◎ 野兎病-ノルウェー

土壌や水との接触によっても感染
承認されたワクチンはないが,治験として米軍兵士らへの接種が行われている

PRO/AH/EDR> Tularemia - Norway: (central) 20110225.0622
 情報源  Norwegian Institute of Public Health [in Norwegian)、2011年2月21日。
 ... Tularemia は hare plague と呼ばれることもある細菌感染症で、数年ごとにウサギやげっ歯類、特にレミング lemmings の間で限局性の流行 local outbreaks が発生する。ヒトには動物との直接もしくは間接的に接触により感染が広がる。また、感染動物によって水源が汚染されることで、飲料水を通じて感染が広がる場合もある。さらに感染動物による咬傷や、感染性の排泄物の混じったホコリの吸入でも感染が起きる。
[Mod.LL- 患者の野兎病の病型 (潰瘍腺性、眼腺性 oculoglandular、チフス性、あるいは肺性) について記載されていない。従来から rabbits あるいはダニ tick vector によりヒトに感染するとされているが,野兎病菌 _Francisella  tularensis_ を含む土壌や水との接触によっても感染する。tularemia pneumonia 肺炎はバイオテロ biological terrorism 関連の病型ではあるが、自然感染により発生する可能性もあり、New York City でのまれな散発例や Martha's Vineyard (Massachusetts) の造園業者の間での outbreaks の発生例がある。水に関連する集団発生 water-related outbreaks of tularemia としては,64人の患者が発生した Dagestan, Russia の洪水による沼地 flood-plain swamp 関連の事例やイタリアのトスカーナ Tuscany でおきた塩素処理のない水道による49例、上水道の汚染に伴う the Smolensk province of Russia の集団発生例などがある。現在米国内には承認されたワクチン licensed tularemia vaccine はない。しかし米軍兵士らに対して the US Army Medical Research Institute of Infectious Diseases による the LVS (live vaccine strain) vaccine の治験が行われている。2本針を複数回穿刺する、乱刺法により接種される。LVS は旧ソ連が開発し、1956年に米軍が取得した strain 15 を利用して開発された。十分に標準化されておらず、2種類の phenotypes of _F. tularensis_ を含んでいて、このうちの1種類が免疫を誘導すると考えられている。1997年に出された研究報告では、このワクチンにより、政府研究機関職員の typhoidal tularemia 発生率が研究従事期間(年)あたり5.7例から0.27例に激減したことが示されている。またワクチン使用により、the ulceroglandular form の発生率は減少しなかったが、軽症化したと報告されている]