one of the ancient capitals of Sri Lanka and is famous for its well-preserved ruins of ancient Lankan civilization
地図2 The city of Anuradhapura, the capital of the North Central Province, is one of the ancient capitals of Sri Lanka and is famous for its well-preserved ruins of ancient Lankan civilization
● ムンプス 英国
PRO/EDR> Mumps - UK (02): (Scotland) young people 20110224.0612
情報源 Eurosurveillance, Volume 16, Issue 8、2011年2月24日
2010年11月29日から2011年1月31日まで、the Oban area of Scotland において119人が感染するムンプス outbreak of mumpsinfection (流行性耳下腺炎) が続いている。平均年齢は20歳で、13-19歳の年齢層の発生が最も多い。合計53人が2 doses of measles-mumps-rubella (MMR) vaccine を受けていたが、33人は1回のみの接種で、30人は接種を受けたことがなかった
PRO/EDR> Mumps - UK (02): (Scotland) young people 20110224.0612
情報源 Eurosurveillance, Volume 16, Issue 8、2011年2月24日
2010年11月29日から2011年1月31日まで、the Oban area of Scotland において119人が感染するムンプス outbreak of mumpsinfection (流行性耳下腺炎) が続いている。平均年齢は20歳で、13-19歳の年齢層の発生が最も多い。合計53人が2 doses of measles-mumps-rubella (MMR) vaccine を受けていたが、33人は1回のみの接種で、30人は接種を受けたことがなかった
● 多包条虫 エキノコッカス、キツネ-スウェーデン
PRO/AH/EDR> Echinococcus multilocularis, fox - Sweden (02): comment 20110224.0606
[1] 診断 (確認) 方法
投稿者 スウェーデン ・ National Veterinary Institute、Helene Wahlstrom Assistant Prof., DVM, PhD, Dipl. ECVPH、2011年2月24日。
感染したキツネは、egg flotation (卵浮遊検査?) と real-time PCR により検査し、_Echinococcus (E) multilocularis_ 感染陽性と判断した。この陽性結果については the OIE manual に従い、キツネの全消化管の SCT (sedimentation and counting technique) 検査で確定された。また検出された寄生虫は、形態学的検査と real-time PCR で同定した。
[2] サーベイランス法について
投稿者 デンマーク ・ University of Copenhagen、Christian Kapel Professor in Zoology、2011年2月24日。
2000年から2009年まで行われたサーベイランスは、(10-50 %の prevalence である地域に適すると思われる) 精度のよくない診断方法で行われているため評価が難しいと思う。スウェーデンのような a low-endemic area では、大部分のキツネは low worm burden しか負っていない。隣のデンマーク (prevalence: 1%) では、感染したキツネはすべて 55 worms 未満だった。the coproantigen ELISA 法による検査は、80 %の overall diagnostic sensitivity であるが、(100 worms 未満の) low grade infections では50 % で below 50 worms ではさらに低くなる ...
関連項目 20110219.0543
● リーシュマニア症-アルゼンチン 訂正
PRO/AH/EDR> Echinococcus multilocularis, fox - Sweden (02): comment 20110224.0606
[1] 診断 (確認) 方法
投稿者 スウェーデン ・ National Veterinary Institute、Helene Wahlstrom Assistant Prof., DVM, PhD, Dipl. ECVPH、2011年2月24日。
感染したキツネは、egg flotation (卵浮遊検査?) と real-time PCR により検査し、_Echinococcus (E) multilocularis_ 感染陽性と判断した。この陽性結果については the OIE manual に従い、キツネの全消化管の SCT (sedimentation and counting technique) 検査で確定された。また検出された寄生虫は、形態学的検査と real-time PCR で同定した。
[2] サーベイランス法について
投稿者 デンマーク ・ University of Copenhagen、Christian Kapel Professor in Zoology、2011年2月24日。
2000年から2009年まで行われたサーベイランスは、(10-50 %の prevalence である地域に適すると思われる) 精度のよくない診断方法で行われているため評価が難しいと思う。スウェーデンのような a low-endemic area では、大部分のキツネは low worm burden しか負っていない。隣のデンマーク (prevalence: 1%) では、感染したキツネはすべて 55 worms 未満だった。the coproantigen ELISA 法による検査は、80 %の overall diagnostic sensitivity であるが、(100 worms 未満の) low grade infections では50 % で below 50 worms ではさらに低くなる ...
関連項目 20110219.0543
● リーシュマニア症-アルゼンチン 訂正
PRO/AH/EDR> Leishmaniasis, outbreak - Argentina: (CN) corr. 20110224.0610
20110222.0584 に関し
投稿者 アルゼンチン・Hospital de Infecciosas FJ Muniz、Dr Tomas Orduna, MD.、2011年2月24日。
人獣共通感染の内臓リーシュマニア症アウトブレイク The zoonotic outbreak of visceral leishmaniasis [VL] が発生している場所は Corrientes (capital of Corrientes [province], in the northeastern part of our country) であって Cordoba city ではない ! 2006年以降 アルゼンチンにおいて,(Misiones [province], Posadas city から始まった) VL の発生が続いている。今回の流行のあった "La Olla" は neighborhood of Corrientes city (inside the city) である。
20110222.0584 に関し
投稿者 アルゼンチン・Hospital de Infecciosas FJ Muniz、Dr Tomas Orduna, MD.、2011年2月24日。
人獣共通感染の内臓リーシュマニア症アウトブレイク The zoonotic outbreak of visceral leishmaniasis [VL] が発生している場所は Corrientes (capital of Corrientes [province], in the northeastern part of our country) であって Cordoba city ではない ! 2006年以降 アルゼンチンにおいて,(Misiones [province], Posadas city から始まった) VL の発生が続いている。今回の流行のあった "La Olla" は neighborhood of Corrientes city (inside the city) である。