2011年7月18日

クロストリジオイデス・ディフィシル アイルランド
トキソプラズマ症 コロンビア: 先天性

● クロストリジオイデス・ディフィシル アイルランド
PRO/EDR> Clostridium difficile - Ireland: nosocomial increased incidence
Archive Number: 20110718.2178
 情報源 The Irish Times、2011年7月8日
全国の病院から報告される、クロストリジオイデス・ディフィシル菌 _Clostridium difficile_ infection 感染症例が、2011年上半期に26%以上増加した。医療施設に関連した、この死亡する可能性のある感染症の増加については、注意深く監視している、と感染症コンサルタントであるthethe Health Service Executive の医療施設関連感染症責任者が述べた。1月から6月までに、 the national Health Protection Surveillance Centre に報告のあった感染者数はおよそ1013人で、2010年の同期には801人だった。2010年は、2009年の上半期の1090例から減少傾向を示していたが、再び増加に転じた。new European guidelines に従って、より感度の高いクロストリジオイデス・ディフィシル菌 [_Clostridium difficile_] 検査が導入されたことも、感染数増加の要因の1つと見られれている。実際に感染が増加している可能性もあるが、感染流行の件数の増加や、細菌の株の変異についての報告はない、と説明されている ...
[Mod.ML- クロストリジオイデス・ディフィシル関連腸炎 _Clostridium difficile_-associated disease (CDAD) は、下痢、偽膜性腸炎、toxic megacolon などを包括する疾患群で、入院患者の細菌性下痢や偽膜性腸炎の最も多い原因菌となっている。抗生物質の使用がクロストリジオイデス・ディフィシル _C. difficile_ 感染症の最も重要な危険因子である。北米、日本、欧州では、より毒性の強い新たなクロストリジオイデス・ディフィシル菌の発生により、Recent outbreaks of _C. difficile_-associated diarrhea では、重症化、高再発率、高致死率が認められるようになっている。toxins A and B を過剰に産生するこの新興株は North American pulsed-field type 1 and polymerase chain reaction [PCR] ribotype 027 と呼ばれている。Ribotype 027 は、以前アイルランドからも報告されている。(20070427.1377) 医療施設内での感染防止策として、入院患者におけるクロストリジオイデス・ディフィシル菌による下痢症のサーベイランス clinical and microbiologic surveillance と、速やかな _C. difficile_-positive diarrhea の患者隔離 もしくは隔離できない場合の区分化 cohorting, などの感染防止策を、 hand hygiene and control of the inappropriate use of antimicrobial agents と併せて実施することが挙げられる]

● トキソプラズマ症 コロンビア、先天性
PRO/AH/EDR> Toxoplasmosis - Colombia: congenital 20110718.2177
 情報源 Elespectador [in Spanish]、2011年7月13日
コロンビア国内の7つの市と19の病院の新生児15333人の追跡調査が、the Colombian National Study on Congenital Toxoplasmosis の研究者らによって行われ、地域ごとの感染発生率に大きな差があることが判明した。
[臍帯血中の抗体 (specific anti-Toxoplasma IgM or IgA antibodies) が確認される症例が] Florencia (Caqueta) and Armenia (Quindio) では出生100あたり 3 to 6 人 であるのに対し、Bogota, Barranquilla and Bucaramanga では 1人だった。Riohacha or Cucuta などでは出生1000に対し7人未満だった ... この結果は、the journal PLoS (Neglected Tropical Diseases) に掲載される予定となっている。さらに報告では、コロンビア国内のトキソプラズマに感染している新生児のうち25%診断されていないため治療を受けられず、死亡する例もあることも明らかにされている。"Toxoplasmosis は、新生児の失明原因の第2位で、小児衛生上、非常に重要な問題" とし,すべての妊娠女性について検査を行う必要がある、と述べられている。the EPS [Health Provider Institutions] は、妊娠初期の3か月での検査以外認めていないが、妊娠のどの時期にも感染が起きる可能性があることが問題となっている。
[Mod.EP- 水系感染による流行 Waterborne outbreaks は (カナダ、ブラジル、インドの) 水源の汚染を原因として報告されているが、地表水がトキソプラズマ抗体 IgG 陽性Toxoplasma IgG-seropositive のリスクであることが示されたのは、1件のブラジルの調査のみである (Highly endemic, waterborne toxoplasmosis in north Rio de Janeiro state, Brazil. Emerg Infect Dis. 2003;9:55-62) 。沈殿物 precipitation と toxoplasmosis トキソプラズマ症との関連性については、パイプ内のろ過が不十分であったか、もしくは地表水をそのまま使用していたことが確かめられている]

● デング熱/デング出血熱 タイ、ブラジル、フィリピン
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2011 (29) 20110718.2175
[1] タイ
 情報源 The ASTV Manager Online [in Thai]、2011年7月7日。
Maha Sarakham province においては、155人のデング熱 Dengue 感染の患者が、複数の医療施設で治療を受けたと報告されている。発生数順に、Muang district (34 cases), Phayakkhaphum Phisai (29), and Borabue (17) となっており、雨期と高温の時期であり、今後も流行が継続すると見られている。地区の当局者は、環境整備とボウフラ対策を呼びかけている。
[Mod.SCM- Maha Sarakham はタイ北東部に位置し、2010年にはデング熱による2人の死者と778人の感染患者を報告している: デング熱による 394 cases and one death、デング出血熱 dengue hemorrhagic fever (DHF) による 375 cases and one death、デング熱ショック症候群 dengue shock syndrome (DSS) による 9 cases である。報道によると、1月から7月7日までに 155 dengue cases が Maha Sarakham province で報告されている。2010年上半期の 174 cases (103 DF cases, 67 DHF cases, and 4 DSS cases) よりわずかに少ない]
[2] ブラジル Brazil in Portuguese
 - (Sergipe state). 15 Jul 2011. up to 11 Jul、デングにより2人が死亡
 - (Mato Grosso do Sul state). 12 Jul 2011. So far in 2011, 12840 dengue cases、[dengue] 3 deaths were confirmed 2 in Campo Grande and one in Paranaiba. 
[3] フィリピン (Batanes and national). 11 Jul 2011. dengue outbreak in 5 of 6 municipalities in Batanes; one death due to dengue and 901 cases (as of 25 Jun 2011) compared to only 1 case last year [2010]
発生地域: Sabtang (63 cases), Basco (487 cases), Mahatao (18), Uyugan (47), and Itbayat (286).
全国 From 1 Jan-25 Jun [2011], 29 898 cases and 185 deaths in the country, 2010年比11%減少

● 炭疽 バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, livestock - Bangladesh (09): (KH) 20110718.2174
 情報源 bdnews24.com、2011年7月16日。
Gangni upazila [sub district] of Meherpur district [Khulna division] で、合計39人が炭疽 Anthrax に感染していることが分かった。Kallyanpur village of the upazila で5日、感染したウシ1頭が処分され、処分に関わったり、肉を食べたりして、感染したと説明されている
[Mod.MHJ-バングラデシュの問題として、黒色のステップ土 black steppe soils ではなく粘土 clay soils であることが挙げられる。モンスーンの時期になると、イネ刈りの終わった水田などのウシの放牧地が洪水に見舞われる。そのため、ほとんど牧草がなくなり 、多数の死体から出た炭疽芽胞は、洪水により流されてしまう。従ってこの時期に最も可能性の高い感染リスクとして考えられるのは、家畜のウシに与えられる市販の飼料である。遺伝学的解析では、中国の菌株と同じであることが示唆されているが、一方で、もし輸入された肉骨粉の汚染が原因であるなら、Indian Bengal である可能性もある。問題は、後者の the genomic characteristics が明らかにされていない点にある]
 
● 狂犬病 インドネシア
PRO/AH/EDR> Rabies - Indonesia (14): (NT) canine, human 20110718.2173
Rabies claims 216 in East Nusa Tenggara
 情報源 The Jakarta Post 、2011年7月15日。
1997年以降、East Nusa Tenggara (NTT) で216人が狂犬病 Rabies で死亡していることが、現地当局 NTT Health Agency から発表された。この間に4526件のイヌ咬傷も報告されていた。2010年の州内の狂犬病感染者数は28人と報告されているが、2011年はこれまでのところ、3月に飼い犬に咬まれて発病した Flores [East Nusa Tenggara] の住民1人のみである。Uneng city in Maumere in Sikka regency の31歳のこの患者は病院で死亡した。
[Mod.CP- the island of Flores では、ヒトへの曝露が減少しているものの、依然として狂犬病が問題となっている。the dog vaccination programme は canine rabies の根絶には程遠いようである]
地図 Sikka is a regency within East Nusa Tenggara province, Indonesia, on the island of Flores.

● カンピロバクター腸炎 米国,未殺菌ミルク
PRO/AH/EDR> Campylobacteriosis, unpasteurized milk - USA (02): (NC, SC) 20110718.2171
 情報源 US Food and Drug Administration (FDA) news release、2011年7月16日。
The FDA は North Carolina and South Carolina とともに、Tucker Adkins Dairy in York, South Carolina. の生ミルク摂取に伴う、3名のカンピロバクター腸炎集団発生 an outbreak of campylobacteriosis の調査を行っている。この3人の確定診断例のほか、3家族の5人の感染が疑われる患者も、Tucker Adkins Dairy の生のミルクを摂取したと申告している。6月中旬に患者の発生があり、1人が入院となった
[Mod.LL- 生ミルクをパックして州外に販売することは法律違反であるが、South Carolina などの州は州内での販売は認めている。生ミルクの販売が認可されていない州の住民の中には "cow sharing," or "cow leasing" により形式上オーナーとなることで、ミルクを ”購入” していないと主張するものもある。Wisconsin 州は2001年にこのようなシステムで入手した未殺菌ミルクの摂取により75人の _Campylobacter jejuni_ 感染が発生したことを受け、cow-leasing programs を禁止している]
関連項目
Campylobacteriosis, unpasteurized milk - USA: (WI) 20110619.1872

● Beak & feather disease、オウム オーストラリア
PRO/AH/EDR> Beak & feather disease, cockatoo - Australia (NS New South Wales) 20110718.2176
 情報源 The Manly 、2011年7月14日。
Avalon の、とある家庭のバルコニーに1か月の間姿を見せているレモン色の冠をもつ傷ついたオウム sulphur-crested cockatoo は、エサを取る力を失っており、先週,嘴を折られ羽毛のとれたもう1羽のトリも現れた。psittacine circovirus, or beak and feather disease には治療法がなく、安楽死させることが唯一の人道的対処法と専門家は述べている。感染力が高い上、飢餓のため、徐々に痛みの中で死んでしまうため、と説明している
[Mod.MHJ- 発生箇所を調べるうち、2 Avalons in New South Wales and one in Victoria が見つかった。バルコニーがあるような集合住宅があると考えられるのはここではないか。The Merck Veterinary Manual で "psittacine beak and feather disease" は以下のように説明されている: 
Psittacine beak and feather disease (PBFD) は a psittacine circovirus を原因であり,beak abnormalities は見られず、初報告されたような重症の典型的な羽毛の症状もなく、この病名は臨床症状を現していない。PCR screening 導入により _Cacatua_ spp のウイルス保有率は激減した。しかし今でも African Gray parrots (_Eclectus_) , lovebirds (_Agapornis_), lorikeets, and other species の感染の報告がある。どのオウム科のトリ psittacine にも感染するが、旧世界の種 Old World species に感染が多く、野生・ペットのいずれからも報告されている。基本的には若鳥 juvenile birds に感染し、3歳以上の感染はまれである。典型的症状として、feather loss, abnormal pin feathers (constricted, clubbed, or stunted), abnormal mature feathers (blood in shaft), and lack of powder down in applicable species がある。有色の羽根を持つものでは色素失調が見られる ... 診断は、肉眼所見と PCR 検査、羽嚢 feather follicles の basophilic intracytoplasmic inclusions 所見などによる]

● リンゴの病気,真菌性疾患 ドイツ、インド、米国
PRO/PL> Fungal diseases, apple - Germany, India, USA 20110718.2172
[1] Lethal bark canker - ドイツ (Hesse): emerging pathogen
Bark canker affects apple trees in drought conditions
 情報源 Wiesbadener Kurier [in German]、2011年7月14日。
Hesse の 農業当局者は、the Research Institute Geisenheim (RIG).による、
bark canker of apple に対する3か年計画の結果を報告した。 2003年のような、高温で乾燥した年に発生しやすい、と説明された。通常は無害な、この樹皮内生植物 bark endophyte は、干ばつなどの多種の要因により、爆発的に発生する。乾燥のストレスで弱った樹木に感染し、死滅させることもある。有効な薬剤がないため、水やりや肥料で樹木を活性化することが勧められている。枯れた木は撤去し、再移植時には、場所と品種を注意深く選定する必要がある。気候変動により、問題が長期化する可能性が指摘されている。
[2] Marssonina blotch - インド (Himachal Pradesh)
Early leaf fall destroys apple crop
 情報源 The Times of India (TOI), Times News Network (TNN)、2011年7月17日。
Kullu のリンゴ栽培農家は、季節はずれの落葉や落果に悩んでいる。he Marssonina disease の感染により、リンゴの木から、次々に葉や実が落ちている。雹が原因で、[Himachal Pradesh] 州内の至るところで、リンゴの被害が発生し、さらに、この恐ろしい病気により、残った木にも被害が発生している、という ... Marssonina は、モンスーン期間中にはさらに勢いを増すため、前もって spray を計画しておくことが、唯一の防衛手段だと、専門家は述べている。
[3] Scab disease - 米国 (Michigan, Indiana): new strains
Apple disease proving resistant to attack
 情報源 FreshPlaza, UPI (United Press International) report、2011年7月13日。
4種類の一般的な消毒薬 fungicides が広く、長期間使用されたために、米国 Indiana and Michigan のリンゴで、 apple scab の耐性が見られる、と Purdue University の関係者が述べた。テストしたリンゴの多くは、4種類すべての消毒薬 all 4 fungicides に耐性であった