2011年5月25日

エボラ出血熱 ウガンダ (07)
原因不明の死亡・疾患 タイ,ソマリア
◎ レジオネラ症 ニュージーランド

● 麻疹 フランス、スイス、英国、ナイジェリア、ソマリア、米国
PRO/EDR> Measles update 2011 (15)
Archive Number: 20110525.1595
[1] フランス
 情報源 Pretadomicile [in French]、2011年5月23日。
フランス国内で、2011年の初めの2か月間に、34000人の感染が報告された。
[2] スイス
 情報源 24 Heures, AP report [in French]、2011年5月23日。
2010年12月以降、20の地域の486人の麻疹感染が報告されている。患者の9%が入院し、5%が肺炎を併発した ... 患者の42%が、20歳以上で、87%がワクチンを受けていなかった。妊婦1名の胎児に感染が伝播し、麻疹脳炎後の36歳の患者が2か月間のリハビリを必要とした。
[3] 英国 (Cheshire)
 情報源 Warrington Worldwide、2011年5月25日。
NHS Warrington 当局は、Cheshire において麻疹患者の発生が確認されていることを受け、25才未満で、MMR ワクチンを接種されていない患者らは、直ちに医師と相談するよう呼びかけている ...
[4] ナイジェリア
 情報源 All Africa、2011年5月23日。
Yobe 州でこの18か月間に髄膜炎と麻疹で死亡した人の数は41人であることが、22日、州当局から報告された。2010年に22人が髄膜炎で死亡したのに加え、2011年に入っても、51人の感染者のうちの4人が死亡している。2011年の麻疹感染患者は3022人で、このうち8人が死亡した ...
[5] ソマリア
 情報源 All Africa、2011年5月25日。
ソマリア南部各地で少なくとも4人の小児が、麻疹感染により死亡したと、25日に現地住民が述べた。the villages of Bay-Amow and Dhoba-Ade in Gedo region で、麻疹感染が広がっている。
[6] 米国
 - USA (MMWR report) 
 Measles --- United States, January-20 May 2011
 情報源 Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR), 60 (Early Release);1-4、2011年5月24日。
 - USA (Iowa)
 情報源 Des Moines Register、2011年5月24日。

● チクングニア熱 ニューカレドニア
PRO/EDR> Chikungunya (14): New Caledonia 20110525.1594
 情報源 ABC News (Australian Broadcasting Corporation), Radio Australia、2011年5月25日。
New Caledonia は、蚊族媒介性ウイルス感染症のチクングニア熱 Chikungunya 感染拡大防止のため、新たな対策を導入する。これまでに26人の感染が報告されており、首都ヌーメア Noumea およびその周辺に感染が集中している。新たな対策とは、墓地の花活けの水を空にして、蚊の繁殖場所を除去することなどである。市内各地の噴霧消毒作業も行われている。the Pacific region.では、初めてのチクングニア熱感染流行となった。
[Mod.TY- New Caledonia のチクングニアウイルス感染の患者数が、6日の17人から、およそ3週間で27人に増加している。

● エボラ出血熱 ウガンダ

PRO/AH/EDR> Ebola hemorrhagic fever - Uganda (07): (LW, KS) susp. 20110525.1593
 情報源 Daily Monitor (Uganda)、2011年5月25日。
保健省は、Luweero District で発生した、2例のエボラ Ebola hemorrhagic fever 感染が疑われる死亡について調査を行っている。Kasese District でも、患者1名について調査されている。この患者は現在、Kagando Hospital in Kasese.に入院している。24日の報道によると、死亡した2人の患者は、高熱と原因不明の出血の症状の末死亡した ...
関連項目
[Mod.CP- 今回起きた新たなウガンダ国内での outbreak of Ebola hemorrhagic fever による1例目の死者が発生したのは、Zirobwe Sub-county in Luwero district (Central Region of Uganda) である。今回の報告では Luwero district において死亡した2人が新たにエボラ感染を疑われている。また Kasese District [Western Region of Uganda] の病院の入院患者に対しても、感染が疑われている。The Luwero と Kasese Districts は、ウガンダ国内の別の地域にある]
関連項目
Ebola hemorrhagic fever - Uganda (03): (LW) WHO 20110519.1511

● 原因不明の死亡・疾患 タイ,ソマリア

タイ
PRO/EDR> Undiagnosed deaths - Thailand (09): (CM) 20110525.1588
 情報源 Phuket Wan Tourism News、2011年5月24日。
Chiang Mai で発生した、一連の旅行者の原因不明の死亡についての調査において、一定のパターンが確認されていないことが、当局者からの新たな発表により明らかになった ... 2009年に Phi Phi を訪れた、the Laleena Guesthouse の隣り合った部屋に宿泊した、アメリカとノルウェーの若い女性旅行者2人が死亡した事件では、アメリカ人女性の生き残った男性婚約者が、部屋に入った時に (chlorpyrifos が発するとされる) 強い刺激臭を感じたと再三述べている ... 
以下、公式報告 International toxicologists consulted in Chiang Mai tourist deaths - update 3, 23 May 2011
関連項目
Undiagnosed deaths - Thailand (08): (CM) 20110524.1574

ソマリア
PRO/EDR> Undiagnosed illness, fatal - Somalia (03): (BK) RFI 20110525.1583
 投稿者 加 ・ Alberta Health Services、A. Mark Joffe、2011年5月23日。
ソマリアから報告されている致死性疾患は、隣国エチオピアから流行の報告のある Epidemic Dropsy (流行性浮腫/水腫) の症状に似たところがある。現在はエチオピア、インド、米国などで栽培されているケシ the Mexican poppy, _Argemone mexicana_ による食用油の汚染が原因とされる症候群で、南アフリカやエチオピアで Epidemics が報告されている。消化器の症状 (下痢、嘔吐)が主であるが、持続または間欠性の発熱、両側対称性圧痕を残す浮腫、下肢の焼灼様異常知覚 burning paresthesias などを伴うこともある。浮腫は、毛細血管漏出症候群の結果起きる症状で、進行すると非心原性肺水種、咳嗽、呼吸困難および死亡の原因となる。
[Mod.ML- 今回のアウトブレイクでは、90人以上が罹患し53人が死亡している。1ないし2か月間の発熱、頻拍、咽頭痛、関節と四肢の痛みを伴う進行性の腫脹が認められると特徴付けられている。ProMED-mail では以前に epidemic dropsy に関する報告を行っている。(20050207.0412) Epidemic dropsy は主にケシの実 the seeds of _Argemone mexicana_ (Mexican prickly poppy) から抽出される油 argemone oil に含まれる、benzophenanthridine alkaloids、 sanguinarine and dihydrosanguinarine による中毒で、mustard oil などの粗悪な食用油 adulterated cooking oil として使用されている。過去、インドのほか、モーリシャス、フィジー、南アフリカから発生が報告されている]
関連項目
Undiagnosed illness, fatal - Somalia (02): (BK) RFI 20110522.1557

◎ 病原大腸菌、VTEC ドイツ O104

PRO/AH/EDR> E. coli VTEC - Germany (03): O104, spread South 20110525.1587
[1] _E. coli_ O104 が原因菌と見られる
 情報源 Tages Spiegel [machine translation]、2011年5月24日。
19日、the Robert Koch Institute (RKI) の専門家に、ハンブルグ Hamburg で多数の HUS 患者が治療中であるとの報告が届けられた ... Wernigerode にある腸管出血性大腸菌の基準検査室 national reference laboratory で、患者から検出された菌が調べられており、現在のところ、 _E. coli_ O104 が原因菌と見られることが明らかにされた。
[Mod.LL- O104, non-O157 _E. coli_ が原因のようである。 O157 以外のベロ毒素産生菌の重要性が再認識された。VTEC (verotoxin-producing _E. coli_) disease には、 移動性の motile ones O26:H11 and O104:H21 や非動性の non-motile ones such as O111:NM (or H-) などが関係する。これらの非 O157 大腸菌はヒツジやウシなどから感染する可能性があり、VTEC 感染流行のうち30%に関係するものの in vivo and in vitro assays では毒性が弱いもしくは一定しないとされている。遺伝型や表現型の分析により、O157 とは異なる独自の系統の virulence traits を持つことが分かっている。最も多い most prominent のは O26, O111, O128, and O103 である。O157's inability to ferment sorbitol ソルビトール非分解性を利用した、sorbitol-MacConkey (sMAC) plates による VTEC の検出を行うと、the non-O157 strains は見逃されてしまう。3年間のワシントン大学による小児を対象とした研究によると、1851件の便検体について sorbitol fermentation と同時に toxin production by EIA (enzyme immunoassay) を行ったところ、28 strains of O157 において O103 (4 strains), O118 (2 strains), O111 (2 strains), and 3 other strains が同時に検出された。Non-O157 によっても、溶血性尿毒症症候群 hemolytic-uremic syndrome が発生することは、米国内の湖に関係した O121 の集団感染 cluster of O121 cases associated with a lake in Connecticut, USA でも確認されている。VTEC infections に抗生物質による治療を行うことで、有病率や致死率が上昇する the higher risk of morbidity and mortality とされていることから、急性感染症の治療に抗生物質は用いてはならない。this outbreak で重症例が多いことに抗生物質の使用が関係しているかどうかについては、明らかになっていない]
[2] 2 more deaths, spread to the south of Germany
 情報源 Nature News Blog 、2011年5月24日。
腸管出血性大腸菌によると見られる感染流行で、本日 (24日) 新たに3人の女性が死亡した。保健当局は、若い女性を中心に400人を超える患者を確認している。死亡したのは、80歳代の女性2名で、このうち1人は EHEC case であることが確認されており、もう1人は若い女性患者である。これまでの患者は、ドイツ北部で確認されていたが、24日午後、初めて南部 Bavaria 州でも感染が疑われる患者が報告された。
関連項目
E. coli VTEC - Germany (02): increased case burden 20110524.1578

◎ レジオネラ症-ニュージーランド (02)

PRO/EDR> Legionellosis - New Zealand (02): (MA) 20110525.1586
 情報源 New Zealand Doctor Online、2011年5月24日。
公衆衛生当局 Nelson Marlborough Public Health Service (PHS) は、新たに5人のレジオネラ症疑い患者を確認した。5月初旬に 3例の患者 confirmed cases of _Legionella_ を確認した後、当局は the Riverlands Industrial Estate に赴いて、感染源と新たな患者に関する調査を行っていた。4月初旬以降にレジオネラ症に一致する症状が見られた、同感染が疑われる5人の呼吸器感染症の患者を確認したことを明らかにした。ウイルスもしくは他の細菌による感染の疑いもあるとして、血液検査が実施された ...
[Mod.ML- レジオネラ症 Legionellosis はグラム陰性桿菌 bacillus of the genus _Legionella_ による感染症で、_Legionella pneumophila_ によるものが最も多い。
Legionnaires' disease(在郷軍人病,レジオネラ肺炎)は (同菌による)急性肺感染症を指す; 70% 以上が _L. pneumophila_ serogroup 1であるが、オーストラリアとニュージーランドだけは、市中感染例 community-acquired legionellosis のうちで  _L. pneumophila_ serogroup 1 が占める割合が 45.7%に過ぎず、30.4% が_Legionella longbeachae_ による感染である。 (Distribution of _Legionella_ species and serogroups isolated by culture in patients with sporadic community-acquired legionellosis: an international collaborative survey. J Infect Dis. 2002; 186(1): 127-8;) 
ポンティアック熱 Pontiac fever は、肺炎の形をとらない、legionnaires' disease と比較してより軽症型の疾患で、1968年の an outbreak in Pontiac, Michigan, USA に因んで命名された。Legionnaires' disease, and presumably Pontiac fever は、エアロゾル化されたレジオネラ菌 aerosolized _Legionella_ を一定量吸い込んだ時に発生する。一般的に建物内の配水システム内の汚染が感染源となりやすい。レジオネラ菌が検出されることが多いのは、温水の給水管内と冷却塔である。 水温 25-40 deg C のタンク内で最も菌の密度が高くなる。温水のエアロゾル化が起こりやすいのは、シャワー、スパ、食料品店のスプレー、噴水、冷却塔などである。オーストラリアとニュージーランドでは、ガーデニングや potting mix, compost、土いじりなどにも関係する; 両国では _L. longbeachae_ が potting mix, compost, and soil に多く認められ、弧発例の市中肺炎患者の気道検体からも培養分離される。 _L. longbeachae_ による市中肺炎は、欧州でも報告 (ECDC)されている。スコットランドの庭師(BBC) の legionnaires' disease due to _L. longbeachae_]
参考情報 Marlborough on the northeast coast of the South Island. Blenheim, the most populous town in the Marlborough region, The area that surrounds the town is well known as a center of New Zealand's wine industry.

● スクレイピー 日本 ヒツジ
PRO/AH/EDR> Scrapie - Japan: (OITA), ovine, OIE 20110525.1591
Scrapie, Japan、immediate notification

 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2011; 24(21)、2011年5月25日。
感染開始時期 2011年5月16日
前回流行時期 2011年4月14日
病原体 prion protein
新たな感染流行
発生地 大分市、大分県
感染した種 ヒツジ sheep、ペット
Susceptible: 1
Cases: 1
Deaths: 1
Destroyed: 0
Slaughtered: 0
5月16日に死亡した、ペットのヒツジについて行われた県の検査で確認された。10年以上飼育されていた。

● 真菌性疾患、穀類 アイルランド
PRO/PL> Fungal diseases, cereal crops - Ireland: alert 20110525.1590
High disease levels in Ireland
 情報源 British Farming Forum、2011年5月15日。
Cork での調査で、冬小麦において、非常に高い割合で septoria が確認されている。大麦の net blotch や clean variety とされていた Quench の rhyncho[sporium] も確認されている 

● ヘンドラウイルス、ウマ オーストラリア: ワクチン
PRO/AH> Hendra virus, equine - Australia (06): vaccine 20110525.1589
[1] 実験段階のワクチンの開発が成功した
 情報源 The Courier Mail, Australian Associated Press (AAP) report、2011年5月18日。
オーストラリア国内でこれまでに4人が死亡した致死性のヘンドラウイルス hendravirus に対する、ウマ用のワクチンが、2012年に使用可能となる。当局 The CSIRO [Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation; Australia's national science agency] は、実験段階のワクチンの開発が成功した "successful progress" との発表を行った ... ヘンドラウイルスは、1994年に初めて発生が確認され、the Brisbane suburb of Hendra.の調教師と飼育していたウマ14頭を死亡させた。オーストラリアでこれまでに、4人が死亡し、14件の outbreaks の発生が知られている。
[2] ヘンドラウイルスに対するワクチンの開発に成功した
 情報源 The Australian、2011年5月17日。
調教師 Queensland horse trainer の死からおよそ17年を経て、科学者らは 致死性のヘンドラウイルスに対するワクチンの開発に成功したと発表した ...

● 鳥類の疾患、キジ 米国 オウム病疑い
PRO/AH/EDR> Avian disease, pheasant - USA: (WY)psittacosis susp, RFI 20110525.1585
 情報源 KULR8.com, Associated Press (AP) report、2011年5月22日。
ワイオミング州当局 The Wyoming Game and Fish Department は、ヒトに感染する恐れのある病気が確認されたとして、州南東部の Downar Bird Farm near Torrington で飼育されていたおよそ1200羽のキジの処分を行った。同局が20日に発表したところによると、職員が、一部のトリが cecal worms を保有していることに気づいたが、これはよく見られるものであった。今週、検査機関 the Wyoming State Veterinary Laboratory で 一部のトリからオウム病 psittacosis の病原体が確認された。職員に異常は認められていないが、ヒトに感染すると発熱などのインフルエンザのような症状を起こす。米国内では毎年50人弱の患者報告されているが、ワイオミング州内では、2000年以降人での感染例の報告はない。