2011年7月13日

原因不明の死亡-台湾 神経毒疑い
原因不明の小児の発熱死亡例-コンゴ民主共和国
マラリア-コモロ諸島
抗生物質耐性-日本 淋菌,欧州

● 原因不明の死亡-台湾 神経毒疑い
PRO/AH/EDR> Undiagnosed deaths - Taiwan: (NT), neurotoxin susp, RFI
Archive Number: 20110713.2123
CDC marks little progress in probe of fatal toxic infection
 情報源 The China Post、2011年7月12日。
Hsinyi Township (Nantou County [Taiwan province] )の5人の死亡原因となった有毒細菌 the toxic bacteria については今も明らかになっていないが、細菌の感染源は死亡した夫婦の自宅だけに限られていると考えられると、11日 the deputy director of the Centers for Disease Control (CDC) が述べた。同副局長は記者会見の場で、2組の夫婦が死亡した原因が神経毒 neurotoxin である可能性が最も高いが、5人目の死亡患者は別の原因によるとの見方を示した。5人の患者から採取された血液検体についての、the nature of the toxin の検査が法医学研究所 the Institute of Forensic Medicine under the Ministry of Justice (MOJ) において行われた。他の検体 physical samples については微生物学的検査が行われた。初期検査では Hsinyi Township の5人の原因不明の死亡につながる有毒細菌として、ボツリヌス菌 _Clostridium botulinum_, 破傷風菌 _Clostridium tetani_, and コレラ菌 _Vibrio cholerae_ などの細菌は除外されている。当局は、米国や日本からの支援を求めなければならないかも知れないと述べた。
[Mod.TG- neurotoxin の種類、どこからの由来か、どのようにして体内に入り、あるいは死者が曝露したのか、などの点に疑問がある]

● 原因不明の小児の発熱死亡例-コンゴ民主共和国
PRO/AH/EDR> Undiagnosed febrile child fatalities - Congo DR: (ET) RFI 20110713.2121
 投稿者 Praecipio International、James M. Wilson V, MD、2011年7月9日。
Gemena (NW Equateur Province, DRC) に長年滞在する信頼できる情報源からの、pediatric fatalities に関する報告の経過を追っている。症例が報告されている地域は、Gemena and east towards Karawa (as far as 80 km and 300 km west and east of Gemena, respectively) である。報告が最も多かったのは4月と5月であるが、現在も死亡例や医療機関への負荷の報告が続いてる。臨床症状として、高熱(38-40℃)、嘔吐、貧血、頻回の下痢、脱水、2-5日以内の死亡などがあり、腹痛、発疹、出血、黄熱などは見られないとされている。これまでに明らかになった疫学上の特徴は、beyond the above (?): (公式の疫学調査を伴わない)現場からの報告によると、少なくとも、過去3年間で経験した数を超える小児死亡が確認されている。想定され病因として、熱帯熱マラリアと腸チフスなどがあげられる ... こどもが入院中の友人による、小児死亡が続発する病院内の様子、ポリオワクチンが進まない現地の状況、WHO からの支援を得られないこと、市場の中国製品が増えていることへの不安、ヤギの死亡増加など。
[Mod.EP- 熱帯熱マラリアを上位にあげることに賛成だが、the NW Equateur province は、絶え間ない感染 perennial transmission の hyper-endemic 地域であり、このような条件下でマラリアが流行することは通常では起こりにくい。貧血症は、重症感染症の非特異的症状であるが、マラリアでは特に重症化する。2006年にこの地域で E 型肝炎流行が報告されているが(今回) 黄疸は報告されていない。数百 km 離れた地域間で腸チフスの感染流行が水系伝播するとは考えにくい。発疹がないため麻疹とサル痘が、また、出血ないことから黄熱などの出血熱が除外される。リケッチアやボレリア _Borrelia recurrentis_ などのダニ媒介性感染症は、大規模な流行にはなりにくい。デング熱も死亡例では高い割合で出血が予想される。トリパノソーマ症ならもっと成人の患者が多くいるはずである。現地ではポリオワクチンが問題視されているようだが、その可能性は極めて低く、すぐに調査できる。中国製品の増加が懸念されており、メラミン製品による腎不全では発熱も認められる]

● E 型肝炎-インド、水系感染
PRO/AH/EDR> Hepatitis E - India: (RN) Jaipur, water-borne 20110713.2119
 情報源 The Times of India、2011年7月12日。
水系感染症である E 型肝炎 Hepatitis E が、ジャイプール Jaipur において脅威となりつつある。市内で感染が拡大するとすれば、それは、飲料水の汚染につながった40年を経過した下水道が原因とされるだろう。専門家によると、若年者のおよそ60-65%が carriers of hepatitis E virus であり、パイプラインを通して供給されるウイルスに汚染された飲料水が、感染拡大の主要因の1つである。また、妊娠女性はこの感染症にかかりやすいとされている

● マラリア-コモロ諸島

PRO/EDR> Malaria - Comoros 20110713.2118
 情報源 Afriquejet [in French]、2011年7月12日。
過去1年間に53人 (51 from Grande-Comore and 2 from Anjouan) がマラリア Malaria で死亡した。the island of Moheli では死者は報告されていない。2010年3月と2011年4月は、死者が報告されなかった。この報告 the annual report of the National Fight Against Malaria (PNLP) によると、2011年のこれまでに、103670人の患者が報告されており、内訳は、76 060 were from Grande Comore, the largest island in the Comores, followed by 24 050 cases on Anjoun and 3350 cases at Moheli, the smallest of the islands となっている。2010年の the Comores Islands の患者数は合計 57 084 cases であったことから、当局はその増加に驚いている。蚊帳 impregnated mosquito nets と無料の抗マラリア薬 Coartem の配布により、the Comores Islands のマラリア患者数が減少することを期待している、と当局は述べた ... マラリア患者の41%が5歳未満の小児で、昨年1年間に、5才未満の小児の81%が1回のマラリア感染を経験している、と説明された。
[Mod.EP- 2010年の The Comores Islands の人口は、681000人と見込まれている。2011年上半期の感染患者数は、人口1000人あたり300人に相当し、非常に高率である。using impregnated bed nets and free Coartem による対策は有効ではないようである。死者数が驚異的に少ないのは、報告されていない死者が相当数あると思われる]

● 狂犬病-インド
PRO/AH/EDR> Rabies - India (14): (KA), squirrel, human 20110713.2117
 情報源 The Hindu、2011年7月8日。
狂犬病 Rabies で死亡した7才の男児は、野生リスによる咬傷が原因ではないかと見られている。Pavithreshwaram [the district of Kollam] 出身のこの小児は、4日前より入院となった病院で、6日狂犬病により死亡した。両親によると、3か月前にこの少年の叫び声を聞いたという。駆けつけると部屋からリスが飛び出ていく姿が目に入った。こどもを見てリスに咬まれたことを発見し,数種類の伝統治療が行われた。その後、学校に通うようになり、狂犬病の感染症状は一切認められなかった。しかし、5日前になって発熱、流涎、脱力などの症状が現れ、直ちに病院に運ばれた
[Mod.CP- Merritt Clifton comments: "this report にはやや懐疑的である: いずれの地域においても、リスは一般的なベクター a common rabies vector ではない。それは、感染した場合は、すぐに死んでしまうためである。しかし、リスは非常に高い熱を伴う他の致死性疾患を伝播する。患児は、狂犬病のイヌと接触した可能性も十分にあるが、proper post-exposure rabies vaccination は受けていなかったと考えられる"。一方、一部のリス some species of squirrels は、従順 docile で飼い慣らしやすいが、攻撃的なリスもいる。イランの動物咬傷に関する1件の研究で、リスは、ヒトに対する咬傷の頻度でイヌとネコに続き 3位にランクされていて、サルや他の狂犬病ベクターよりも上位に位置している ( Arch Iran Med. 2008 Mar;11(2):200-2) 。リスは狂犬病に感染する可能性があり、ヒトへの狂犬病ウイルス感染の可能性も否定できない]
地図 the Indian state of Kerala

● 抗生物質耐性-日本 淋菌,欧州

日本
PRO/EDR> Antibiotic resistance, Neisseria gonorrhoeae - Japan: ceftriaxone 20110713.2114
[1] H041 株は、全てのセファロスポリン系抗生物質に耐性
 情報源 EurekAlert! 、2011年7月10日。
国際的な研究チームにより、一部の淋菌 a strain of [_Neisseria gonorrhoeae_] が、現在使用可能な全ての抗生物質に耐性を示すことが明らかになった。この新たな株により、ありふれていて、一時は容易に治療できていた感染症を、世界全体の公衆衛生上の脅威に変えてしまう可能性がある。この研究結果は、the 19th conference of the International Society for Sexually Transmitted Disease Research (ISSTDR、10-13 Jul [2011] in Quebec City, Canada) で発表されることになっている。同チームの研究者らは、これまで知られていなかった、淋病の原因菌の変異株の発見に成功した。H041 と命名されたこの新しい株を解析した結果、最後に残されていた、淋菌治療への有効性が保たれている、全てのセファロスポリン系抗生物質にさえも耐性を付与する、遺伝子変異が同定された
[2] 日本で確認された菌株
 情報源 Mail Online、2011年7月12日。
全ての薬剤に抵抗性をもつ性感染症が発見された。さらに有効な治療法が発見されなければ、この菌 the strain of super- [_Neisseria gonorrhoeae_, 淋菌] がまたたく間に広がるだろう、と警告している。確認されたのは 1例のみであるが、専門家は、さらに多くの報告されていない症例があるのではないかと見ている。これまで淋菌は、セファロスポリンと呼ばれる抗生物質により、容易に治療できるとされてきた。患者は、単回の錠剤や注射を受けるだけで良かった。しかし、この日本で確認された新たな菌株を調べた、スウェーデンの研究者は、この数十年間に、現在の治療薬への耐性を持つように変異したと見ている ...
[関連情報 Cephalosporin Susceptibility Among _Neisseria gonorrhoeae_ Isolates -- United States, 2000-2010. MMWR 8 Jul 2011 / 60(26); 873-7]

欧州
PRO/AH> Antimicrobial resistance, human, animal - EU: EFSA/ECDC report 20110713.2108
EFSA and ECDC publish 1st joint report on antimicrobial resistance in zoonotic bacteria affecting humans, animals, and food
 情報源 European Food Safety Authority (EFSA)、2011年7月12日。
2か所の European Union agencies の研究者らが協力し、ヒト、動物および食品に感染する、人獣共通感染症の細菌の抗生物質耐性について、Member State data を解析し、初めての報告 the 1st joint EU report を完成させた。the European Food Safety Authority (EFSA) and the European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC) により編纂されたこの報告では、、動物とヒトの間で感染伝播が起こり、食品でも検出される可能性のある、_Salmonella_ and _Campylobacter_ などの人獣共通細菌に、抗菌剤 antimicrobials 耐性が認められることが示唆されている。また、通常ヒトには病原性を示さない、 indicator [?] _E. coli_ and Enterococciなどの、非病原性細菌に関する、抗菌剤耐性についても示されている ...
Key findings of the report
1. ヒト
 - カンピロバクター _Campylobacter_: ヒトにおける、抗菌剤 ciprofloxacin (47 percent) 、ampicillin (43 percent)、 nalidixic acid (40 percent) に対する高度耐性。 erythromycin 耐性は low (3.1 percent).
 - サルモネラ菌 _Salmonella_: 3rd-generation cephalosporins and fluoroquinolones への耐性は10%未満
 - 大腸菌 _E. coli_: ヒトにおける耐性に関するデータは含まれていない
2. 動物
 - カンピロバクター In animals, _Campylobacter_ also showed high levels of resistance to ciprofloxacin、in particular the case for chickens (46 percent in _Campylobacter jejuni_ and 78 percent in the _Campylobacter coli_) and also pigs (50 percent in _Campylobacter coli_).
 - サルモネラ菌 _Salmonella_: high levels of resistance were recorded for ampicillin, tetracycline, and sulphonamide in pigs and pig meat (47-60 percent), cattle (37-40 percent), and chicken meat (27-33 percent). A moderate level of resistance to ciprofloxacin was recorded in chickens and chicken meat (around 20 percent).
 - 非病原性大腸菌 Non-disease causing _E. coli_ showed high levels of resistance to tetracycline, ampicillin, and sulphonamide in pigs and chicken; and _E. coli_ was found to be resistant to ciprofloxacin in chicken (47 percent) and also in pigs (12 percent). The occurrence of 3rd-generation cephalosporin resistance was still low.
[Mod.AS- The complete Scientific Report of EFSA and ECDC (324 pages) ]

● 鼻疽、ウマ-レバノン OIE
PRO/AH/EDR> Glanders, equine - Lebanon: (BA) OIE 20110713.2122
Immediate notification、1st occurrence of a listed disease
 情報源 OIE, WAHID、2011年7月13日。
感染開始時期 2011年2月14日
病原体 _Burkholderia mallei_
新たな感染流行
発生地 Beirut
感染した種 Species Equidae
Susceptible
Cases 3
Deaths 0
Destroyed 3
Slaughtered 0

● 口蹄疫-イスラエル
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Israel (13): (HZ) RFI 20110713.2120
 情報源 Circular of Director Field Veterinary Services No 15/2011/FMD [in Hebrew]、2011年7月13日。
10日、Moshav Dalton (Upper Galilee (Regional Council Merom Hagalil) のおよそ 2km で放牧されている肉用牛に、口蹄疫 Foot & mouth disease 感染の疑いがあることが報告されている。互いに隣接し合った2か所の放牧地の2群の成牛20頭で、口部の病変が確認された

● 馬ウイルス性動脈炎-フランス
PRO/AH/EDR> Equine viral arteritis - France: (BD, HE) RFI 20110713.2116
French EVA outbreak stabilizing
 情報源 The Horse、2011年7月12日。
2 French Lusitano farms の、A stallion (雄馬), several mares (雌馬), and a foal (子馬) が、フランス国内では2007年以来となる、馬ウイルス性動脈炎 equine viral arteritis (EVA) 検査陽性であることが判明した。雌馬は流産などの不妊の症状があり、子馬は死亡した ...
参考項目 20100509.1513

● キュウリの病気,Downy mildew-カナダ、米国
PRO/PL> Downy mildew, cucumber - Canada, USA 20110713.2115
[1] カナダ (Ontario)
Downy mildew on field cucumbers detected in Ontario
 情報源 Michigan State University, Extension news for Agriculture、2011年7月6日。
Ontario [Canada] 州の Windsor の東の、1か所の pickling cucumber field で downy mildew が発見された。過去数年間は、Ontario report の 5-14日後に、Michigan [USA] の 1st outbreak が確認されている。downy mildew pathogen に、一般的な fungicides は無効である
[2] 米国 (Michigan)
Fungus wreaks havoc on Michigan crops

 情報源 FreshPlaza、2011年7月8日。
つるで成長する全ての植物に感染する真菌 The Downy Mildew fungus が、ミシガン Michigan 州の一部の農場で猛威を奮っている ...
[Mod.DHA- Downy mildew は真菌の _Pseudoperonospora cubensis_ を原因とし、ウリ科植物 cucurbits に壊滅的な被害を与える疾患でsる。_P. cubensis_ は世界中で確認されているが、熱帯および亜熱帯地域に最も大きな被害が発生している]

● 炭疽-米国
PRO/AH> Anthrax, livestock - USA (02): (KS) warning 20110713.2113
Kansas state veterinarian encourages livestock producers to watch for signs of anthrax after flooding
 情報源 Agfax.com、2011年7月12日。
米国中部の the Missouri and other rivers 流域の洪水の発生により、ウシなどの家畜の炭疽 Anthrax 感染に対する注意が呼びかけられている

● ヘンドラウイルス、ウマ-オーストラリア 
PRO/AH/EDR> Hendra virus, equine - Australia (10): (QL,NS) human exposure 20110713.2110
[1] North Queensland: new horse death
Hendra virus claims horse in north Queensland
 情報源 ABC News (Australian Broadcasting Corporation), PM Radio、2011年7月13日。
当局者 Queensland's chief biosecurity officer によると、far north Queensland のケアンズ Cairns の西の農場で、新たに1頭のウマがヘンドラウイルス Hendra virus 感染により死亡したことが確認され、この農場の他の30頭が隔離されている。12日に死亡したこのウマは、検査の結果、感染陽性が確認されたと述べた
[2] Biosecurity Queensland recommendations:Reducing the risk
 情報源 Biosecurity Queensland、2011年7月12日。
Take the following steps to reduce the risk of people and horses becoming infected with Hendra virus. This advice is based on our current understanding of the virus. 
[3] New South Wales Government recommendations
 情報源 NSW government、2011年7月12日。
当局 NSW DPI [New South Wales Department of Primary Industries] から、flying foxes のいる地域でウマを保有するオーナーへの、感染防止のためのアドバイス
飼料や水について
 -カバーを掛ける
 -果樹などの木の下に置かない
 -リンゴ ・ ニンジン ・ 糖蜜 molasses などを飼料として使わない
 -コウモリが好む開花中の樹木 flowering trees のある paddocks からウマを遠ざけ、コウモリの活動性が増す夕暮れから夜間は、paddocks からウマを連れ出す

● 小麦の病気,Stripe rust & foot rot-米国、英国
PRO/PL> Stripe rust & foot rot, wheat - USA, UK 20110713.2109
[1] Stripe rust - 米国: Pacific Northwest, new strain suspected
Disease sweeps over wheat fields
 情報源 Flathead Beacon、2011年7月6日。
低温湿潤気候による悪化で、stripe rust と呼ばれる真菌疾患が、栽培地域 the Pacific Northwest's croplands に広がり、深刻な被害が発生する恐れがでている ...
[2] Foot rot - 英国
Wheat foot rot takes advantage of dry season
 情報源 Farmers Weekly Interactive、2011年7月5日。
侵襲性の fusarium foot rot infection により、干ばつの影響を受けている東部地域で、大量の栽培小麦に被害が出ている。ear blight の原因となることが多い、一般的な真菌 the common _Fusarium culmorum_ fungus により被害が発生している ...
[Mod.DHA- Stripe rust (also called yellow rust) of cereals is caused by the fungus _Puccinia striiformis_ var. _striiformis_. ... Several species of the soil- and residue-borne fungal genus _Fusarium_ are causing a number of head blight, stalk rot, seedling root rot, and ear and stalk rot diseases in grain crops such as maize, wheat, barley, rye, and oats.]