2011年4月30日

ハンセン病-米国、ヒト、アルマジロ
マラリア-ジンバブエ,モザンビーク

● ハンセン病-米国、ヒト、アルマジロ
PRO/AH/EDR> Leprosy, human, armadillo - USA: transmission
Archive Number: 20110430.1352
 情報源 USNews.com、2011年4月28日。
米国内でハンセン病 leprosy に感染した患者は、しばしばアルマジロにも感染するのと同じこれまで知られていなかった種類の_Mycobacterium leprae_ を保有していた。数十年前からアルマジロもハンセン病 Hansen's disease の菌を保有することがあることは知られていたが、重複する種類の感染が確認されたことで、ずっと以前から提唱されていた、アルマジロが直接ヒトに感染させるとの仮説を強く裏付ける結果となった。28日の医学雑誌 New England Journal of Medicine に掲載された論文で著者は、the Deep South の感染患者の多くが、より同疾患が多く見られる別の地域ではなく、自宅に近い場所でハンセン病に感染した、と報告している。可能性のある唯一の感染媒体は、アルマジロかヒトであった。感染患者の一部は、ハンセン病菌を保有することが知られている唯一の動物であるアルマジロを触っていた ... Louisiana の患者50人と、南部5州の 33頭の infected wild armadillos から採取された細菌検体を比較したところ、特定の菌 highly specific strain of the bacterium が、アルマジロ33頭中22頭と、米国やメキシコ以外に住んだことのない29人の患者のうち22人から検出された。聞きとり調査を行った15人の the leprosy patients のうち8人が、armadillos と直接の接触があった。Alabama and Mississippiのアルマジロのおよそ6-10%が leprosy に感染していると説明されている。他の研究では、野生の20%という報告もある。ラテンアメリカには、米国内で唯一見かけられる 9-banded armadillo を含む多種のアルマジロが生息するが、他の種にも感染するかについては判っていない。アルマジロからの感染経路については、未解決のままである。

● ハンタウイルス-アルゼンチン、チリ、米国
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2011 - Americas (24): Argentina, Chile, USA 20110430.1348
[1] アルゼンチン (Santa Fe)
 情報源 Diario Victoria [in Spanish]、2011年4月29日。
Granadero Baigorria で新たに若い男性1名が死亡した原因を調査していた、Rosario 市保健当局は、(男性が)レプトスピラ症ではなく、ハンタウイルス感染であったことが検査で判明したことを明らかにした。26日、湿地 wetland farm の羊飼いとして働いていた、この28歳の男性が、入院から2日後に死亡したと、 the Santa Fe Director of Epidemiology の当局者が述べた。検査診断中のため、まだ確定されていない
[Mod.TY- アルゼンチンでは複数のハンタウイルスが感染に関係する: Andes virus (western Argentina, in the long-tailed pygmy rice rat host, _Oligoryzomys longicaudatus_); related Andes-like viruses Hu39694 (in central Argentina; rodent host unknown); Lechiguana (in central Argentina in the yellow pygmy rice rat _O. flavescens_); Oran (in northwestern Argentina in _O. longicaudatus_); and Bermejo (western Argentina in _O. flavescens_) virus. 。今回のケースはおそらく Lechiguana virus infection と考えられるが、検査による確定診断が必要]
[2] チリ (Los Rios)
 情報源 EMOL [in Spanish]、2011年4月27日。
Frutillare の45歳の患者が、the Los Rios region で4人目のハンタウイルス感染例として登録された。現在、the Puerto Montt Hospital Base に入院となっている。状態は安定しており、これまでのところ、人工呼吸器の装着は行っていない。
地図 
[3] チリ (Araucania)
 情報源 El Austral [in Spanish]、2011年4月25日。
La Araucania で新たなハンタウイルス感染患者が発生した。23日、わずか19歳の若年女性が、the [Valdivia] Regional Hospital で死亡し、同ウイルス感染が疑われている。21日、Melipeuco の農村部から、重篤な呼吸障害のため搬送されてきた。呼吸器が装着され、迅速検査の結果、ハンタウイルス陽性となった
地図
[4] 米国 (Montana)
 情報源 The Republic、2011年4月25日。
Park County 保健当局によると、Livingston-area 在住の46歳の女性1名が、ハンタウイルス肺症候群により死亡した。Billings hospital への搬送途中の8日に死亡した。7日に、高熱、筋肉痛、激しい頭痛を訴えて、Park Clinic を受診し、翌日にも、息切れと高度うっ血のため再度救急室を受診した。
写真 _Peromyscus maniculatus_, the rodent host of Sin Nombre virus 

● アメーバ脳炎-台湾 2008年
PRO/EDR> Acanthamoeba encephalitis - Taiwan: 2008, 1st report 20110430.1345
Serious case of encephalitis confirmed in Taiwan
 情報源 China Post、2011年4月27日。
台湾当局 The Centers for Disease Control (CDC) [Taiwan] は26日、台湾で初めてのアカントアメーバ Acanthamoeba spp による脳炎患者を確認した。この患者は台湾中部の63歳の男性で、2008年12月に稲作の水田での作業中に溝に落ちたと、当局の研究者が説明を行った。その10日後、高熱、激しい頭痛、腹部膨満などの症状を発症し、治療のために Changhwa County の病院に搬送された。男性の髄液所見から、寄生虫感染を示唆する白血球の高度の増多が確認された。さらに詳しい検査により、土壌や環境中に遍在する _Acanthamoeba_ spp,に感染していることが分かった。水路 (溝) から採取された検体からも _Acanthamoeba_ spp. が検出された。台北 Taipei の国立台湾大学病院 National Taiwan University Hospital で治療をうけ、回復までに78日を要し、言語障害などの副作用が残った。アメーバ脳炎の致死率は80-90%と高率である。
生活環

● マラリア-ジンバブエ,モザンビーク
ジンバブエ
PRO/EDR> Malaria - Zimbabwe (02) 20110430.1339
 情報源 The Herald (Zimbabwe)、2011年4月28日。
2011年3月からのマラリア Malaria のピーク期開始以来、ジンバブエ国内で125人が感染により死亡した。ほとんどの地域が深刻な薬剤不足に陥っている。71858人が治療を受けたが、このうち9549人は4月3日までの週に発生し、2007人は5歳未満だった。この週。最も患者が多かったのは Mashonaland East で、3354人の患者が治療を受けている。Manicaland province では、2193人が治療を受けた。これまでに10の地区で oubreaks が確認されている: Mudzi, Kariba, Mutoko, Mutasa, Kadoma, Mutare city, Rushinga, Makonde, Chimanimani and Mutare rural ...
[Mod.JFW- ジンバブエは、リスク人口の50%以上に対する広範囲のマラリア感染対策が行われているにもかかわらず、2000年から2009年までの間にほとんど患者数減少が確認できていない国の1つである。抗マラリア薬 supplies of artemisinin combination therapy (ACTs) 、長時間有効な殺虫剤処理の蚊帳 long lasting insecticide treated nets (LLINs) 、迅速検査キット rapid diagnostic test kits (RDTs) の配布を通じた対策が進んでいるが、 the supply chain bottlenecks を改善し、実際の患者数や死亡数の減少につなげなければならない]

モザンビーク
PRO/EDR> Malaria - Mozambique: (MP), RFI 20110430.1338
Malaria increase sharply in Maputo Province

 情報源 Club of Mozambique、2011年4月26日。
Maputo province におけるマラリア患者数が、2011年第一四半期に急増していることが、州知事の話で分かった。25日、Machava, in the southern city of Matola での World Malaria Day の場で、同知事は、1月から3月までに州内でマラリアの診断を受けた患者は49854人で、2010年同期は19018人だったことを明かにした。68%増加したことを深刻に受け止めていると述べ、市民らの感染拡大防止への協力を求めた ...
[Mod.EP- モザンビークはマラリア常在国であり、患者数急増の原因は、感染対策の破綻 breakdown in control measures か、もしくは報告システムの問題 reporting problem にあると考えられる]
[Mod.JWー Mozambique は、persistent adulticide として DDT を使用しているのかについて、情報提供を希望する]

● インフルエンザ-欧州
PRO/EDR> Influenza (33): Europe update 20110430.1336
Influenza activity has returned to "out of season" levels in most countries of the WHO European Region
 情報源 WHO Regional Office for Europe, EuroFlu: Weekly Electronic Bulletin、2011年4月29日。
要約
 - 45 [of the 53] Member States in the WHO European Region のほとんどの国で、influenza-like illness (ILI) and acute respiratory infection (ARI) の受診率が、ベースライン以下あるいは pre-season levels に落ち着いている ...

● 麻疹、風疹-南北アメリカ PAHO
PRO/EDR> Measles, rubella - Americas: epidemiological alert, PAHO 20110430.1335
Epidemiological alert: recommendations to the travelers to preserve the Americas without measles or rubella
 情報源 Pan American Health Organization (PAHO)、2011年4月28日。
南北アメリカ諸国において、様々な文化的あるいはスポーツ行事が開催されることを考慮し、PAHO は、これらの国々への旅行者に対し、渡航前に麻疹及び風疹のワクチンを接種し、地域内ですでに排除されているこれらの疾患を、再び持ち込むリスクを最小限にするよう呼びかけている ...

● コレラ-メキシコ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2011 (10): Mexico (SI) alert 20110430.1334
 情報源 Proceso、2011年4月26日。
保健省は、Sinaloa 州において、コレラ Cholera 感染患者1名が確認されたことを受け、全国に疫学的注意喚起を行った。関係者によるとこの患者は10歳児で、すぐに治療され回復している。今回のコレラ感染患者が発生した地域は、塩素化 the chlorination systems が不十分であったことから、上水道の監視を強化するよう各州当局に通達を行った。

● 腺疫-バーレーン、ウマ OIE
PRO/AH/EDR> Glanders, equine - Bahrain: (North), OIE 20110430.1350
Glanders, Bahrain Immediate notification
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(17)、2011年4月30日。
感染開始時期 2010年12月21日
前回流行時期 2010年5月31日
病原体  _Burkholderia mallei_
新たな感染流行
発生地 Shakhoura 1, North など4か所 農場
感染した種  Equidae 96頭中4頭

● 口蹄疫、ウシ-イスラエル (2件)
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease, cattle - Israel (04): (HZ Hazafon), OIE 20110430.1344
Foot and mouth disease, Israel Immediate notification

 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(17)、2011年4月29日。
感染開始時期 2011年4月17日
前回流行時期 2011年3月27日
原因ウイルス  Foot and mouth disease virus Serotype O
新たな感染流行
発生地 (Yavne'El) Yavne'El, Kineret, Hazafon 農村
感染した種 ウシ Cattle、fattening calves 9-12 months old 70頭中6頭 死亡0

PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Israel (03): (HZ) bovine, st O, new cases 20110430.1340
 情報源 Circular of Director Field Veterinary Services No. 3-2/2011/FMD [in Hebrew]、2011年4月27日。
21日、Yavneel の肉牛の群れで、口蹄疫 FMD が疑われる感染が発生したことが報告された。ELISA and PCR 検査が行われ、陽性であることが判明し、FMD virus serotype O と確認された ...

● ヒツジ痘、ヤギ痘-イスラエル、ヒツジ OIE
PRO/AH/EDR> SHEEP POX & GOAT POX, OVINE - ISRAEL: (Hamerkaz), OIE 20110430.1342
Sheep pox and goat pox, Israel Immediate notification

 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(17)、2011年4月30日。
感染開始時期 2011年4月14日
前回流行時期 2011年3月10日
原因ウイルス  Sheep pox virus
新たな感染流行
発生地 Kafar Qasem, Petach-Tiqwa, Hamerkaz 農村
感染した種  Sheep (mixed breed sheep) 60頭中10頭 死亡0

● ウシ結核症-英国 、ウシ
PRO/AH/EDR> Bovine tuberculosis, bovine - UK (03): England 20110430.1341
[1] 100 cows slaughtered as TB hits Cumbrian farm
 情報源 Farmers Guardian、2011年4月28日。
検査の結果、100頭が結核 tuberculosis (TB) 陽性であることが判明し、農家 Cumbrian farmers は高度の警戒態勢をとっている。Penrith 近郊のこの農場で、80頭のウシが処分されており、のこる20頭も来週処分されることになっている。3月、4頭の子牛 calves の検査が陽性であったことが、当局に報告されていた ...
[2] England farmers 'live with' bovine TB slaughters
 情報源 BBC News、2011年4月29日。
2010年、イングランド England で bovine tuberculosis (TB) 陽性と診断されたウシは合計24899頭で、すべて処分されている ... 続く

● 原因不明の疾患、ウシ-ロシア
PRO/AH/EDR> Undiagnosed disease, bovine - Russia: (TT) RFI 20110430.1333
Spasskiy district plague: are the cattle killed by radiation?
 情報源 Epidnews.Ru [in Russian]、2011年4月20日。
タタルスタン the Republic of Tatarstan の環境保護活動家から、2010年夏以降 Spasskiy district で発生している、原因不明のウシの死亡が報告された。原因については現在も判っていないが、この活動家らは、この地域で最近実験的に行われている種子への放射線照射が関係していると主張している。発病すると、筋肉が衰え、足を引きずる様になり、最終的に死亡する。現地のある獣医師は、代謝異常が原因の、osteodystrophy の可能性があると見ている。また、2010年夏の猛暑による飼料の質の低下が招いた栄養やビタミン不足によるものとも考えている ...
[Mod.AS- 食料や飼料への放射線照射 ionizing radiation は、微生物、細菌、ウイルス、昆虫などを殺す目的で行われる。また、発芽抑制 sprout inhibition の目的で使用されることもある。照射された食品が、放射能を有する radioactive ことはないが、わずかな化学的変化 subtle chemical changes はありうる]
[Mod.TG- Osteodystrophy and what the vet said sound correct.]

● ウシ結核症、ウシ-英国
PRO/AH/EDR> Bovine tuberculosis, bovine - UK (02): England 20110430.1332
Officials mystified by Cumbria TB case
 情報源 Farmers Weekly Interactive、2011年4月27日。
Cumbria の Penrith 近郊の酪農場1か所で、初めての大規模な結核症 bovine tuberculosis (TB) の感染流行が発生し、64頭が処分された。これをきっかけに、全国ですべての乳牛の結核検査の実施が検討されている。当局によると、18か月前に行われた検査は陰性であった ...