2011年5月8日-11日

肺線維症 韓国
コレラ O75 米国
◎ 狂犬病 死後剖検の重要性・作業中の注意

● 肺線維症 韓国
PRO/EDR> Pulmonary fibrosis - South Korea: (Seoul) RFI 20110511.1447
 情報源 Korea Joongang Daily、2011年5月11日
国内各地で8人の患者が原因不明のウイルスに感染し、このうちの1人が10日死亡した。妊娠9か月のこの36歳の女性は、肺線維症 Pulmonary fibrosis を契機に起きた多臓器不全と脳卒中により、ソウル市内の病院で死亡した。当局 The Korea Centers for Disease Control [KCDC] and Prevention は10日、死亡まで1か月間にわたってソウル市内の総合病院で集中治療が行われていたことを明らかにした。赤ん坊は救命されている。the KCDC によると、この患者は、同じ病院で治療中の、原因不明の同じウイルスによると考えられる、様々な程度の症状の患者8人のうちの1人で、いずれも当初は別々の病院で治療を受けていたが、その後同院に転送された。1つの病院内で感染が起きたわけではない、と説明されている。8人の患者のうち、死亡した患者を含む7人が妊婦、もしくは最近出産した患者で、1人は40歳代の成人男性である。1人が治療後退院し、もう1人が、治療が成功しなかったため、肺移植を受けている。死亡した36歳の患者は、4月8日にひどい風邪かインフルエンザのような症状のため医療機関を受診した。同11日にソウルの病院に急送された。治療が行われたが、急速に肺線維症 pulmonary fibrosis, or scarring of the lungs が進行した。脳出血を起こした後、5月10日に死亡した。この原因不明の疾患について不安が広がる中、保健当局は、細菌感染症や免疫疾患など、他の可能性についても調査を行っている。病院で行われた検査では、2人の患者に、かぜのウイルスである adenovirus and coronavirus が見つかっている ...
[Mod.TY- ウイルス疾患とした根拠が見当たらない]
[Mod.CP- Pulmonary fibrosis には様々な原因があり、慢性炎症 chronic inflammatory processes (sarcoidosis, Wegener's granulomatosis)、感染、環境因子 environmental agents (asbestos, silica, exposure to certain gases)、放射線曝露 exposure to ionizing radiation (such as radiation therapy to treat tumors of the chest)、慢性疾患 chronic conditions (lupus, rheumatoid arthritis)、薬剤などである。過敏性肺臓炎 hypersensitivity pneumonitis と呼ばれる病態では、吸入されたダストや職業上の化学的曝露に対する、過剰な免疫反応によって、肺の線維化が進行する。吸入されるダストに、細菌、真菌、動物製品が含まれていると、より発生しやすい。一部の患者では、特定の原因が無く、肺の慢性炎症や線維化が進行することがある。このような患者の多くが、治療抵抗性の特発性肺線維症 idiopathic pulmonary fibrosis (IPF) と呼ばれる疾患の患者であり、一部は、免疫抑制療法による治療の効果が期待できる、非特異的間質性肺臓炎 nonspecific interstitial pneumonitis (NSIP) などの患者である。 (より詳しい情報)このソウルの病院内の8人の患者が、ウイルスなどの感染症が原因とされる直接的証拠がない]

● コレラ O75 米国
PRO/EDR> Cholera O75 - USA: (FL) raw oysters, warning 20110511.1443
 情報源 Agence France-Presse (AFP)、2011年5月10日
フロリダ Florida 州北部でコレラ Cholera 菌に汚染された生ガキを食べて、11人もの人々が発病したと10日当局が発表した。New Orleans からメキシコ湾沿いに約480km離れた、Apalachicola Bay (near Panama City in northern Florida,) で採取されたカキで、当局 the FDA はこれを摂取しないよう注意を呼びかけている。患者は11人と報告されているが、the FDA がこれまでに確認しているのは8人で、"原因はコレラ菌 O75 toxigenic _Vibrio cholerae_ O75 によるもので... 入院したり死亡したりした人はいない" と当局者が発表した。2000年から2010年の期間中、toxigenic _V. cholerae_ O75 infection による患者の報告は合計17人で、水温が上昇する季節に最も多いという。FDA によるとカキが採取されたのは3月21日から4月6日までの期間の Area 1642 in Apalachicola Bay で、4月29日以降この地域でのカキの採取は禁止されている ... この地域では、州内の約10%のカキが採取され、主に Florida, Georgia, and Alabama で消費されていた。
[Mod.LL- _V. cholerae_ serotype O1 and O139 と違い、the non-O1,non-O139 _V. cholerae_ (NCV) がコレラの感染流行に関係することはないが、sporadic cases or small outbreaks of gastrointestinal disease と関係することがある。しばしば、腸管外感染、たとえば創感染や敗血症の原因となることもある。数種類の NCV strains は、cholera enterotoxin を産生し、脱水を伴う大量の下痢を引き起こす。他の数種は、別の毒性遺伝子 other virulence genes を有しており、より軽症の消化器症状を惹起する。NCV infection において、典型的な米のとぎ汁様の便や脱水症状を起こすことはまれで、むしろ cholera enterotoxin production を疑わせる。
米国初の O75 感染の集団発生報告: Severe diarrhea caused by cholera toxin-producing _Vibrio cholerae_ serogroup O75 Infections Acquired in the Southeastern United States. Clin Infect Dis. (2008) 47(8): 1035-40]

◎ 狂犬病 米国,インドネシア,メキシコ(3件)

米国
PRO/AH/EDR> Rabies - USA: (CA) 20110511.1442
 情報源 The Times-Standard、2011年5月10日
Humboldt County の保健当局は9日、郡内では初めて狂犬病 Rabies 患者発生が確認されたことを受け、全面的な調査を開始した。Willow Creek の住民であるこの患者は、現在 the UC Davis Medical Center に入院中で危険な状態にある。6日 The Centers for Disease Control and Prevention により狂犬病と診断され、7日の2度目の検査でも同じ結果となった。当局者の知る範囲では Humboldt County 初の狂犬病患者であるという。狂犬病を感染させた動物の種類については分かっていない ...
[Mod.TG- 狂犬病は予防可能な哺乳類のウイルス性疾患で、狂犬病に感染した動物の咬傷により感染伝播されることが最も多い。the Centers for Disease Control and Prevention (CDC) に報告される狂犬病症例の大多数が、アライグマ、スカンク、コウモリ、キツネなどの野生動物である。狂犬病ウイルスは中枢神経系に感染し、最終的に脳の病気を発症し死亡させる。ヒトの感染の初期症状は、ほかの多くの病気と違いがなく、発熱、頭痛、全身衰弱、不快感などである。進行すると、より特徴的な症状が現れ、その中には不眠、不安、意識障害、軽いまたは部分的な麻痺、興奮、幻覚、混乱、流涎 hypersalivation 、嚥下困難、強水症 hydrophobia などがある。これらの症状が発現すると、確実に数日後に死亡する。強水症は水を恐がることを意味するが、これは患者が水を怖がっているのではなく、咽頭の筋肉が麻痺しているために、水などの液体を飲み込めないことによることを指摘しておきたい。唾液を飲み込むこともできないため、流涎が過剰になる。米国内のヒトの狂犬病は、1990年以降に報告されたのが約27例と極めてまれであるが(東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど)他の地域ではこれよりもずっと多い。ヒトの感染例は動物の間での発生数に比例する。米国など先進各国では、動物における疾患対策が大きな成果を上げたことが、そのままヒトの狂犬病症例数減少につながった。米国内でのヒトの狂犬病症例数は非常にまれであるが、一方で狂犬病の可能性のある動物に曝露したことによる予防治療を受ける人は毎年16000人から39000人いる。
死亡後の狂犬病の診断は、脳からの組織 (髄膜 medulla、小脳 cerebellum、海馬 hippocampus など)の検査によって行われる。剖検が狂犬病診断の重要な位置を占めている。剖検を行うことで、狂犬病が疑われるが確定診断されていない患者や、臨床症状からは全く狂犬病を疑われていなかった患者に (狂犬病の確定) 診断が下されることによって、1) 疫学調査 the public health investigation 2) 市民が注意喚起され、3) 曝露が起きた際の受診の重要性が再認識され、4) 狂犬病に関する情報の蓄積されることにつながる。診断が確定されている場合には、治療法の検討に対する病理学的情報を与えてくれる。狂犬病の疑い例や確診例の死体との接触は不安材料ではあるが、これまでに、ヒト及び動物の死後剖検を行った人の狂犬病感染例の報告はない。生前の患者であっても、ヒト-ヒト感染伝播の報告は、臓器や組織移植による非常にまれなケースに限られている。狂犬病ウイルスの空気感染については、research laboratory setting を除いて、確実に記述された報告はない。CDC と WHO はともに、狂犬病の患者から医療従事者への感染リスクは、他のウイルスや細菌感染と同じかそれ以下としている。さらに曝露例に対しては暴露後感染予防 rabies PEP がある。とはいえ、狂犬病によりほとんどすべてが死の転帰をたどることから、両機関とも、狂犬病の患者や死体と接触があったすべての人々に対して、recommended precautions に従うよう求めている。剖検時のわずかな狂犬病感染リスクは、careful dissection techniques と N95 or higher respirator, full face shield, goggles, gloves, complete body coverage by protective wear, and heavy or chain mail gloves (?) to help prevent cuts or sticks from sharp instruments or bone fragments などの防護によって、より小さくすることができる。oscillating saw 電動ノコギリではなく handsaw 手動のものを用い、頭蓋骨の除去時にのこぎりが脳組織に触れないよう注意することで Aerosols を最小限にすることができる。作業中および作業後の環境や器具の消毒には10%の次亜塩素酸ナトリウム溶液が推奨されている。(入室は)作業に直接関わる人だけに限るべきである。剖検の作業に当たって事前のワクチン接種は勧められていない。患者の唾液や他の感染性部位(神経組織など)に、キズや粘膜が触れた場合には PEP (post exposure prophylaxis) of autopsy personnel を勧めている。出典]

インドネシア
PRO/AH/EDR> Rabies - Indonesia (11): (BA)
Archive Number: 20110509.1432
 情報源 The Jakarta Post、2011年5月6日
Buleleng Regional Hospital において15日、16歳の少年1名が死亡し、狂犬病 Rabies による死亡が疑われている。2008年11月の発生以来、狂犬病による島内で147人目の死亡となった。患者の家族はおよそ1年前に Banjar 内の居住していた村でイヌにかまれていたことを明かにした。島内では1日に130例のイヌ咬傷が発生している。

メキシコ
PRO/AH/EDR> Rabies - Mexico: (TY) canine, human exposure 20110508.1420
 情報源 eluniversal.com.mx [in Spanish]、2011年5月6日
Hidalgo の保健当局者が、州南部の Tizayuca Municipality における狂犬病感染発生を受け、疫学的注意喚起とワクチン接種活動の強化を行っている。the El Cid community の市民による当初の報告によると、1頭のイヌが攻撃的な行動をとり、他の5頭を襲って、このうちの2頭が死亡した。同日、Tizayuca から11km離れたTecamac, in Mexico State でも、狂犬病のイヌが捕獲されている。Tizayuca のイヌは捕まっていないが、死亡したと考えられている

● 水痘 インド
PRO/EDR> Chickenpox, children - India: (AS)
Archive Number: 20110511.1453
 情報源 The Assam Tribune、2011年5月9日
State witnessing spurt in chickenpox cases
Guwahati をはじめとする州内各地で、小児の水痘 chickenpox [varicella] 患者が急増している。小児で多数の患者が発生している。感染力が強く、直接患者と接触がない場合でも感染する恐れがある。くしゃみや咳などによって空気感染する病気で、原因は、成人の帯状疱疹の原因ウイルスと同じ varicella-zoster virus [now human herpes virus 3] の感染による ...
[Mod.CP- ... Chickenpox は highly infectiousであり、直接の接触のほか、感染患者の咳やくしゃみによって空気中から感染したり、 皮膚病変からのエアロゾル化されたウイルス aerosolization of virus from skin lesions. によっても感染が起きる。chickenpox の患者は、発疹が現れる1-2日前から、すべての水疱が痂皮化するまで、感染性 contagious を有している。曝露後、発病までに10-21日間かかる。小児では、病悩期間がおよそ5-10日間であることが多い。高熱、激しい掻痒、不快な発疹 uncomfortable rash、脱水や頭痛などが認められる。さらに、ワクチンを接種されていない小児が感染すると10人に約1人の割合で合併症が起きる。合併症としては、皮膚病変の感染、嘔吐や下痢による脱水、より重篤なものでは肺炎や脳炎がある。成人、乳児、青年、長期のステロイド使用や病気による免疫低下のある患者らのグループは、より重篤な合併症を伴って重症化しやすい。重篤な合併症としては、皮膚、皮下組織、骨、肺、関節、血液などさまざまな部位の細菌感染や、ウイルス肺炎、出血、脳炎など、ウイルスの直接的な関与によるものがある。一部の国々では、ワクチンが使用できるがインドでは入手できない。MMR ワクチンと一緒に2回接種することで、小児では high degree of protection が得られる]

● チクングニア熱 ニューカレドニア
PRO> Chikungunya (12): New Caledonia 20110511.1446
 投稿者 Institut Pasteur of New Caledonia Laboratoire d'Epidimiologie Moleculaire、Myrielle Dupont-Rouzeyrol、2011年5月11日
2月末,ニューカレドニア域内で初めての自所内感染例 (20110308.0759)があった。系統発生学的解析により 3 distinct lineages of CHIKV strains が存在すると考えられている: West Africa, Asia, and East/Central/South Africa (ECSA)。インド洋の島嶼のウイルスは the ECSA group 由来と考えられる。strains of Indian Ocean Islands の E1 遺伝子の塩基配列解析で、position 226 (E1-A226V) の alanine が valine に置換されていることが示されている。この置換により、インド洋の島々に続いてアジアや欧州 (イタリア) において、ヒトスジシマカ _Aedes albopictus_ によるチクングニアウイルス CHIKV の感染伝播が起こりやすくなった (潜伏期間 extrinsic incubation period の短縮と、ベクター内でのウイルス増殖率の上昇)。このような変化が、これらの地域の the transmission and spatial distribution of CHIKV をもたらせた。ニューカレドニアにはヒトスジシマカがいないため、ベクター the putative vector of CHIKV はネッタイシマカ _Aedes aegypti_である。Institut Pasteur, Paris において the 1st New Caledonian autochthonous isolate of CHIKV のE1 遺伝子を解析した結果、The New Caledonia/2011 CHIKV strain は、position E1-226 に alanine を有していた。系統発生学的解析により、このウイルスは the Asia lineageに属し、the Indonesian origin of the imported cases であることを裏付ける結果となった。(20110226.0631)

● 野兎病 ドイツ,トルコから
PRO/AH/EDR> Tularemia, imported - Germany: (Berlin) ex Turkey, alert
Archive Number: 20110510.1441
 情報源 Eurosurveillance 2011; 16(18) 5月5日
Tularemia in Berlin -- 2 independent cases in travelers returning
from Central Anatolia, Turkey, February 2011
This report describes 2 epidemiologically independent infections with _Francisella tularensis_ subspecies _holarctica_ detected in Berlin in February 2011 that were acquired in central Anatolia, Turkey. 

● ペスト 米国
PRO/AH/EDR> Plague - USA (02): (NM) bubonic
Archive Number: 20110510.1439
 情報源 NY Daily News 5月8日
ニューメキシコ New Mexico 州の58歳男性が最近腺ペスト bubonic plague の治療を受け,2011年初の感染例となった。

● C型肝炎 カナダ
PRO/EDR> Hepatitis C - Canada: (QC)
Archive Number: 20110510.1438
 情報源 Le Journal de Montreal [in French] 5月9日
Hepatitis C epidemic -- 1000 cases per year
Little known before the early 2000s, hepatitis C virus (HCV) infection has reached epidemic levels in the Montreal area. There have been about 1000 new cases annually during the past 4 to 5 years

● 麻疹 スペイン、ドイツ、スイス、チリ、米国
PRO/EDR> Measles update 2011 (12) 20110509.1430
[1] スペイン (Canary Islands)
British and German tourists bring measles to the island
 情報源 La Opinion de Tenerife [in Spanish]、2011年5月5日
The Canary Islands は最悪の麻疹 Measles 感染流行に苦しんでいる。4月には、Tenerife で 25人の感染が確認されている。今回の事態は、Santa Cruz に住む生後14か月の乳児1名の感染から始まった。ワクチン反対運動 "anti-vaccine movement" が盛んな英国か、それほど活発ではないものの運動が広がっているドイツから持ち込まれた可能性が最も高い ... やや長文です
[2] ドイツ (Frankfurt) Measles on rise in Frankfurt
 情報源 Frankfurter Rundschau [in German]、2011年5月6日
市保健当局 The Municipal Health Department は、麻疹感染流行が小児以外の若年者や成人にも拡大していることから、教職員らに対しても、麻疹ワクチンの接種を受けるよう呼びかけている。フランクフルトでは、他の欧州の都市と同じように、多くの学齢期の小児らに麻疹感染が広がっている。the Easter vacation を前に、当局は、2000人以上の生徒らの接種記録 the vaccination certificates をチェックした。当局者によると、事前に周知していたにも関わらず、200人の生徒らが必要な書類 the requisite documentation を持っていなかった ... 現在フランクフルト市内で麻疹と診断された患者は45人で、13人が若年者であり、うち11人が入院となっている。
[3] スイス (Geneva, Vaud) French measles outbreak hits Switzerland
 情報源 World Radio Switzerland (WRS)、2011年5月5日
2011年のスイス国内の麻疹患者は、これまでに337人に増加した。2010年1年間の患者数の4倍にまで達している。これはフランス国境を超えて感染が拡大しているためである、と当局者は述べた。約半数は Geneva の患者で、残る78 cases は the Canton of Vaud の患者である。
[4] チリ (Santiago)
1st outbreak of measles in 8 years prompts revaccination of 1.5M Chileans

 情報源 La Tercera [in Spanish]、2011年5月7日
3月に、35歳の父、34歳の母、10歳の娘の3例の麻疹患者が発生したことを受け、注意が呼びかけられている。この家族らのほか、Santiago 東部の女性1名と、この女性を診察した医師の感染が確認されている。乳児以外の、30-37歳の男女が感染している点が懸念されている。いずれの患者にも、母国を離れて来ているか、もしくは旅行者との接触があったかのいずれかの共通点がある。国内では8年間麻疹の感染伝播は発生していなかったため、保健省の専門家らは、重く見ている ...
[5] 米国 USA
 - (overall) US on track for most measles cases in a decade
 情報源 Sci-Tech Today, Associated Press (AP) report、2011年5月5日
 - (California) Measles outbreak on Mendocino County coast
 情報源 PressDemocrat、2011年5月2日
 -(Kansas) 2 more measles cases in Johnson County
 情報源 The Kansas City Star、2011年5月2日
 - (Pennsylvania)
 情報源 Doylestown-Buckingham-NewBritainPatch、2011年5月5日
 - (Pennsylvania)
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) News、2011年5月6日
- (Utah) Utah County student doesn't have measles
 情報源 The Salt Lake Tribune、2011年5月6日

● ハンタウイルス チリ、アルゼンチン、パナマ
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2011 - Americas (25): CL, AR, PA 20110509.1429
[1] チリ (Araucania)
 情報源 Radio Bio-Bio [in Spanish]、2011年5月6日
当局 the SEREMI [Secretaria Regional Ministerial de Salud; Regional Ministerial
Secretariat of Health] によって、the Temuco Regional Hospital の迅速検査で陽性となったthe Pucon community の女性1名の死亡が確認されたのに続き、新たに1名の感染が判明した 。この35歳の女性患者は、the Pucon community から危険な状態で the Hernan Henriquez Hospital in Temuco に転送され、6日に死亡した。この湖水地方にある辺境地在住の女性は、迅速検査の結果が陽性となり、ハンタウイルス Hantavirus 感染による死亡と考えられている。今回の死亡は、2011年の the Araucania region における4人目のハンタウイルス感染死となった。他の3人は the Cunco community で死亡している。
[Mod.TY- おそらく Andes virus によると考えられる]
地図 the Araucania region
[2] チリ (Los Rios)
 情報源 Chile.com [in Spanish]、2011年5月5日
5日、the Valdivia Hospital Base in the Los Rios region に良好な状態で入院となった、37歳男性1名のハンタウイルス感染が新たに判明した。この男性は、 the Los Lagos community において、キノコ狩りをした際に感染したと見られている。2011年、この地域でハンタウイルスに感染したのは6人目であり、他は Corral port の感染患者であり、2人が死亡している。
[3] アルゼンチン (Neuquen)
 情報源  La Manana Neuquen [in Spanish]、2011年5月7日
Chos Malal から60kmの the El Cholar locale, located in the Norquin department [Neuquen province] で、若い男性1名が、ハンタウイルス感染により死亡した。この男性は、市内で勤務する the Ente Provincial de Energia del Neuquen の従業員であった。19日前に死亡したと当局が発表した ...
[Mod.TY- アルゼンチンのハンタウイルスの種類について]
[4] パナマ (Los Santos)
 情報源 La Estrella [in Spanish]、2011年5月5日
the Azuero region で5日、当局により2人目のハンタウイルス感染が確認された。the El Cacao de Tonosi in Los Santos [province] 在住の20歳の女性で、the Pablo Franco Sayas Hospital in Las Tablas の集中治療室に移送されたが、状態は安定している。4月11日に、保健省 the Ministry of Health (MINSA) は、Veraguas province の2011年第1例目となる、ハンタウイルスによる30歳前後の男性の死亡例を確認している ... 当局のデータによると、1991年から2010年までの間に、パナマ国内で104例の患者と少なくとも29人の死亡が記録されている。
[Mod.TY- The 11 Apr 2011 edition of La Estrella (20110415.1190)において、 "パナマ国内では、1999年に初めての患者が発生してから今日までに、約150例の患者が報告され、うち30人が死亡している" と記載されていて、上記報告の数字よりかなり多い。報告には無いが、パナマ国内で、病原ウイルスとして最も可能性の高いのは Choclo virus. である。20081027.3389 にあるように、Panama で確認されている hantaviruses (and their rodent hosts) としては、 Rio Segundo (_Reithrodontomys mexicanus_), Choclo (_Oligoryzomys fulvescens (costaricensis)_), and Calabazo (_Zygodontomys brevicauda (cherriei)_). があり、この3種類のウイルスのうち、ヒトに対して病原性を持つことが知られているのは、Choclo だけであり、死亡率の高い hantavirus pulmonary syndrome を発症させることがある]
写真 the pygmy rice rat (_Oligoryzomys fulvescens_)  
地図

● デング熱
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2011 (19)
Archive Number: 20110510.1437
ブラジル,ボリビア,アルゼンチン,サウジアラビア,米国

● 黄熱 ケニア 否定
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Africa (18): Kenya (BA) not 20110508.1422
[1] 投稿者 ケニア・The Director Ministry of Public Health and Sanitation、Dr David Mutonga、2011年5月6日
KEMRI [Kenya Medical Research Institute] で行われた Baringo からの検体の検査が終了し,以下の報告を受けている
Summary of results

1. All samples were negative by IgM ELISA (NO evidence of acute yellow fever [virus] infection)
2. One sample was weakly positive by IgG ELISA (evidence of previous exposure or vaccination)
3. All samples were negative by RT-PCR (flavivirus, YF [yellow fever], DEN [dengue], and WN [West Nile viruses]).
NO evidence of acute infection by any of these viruses.
[2] 情報源 AllAfrica, Daily Nation (Kenya) report、2011年5月4日
政府当局は、Baringo and the country in general における黄熱感染流行発生への不安を否定した
[3] 情報源 Daily Nation、2011年5月5日
公衆衛生相が5日、黄熱を確定診断された症例がいなかったことを明らかにした
関連項目 20110424.1280

● 鳥インフルエンザ FAO
PRO/AH/EDR> Avian influenza (43): world update, FAO 20110511.1445
 情報源 FAOAIDE (Animal Influenza Disease Emergency) News, situation update 77、2011年5月10日
At a glance: the latest HPAI outbreaks for the period 1-30 Apr 2011
アフリカ
 -エジプト: 30 H5 HPAI positive cases were reported in 13 governorates: Behera (5), Beni Suef (1), Damiyatta (2), Fayoum (5), Gharbia (1), Helwan (1), Luxor (1), Menoufia (6), Minya (1), Kafr
el-Sheikh (1), Qena (2), Sharqia (1), Sixth of October (3) Governorates (number of outbreaks in brackets).
28 were in backyard poultry (chickens, ducks, and geese) and 2 were in commercial chicken farms
 -南アフリカ: H5N2 HPAI outbreak was reported in 9 ostrich farms in Western Cape Province.
近東
 -イスラエル (A marsh harrier (_Circus aeruginosus_) tested positive for H5N1 HPAI)
アジア
 -バングラデシュ: A total of 12 H5N1 HPAI outbreaks
 -インドネシア: H5N1 HPAI outbreaks occurred from 30 March to 6 April 2011 in 18 villages in Gorontalo Province in the north of Sulawesi Island
 -韓国: An outbreak of H5N1 HPAI occurred on 6 Apr 2011 in a layer farm with 13 200 chickens in Yeoungcheon-si, Gyeongsangbuk-do.
 -ベトナム: H5N1 HPAI outbreaks in 6 provinces were reported in: the Red River Delta Provinces of Ha Nam; the North East Provinces of Bac Kan; the North Central Coast Provinces of Quang Tri; the South Central Coast Provinces of Quang Ngai*; the Central Highland Provinces of Dak Lak; and the Mekong River Delta Province of Vinh Long*.
[Mod.AS- On Wed 20 Apr 2011, "The Jakarta Post" published a report titled "Avian flu outbreak hits Klungkung after religious ritual" の報告がある ... タイや中国で感染ベクターとなった、闘鶏を含む儀式に関連するとの見方がある。これまでに Klungkung (Bali) での感染が報告されたことはないので確認が急がれる]

● 口蹄疫 英国 Science
PRO/AH> Foot & mouth disease - UK: research 20110509.1431
[1] Relationship between clinical signs and transmission of an infectious disease and the implications for control
 情報源 Science、2011年5月6日
要約
様々な感染症への対策において、感染例の検出と、症例及び接触例の隔離 ・ 治療が重要である。このような "reactive" strategies の成否は、発症前に発生する the fraction に影響される。今回、ウシの口蹄疫感染に関する実験的研究を行ったところ、この the fraction の重要性 value は、感染性の基準評価法 the standard proxy measure である体液中で確認されるウイルスに対し、1/2未満であることが判明した。これは、感染伝播期間 the infectious period が、従来考えられていたより短期間 (mean 1.7 days) であることと、通常動物は、発症から平均半日後まで感染性が認められないことによる。これらの結果から、議論のある先制対策 preemptive control measures は不要だと結論付けた;それよりも early detection of infection and rapid intervention に専念すべきである。
[2] Foot-and-mouth disease detectable before it turns infectious, scientists say
 情報源 The Guardian、2011年5月5日
Research suggests pre-emptive mass culling of cattle may not be necessary ...
[3] [re: FMD detectable before it turns infectious, scientists say]
 投稿者 米 ・ Roger Breeze、2011年5月5日
the 2001 foot-and-mouth epidemic に関係する、研究者及び英国の獣医学当局者らは、2001年初より a real time PCR test によって、何らかの感染症状を発症する24時間から96時間前に、また、細胞培養により動物からウイルスが分離される以前に、ウシ、ブタ、ヒツジの口蹄疫感染の有無を確認できることを知っていた。また、 real time PCR test を、設備のない現地 the site of the potential foot-and-mouth outbreak で使用できることも分かっていた ... おおむね賛意の文。

● 原因不明の大量死、魚類 米国
PRO/AH> Undiagnosed die-off, fish - USA (04): (WI) crappie 20110508.1421
 情報源 Wausau Daily Herald、2011年5月6日
Fish in Lake DuBay found dead from virus

Lake DuBay and the Stevens Point Flowage で大量の black crappies が死亡しているのが発見され、当局はなぜ1種類の魚だけが死亡したのかについて調査を行っている。当局 Wisconsin Department of Natural Resources (DNR) の専門家らに魚類の死亡が知らされたのは4月25日のことで、3 year old black crappies.を中心に発生した病気の原因はウイルス感染であると見られている。(州内の) 他の水域でも症例が確認されているウイルスと同じものと考えている、と述べた。the Great Lakes で多数の魚を死亡させている、viral hemorrhagic septicemia, or VHS, の症状とは一致していない