2011年5月24日

髄膜炎菌性髄膜炎 ナイジェリア
大腸菌、ベロ毒素産生 ドイツ
原因不明の死亡-タイ

● 髄膜炎、髄膜炎菌性 ナイジェリア
PRO/EDR> Meningitis, meningococcal - Nigeria: (YO), susp.
Archive Number: 20110524.1581
 情報源 allafrica.com、2011年5月23日
Damaturu にある Yobe State 州疫学当局 Epidemiological Department によれば、2010年に州内の17の地域 the 17 local government areas 全体で、322例の髄膜炎  cerebrospinal meningitis 患者が確認され、このうち22人が死亡した。2011年の1月から5月までの期間中には、51例の患者が報告され、うち4人が死亡した ...
[Mod.ML- 記事の中で病原体は特定されていないものの、サハラ以南地域では毎年髄膜炎菌性髄膜炎の大規模流行が発生している。髄膜炎ベルト the "Meningitis Belt" と呼ばれ、ナイジェリア、ブルキナファソ、ベニン、チャド、コンゴ民主共和国、エチオピア、ガーナ、象牙海岸、ケニア、マリ、ニジェール、スーダン、トーゴ、ウガンダの各国を含む、アフリカ大陸の東海岸から西海岸まで続く地域を指す。髄膜炎のアウトブレイクは、(12月から6月までの) 乾期に起こり、8-12年ごとに大きな流行が発生する。この周期的な髄膜炎流行中の罹患率は人口 10万人対100-800人であるが、各コミュニティで見た場合には10万対1000人に達したとの報告 (World Health Organization: Meningococcal meningitis fact sheet) もある。対策のステップアップのために定義される流行の閾値が設定される。アウトブレイクへの対応策として WHO は、コミュニティ内の集団免疫獲得を目的として発生地区ごとに選ばれた適切な髄膜炎菌ワクチンを集団で接種することを推奨している。人口の大部分への接種が完了すれば、感染伝播を阻止することができる。2009年ナイジェリアにおいて meningococcal serogroups A および W135 によるアウトブレイクが発生した。(20090509.1731) これらの serogroups による髄膜炎はワクチン接種により予防できた可能性があった。が、2010年にブルキナファソで新興した新たな菌株 (serogroup X) による髄膜炎菌性髄膜炎のアウトブレイクでは、国内全13地域のうち6つの地域で epidemic level に達する発生が起きた。Serogroup X はワクチンでカバーできない菌株の1つである。ニジェールは、ナイジェリアの the Yobe State と国境を接しているが、同じく2006年と2010年に serogroup X によるアウトブレイクを経験している (20100426.1343)。加えて the African "meningitis" region において、肺炎球菌 _Streptococcus pneumoniae_ もまた、outbreaks of meningitis の原因となりうる (20100213.0507)]
地図 Yobe State in northeastern Nigeria that borders on Niger. Damaturu is the capital of Yobe State, a population of 88,014
the African bacterial meningitis belt

● コレラ ハイチ、ドミニカ共和国
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2011: (12): Haiti, DR 20110524.1579
[1] ハイチ
 情報源 Deutsche Presse-Agentur、2011年5月21日。
ハイチ国内で、この7か月間に5200人を超えるコレラ Cholera 感染による死者が発生した、と21日に保健当局が発表した。カリブ海にある弧の国にとって、1世紀ぶりとなる深刻なコレラ感染流行の1例目の患者が確認されたのは、2010年10月の首都ポルトープランスの北 the Artibonite province north of the capital Port-au-Prince であった。少なくとも30万人が感染し、1日平均4人以上が死亡した。
[2] ドミニカ共和国
 情報源 Associated Press、2011年5月23日。
ドミニカ共和国保健当局者は、国内全域にコレラ感染が拡大する中、新たな多数の感染者が発生したことを報告した。保健副大臣は、11月以降、1143人のコレラ患者と14人の死者が発生したことを明らかにした。23日に新たな患者数は、。5月中旬に発表された数と比較して、50%増加した。全国の38州のうち、28の州で感染者が確認されており、6月のハリケーンシーズンの開始により、事態はさらに悪化している。

● 大腸菌、ベロ毒素産生 ドイツ

PRO/AH/EDR> E. coli VTEC - Germany (02): increased case burden 20110524.1578
[1] 400人を超える感染疑い患者が報告されている
 情報源 Deutsche Welle、2011年5月24日。
ドイツ政府保健当局は、2011年5月中旬以降、400人を超える、死亡する可能性のある細菌感染が疑われる患者を報告している。年間800人から1200人の患者が報告されていた過去10年間と比較して、急激な患者数増加となっている。腸管出血性大腸菌 enterohemorrhagic _E. coli_ (EHEC) による感染で、食品に関連して発生することが多く、深刻な消化器症状につながる恐れがある ... 感染源については今も明らかになっておらず、感染の増加を防ぐ手立てがないため、市民に注意を呼びかけなければならない、と Hamburg 当局者が説明した。患者から集められた情報から、十分洗われていない野菜が最も疑わしいと当局は見ている。一方で、生のミルク、クリームチーズや牛肉など、同菌に汚染されていることの多い食品は、今回の感染流行との関連性は低いと考えられている。液体肥料 liquid manure で処理された農場なら、スーパーで売られているサラダや野菜に大腸菌 the EHEC bacteria が付着する可能性もあり、市販されている pre-packaged and prepared salads の多くが、菌に汚染されているかもしれない、と説明されている ... これまでに、83歳の女性1名が感染による合併症で死亡したことが確認されている。
[2] 2週間で80人以上の HUS 患者
 情報源 Agence France-Presse、2011年5月24日。
... The Robert Koch Institute (RKI), は、この2週間で80人以上の EHEC による溶血性尿毒症症候群 hemolytic uraemic syndrome (HUS) の患者が報告されていることを明らかにした、同内容、原文参照願います。
[Mod.LL- VTEC 感染の10%が HUS を合併するとすれば、80人以上の HUS の患者が確認されていることからすると、感染者数は合計800人を超える計算になる。成人においてこのような多数のHUS が発生するのは、極めてまれである。おそらく、原因となった食品が、他の集団よりも、より成人女性に好まれることが多いものだと考えられる。通常の VTEC (の産生量) より多い、クロストリジオイデス・ディフィシル _Clostridium difficile_ strains に匹敵する量のトキシンを産生する菌株ではないだろうか]
関連項目
E. coli VTEC - Germany: RFI 20110523.1566

● 狂犬病 米国
PRO/AH/EDR> Rabies - USA: (CA) human, RFI 20110524.1576
 情報源 The Time-Standard、2011年5月21日。
Feral cats identified as possible Willow Creek rabies source
2週間前に入院となった 1人の Willow Creek resident の狂犬病 Rabies 感染の背景に、ワクチンを接種されていなかった野良ネコがいた可能性があることが、現地保健当局者により明らかにされた。感染の詳しい経路については、判らない可能性もあるとも述べられている。患者の家族や担当した医療関係者らに対して、狂犬病の予防接種が行われている。また、動物の咬傷を受け感染のリスクのある、他の2人にもワクチンが接種されている。野良ネコが狂犬病の一次感染源である可能性があるとしながら、郡保健当局者は、他の野生もしくは飼育された動物についても、狂犬病の感染徴候がなかったか調査を行っている。The Centers for Disease Control and Prevention (CDC) により、6日、狂犬病の感染であることが確認されている。Humboldt County でヒトの狂犬病感染が発生したのは、おそらく初めてのことである。the California Department of Fish and Game の専門家によると、同郡内では、コウモリやキツネ gray foxes の狂犬病感染が多く、2010年に 5 gray foxes and one bat が狂犬病の検査で陽性となった。2009年には、35頭以上の gray foxes の検査が陽性となり、約40頭のスカンクでも検査陽性が確認されている。キツネは感染すると、運動神経の障害が全面に出て、死に場所を探すような行動をとる (a passive form) ことが多く、スカンクも同様の感染症状となりやすい。しかし、2010年に当局と警察が遭遇したキツネの感染例は the aggressive form of rabies で Bayside の路上で、自転車や車を追い掛け回していたと言う ...
[Mod.CP- 他の可能性が排除された結果、1匹の野良ネコにより狂犬病に感染した、との結論に達したようである。患者が、曝露後接種を受けていたかどうかについての情報が書かれていない。患者の状態は安定しているとの報告がある]
地図 Humboldt County on the far North Coast 200 miles north of San Francisco 

● 原因不明の死亡 タイ

PRO> Undiagnosed deaths - Thailand (08): (CM) 20110524.1574
 情報源 Bangkok Post、2011年5月22日。
Pesticide theory backed in hotel deaths
World Health Organisation (WHO) experts は Chiang Mai のホテルで発生した原因不明の死亡に関し、殺虫剤 a pest-control substance が関係すると見ている。Chiang Mai の公衆衛生局長は20日、WHO による the Downtown Inn 調査チームに加わり、ニュージーランド人旅行者が、chlorpyrifos 含有殺虫スプレー a bedbug spray により死亡した可能性は低いとした同調査結果に、WHO が同意したと述べた。chlorpyrifos 以外の有毒物質の調査を行っていると説明したが、その物質名については "a pest control chemical" とだけ述べ、明らかにされなかった。
この女性は、1月から2月にかけて、北部にある同州で原因不明の死を遂げた7人のうちの1人で、このうち4人が the Downtown Inn に宿泊していた。ニュージーランドのテレビ局 the New Zealand TV3 の番組の取材で、ホテル内で chlorpyrifos の痕跡が確認されたとの調査結果が公表されたことから、同女性の死亡が再び注目されることとなった。しかし、タイ政府当局は、女性の遺体から殺虫剤が検出されなかったとの医学報告を採用し、ホテル側もこの毒性の高い物質の使用を否定していた。WHO 当局者と公衆衛生局は、この女性らが宿泊した部屋を含む10室の客室を調べた。ベッド下のカーペットの一部を切り取って、Ramathibodi Hospital in Bangkok にある WHO 認定検査機関での検査に提出し、ホテルの厨房やプールについても調査した。来週初めには検査結果が明らかになる予定である ...
[Mod.TG- WHOも調査に加わっているようである]
関連項目
Undiagnosed deaths - Thailand (07): (CM) 20110512.1459

● 狂犬病 インド ウマ
PRO/AH/EDR> Rabies - India (08): (AP), equine 20110524.1580
Horse on biting spree beaten to death
 情報源 The Times of India, Hyderabad Edition、2011年5月24日。
Vizag Agency area で23日、1頭のウマが5人を襲った。事件は、Araku から12kmの、Banglavalasa village near Sunkarametta で発生した。興奮したウマが人々を追い回し、5人に噛み付いた。15分間の騒動の間、市民を恐怖に陥れた。住民らの話によると、このウマの所有者は、ウマが野良犬に咬まれたため、2か月前に所有を放棄していた。Ukkunagaram in Visakhapatnam の別の事件では、1頭の狂犬病のイヌに襲われた6人がけがを負って病院を受診している。

● アフリカ馬疫 南アフリカ OIE
PRO/AH/EDR> African horse sickness - South Africa (05): OIE follow-up 20110524.1577
 情報源 Weekly Disease Information Vol. OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly Disease Information 24 (21), 2011、2011年5月20日
African horse sickness, South Africa、Follow-up report No. 3
感染開始時期 2011年2月26日
前回流行時期 2009年4月
原因ウイルス African horse sickness virus Serotype: 1 
新たな感染流行

● 原因不明の大量死、鳥類 オーストラリア
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, avian - Australia: (NSW) 20110524.1575
 情報源 Warren Advocate、2011年5月19日。
Mystery surrounds bird deaths
Oxley Park 内で死亡して樹上から落下した Galahs については、今も謎に包まれているが、獣医師による剖検によると、毒物による可能性は低いと見られている ...
[Mod.TG- Galahs (_Eolophus roseicapilla_) は the Rose-breasted Cockatoo とも呼ばれている ... たった1種類の鳥類だけに発生しているのは非常に奇妙である。毒物なら他の種類の鳥類にも発生するだろう。病気であっても同じことが言える。突然の嵐など、気候はどうだったのだろう]

● 馬ヘルペスウイルス カナダ、米国
PRO/AH/EDR> Equine herpesvirus - North America (02): (Canada, USA) 20110524.1573
[1] カリフォルニア州 Equine herpes virus confirmed in Plumas County
 情報源 Plumas News、2011年5月21日。
California 州において、Plumas County の症例を含め、新たに2例の馬ヘルペスウイルス Equine herpesvirus 感染 equine herpes myeloencephalopathy (EHM) が確認され、州内で感染した症例数は合計15頭となった ...
[2] ユタ州 Utah horse euthanized
 情報源 Herald Extra、2011年5月23日。
Utah County のウマ1頭が、an outbreak of equine herpes により死亡し、州内では初めて感染例となった。