2011年3月11日-12日

原因不明の死亡 タイ
黄熱 シエラレオネ
インフルエンザ H2N2 パンデミックの可能性

● 原因不明の死亡 タイ
PRO/EDR> Undiagnosed deaths - ThaiIand: (CM) RFI
Archive Number: 20110312.0802
 情報源 The Dominion Post via stuff.co.nz、2011年3月12日
Tests link virus to dead Kiwi tourist
2月にタイ国内で死亡したニュージーランドからのバックパッカーの女性が(この女性が発症したような) 心臓病を発生させる感染力の強いウイルスに感染していたことが分かった。当局は、この23歳の女性バックパッカーが突然死し、このほかにも5週間に4人の Chiang Mai の住民、高齢のイギリス人夫婦、アメリカ女性1名、およびタイ女性1名が死亡した原因について、現在も調査を行っている。the Downtown Inn in the northern tourist city の滞在中に、このバックパッカー The Kiwi backpacker と2人の友人は、激しい嘔吐心臓病を発症し重体となった。6日、心筋炎により死亡し、友人の1人は緊急心臓手術を受けた。当初は、海草毒による食中毒が原因とされていた。タイ人医師がニュージーランド大使館員と2時間にわたって会見し、剖検の結果 dirty, overcrowded conditions に関係して起きるエコーウイルス感染 [an] echovirus [infection] が確認されたことを説明した。わずか2週間前にも、同じホテルの高齢の英国人の夫婦が死亡していたことも判明した。バックパッカーが発病する1日前の2月3日には、死亡したバックパッカーのとなりの部屋で47歳のタイ人女性が死亡している。剖検により、英国人夫婦の心血管の閉塞が確認された。5人目の死者は33歳のアメリカ人女性で、1月11日に死亡している。
the Downtown Inn ではないが "in the same pattern" as the backpacker で死亡した。死亡が起きたのは1か月前で、 埋葬される前に剖検が行われていた。警察により宿泊施設の捜査が行われたが手がかりは得られていない。
[Mod.CP- Echoviruses は元々、ポリオウイルスの疫学的調査中に偶然ヒトの糞便中から発見され,echoviruses (enteric, cytopathic, human, orphan viruses) と命名された。消化管から検出される picornaviruses で、細胞培養では細胞変性効果 a cytopathic effect を示すが suckling mice では病変を確認することができない。34 viruses が echovirus serotype designations に分類されていたが、その後に再分類されている。感染した患者に心筋炎を発症させる特定の echovirus があるとは思えないが、ある特定の場所に関連するイベントの発生は(何らかの)問題を含んでいる。Chiang Mai はタイ北部の山岳地帯に位置し、backpackers やあらゆる年齢層の more upmarket clientele に人気の観光地である。このホテルは 2/3 star establishment にランクされている]

● 黄熱 シエラレオネ
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Africa (13): Sierra Leone (SO) 20110312.0791
 情報源 WHO Global Alert and Response、2011年3月11日 FORTH
2011年2月8日シエラレオネ保健省は、南部州 Bonthe 地区 Jahun 村で2例の黄熱 Yellow fever 症例が発生したことについて、WHOに通知した。発端症例は40歳の女性で、2011年1月17日に症状がみられ、2月1日に Abidjan のパスツール研究所によって行われた ELISA 法による IgM 検査で陽性であると判明した。黄熱の WHO 参照試験所である Dakar パスツール研究所で確認された。2番目の症例は、2月 11日から 14日の間に行われた、アウトブレイク調査によって特定された18歳男性で,Abidjanのパスツール研究所によって行われた ELISA 法による IgM 検査で陽性であると判明した。どちらの症例とも、黄熱ワクチン接種は受けていなかった。3月5日に、シエラレオネ保健省は、Bonthe 地区で、妊娠している女性を除く生後 9カ月以上の 14万 4479人を対象としたワクチン接種対応キャンペーンを始めた。シエラレオネでは、2009年に Bonthe 地区、Bombali 地区を除く、全国13地区のうちの11地区をカバーする、黄熱に対する集団予防接種キャンペーンによる恩恵を受けていた。
地図 the 4 provinces of Sierra Leone
参考項目 2008
Yellow fever - Africa (13): Sierra Leone (Southern Province)
20081222.4029

● インフルエンザ H2N2
PRO> Influenza (20): H2N2 pandemic potential
Archive Number: 20110311.0787
 情報源 CIDRAP News、2011年3月10日
Scientists say 1957 pandemic flu virus could return
the National Institutes of Health (NIH) の三価ワクチンの研究者の1人が、1957-58年のインフルエンザパンデミックの原因となった亜型 subtype の influenza A/H2N2 ウイルスが再興し、2009年の the H1N1 subtype のような大流行につながる可能性があると述べた。今週発行される科学雑誌 Nature の commentary の中で、その影響は大きく、前もってワクチン戦略を立てておく必要性があると述べている。H2N2 viruses はこの数十年間ヒトの間では感染循環していないため、50歳以下の年齢層はほとんど免疫がない。しかし、これらのウイルスは今もブタや鳥類で感染循環しており、the 2009 H1N1 virus がブタからヒトに感染したように、種の壁を飛び越える可能性がある。the 2009 pandemic を例に出して、the 2009 H1N1 virus の構成要素の the hemagglutinin, or H1 は1918年に大流行した the H1N1 virus の the hemagglutinin と驚くほど似ていたと述べられている。The 1918 H1N1 virus は、数十年間に季節性インフルエンザウイルスとして幅広く多様化した widely divergent が、一方ブタの間で1世紀近くにわたって a version with a very similar hemagglutinin component がほとんど変化せずに循環が続いていた。このウイルスはヒトの間で感染する可能性を持ちながら、人々の間の防御免疫が弱まったときに新たな大流行を発生させたと述べられている。H2N2 は "同じように再興する可能性があり、政府や関係機関は前もってワクチン開発計画 a preemptive vaccination strategy を立てておくべき" と述べられている。the pandemic of 1957-58 の後、1968年に the N3N2 virus に取って代わられるまでの間、the H2N2 virus の感染は続いていた。長年に渡ってヒトにおける H2N2 strains の感染は認められていないが、今でもブタや鳥類では感染が続いている。さらに、H2N2 strains の変異は多くの鳥類とヒトのウイルスの表面蛋白が 92%同じであるため、非常にゆっくりであるとも述べられている。2003年から2007年までの期間中に、90人について H2N2 viruses に対する抗体について調べたところ、50歳未満ではほとんど免疫がなく、50歳以上では急激に感染抵抗性が増加することが分かったという ... 続く

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (22): Indonesia (WJ) 20110312.0800
 情報源 Indonesian Ministry of Health [In Indonesian]、2011年3月12日
 情報源 Bird Flu Information Corner
Indonesia -- additional case of H5N1 confirmed
インドネシア保健省 Biomedical and Pharmaceutical Research Center Laboratory が鳥インフルエンザの患者 bird flu H5N1 case 1名を確認した。この患者は Depok, West Java province 在住の2歳男児である。この患児は2月4日に発熱と手足口の発疹で発病し、クリニックを受診後、Depok の病院に搬送されたが死亡した。
危険因子 : 近所で ornamental birds が飼育されていた他、発症前2週間以内に1羽が死亡している。
[Mod.CP- 当初は、東南アジアで流行中の enterovirus 71による手足口病に特徴的な症状が見られていたようである。呼吸器の症状はあったのだろうか]
地図 West Java province

● 狂犬病 ペルー
PRO/AH/EDR> Rabies, vampire bat - Peru (05) (AM) 20110312.0799
 情報源 El Comercio [in Spanish]、2011年3月9日
Amazonas において原住民 Awajun native の1人が狂犬病 Rabies の症状を発症して死亡した。狂犬病 sylvatic rabies による死者はこれで9人となった。the Yupicusa community in the Imaza region 在住の、この23歳の女性は between Yupicusa and San Ramon 地区在住で,Awajun and Wampis indigenous people をしばしば襲う吸血コウモリによる狂犬病が原因の死者として9人目となった。配偶者によると、2歳の娘も2月2日に狂犬病で死亡している。この患者は医師の診察を受け、暴露後ワクチンを接種されて回復していたが、その後狂犬病の症状を発症した。
[Mod.TY- この地域においては、2月から吸血コウモリによる狂犬病感染流行がくすぶり続けている。これまでは小児のみの被害が報告されてきたが、今回成人にも被害が発生していることが明らかになった]
地図 Bagua province
関連項目
Rabies, vampire bat - Peru (04): (AM) 20110225.0621

● ハンタウイルス チリ
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2011 - Americas (12) Chile (AR) susp 20110312.0797
 情報源 Radio Bio-Bio [in Spanish]、2011年3月11日
ハンタウイルス Hantavirus に感染したと見られる女性1名が、the Alemana Clinic で人工呼吸器を装着されていたが死亡した。女性は Lago Colico in the Araucania region で感染した。27歳のこの女性患者は2児の母で、the Alemana Clinic in Temuco クリニックの職員だった。確定診断はされていないが、1回目の迅速検査は陽性だった。

● マレーバレー脳炎 オーストラリア
PRO/AH/EDR> Murray Valley encephalitis - Australia (02): (VI) 20110312.0792
[1] 情報源 7 News、2011年3月11日
ビクトリア州保健局 Victoria's Health Department が,北西部の男性1名がマレーバレー脳炎 Murray Valley encephalitis (MVE) [virus infection] により死亡した可能性があると見て、現在調査を進めている。今週、メルボルン Melbourne の病院で死亡したこの男性については、現在も調査中であると当局が述べた
[2] 情報源 ABC、2011年3月11日
蚊族媒介性の Murray Valley encephalitis [virus infection] が、South Australia's Riverland のウマの間で確認されている。州北西部でウマ1頭が死亡し、同じような症状のウマが確認されている

● 鳥インフルエンザ、ヒト エジプト
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (21): Egypt, WHO 20110311.0785
 情報源 WHO Global Alert and Response (GAR)、2011年3月10日 FORTH
Avian influenza situation in Egypt - update 46
エジプト保健省は、2人の鳥インフルエンザ Avian influenza A(H5N1) ウイルス感染の確定例を公表した。第 1の症例は Behira 県の 17歳の女性、2月27日に症状がみられ始め、3月1日に入院し、状態は安定している。第 2例の症例は Dakahlia の 17歳の女性で、2月24日に症状が出現し、2月26日に入院し、2月28日に死亡した。感染源の調査により、これらの症例は病気や死んだ家禽への暴露を受けていたことがわかった。2例ともオセルタミビルによる治療を受けていた。3月7日に報告された Sharkia 県の32歳の女性は、3月3日に死亡した。エジプトで確認された129例の患者の内、43例が死亡 (20110308.0751) した。
地図 the governorates of Egypt

● 鉛中毒 ナイジェリア
PRO/EDR> Lead intoxication - Nigeria: (ZA) 20110311.0783
 情報源 MBPE Capital、2011年3月9日
Outbreak of lead poisoning in Nigeria
違法な採掘による鉛中毒により、2010年11月以降北部の Zamfara State の病院に400人以上の乳児と500人以上の人々が入院する結果となっている。9日、当局 Nigeria's National Emergency Management Agency (NEMA) により明かにされた。未熟な子どもの身体が、汚染された土壌や金精製に使用される道具に触れることで速やかに鉛が吸収され、けいれん、麻痺が起こり、死亡することさえある。

● 原因不明の死亡、ウシ-パキスタン
PRO/AH> Undiagnosed deaths, bovine - Pakistan: (SD Sindh), RFI 20110312.0801
Death of cattle in Gadap alarms herdsmen
 情報源 The News (Karachi)、2011年3月11日。
わずか3日間のうちに、Gadap Town 内の各地で原因不明の病気により約50頭の家畜が死亡し、そのほとんどがウシだった
[Mod.AS-  (文中の) the term "poisonous insect" はよく意味がわからない。何の症状も示さないまま突然死したようであるが、炭疽が除外された検査や、致死率などの情報が望まれる]
地図 Gadap

● 口蹄疫 南アフリカ
PRO/AH> Foot & mouth disease - South Africa (03): (NL) OIE follow-up
Archive Number: 20110312.0796
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(10)、2011年3月10日
Foot-and-mouth disease, South Africa follow-up report no 1
感染開始時期 2011年2月1日
前回流行時期 2001年3月31日
原因ウイルス  Foot and mouth disease virus Serotype: pending
新たな感染流行
Total outbreaks: 28
Total animals affected
Species / Susceptible / Cases / Deaths / Destroyed / Slaughtered
Cattle / 1183 / 854 / 0 / 0 / 0
Goats / 18 / 9 / 0 / 0 / 0
Sheep / 10 / 3 / 0 / 0 / 0

● 炭疽 インド
PRO/AH> Anthrax, wildlife - India: (KL) 20110311.0786
 情報源 The Hindu、2011年3月10日
Health Department sounds alert on anthrax
ケララ州 the Kerala Police Academy [in Thrissur] の敷地内で発見された野生のイノシシの、死体の検査で炭疽 Anthrax 感染が確認されたため、保健当局は肉の摂取と取り扱いに十分注意するよう呼びかけている。1日の週に Ramavarmapuram [Thrissur] のアカデミーのキャンパスで、2頭のイノシシの死体が発見された。2010年にも野生のイノシシ 7頭、イーグル 1羽、toddy cat 1匹が発見されている

● 原因不明の神経疾患、ウマ オーストラリア
PRO/AH> Undiagnosed neurological illness, equine - Australia: RFI 20110311.0784
 情報源 The Horse、2011年3月9日
Australian authorities seek information on unexplained neurologic cases
ビクトリア州当局 The State Government of Victoria's Department of Primary Industries (DPI) は獣医師らに対し、現在原因不明である神経疾患の症状の見られたウマの検体を提出するよう求めている。ビクトリア州の the Murray River 沿いと Ballarat の周囲約 50kmの地域のほか、Unexplained neurologic cases は、South Australia や New South Wales でも確認されている。主な症状は、失調 ataxia (incoordination) である ...

● 口蹄疫 イスラエル
PRO/AH> Foot & mouth disease - Israel: (HZ) OIE 20110311.0782
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(10)、2011年3月10日
Foot-and-mouth disease, Israel immediate notification
感染開始時期 2011年3月1日
前回流行時期 2009年7月12日
原因ウイルス  Foot and mouth disease virus Serotype: pending
新たな感染流行 Total outbreaks: 1
発生地 (Bet Zera) Bet Zera, Kineret, Hazafon、村
感染した種 ウシ cattle
Susceptible: 650
Cases: 20
Deaths: 0
Destroyed: 0
Slaughtered: 0

● タイレリア、ウシ オーストラリア
PRO/AH> Theileria, bovine - Australia: (NSW) RFI 20110311.0781
 情報源 ABC (Australian Broadcasting Corporation) Rural、2011年3月10日
Cattle tick outbreak near Kempsey
定期的調査の中で cattle ticks が確認されたことを受け、ニューサウスウェールズ州 the NSW [New South Wales] Mid North Coast の肉牛用農場 3か所が隔離されている。この地域でウシのダニが確認されたのは4年前からで、the Kempsey district 由来である。処分場 the Casino abattoirs の1頭の家畜に行われた通常検査で確認された ...
[Mod.TG- Theileriosis は、the genus _Theileria_ の偏性細胞内原虫による感染症で、East Coast fever, Corridor disease, and Zimbabwean theileriosis の原因となる _T. parva_ と、tropical theileriosis (Mediterranean theileriosis) の原因となる _T. annulata_ の2種類が重要; その他多数ある _Theileria_ species は、反芻動物に感染するが多くは軽症もしくは無症候性の感染である。_T. parva_ and_ T. annulata_ はともにダニによって媒介され、The most important vector for _T. parva_ is _Rhipicephalus appendiculatus_. _R. zembeziensis_ in southern Africa and _R. duttoni_ in Angola can also spread East Coast fever. _T annulata_ is transmitted by ticks in the genus _Hyalomma_]