2011年8月16日

原因不明の感染流行、学校-アンゴラ WHO
リシン-国際的バイオテロ注意喚起
セレウス菌,炭疽様感染 米国

● 原因不明の感染流行、学校-アンゴラ WHO
PRO/EDR> Undiagnosed outbreak, schools - Angola: WHO, RFI
Archive Number: 20110816.2486
Outbreak of illness in schools in Angola

 情報源 WHO Global Alert and Response (GAR)、2011年8月15日 FORTH より
アンゴラの学校で原因不明の疾患が小児や学生の間で発生したと報告された。多くの症例で、突然発症し数時間以内に改善した。死者は報告されていない。典型的な症状は、嘔吐、頭痛、咽喉痛、目の刺激症状、咳嗽、呼吸困難であり、失神した症例もあった。首都ルアンダ Luanda の学校と他の多くの州で報告された。このアウトブレイクの原因はまだ不明であるが、刺激性化学物質が関連している可能性がある

● 手足口病-ベトナム
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - Viet Nam (07) 20110816.2484
HFMD death toll climbs to 81 in Viet Nam
 情報源 Thanh Nien News、2011年8月15日。
2011年にベトナム国内で手足口病 HFMD [Hand, foot and mouth disease] により死亡した患者の96%が、5才未満の小児だった。予防医学当局 the Viet Nam Administration of Preventive Medicine によると、全国の52の市と省で、32588人の感染が報告され、このうち81人が HFMD により死亡した。死者が報告されているのは、17の市と省で、ホーチミン市 Ho Chi Minh City が 22 人と最も多く、次いで the provinces of Dong Nai, Binh Duong, Long An and Ba Ria-Vung Tau の順となっている ...
[Mod.CP- 6月末の、感染約23000人、死者70人から増加した。現在ベトナムで優位のウイルス the dominant HFMD-associated virus circulating in Viet Nam は、 human enterovirus 71 であることが確認されている。同ウイルスによる HFMD は、より重症化しやすく、麻痺、脳炎あるいは死亡につながる可能性がある。2008年以降、毎年1万から1万5千人の感染者と、20-30人の死者が報告されていた]

● 炭疽-中国
PRO/AH/EDR> Anthrax - China (03): (LN) 20110816.2483
2 more anthrax cases reported in China 
 情報源 Xinhua/PhilStar.com、2011年8月16日。
北東部 ・ 遼寧省 Liaoning Province で新たに2人の炭疽 Anthrax 感染が報告され、入院患者が32人に達したことが、16日当局から報告された。この2人は初発患者が確認された地点から100km以上離れた Donggang City で15日に確認された。当局はいずれの患者の感染源も同じであるとしている。患者らは感染動物に直接接触して感染したことが、現地当局の調査で明らかにされている。症当局は、400頭以上のウシを処分もしくは消毒し、2万人以上について調査を行った。皮膚炭疽は、感染した動物やその製品と直接接触することで発生し、治療されれば死亡することはほとんどない。
[Mod.MHJ- 'killed or disinfected.' はどのように理解すればよいのだろう。家畜の炭疽では保菌動物を識別することはできないため、抗生物質で治療する代わりに感染動物を処分することは、どのような理由があっても意味がない。しかし、一部の国々はあえてその方針を採り続けている。感染の潜伏期間であることが疑われるのであれば、持続性抗生物質で治療すれば感染は治癒する。その後、他の動物とともにワクチンを接種すれば、6-9ヶ月間は感染しない。炭疽感染が確認されるということは、ワクチンを接種されていなかったに違いない]

● 大腸菌 O157 -英国
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - UK: (Wales) kebabs 20110816.2479
 情報源 Wales Online、2011年8月13日。
South Wales で発生した大腸菌による感染流行の患者数は、新たに2人の患者が確認されたことにより7人となった。このうち3人が入院した。the Adonis Kebab House(City Road, Cardiff)は閉鎖されたままである。"大腸菌 _E. coli_ O157 の潜伏期間は、通常は3-4日だが、1日から14日となることもあるため、しばらくは患者の発生が続く可能性もある" と説明されている。
[Mod.LL- the kebab house のどの食品から菌が検出されたのか不明である]

● インフルエンザ ECDC report、ウイルス学的特徴
PRO/EDR> Influenza (47): ECDC report, virus characterization 20110816.2477
[1] EU report says flu virus isolates still well matched to vaccine
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) News、2011年8月15日。
the European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC) のインフルエンザウイルスに関する最新のテクニカルレポート ([2]) では、2月から 6月までの期間に欧州各国から提出された 250検体をもとにしたデータから、遺伝学的多様性が認められるものの、現在推奨されているワクチンと非常にマッチするウイルスが大勢を占めることが示された。具体的には、すべての 2009 H1N1 virus groups は、the A/California/7/2009 vaccine virus と抗原相同性を示し、viruses of the B/Victoria/2/87 lineage についても 遺伝学的および抗原性ともに the B/Brisbane/60/2008 vaccine virus に一致していた。提出された検体には、Isolates of influenza A/H3N2 and of the B/Yamagata lineage も含まれているが、いずれも、current vaccine coverage から外れていない。
[2] ECDC updates its technical document on influenza virus characterisation
 情報源 European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC)、2011年8月12日。

● 食中毒-スペイン
PRO/AH/EDR> Foodborne illness, youth conference - Spain: (AN) 20110816.2476
 情報源 Granada Digital, Europa Press (EP) report [in Spanish]、2011年8月15日。
アンダルシア保健当局 The Andalusian Health Ministry は14日に Otura municipality of Granada の総合体育施設に宿泊した,the World Youth Day (WYD) に参加した76人のイタリアの青年らの間で発生した食中毒は、食材の保管状態が不十分であったことが原因だと指摘した。現在、食品に関する検査が行われている。確定されていないものの、ツナ+マヨネーズ+タマゴサンドの保管状態に問題があった可能性が最も高いとされている。このサンドイッチは、施設にいた300人に配られていた ... 当局は、いわゆる "traveler's diarrhea" の可能性についても検討を行っている。
[Mod.LL- 潜伏期間が短いので、ブドウ球菌性エンテロトキシンが疑われる]

● リシン-国際的バイオテロ注意喚起
PRO> Ricin - International BT alert 20110816.2487
Qaeda Trying to Harness Toxin for Bombs, U.S. Officials Fear
 情報源 New York Times、2011年8月13日。
アルカーイダのイエメン支部 Al Qaeda's Yemeni branch が,リシン ricin の製造目的に、ヒマシ豆 castor beans を探している。米国のテロ対策担当官は、最強部隊 the most dangerous regional arm of Al Qaeda が致死毒の ricin を製造し、小型の爆発物に詰めて、米国への攻撃を企てていることに警戒を強めている。1年以上前に Al Qaeda's イエメン支部 affiliate が、リシン製造に必要な castor beans を大量に入手しようとしていた。リシンは、ほんのわずかでも吸入したり血液中に入ったりすれば死亡する白い粉状の猛毒物質である。諜報機関の当局者は、武装勢力の強固な支配下にあるイエメンの部族地域 Shabwa Province に castor beans and processing agents を隠蔽しようとしていると述べた。密かに調合し、小型爆発物に詰め、人が多く集まるショッピングモールや空港、地下鉄の駅などでの爆破を計画していると説明した。当局者らは、この化学物質は乾燥した陽のあたる条件では毒性を失い、また他の神経刺激物質と異なり皮膚からの吸収が起こりにくいため、バイオテロ兵器としてのリシンの有用性は限定的としている。イエメンは高温で乾燥した国であり、リシン製造はとりわけ困難を伴う ... 2003年、英仏は協調して、リシン爆弾の材料や製造マニュアルと、ロンドンの地下鉄地図が発見された、カーイダのアジトと見られる場所を破壊している

● セレウス菌,炭疽様感染 米国,議論
PRO/AH> Bacillus cereus, anthrax-like infection - USA (02): (TX) discussion
Archive Number: 20110816.2475
 投稿者 Larry Lutwick, ProMED-mail Bacterial Disease Moderator、2011年8月15日。
オンライン版 the Archives of Pathology and Laboratory Medicine には、(20110815.2470 で示されたとおり) the pXO1 plasmid of _B. anthracis_ にきわめて類似したプラスミドを有する、セレウス菌 a strain of _Bacillus cereus_ の遺伝子解析結果が詳細に報告されている。今回の報告には、患者がいつ発生したかは記載されていない。患者は Texas 州在住の溶接工 welder で、これに類似する患者については以前にも報告があったが、遺伝子解析により菌の特徴が記述されている点で、他に例を見ない報告となった。もし、the current Minnesota case の原因菌が、炭疽菌 _B. anthracis_ と判明したなら、この2種類の菌は標準的な細菌学的検査で容易に識別されることから、 セレウス菌感染 _B. cereus_ case は否定される。A 2004 PNAS report では、過去に重症肺疾患例から分離され、炭疽菌に極めて近い数種類の菌の1つである、_B. cereus_ G9241 について報告されている。 G9241 は1994年に a Louisiana welder から初めて分離され、1996年には、別の2人の Texas metal workers とその職場から分離されている。このうちの1つは、the Louisiana case と臨床的に識別不能であった。分離株 The clinical isolates は夾膜 capsule を有していたが、 the anthrax poly-D-glutamic acid capsule ではなかった。The Texas cases は2007年に症例報告されている。さらに興味深いこととして、the G9241 strain を詳しく調べると、virulence factors を産生するにもかかわらず、ウサギやラットの実験で、弱毒無夾膜 (the attenuated toxigenic nonencapsulated) Sterne strain により近い行動をとった(?)。このような症例は、米国内では Texas and Louisiana だけに発生が限定されていると見られるが、2001年と2002年にコートジボワールで発生した、炭疽菌感染に類似する集団死亡でも、an additional isolate が分離されている。この菌は、セレウス菌に特徴的な染色体を背景に持ち、炭疽菌特有の毒性プラスミド the typical anthrax virulence も有していた。重要な点として、これらの分離菌は the 4 _B. anthracis_-specific prophage regions を持たず、また、the regulator gene P1cR. の the classical nonsense mutation も認められなかったことがある。 非常に系統が単一化されている炭疽菌クレード The highly monophyletic anthrax clade では(clade 内の)すべての菌がこれらの特徴を有している

● 告示 (07) ワクチンの信頼度調査
PRO/ALL> Announcements (07): Vaccine Trust Survey 20110816.2478
Vaccine Trust Survey
 投稿者 英 ・Heidi Larson 、2011年8月16日。
われわれロンドン衛生熱帯医学校のチームは ProMED-mail の協力を得て、世界中でワクチンに関する、市民の疑問や懸念についての調査を行っている。
the Survey から協力していただければ幸いである。作業は数分で終了する ...
1. Are you aware of any new or persisting concerns about vaccines (safety fears, policy issues, rumors, etc.)? yes / no
2. If yes:
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e. Has this resulted in any reductions in vaccine acceptance? yes / no / don't know
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