2011年8月2日

原因不明の疾患-マレーシア
Duck egg-drop syndrome-中国 フラビウイルス

● 原因不明の疾患-マレーシア
PRO/EDR> Undiagnosed illness - Malaysia: (SK) RFI
Archive Number: 20110802.2329
 情報源 Free Malaysia Today (FMT)、2011年8月1日。
the Bakun Dam ダムの貯水に伴う溺死から動物を救うために森林組合 the Sarawak Forest Corporation (SFC) に雇われた合計10人死亡した。2010年10月にダムの貯水が行われた。この10人が死亡した原因は不明となっている。現地当局者の医師は1日、最も新しい死亡は、このプロジェクトに参加した28歳の SFC worker であったと述べた。父親の話によると、ダムの仕事から戻った後、非常に体調が悪かったと言う。病院を受診したが原因が分からず、2日後に死亡した。剖検が行われたが原因解明には至っていない。同医師は、類鼻疽やレプトスピラ症(現地語で "penyakit kencing tikus") などの感染症を疑っている。村長 the village penghulu (chief) も重体となり入院中である。"これら10人の労働者らは the Bakun Dam water catchment area から高いところへ重い動物を引き上げ、作業終了後に発病した。これ以外にもこの地域では、数年前から原因不明の死亡が続いている" と医師は述べた
[Mod.ML- 臨床症状や疫学情報などの内容が非常に乏しい ... 
メキシコの原因不明の疾患 20110720.2190 に関するコメントより:
"診断がつかない急性熱性疾患 Acute undifferentiated febrile illnesses には、発生地域によって異なる、多くの原因が考えられる。その中にはレプトスピラ症 leptospirosis, ハンタウイルス_Hantavirus_ infection, バルトネラ症 _Bartonella_ infection, 野兎病 tularemia, and 発疹熱 murine typhus のようにげっ歯類が関係するものや,ツツガムシ病 scrub typhus, デング熱 dengue, チクングニア熱 chikungunya, マラリア malaria, ブルセラ症 brucellosis, 腸チフス enteric fever, and 類鼻疽 melioidosis などの可能性もある。ハンタウイルス感染症とレプトスピラ症の臨床像は酷似している。感染性保有動物の尿に汚染された水との接触により野兎病やレプトスピラ症が起こる。しかし類鼻疽は Southeast Asia and northern Australia の一部に限られている。
"ツツガムシ病 Scrub typhus は、東西南北を、北日本から極東ロシア、オーストラリア北部、およびパキスタンとアフガニスタンに囲まれた範囲で発生している。
参考資料 4件。
 ○ 特にマレーシアではバルトネラ菌 _Bartonella_ が動物に外寄生する
 ○ サルマラリア _Plasmodium knowlesi_ 感染による死亡例が Sarawak で報告されている ( _Plasmodium knowlesi_ malaria in humans is widely distributed and potentially life threatening. Clin Infect Dis. 2008; 46(2): 165-71 )
 ○ 発疹チフス tick typhus は、the most common rickettsial infection in rural Sarawakである]
[Mod.AS- 何人のうちの10人が死亡したのかは分からないが、ウシを移動させるのにそれほどの人数を要しないことから考えると、ほぼ100%の致死率なのかもしれない。頻度から類推すると、レプトスピラ症か。野生でも家畜でも排菌する動物がいて、浅い水辺で病原体は増殖するが、これほど高い致死率はレプトスピラ症としては普通ではないし、比較的容易に診断できると考えられる。一方、Nipah virus は Kuching, Serian and Sibu districts of Sarawak のブタ、ネコ、イヌで確認されており、1999年に Nipah virus-infected areas と指定された。この10年間 Sarawak からニパウイルスが報告されていない理由はいくつもの説明がつくが、1つの可能性として、臨床的に問題になっていなかった可能性もある]

● 炭疽-インド
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, livestock - India (06): (AP) wildlife 20110802.2328
 情報源 Express News Service, The New Indian Express 、2011年8月1日。
3年間の空白期間のあと、Chittoor district の4つの地域 mandals [sub districts] で再び炭疽 Anthrax 感染流行が発生した。7月25日、58歳の Musalimadugu village in Palamaner mandal の住民1名の炭疽感染が Palamaner hospital で検査により判明した。村内でその後8人の感染が確認されている。患者らは、Tirupati SVRR hospital と CMC hospital, Vellore [in Tamil Nadu] にそれぞれ4人ずつが搬送された。Yadireddypalle Gollapalli village in Yadamarri mandal においても、3人の患者が確認されていることが、当局により明らかにされている。死亡した野生のイノシシの肉を食べて感染した。Vasanthapuram village in Gudipala mandal でも4名の炭疽患者が確認されている。Jathara in Kurmaipalle in Bagarupalem mandal ではこの数ヶ月間に5人が、ヤギ肉の摂取後に発病し、炭疽感染が疑われている。
[Mod.MHJ- Andhra Pradesh 州の炭疽感染の歴史は長く ... 2005年以降の発生状況]

● 風疹-フィジー 
PRO/EDR> Rubella - Fiji (02) 20110802.2326
 情報源 Fiji Broadcasting Corporation (FBC)、2011年8月2日。
保健省は、フィジー国内の風疹 Rubella 感染流行発生を確認した。同省広報官によると、Suva を中心として11人の風疹感染が確定されている ... 妊婦への注意など。
[Mod.CP- 1週間前の3人から11人に増えている。妊娠女性が含まれているかは明らかではない。先天性風疹症候群 Congenital rubella syndrome (CRS) は重篤な先天異常の重要な原因の1つである。女性が妊娠初期に風疹ウイルスに感染すると90%で胎児へのウイルス感染が成立し、胎児死亡もしくは CRS が発生する可能性がある。小児では軽症ですむが、CRS では多くの種類の先天異常が発生し、聴力消失が最も多いが、眼球・心臓・脳の欠損を起こすこともある。風疹は、患者のくしゃみや咳による空気感染する。一旦感染すると5から7日間にわたって、ウイルスが全身に広がる。この期間中に妊娠した女性を感染させる可能性がある。風疹はワクチンで予防可能な疾患である]

● Duck egg-drop syndrome-中国 フラビウイルス
PRO/AH/EDR> Duck egg-drop syndrome - China (02): BYD flavivirus, emerging 20110802.2332
 情報源 Virology, Rapid Communication, Article in Press, Corrected Proof, Available online 30 Jun 2011(Subscription) 、2011年8月2日。
[Mod.AS- 4月の投稿(20110403.1037)については,an emerging BYD flavivirus infection が原因であった。以下に、要約を再掲する]
中国南東部で確認されている、産卵数の減少、成長の遅れ、死亡等の集団発生の調査により、_Tembusu virus Fengxian 2010 (FX2010)_ と命名された新型の Tembusu virus strain が発見された。有胚鶏卵中で増殖し、胎児を死に至らしめる。交差中和試験により、the partial E protein of Tembusu virus Mm1775 strain に対する抗血清により、FX 2010 が中和されたが、日本脳炎ウイルスの抗血清では中和されなかった。FX2010 はエンベロープを持つ RNA virus of 直径約45­50 nm である。 E および NS5 genes の塩基配列の解析では、いずれの遺伝子も、Baiyangdian virus と最大 99.6 %のnucleotide sequence が一致し、Tembusu virus とは最大 88 %の nucleotide sequence identity の一致を見た。実験では、FX2010 は蚊族を介することなく感染伝播し、感染した ducks. に全身性病変を発生させた。これらの結果より、FX2010 and BYD virus は、ダックに感染症を発生させる、新興Tembusu virus strains であると結論した

● 原因不明の大量死、ダック-中国、タイ
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, ducks - China, Thailand: RFI 20110802.2330
 投稿者 ProMED-mail Animal Disease and Zoonoses Moderator、Arnon Shimshony、2011年8月2日。
信頼できる筋からの情報によると、中国国内のかなりの広範囲の地域で、繁殖用ダック duck breeding flocks での大量死が確認されているという。タイ国内でも、同様の現象が認められている。それ以上の情報は得られていないが、新興感染症の可能性も考えられている。

● ウエストナイルウイルス-カナダ(英国から訂正:20110802.2331
PRO/AH/EDR> West Nile virus, wild bird - Canada UK: (London) 20110802.2327
 情報源 The London Free Press (LFP) 、2011年7月27日。
ロンドン the area of London's Trafalgar and Hale roundabout で死亡して発見された1羽のカラスのウエストナイルウイルス West Nile virus 検査が陽性となった ... 当局 the Middlesex-London Health Unit は、 "dead crows or blue jays, の発見の通報により、蚊族の、 West Nile virus.保有の有無を調査することができる"、と説明している ... 2010年、ロンドンにおいて、ヒトのウエストナイル熱の患者は報告されていないが、 mosquito traps and 2 dead birds について行われた検査は陽性だった

● ヘンドラウイルス、ウマ-オーストラリア
PRO/AH/EDR> Hendra virus, equine - Australia (21): (QL) canine 20110802.2324
[1] 抗体陽性のイヌが処分された
 情報源 The Sydney Morning Herald, Australian Associated Press (AAP) report 、2011年7月31日。
詳しい検査の結果、ヘンドラウイルス感染が判明し、そのイヌは処分された。2歳のこの kelpie は、先週、ヘンドラウイルス抗体検査が陽性となり、はじめての検査で感染が確定診断されたイヌとなった。 健康状態に問題はなかったが、検査により、ある時期にウイルスに感染していたが回復していたことが分かった ...
[2] 行われた検査の詳細
 投稿者 Australian Chief Veterinary Officer ・ Mark Schipp、2011年8月1日。
問題のイヌがヘンドラウイルスに感染していたことは間違いない。the World Organisation for Animal Health (OIE) Reference Laboratory for Hendra and Nipah virus diseases.である、CSIRO's [Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation] Australian Animal Health Laboratory によって、検体についての (both VNT (virus neutralization test) and ELISA (enzyme linked immunosorbent assay). の血清学的検査が繰り返し行われた。