◎ 狂犬病-米国

ヒト及び動物の死後剖検を行った人の狂犬病感染例の報告はない
診断における剖検の重要性と作業時の注意
PRO/AH/EDR> Rabies - USA 20110511.1442
 情報源  The Times-Standard、2011年5月10日。
Humboldt County 初の狂犬病患者で感染させた動物の種類については分かっていない ...
[Mod.TG- 狂犬病は予防可能な哺乳類のウイルス性疾患で狂犬病に感染した動物の咬傷により感染伝播されることが最も多い。CDC に報告される狂犬病症例の大多数が、アライグマ、スカンク、コウモリ、キツネなどの野生動物である。狂犬病ウイルスは中枢神経系に感染し、最終的に脳の病気を発症し死亡させる。ヒトの感染の初期症状はほかの多くの病気と違いがなく、発熱、頭痛、全身衰弱、不快感などである。進行するとより特徴的な症状が現れ、その中には不眠、不安、意識障害、軽いまたは部分的な麻痺、興奮、幻覚、混乱、流涎 hypersalivation、嚥下困難、強水症 hydrophobia などがある。これらの症状が発現すると確実に数日後に死亡する。恐水症は水を恐がるのではなく,咽頭の筋肉が麻痺しているために水などの液体を飲み込めない状態を指す。唾液を飲み込むこともできないため流涎が過剰になる。1990年以降に報告された米国内のヒトの狂犬病は約27例と極めてまれであるが、(東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど)他の地域はずっと多い。ヒトの感染例は動物の発生数に比例する。米国など先進各国では、動物における疾患対策が大きな成果を上げたことが、そのままヒトの狂犬病症例数減少につながった。米国内で,ヒトの狂犬病症例数は非常にまれである一方、狂犬病の可能性のある動物に曝露したことによる予防治療を受ける人は毎年1万6000人から3万9000人いる。
死亡後の狂犬病の診断は、脳の組織(髄膜 medulla、小脳 cerebellum、海馬 hippocampus など)の検査によって行われ,剖検が狂犬病診断の重要な位置を占めている。剖検により,狂犬病が疑われるが確定診断されていない患者や臨床症状から全く狂犬病を疑われていなかった患者に (狂犬病の確定) 診断が下されることによって,1) 疫学調査 the public health investigation のきっかけとなり、2) 市民が注意喚起され、3) 曝露が起きた際の受診の重要性が再認識され、4) 狂犬病に関する情報の蓄積される、ことにつながる。診断が確定されている場合には治療法の検討に対する病理学的情報を与えてくれる。狂犬病の疑い例や確診例の死体との接触は不安材料ではあるが、これまでに、ヒト及び動物の死後剖検を行った人の狂犬病感染例の報告はない。生前の患者であっても、ヒト-ヒト感染伝播の報告は、臓器や組織移植による非常にまれなケースに限られている。狂犬病ウイルスの空気感染については research laboratory setting を除いて確実に記述された報告はない。CDC と WHO はともに、狂犬病の患者から医療従事者への感染リスクは他のウイルスや細菌感染と同じかそれ以下としている。さらに曝露例に対する暴露後感染予防 rabies PEP がある。とはいえ、狂犬病によりほとんどすべてが死の転帰をたどることから、両機関とも狂犬病の患者や死体と接触があったすべての人々に対して  recommended precautions に従うよう求めている。剖検時のわずかな狂犬病感染リスクは、careful dissection techniques と N95 or higher respirator, full face shield, goggles, gloves, complete body coverage by protective wear, and heavy or chain mail gloves (?) to help prevent cuts or sticks from sharp instruments or bone fragments などの防護によってさらに小さくすることができる。oscillating saw ではなく handsaw rather を用い、頭蓋骨の除去時にのこぎりが脳組織に触れないよう注意することで Aerosols を最小限にすることができる。作業中および作業後の環境や器具の消毒には10%の次亜塩素酸ナトリウム溶液が推奨されている。(入室は)作業に直接関わる人だけに限るべきである。剖検の作業に当たって事前のワクチン接種は勧められていない。患者の唾液や他の感染性部位(神経組織など)にキズや粘膜が触れた場合には、PEP (post exposure prophylaxis) of autopsy personnel を勧めている。出典]